霜田技術委員長「手を抜かずに戦うことを要求する監督」

2015.03.12 22:02 Thu
日本サッカー協会(JFA)は12日、ボスニア・ヘルツェゴビナ出身(フランス国籍)のヴァイッド・ハリルホジッチ氏(62)が日本代表の新監督に就任することを発表した。

▽記者会見に出席した霜田正浩強化担当技術委員長は冒頭で、「技術委員会から推挙したハリルホジッチ監督が理事会で無事に承認を頂き、正式決定の運びとなったことを報告する。交渉の経緯や選考理由を途中で話すのは難しかったが、ようやく正式に決まったので、改めて交渉の経緯と選考理由をお伝えしたい」と述べ、記者からの質疑にも応じた。霜田技術委員長の会見コメントは以下の通り。

◆霜田技術委員長
「2月3日にアギーレ監督の契約解除が決定し、技術委員会としては次の新しい日本代表監督を選任しなければいけなくなりました。そこから、技術委員会としては2つの方針を決めました。1つ目は、3月に開幕を控えた大切な時期にあるJリーグの現職の監督を引き抜かないこと。2つ目は、海外から外国人監督を招へいする場合に、アジアを勝ち抜いて世界で勝つことを目的に監督を選ぶのであれば、世界を経験している監督を連れてくることにトライしようということ。この2つをテーマに監督を決めました」
「ザッケローニ監督やアギーレ監督を招へいした際も同じですが、いきなり経歴的に素晴らしい監督であっても会ったこともない監督にオファーはできません。まずは情報を収集し、現在の契約状況はどうなっているか、サッカー観や哲学はどうか、日本代表の監督に就く意欲はあるか、モチベーションがあるか、いろいろな情報を集めることを先決しました。約2週間近く集めた情報を一旦日本に持ち帰り、技術委員会を開き、情報を収集した監督の中から誰を選任するのか、誰から交渉を始めるのがいいのかと、議論を踏まえた上で、多少時間はかかりましたが、適切な手順を踏んで監督の交渉にあたりました」

「22日に技術委員会を行い、会長、原専務理事、法務委員会、協会の幹部の方にも報告し、監督の交渉にあたりました。その時点でいろいろな情報を得ており、技術委員会としては過去の実績や経験、実際に会った感触、人柄を踏まえた上でハリルホジッチ監督に一番に交渉しようとなり、26日と27日に連日で彼と話しました」
「(ハリルホジッチ監督に提示した)日本代表の条件は決して良くなかったが、彼は多くの代表監督やビッグクラブの監督のオファーを断って日本代表を選んでくれました。非常に高いモチベーションで日本代表の新しいプロジェクトをやりたいとも言ってくれました。条件面でも大筋で合意したので、それを理事会に推挙しました」

――ハリルホジッチ監督に期待していることは
霜田「監督と色々な話をする中で、2カ国の代表チームでワールドカップ出場権を獲得した、あるいはヨーロッパのビッグクラブで数々の代表選手と一緒に仕事をしてきた、そういった実績や経験から自身の仕事に自信を持っている人物。また、日本人選手のクオリティを高く評価している。これをもって、厳しい監督ではあるが、日本のストロングポイントを生かして日本が世界で戦うことができる武器を増やしてくれるのではないかと思っています」

――(ハリルホジッチ監督と親交のある)オシムさんからアドバイスを受けたか
霜田「オシムさんと親交があるとは聞いていたが、オシムさんと何か具体的な話をした事実はありません。実際、オシムさんに会い行きましたが、突然お通夜が入ってしまって会うことができませんでした。オシムさんに会いにいった理由は、誰か監督を紹介してもらうためではなく、外からこれまでの日本代表を見て、日本がどのような道に進んでいると考えているのか、どう感じているかということを単純に聞こうと思っていたからです。しかし、残念ながら会えなかったので、彼からアドバイスを受けたという事実はありません」

――契約期間はいつまでか
霜田「契約書に記載されている契約の金額や期間は守秘義務があるので、ここで開示することは控えたいと思います。契約期間や年俸に関しては開示できません」

――言語はフランス語か
霜田「国籍は、ボスニア出身ではありますが、フランスの国籍も有しています。パスポートもフランスであり、フランス語を話します。フランスに家もあり、奥さんもフランス人。家族もフランスで生活しています。選手時代から長くフランスで生活をしていますので、国籍もフランスということで本人からの了承も得ています」

――GKコーチについて
霜田「GKコーチに関して、ハリルホジッチ監督はコーチとフィジカルコーチと3人で来るが、アギーレ監督の時から一緒に戦ってきたリカルドGKコーチを続投させます。日本人のGKから高い信頼を得ているし、日本サッカー協会も彼の仕事ぶりを評価しているので。国籍は違いますが、一緒に仕事をすることは監督も納得しているので、この体制でスタートします」

――いつ初めてコンタクトしたのか、監督を決定する上での身辺調査は行ったのか
「2月8日に出国し、2月21日に帰国しました。その約11日間で多くの監督の情報を得ることができました。その時に一度会いました」

霜田「身辺調査については、技術委員会として、指導者の資質や監督としての力量を評価して推挙したいと思っていました。前回の教訓がありまので、協会のしかるべき部署がチェックをしていると聞いていますし、そこは協会に任せています」

原「技術委員会から候補者が挙がってきた段階で、当然内部でも調べますが、外部機関にもチェックをしてもらうようにしました。そのチェックをした上で、問題ないということになりました」

――霜田技術委員長は、アギーレ監督の契約解除に際し、辞任の意向を示したようだが
「アギーレ監督が契約解除をした際に、そのような気持ちを会長や原専務理事に伝えたのは事実。その後に、次の3月の試合や6月の予選があり、スケジュールはとめられないし、日本代表は止まることができない。次の監督を探すことが、責任を全うすることだといっていただき、、技術委員会全員でハリルホジッチ監督の招へいあたってきました。彼と話して日本に来てくれるよう説得し、人間同士のつながりの中で来てもらった以上、このタイミングで仕事を放り出すのは無責任だと思っている。新しい監督が決まり、新しいプロジェクトが始まったので、今私にできるのはハリルホジッチ監督をしっかりとサポートすることだと思っています」

――来日の予定やビザの問題、3月の代表戦に間に合うのか
「本日14時から理事会が行われ、冒頭で監督を承認していただき、そのタイミングで現地に連絡をとりそのタイミングで現地に連絡を取り、就労ビザが降りていると確認しました。本日、フランスから日本に向かう予定です。3月の指揮には間に合います」

――ハリルホジッチ監督が具体的に日本を評価していることは
「監督の口から聞いてもらうのが一番だと思いますが、ヨーロッパで活躍する選手の情報は十分にわかっていますし、日本人のプレーのストロングポイント、ウィークポイントを含めて、この部分をを伸ばしていけば世界と戦っていけるという点をいくつか挙げていました。具体的に言うと、俊敏性や持久力、勤勉性などは規律を守ってチームとしてコレクティブに戦える資質を日本人は持ち合わせていると言っていました。日本人はこうやって戦うというのを具体的にイメージにしながら話していました」

――日本の課題として何を挙げていたか
「まだはじまっていないので、あまりネガティブなことは言わないほうがいいかなと、監督はそこも理解したうえで、日本人はまだまだ伸びるといわれているので、練習などの際に聞いていただければと思います」

――ハリルホジッチ監督が日本代表の監督に適すると思った理由は
「(ハリルホジッチ監督は)真面目さや勤勉さ、手を抜かずに戦うということを要求する監督。(これまで指揮を執った)アフリカの選手よりも日本の方が、そういった部分では合っていると思う。彼は勤勉性を含め、日本人がチームのために戦えるメンタリティを備えていると分析している。勝利のためには一切手を抜かず、勝利を目指すためには完璧主義者でありたいと言っています。代表チームは勝たなければいけないと思っていますし、良いサッカーを見せてサポーターやスポンサーなどに勝ったところを見せないといけない。彼は勝利への執着心を要求しますので、そういった部分を日本にもたらしくれればと思っています」

――ワールドカップを見据えての招へいか
「目標はもちろんワールドカップであり、ワールドカップに出ることが目標で、そのために連れてきた監督です」

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偉大なるキャプテン、眞城美春の2ゴールなどで日本が韓国に3発快勝! U-17女子W杯出場権を獲得【U-17女子アジアカップ】

16日、AFC U17女子アジアカップ2024の準決勝がインドネシアで行われ、U-17日本女子代表はU-17韓国女子代表と対戦し、3-0で勝利。U-17女子ワールドカップ(W杯)出場を決めた。 上位3カ国はドミニカ共和国で今年10月から11月にかけて行われるU17女子W杯の出場権を獲得できる今大会。グループステージを3連勝で終えた日本は、グループAで2位の韓国と対戦した。 日本は[4-2-3-1]のシステムを採用。GKに福田真央、最終ラインは右から福島望愛、太田美月、牧口優花、鈴木温子と並び、中盤は榊愛花と眞城美春がダブルボランチ、2列目が右から木下日菜子、辻あみる、根津里莉日と並び、1トップに古田麻子が入った。 キックオフから日本はそのまま攻め込み、辻が10秒でファーストシュート。ミドルシュートはGK正面に飛んだが、キャッチされる。3分には榊のパスを受けた辻がボックス内からシュート。これもセーブされる。 立ち上がりから日本がプレスをかけて前からボールを奪って攻めていく展開に。ポゼッションをしつつ、一気にゴールに迫る形を続けていくが、決定機は作れずに得点は遠い。 対する韓国はなかなかマイボールにできない展開に。それでもスペースをついた攻撃で日本ゴールを目指すが、大きなチャンスは作れない。 日本が攻め込む展開は変わらず。左右のサイドを使って崩していくがゴールは遠い。すると40分、左サイドから古田がクロスを入れると、ボックス内中央で辻がダイレクトで落とし、最後は根津がボックス内からコースを狙ってダイレクトシュート。これが決まり、日本がようやくゴールを奪う。 攻めあぐねた日本だったがリードして後半を迎えることに。日本はハーフタイムで交代を行わず、後半もペースを握って試合を進めていく。 韓国は積極的に選手交代を行い、52分の時点で4枚のカードを切ることに。それだけ日本が押し込んでいる展開となるが、追加点が遠い。 日本は60分に太田と辻を下げ、朝生珠実と平川陽菜を投入。流れを変えにいく。 しかし65分、韓国の自陣からのロングボールを日本が拾うも、バックパスが短くなると、狙っていたケイシー・フェアが奪い飛び出していたGK福田を交わしていくことに。福田はすぐに戻ると、ボックス内からのシュートを水口がブロック。こぼれ球をケイシー・フェア再びシュートもGK福田がセーブ。日本は最大のピンチを凌ぐこととなる。 すると68分に日本がついにスコアを動かす。榊が右サイドに大きく展開すると、ボックス右から福島がクロス。これを相手がクリアミスすると、ボックス内で拾った眞城が落ち着いて左足でシュート。これがネットを揺らし、待望の追加点を奪うことに成功する。 リードを広げた日本は71分に2枚替え。古田、根津を下げて、佐藤ももサロワンウエキと菊地花奈を起用する。 日本は菊地や佐藤を中心に攻め込んでいくと、88分にも追加点。敵陣でボールを奪うと、菊地がクロスこぼれ球を拾った眞城がボックス内でシュートもブロックされると、こぼれ球を木下がボックス内でシュート。これはGKがセーブするが、眞城がすぐに詰めてネットを揺らし、リードを3点とする。 日本は90分に今大会唯一出番がなかったGK永井愛理を福田に変えてピッチへ送ることに。これで、GK、FP全選手がピッチに立つこととなった。 最後までゲームをコントロールし続けた日本。4試合連続4得点以上とはならなかったが、クリーンシートでしっかりと勝利を収めた。 3-0で勝利した日本は、U-17女子W杯の出場権を獲得。決勝では、この後行われるU-17北朝鮮女子代表とU-17中国女子代表の勝者と対戦し5度目の優勝を懸けて戦う。一方の敗れた韓国は、3位決定戦に回ることとなった。 U-17日本女子代表 3-0 U-17韓国女子代表 【得点者】 1-0:40分 根津里莉日(日本) 2-0:68分 眞城美春(日本) 3-0:88分 眞城美春(日本) 【出場メンバー】 GK 21.福田真央(JFAアカデミー福島) →90分 1.永井愛理(日テレ・東京ヴェルディメニーナ) DF 16.福島望愛(JFAアカデミー福島) 4.太田美月(大商学園高校) →60分 17.朝生珠実(日テレ・東京ヴェルディメニーナ) 3.牧口優花(セレッソ大阪ヤンマーガールズU-18) 6.鈴木温子(日テレ・東京ヴェルディメニーナ) MF 5.榊愛花(JFAアカデミー福島) 14.眞城美春(日テレ・東京ヴェルディメニーナ) 8.木下日菜子(セレッソ大阪ヤンマーガールズU-18) 19.辻あみる(三菱重工浦和レッズレディースユース) →60分 22.平川陽菜(三菱重工浦和レッズレディースユース) 11.根津里莉日(ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU-18) →71分 7.菊地花奈(マイナビ仙台レディースユース) FW 10.古田麻子(セレッソ大阪ヤンマーガールズU-18) →71分 9.佐藤ももサロワンウエキ(大商学園高校) <span class="paragraph-title">【動画】キャプテン・眞城美春が勝利を近づける落ち着いたゴール!</span> <span data-other-div="movie"></span> <blockquote class="twitter-tweet" data-media-max-width="560"><p lang="en" dir="ltr"><a href="https://twitter.com/hashtag/U17WAC?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#U17WAC</a> | <a href="https://twitter.com/hashtag/JPNvKOR?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#JPNvKOR</a> <a href="https://t.co/lSHN7hfmQ5">pic.twitter.com/lSHN7hfmQ5</a></p>&mdash; #AsianCup2023 (@afcasiancup) <a href="https://twitter.com/afcasiancup/status/1791038962221683107?ref_src=twsrc%5Etfw">May 16, 2024</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> 2024.05.16 17:58 Thu

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