群雄割拠への序章《アジアカップ2015》
2015.02.02 15:00 Mon
▽1月31日、22日間に及ぶアジアカップは、延長戦を制したホスト国の優勝という形で幕を閉じた。120分に及ぶ激闘を終えた後、オーストラリアに敗れた韓国代表指揮官は、「どちらが勝利してもおかしくない試合だった」と語ったが、その言葉に同意する人は多いだろう。当事国ではない第三者の立場が見ても、そう感じる素晴らしい決勝戦だった。
▽そして、その場に日本代表がいなかったことが悔しくて仕方がなかった。あの強度を経験できなかったことが残念で仕方がなかった。日本代表の敗退が決まったあの時、現在のような心境になるとは想像していなかった。もしかすると、日本が失った経験値は自分が考えていた“それ”よりも大きかったのかもしれない。それが、現時点での偽らざる思いだ。
◆若手の活躍と継続
▽今大会で目についたのは、若手の活躍だ。優勝したオーストラリアで言えば、MVPを獲得したMFルオンゴ(22)の他にも、GKライアン(22)、DFデビッドソン(23)、DFセインズベリー(23)、FWレッキー(23)、FWユリッチ(23)といった20代前半の若手がチームの主力として初優勝に貢献した。また、惜しくも準優勝に終わった韓国も、MFク・ジャチョルやMFイ・チョンヨンの負傷離脱があったものの、MFソン・フンミン(22)を筆頭に、DFキム・ジンス(23)、DFチャン・ヒョンス(23)、MFナム・テヒ(23)、FWイ・ジョンヒョプ(23)といった20代前半の選手が決勝のスタメンに名を連ねた。
▽さらに、UAE代表とイラク代表も、ロンドン五輪に出場したメンバーやU-20ワールドカップで好成績を残した20代前半のメンバーを中心としたチームでベスト4に進出。それぞれPK戦での勝利だったが、日本代表とイラン代表を退け、自信を深めたことだろう。今大会で上位に進出した国はどこも、アンダー世代で世界を経験してきた“有望株”がしっかりと結果を残した。先のワールドカップを振り返っても、ブラジルのFWネイマール(22)やコロンビアのMFハメス・ロドリゲス(23)など、20代前半でチームの主軸となっている選手は多い。
◆今後への不安
▽翻って今大会の日本代表は、経験豊富な20代後半の選手たちを中心に、危なげない試合運びを見せる大人のチームだった。しかし、終わってみれば5大会ぶりのベスト8……。チームの主力としてプレーした20代前半の選手は、内田の負傷離脱によって出場機会を得たDF酒井(23)だけだった。UAE戦でゴールを挙げたMF柴崎(22)やFW武藤(22)という“期待の若手”もいたが、チームの主力と呼べるほどの出場機会は得られなかった。その現状は、2007年を最後に4大会連続でU-20ワールドカップの出場権を逃がしていることと無関係ではないだろう。目前に迫ったワールドカップ予選に向けた大きな不安要素ではないものの、日本がアジアの盟主として君臨し続けられるかには、小さくない不安を感じている。
▽実際、アンダー世代の日本は、韓国やイラク、北朝鮮などに敗れ、世界への道を閉ざされてきた。ワールドカップのアジア枠を巡る争いは、今後さらに激化していくことだろう。“群雄割拠”の新時代が、幕を上げようとしている。そう予感させる大会だった。
《超ワールドサッカー編集部・平野由倫》
▽そして、その場に日本代表がいなかったことが悔しくて仕方がなかった。あの強度を経験できなかったことが残念で仕方がなかった。日本代表の敗退が決まったあの時、現在のような心境になるとは想像していなかった。もしかすると、日本が失った経験値は自分が考えていた“それ”よりも大きかったのかもしれない。それが、現時点での偽らざる思いだ。
◆若手の活躍と継続
▽今大会で目についたのは、若手の活躍だ。優勝したオーストラリアで言えば、MVPを獲得したMFルオンゴ(22)の他にも、GKライアン(22)、DFデビッドソン(23)、DFセインズベリー(23)、FWレッキー(23)、FWユリッチ(23)といった20代前半の若手がチームの主力として初優勝に貢献した。また、惜しくも準優勝に終わった韓国も、MFク・ジャチョルやMFイ・チョンヨンの負傷離脱があったものの、MFソン・フンミン(22)を筆頭に、DFキム・ジンス(23)、DFチャン・ヒョンス(23)、MFナム・テヒ(23)、FWイ・ジョンヒョプ(23)といった20代前半の選手が決勝のスタメンに名を連ねた。
◆今後への不安
▽翻って今大会の日本代表は、経験豊富な20代後半の選手たちを中心に、危なげない試合運びを見せる大人のチームだった。しかし、終わってみれば5大会ぶりのベスト8……。チームの主力としてプレーした20代前半の選手は、内田の負傷離脱によって出場機会を得たDF酒井(23)だけだった。UAE戦でゴールを挙げたMF柴崎(22)やFW武藤(22)という“期待の若手”もいたが、チームの主力と呼べるほどの出場機会は得られなかった。その現状は、2007年を最後に4大会連続でU-20ワールドカップの出場権を逃がしていることと無関係ではないだろう。目前に迫ったワールドカップ予選に向けた大きな不安要素ではないものの、日本がアジアの盟主として君臨し続けられるかには、小さくない不安を感じている。
▽もちろん、アジアは簡単ではない。それは間違いないだろう。ただ、近年のワールドカップ出場国を見ても、今大会のパフォーマンスを見ていても、オーストラリア、韓国、イラン、そして日本の力が一段上のレベルにあることも事実だ。しかし、前述したように今大会のベスト4には、PK戦の末に日本とイランを退けたUAEとイラクが残った。アンダー世代で世界を経験してきた中東勢やウズベキスタンの台頭も侮ることはできない。
▽実際、アンダー世代の日本は、韓国やイラク、北朝鮮などに敗れ、世界への道を閉ざされてきた。ワールドカップのアジア枠を巡る争いは、今後さらに激化していくことだろう。“群雄割拠”の新時代が、幕を上げようとしている。そう予感させる大会だった。
《超ワールドサッカー編集部・平野由倫》
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