【連載】豪蹴ハングオーバー~審判を守る言葉狩り~

2015.01.23 12:10 Fri
▽本田が審判のジャッジに不満を述べただけで制裁金を科せられた。発信力のある本田だけに、AFCが過剰な反応を見せた格好だが、これは明らかに選手のコメントに対する言葉狩りである。イエローカードを提示された選手にも、同様の処分が下された。カード自体が選手にとってディスアドバンテージなのに、加えてなぜ金銭的な追い打ちをかけるのか。百歩譲って、「カードか金かどちらかを選べ」というなら、わからないでもないが、実に理不尽極まりない。

[こんな本田は珍しい]

▽こうした制度を導入、適用することが、アジアの審判を守り、ジャッジングの向上を促すと、本気で考えているのだろうか。UEA戦の前日会見で、UAEの監督に、外国人記者から、審判に関して質問が飛んだが、アジアサッカー連盟(AFC)のメディアオフィサーは、その質問を遮ろうとした。笑止千万である。当然記者の一部からブーイングが飛んだが、それを受けて、監督は、「自分たちが戦うのは審判ではなく、日本の選手たちである」というようなことを語っていた。

▽審判のレベルは、その国のサッカーのレベルを表していると、以前から言われているが、価値観の多様なアジアの審判のレベルアップは、その国の成熟度や文化にも深く結びついているだけに、容易でないのは、これまでの取材経験から理解しているつもりだ。八百長問題も根深い。しかし、この課金制度は、選手と審判の溝をさらに深めるだけでしかない。
[岡崎のイエローに、他の選手が何を感じるのか]

▽実績ある審判の世代交代や育成がうまく進んでいる国と、そうでない国など、地域間の格差はあるが、個人的な感想を言えば、アジアの審判レベルは、確実に上がってきている。審判は叩かれてこそ育つ。それを糧にするメンタルの強さこそが、審判を審判足らしめる最も大切な資質ではないか。

※この連載はアジアカップコーナーからもご覧いただけます。
プロフィール
【六川則夫】(ろくかわのりお)1951年、東京生まれ。40年近くピッチレベルでサッカーを撮り続けてきている重鎮フォトグラファー。[蹴る、観る、撮る]の順序でサッカーを愛し、現在も取材の合間にボールを蹴るという根っからのサッカーボーイでもある。

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