【連載】豪蹴ハングオーバー~格差社会~
2015.01.16 17:00 Fri
▽昨年末、飲みすぎて二日酔いとなった翌日、血液検査をしたところ、肝臓の値が3ケタにあがっていた。昨年のブラジル・ワールドカップ帰国直後に逆戻りしてしまった。その時はしばらく断酒をしたが、オーストラリアではそうはいかない。熱燗のかわりに、安くてうまいワイン、ビール、そして赤身がおいしいオージービーフが待っている!
▽今回は、これまでのオーストラリアの滞在経験を生かして、キッチン付のアパートやホテルを予約、食事は基本すべて自炊で行うことにした。ここは資源に恵まれた壮大な田舎で、かつ農業大国である。しかるに外食すると異常に高い。ファストフードでもセットで頼めば軽く1000円を超える。単品のマックのコーヒーは450円である。ましてやレストランへ入れば、クオリティの低い料理でも生意気な料金を取る。旅行者がまず驚くのは、飲食代の高さである。ビールはなぜか生ビールを出すパブと値段が変わらない。ロング缶で一番安いのが400円、朝日のスーパードライは700円と、まさにスーパーである。
▽ところが大手のスーパーマーケットを覗くと、食材はあきれるほど安い。肉は大体100グラム100円、キッチンがあれば、500グラムのステーキをミディアムレアにして500円で食える!肉自体が厚いのでレアだと飲み込めない。野菜も200円出せば、食べ切れないくらいの青物野菜が手に入る。食パンは日本より小ぶりだが、20枚入ってこれも200円である。
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▽この違いは何なのか?オーストラリア在住の日本人に聞くと、食材は安いが人件費が高いという。時給でいうと日本の倍だそうだ。いま日本は多少上がって970円くらいが相場だが、オーストラリアは2000円弱だという。そのうえ人口密度が低いから薄利多売という訳にはかない。これが自炊をする所以である。
▽人件費のベースが高い分、より高いものを選んだほうが、その分クオリティが良くなっていく。1000円のテイクアウトより、2000円のランチのほうが、ちょっとだけましなのだ。
▽ホテルも同様で、下限が一泊1万円、過去の経験から、このランクは当たり外れが極めて大きい。ニューキャッスルでは、メゾネットタイプのアパート2ベッドルームを4人でシェアしたが、一泊2万円、一人当たり5000円である。ブリスベンは74階建てのレジデンスタイプのホテルで、高層階は一泊16000円である。もう毎日がスカイツリー気分である。あまりにも素晴らしすぎて、ホテルから出る気がしない。
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▽もしTPP(環太平洋経済連携協定)の締結となったら、オーストラリアの“食財”が手安く手に入る。消費者には朗報だ。国内の生産者には大打撃だが、富裕層向けに特化するなど、来るべき二極化社会に対応するしかないのではないだろうか。
※この連載はアジアカップコーナーからもご覧いただけます。
1951年、東京生まれ。
40年近くピッチレベルでサッカーを撮り続けてきている重鎮フォトグラファー。[蹴る、観る、撮る]の順序でサッカーを愛し、現在も取材の合間にボールを蹴るという根っからのサッカーボーイでもある。
▽今回は、これまでのオーストラリアの滞在経験を生かして、キッチン付のアパートやホテルを予約、食事は基本すべて自炊で行うことにした。ここは資源に恵まれた壮大な田舎で、かつ農業大国である。しかるに外食すると異常に高い。ファストフードでもセットで頼めば軽く1000円を超える。単品のマックのコーヒーは450円である。ましてやレストランへ入れば、クオリティの低い料理でも生意気な料金を取る。旅行者がまず驚くのは、飲食代の高さである。ビールはなぜか生ビールを出すパブと値段が変わらない。ロング缶で一番安いのが400円、朝日のスーパードライは700円と、まさにスーパーである。
▽ところが大手のスーパーマーケットを覗くと、食材はあきれるほど安い。肉は大体100グラム100円、キッチンがあれば、500グラムのステーキをミディアムレアにして500円で食える!肉自体が厚いのでレアだと飲み込めない。野菜も200円出せば、食べ切れないくらいの青物野菜が手に入る。食パンは日本より小ぶりだが、20枚入ってこれも200円である。
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[シズル感十分!]
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[生ソーセジ、湯がいても歯ごたえ抜群]
▽朝はトースト、昼はスパゲティ、夜はカレーかステーキ、1匹まるごとチキンである。
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[丸ごとチキンも最高]
▽この違いは何なのか?オーストラリア在住の日本人に聞くと、食材は安いが人件費が高いという。時給でいうと日本の倍だそうだ。いま日本は多少上がって970円くらいが相場だが、オーストラリアは2000円弱だという。そのうえ人口密度が低いから薄利多売という訳にはかない。これが自炊をする所以である。
▽人件費のベースが高い分、より高いものを選んだほうが、その分クオリティが良くなっていく。1000円のテイクアウトより、2000円のランチのほうが、ちょっとだけましなのだ。
▽ホテルも同様で、下限が一泊1万円、過去の経験から、このランクは当たり外れが極めて大きい。ニューキャッスルでは、メゾネットタイプのアパート2ベッドルームを4人でシェアしたが、一泊2万円、一人当たり5000円である。ブリスベンは74階建てのレジデンスタイプのホテルで、高層階は一泊16000円である。もう毎日がスカイツリー気分である。あまりにも素晴らしすぎて、ホテルから出る気がしない。
![](http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/roku20150116_04_480_000.jpg)
[このホテルはブリスベンのランドマーク_R]
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[リビングも気持ちいい_R]
▽もしTPP(環太平洋経済連携協定)の締結となったら、オーストラリアの“食財”が手安く手に入る。消費者には朗報だ。国内の生産者には大打撃だが、富裕層向けに特化するなど、来るべき二極化社会に対応するしかないのではないだろうか。
※この連載はアジアカップコーナーからもご覧いただけます。
プロフィール
【六川則夫】(ろくかわのりお)1951年、東京生まれ。
40年近くピッチレベルでサッカーを撮り続けてきている重鎮フォトグラファー。[蹴る、観る、撮る]の順序でサッカーを愛し、現在も取材の合間にボールを蹴るという根っからのサッカーボーイでもある。
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