FW新スター武藤、アギーレ日本1号

2014.09.10 08:00 Wed
<国際親善試合:日本2-2ベネズエラ>◇9日◇横浜国際
慶応ワンダーボーイが、日本のワンダーボーイになった! 日本(FIFAランク44位)がベネズエラ(同29位)と引き分けた。現役慶大生でプロ1年目の日本代表FW武藤嘉紀(22=東京)が、アギーレジャパン第1号を決めた。無得点で折り返した後半から出場。後半6分にドリブルから左足ミドルで先制点。デビュー2戦目でゴールをマーク、アギーレジャパンの新星となった。
アギーレジャパンの新星が輝いた。武藤はなりふり構わずゴールに向かった。相手クリアボールを拾うと、相手選手をなぎ倒して一気に加速。ドリブルを緩めることはない。右から本田が、左からは岡崎が呼んだ。しかし視線はゴール。1タッチ中へ運ぶと、左足を思い切りよく振り抜いた。右隅に吸い込まれるシュート。後半開始から出場し、6分後の出来事にスタジアムのボルテージは最高潮に達したが、武藤の耳には届かなかった。
「岡崎さんと本田さんがいてパスの選択肢はあったけど、シュートを打とうと。決まっちゃったという感じ。入った後は、時が止まったような感じで歓声が聞こえなかった。経験したことのない面白い感覚」
喜ぶアギーレ監督からは「ムイ・ビエン(よくやった)!」と激励を受けながら、右手を握り合った。能力を見初められ、デビュー戦に続きチャンスを与えてくれた指揮官の期待に応える新体制1号。98年のW杯初出場以降、新監督就任後の初ゴールを決めた選手は、W杯メンバーに選ばれている。22歳の大学生。慶大4年で東京入りし、プロ1年目から日本の新星にまで成り上がった武藤を、横浜の夜空に光る満月が照らしていた。
瞬く間に日の丸が似合う男になった。プロ生活わずか半年。世代別を通しても、初めての日本代表入り。第1戦では、左ポストをたたく惜しい左ミドルがクローズアップされたが「ドリブルと緩急をつけた動きは大柄な外国人相手に通用する」とデビュー戦で手応えをつかみ臨んでいた。
夢に見た代表の舞台。サッカーを始めた小学校低学年の頃、父親に連れられ代表戦を観戦した記憶がわずかに脳裏に残っている。「対戦相手も、場所もよく覚えていないんだけど、『すごいカッコイイな!』って思ったことだけは覚えている。いつか自分もこんな場所に立てたらと思いながらサッカーをやってきたけど、まさか本当に立てるなんて」。夢は現実となった。
強烈な印象を残したワンダーボーイ。ふつふつと湧き上がる感情は「あこがれの代表から、選ばれないといけない、定着したいという気持ち」。でも地に足は着いている。「(W杯まで)まだ4年ある。ここでつまずくこともある。気を引き締め直して謙虚にプレーしていきたい。一喜一憂することなく泥臭いプレーをしていきたい」。4年後に向けて再スタートを切った日本を、光輝かせる。【栗田成芳】
<武藤嘉紀(むとう・よしのり)アラカルト>
◆生まれ 1992年(平4)7月15日、東京・世田谷区生まれ。
◆慶応ボーイ 松丘小時代はバディSC。中学から東京U-15深川に入り、東京ユース昇格。慶応高卒業時に、トップ昇格の選択肢がある中で慶大進学。12年6月に東京の特別指定選手。13年12月に加入が決まり、14年からプロ契約。現在も経済学部4年生。
◆運動量 スパイクにICチップが埋め込まれており、走行距離は90分で約12キロにも。バディSC時代に「10キロ走ってから練習だった」ので走力がついた。
◆笑顔が自慢!? Jリーグ公式サイトで、チャームポイントは「笑顔がいいと、たまに言われる」。ちなみに好きな女性のタイプは「チャーミングな人。かわいいしぐさをする人」。
◆憧れ 元アルゼンチン代表のマラドーナ。
◆サイズ 178センチ、72キロ。
◆血液型 A型。

提供:日刊スポーツ

キリンチャレンジカップの関連記事

キックオフ直後から、気合という燃料を積んでいることは明らかだった。このチャンスを、モノにしてやるんだ。攻守両面でのアグレッシブなプレーから、この試合に懸ける思いは全身から溢れ出ていた。タフに右サイドを守りながら、同学年のMF久保建英と一緒に決定機も演出した。サイドバックを本職とする選手が生み出すハーモニーが顔を覗かせて 2025.11.20 21:00 Thu
ガーナ代表戦、ボリビア代表戦と続いた11月シリーズを、日本代表は2試合連続の無失点で締めくくった。その中心にいたのが、フィールドプレーヤーで唯一2試合フル出場を果たした33歳――谷口彰悟だ。2024年11月にアキレス腱を断裂。大怪我から戻ってきた男は、再び日本代表の最終ラインで存在感を放っている。2026年北中米ワール 2025.11.19 01:35 Wed
ゴール前で輝く決定力と、中盤を支える戦術眼。その両方を併せ持つ“新しいボランチ像”を、日本代表のMF鎌田大地がボリビア代表戦で体現した。開始4分、MF久保建英のクロスを胸で収め、左足で冷静に流し込んだ先制点。ボランチでありながらペナルティエリアへ侵入し、フィニッシュまで持ち込む――。クリスタルパレスと日本代表では求めら 2025.11.19 00:45 Wed
ガーナ戦で先制点を挙げた南野拓実。練習からギラつく20歳前後の若手たちに囲まれながら、30歳になった自分の立ち位置を静かに受け止めている。日本代表に呼ばれて10年。かつて自分も“勢いだけの若者”だった時代がある。その記憶を抱えながら、今はキャプテンマークを巻き、彼らの背中を押す側へ――。森保ジャパンが世代交代を迎える渦 2025.11.18 16:45 Tue
ガーナ戦のピッチに立った鹿島アントラーズの守護神・早川友基。正GK鈴木彩艶の負傷、第2GK大迫敬介の不在の中で巡ってきたチャンスを、無失点という最高の形で終えた。だが、試合後のミックスゾーンに現れた早川の表情に、満足の色はなかった。代表2戦目にして、“守るだけ”のGKでは終わらない次のステージを見据えていた。 ■ 2025.11.18 15:30 Tue

NEWS RANKING
Daily
Weekly
Monthly