【平成史に残るレジェンドチーム50選】vol.29“ベニテス・レッズ”イスタンブールの奇跡/リバプール[2004-05]

2019.04.17 22:00 Wed
Getty Images
1989年1月8日に日本で始まった「平成」。日本では31年にわたって使用されてきたが、2019年4月30日をもってその時代が終わりを告げる。

日本サッカーにおいても激動の時代であった「平成」だが、目をヨーロッパに向け、同じ時代で印象に残ったレジェンドチームを超ワールドサッカー編集部が選出。記憶や記録に残る50チームを紹介していく。
vol.29

2004-2005シーズン/リバプール
〜ベニテス・レッズ〜


(C)CWS Brians,LTD.

監督:ラファエル・ベニテス(45)
獲得タイトル:チャンピオンズリーグ
攻撃力7:★★★★★★★☆☆☆
守備力8:★★★★★★★★☆☆
タレント7:★★★★★★★☆☆☆
連係9:★★★★★★★★★☆
選手層7:★★★★★★★☆☆☆


CLで奇跡を起こす

1980年代まで国内外で猛威を振るっていたリバプールだが、プレミアリーグが設立された90年代から低迷期に入った。プレミアリーグ制覇はおろか、CLの舞台に立つことすらできないシーズンが続いていく。迎えた2004-05シーズンは、前シーズンにバレンシアでリーガエスパニョーラとUEFAカップ(現EL)の2冠を達成したラファエル・ベニテス監督を新指揮官に招聘。シャビ・アロンソやルイス・ガルシアといったスペイン人選手を加えて、戦力をアップさせた。
リーグ戦では、5位という不甲斐ない成績に終わったが、CLでは強さを見せた。グループリーグ最終節のオリンピアコス戦で、ジェラードのスーパーゴールによって辛うじて突破を決めると、決勝トーナメントで勝負強さを遺憾なく発揮。カップ戦に強いベニテス監督の好采配もあって、カペッロ監督のユベントスやモウリーニョ監督のチェルシーら、当時の国内リーグ王者を蹴落として勝ち進んだ。

そして、のちに“イスタンブールの奇跡”と呼ばれるミランとの決勝戦。マルディーニらにゴールを許し、前半だけでミランに3点を奪われたことで勝負は決したかに思われたが、ここからリバプールが怒涛の反撃を開始する。システムを3バックに変更して後半に臨むと、わずか16分でジェラード、スミチェル、シャビ・アロンソがゴールを記録。一気に試合を振り出しに戻した。その後、120分の激闘の末、勝敗はPK戦に委ねられた。そして、ピルロとシェフチェンコのPKをストップしたGKデュデクの活躍もあって、このPK戦を制したリバプールは、チャンピオンズカップも含めた5度目の欧州制覇を成し遂げたのだった。
ベニテスによる柔軟な戦術

ベニテス監督の就任に伴って、これまでとは異なるチームに変貌を遂げた。様々なシステムを使い分けながら、選手の疲労を考慮し、当時はまだ一般的とはいえなかったターンオーバーを採用。さらに、CLでは守備的な戦術を用い、結果重視のスタイルで試合に臨んだ。

守備では、センターバックのキャラガーとヒーピアが安定したパフォーマンスを披露。強固なコンビを形成し、相手の攻撃を跳ね返した。また、左サイドハーフには、本職がサイドバックのリーセを起用。逆サイドのルイス・ガルシアがサイドに張らず頻繁にゴール前へ顔を出すため、リーセはバランスを取りつつ、得意の強烈な左足を武器に好機に絡んだ。攻撃では中盤の底でゲームをつくるシャビ・アロンソが抜群の展開力を生かしてタクトを振るい、バランス感覚に秀でるドイツ代表のハマンが中盤を支えた。

ピックアップ・プレイヤー

MFスティーブン・ジェラード(25)

低迷するチームの中でリバプールを引っ張ったクラブ生え抜きのキャプテン。特に、突破のために2点差以上の勝利が義務付けられたグループステージ最終節のオリンピアコス戦で素晴らしいミドルシュートを突き刺し、チームを決勝トーナメント進出に導いたプレーは語り草となっている。ここぞという時に頼れる千両役者ぶりを見せたジェラード抜きには、欧州王者の称号を獲得することは不可能だったと言える。

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