急造CF奈良輪が劇的決勝弾! 東京Vが磐田との延長戦制し甲府に続く8強進出《天皇杯》

2022.07.20 21:35 Wed
©︎JFA/PR
20日、天皇杯ラウンド16の東京ヴェルディvsジュビロ磐田が味の素スタジアムで行われ、延長戦の末に2-1で勝利した東京Vがベスト8進出を決めた。

当初、13日開催予定も東京Vに新型コロナウイルス感染者が続出した影響で、1週間順延の形となった今回の一戦。

11日から16日までチーム活動中止を余儀なくされた東京Vは、活動再開から中3日という厳しいコンディションの中でJ1勢撃破を狙った。
一方、J1では4戦連続無得点の4連敗で最下位に沈む磐田は、今月末のリーグ再開に向け弾みを付ける勝利を目指した。

共に4バックでスタートした中、立ち上がりはコンディション、試合勘で勝る磐田が主導権を握る。GK梶川やポジションチェンジを効果的な使ったビルドアップで相手のプレスをかいくぐると、黒川と吉長の両翼からのクロスを使ったシンプルな攻めを見せる。11分にはミスパスをカットしたショートカウンターからボックス右に抜け出した金子にビッグチャンスもシュートを枠に飛ばせない。
以降もJ1チームがボールを握りつつ、ミスが目立つ東京Vのビルドアップを狙った形でフィニッシュのシーンを作り出す。だが、アタッキングサードでの精度を欠き決定機には持ち込めない。

すると、前半半ばを過ぎた辺りから守備の整理、身体の重さが取れ始めた東京Vが主導権を掌握。アグレッシブな守備からのショートカウンター、持ち味の細かい繋ぎから局面を打開するダイナミックな仕掛けでチャンスを創出。河村や新井の個人技からのフィニッシュ、稲見や加藤蓮のミドルシュートでゴールに迫るが、クロスバーやGKの好守に阻まれた。

ゴールレスで迎えた後半は、前半終盤の流れを踏襲する形でJ2チームが押し気味に試合を進める。開始3分には左サイドからカットインした新井が得意の形で右足を振るが、これはわずかに枠の右へ外れた。
時間の経過と共に磐田が盛り返して試合は拮抗。62分には共にボックス中央でパスを受けた磐田の金子、東京Vの河村にビッグチャンスも、シュートを枠に飛ばせず。互いに決め手を欠き先制点が遠い。

後半半ばを過ぎて完全に我慢比べの状況となった中、先にゴールをこじ開けたのは東京Vだった。80分、磐田の繋ぎのミスからのカウンターでボックス右で仕掛けたバスケス・バイロンが相手DFのファウルを誘ってPKを獲得。これをキッカーの新井が冷静に右隅へ突き刺し、82分の先制点とした。

その後、殊勲の新井を下げてDF奈良輪を投入するなど、逃げ切り態勢に入った東京Vに対して、決死のパワープレーを見せた磐田は土壇場で追いつく。5分が加えられたアディショナルタイムの93分、左サイドから入れたクロスを前線に残っていた伊藤槙人がファーで頭で折り返すと、ゴール前のジャーメイン良がヘディングで右隅へ流し込んだ。

磐田の劇的同点ゴールによって試合は延長戦に突入。満身創痍の東京Vは唯一のセンターフォワードの河村を下げ、サイドバックの山口を投入。同じくサイドバックの奈良輪が最前線に入るスクランブル布陣に。対する磐田も後半終盤に伊藤猛志、後藤啓介とユース登録の若手がデビューを飾る急造布陣となり、互いに決め手を欠く。

延長戦は完全に消耗戦の様相を呈し、PK決着が濃厚と思われたが、最後の最後に急造ストライカーが決定的な仕事を果たした。114分、宮本の左CKの流れからペナルティアーク付近でこぼれ球に反応した奈良輪が右足を一閃。地を這うかのような鋭いシュートがゴール前の密集を抜けてゴール左下隅に突き刺さった。

そして、今度こそ磐田の攻撃を凌ぎ切った東京Vが前ラウンドの川崎フロンターレに続くJ1勢連破を成し遂げ、優勝した2004年以来となる8強入りを決めた。

なお、ベスト8進出の東京Vは9月7日に行われる準々決勝で京都サンガF.C.と対戦する。

◆天皇杯ラウンド16
▽2022年7月20日
東京ヴェルディ 2-1 ジュビロ磐田

▽2022年7月13日
アビスパ福岡 2-0 V・ファーレン長崎
鹿島アントラーズ 2-0 ガンバ大阪
名古屋グランパス 1-2 セレッソ大阪
栃木SC 1-2 京都サンガF.C.
サガン鳥栖 1-3 ヴァンフォーレ甲府
ヴィッセル神戸 2-1 柏レイソル
ザスパクサツ群馬 0-1 サンフレッチェ広島

◆準々決勝対戦カード(9/7)
アビスパ福岡 vs ヴァンフォーレ甲府[M81]
[ベスト電器スタジアム]

ヴィッセル神戸 vs 鹿島アントラーズ[M82]
[ノエビアスタジアム神戸]

京都サンガF.C. vs 東京ヴェルディ[M83]
[味の素スタジアム]

セレッソ大阪 vs サンフレッチェ広島[M84]
[ヨドコウ桜スタジアム]

◆準決勝(10/5)
[M81]の勝者 vs [M82]の勝者[M85]
[M83]の勝者 vs [M84]の勝者[M86]

◆決勝(10/16)
[M85]の勝者 vs [M86]の勝者[M87]

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「懐かしい」「みんなこれ被ってた」ツイッターが話題の駐日ジョージア大使はヴェルディファン、懐かしのJリーグキャップ姿にファンから大反響! 「あの頃の小学生コスプレ極めてる」

駐日ジョージア大使のティムラズ・レジャバ氏の意外な姿が話題を呼んでいる。 ジョージアの首都トビリシで生まれたレジャバ大使は、中瓦屋時代から日本で過ごし、早稲田大学にも留学。2012年から2015年にはキッコーマン株式会社で勤務していた。 2018年にジョージア外務省に入省。2019年7月に駐日特命全権公使兼臨時代理大使となると、2021年11月から駐日特命全権大使に就任していた。 大使の日常を投稿するツイッターは23.2万人のフォロワーを持っており、先日は電車の優先席の利用方法についてのツイートが大きな話題に。優先席を利用していることに批判を受けた一方で、譲る対象者がいなければ利用するという当たり前の主張は大きな賛同を得ていた。 そのレジャバ大使が28日に意外な姿を投稿。それは東京ヴェルディの帽子を被りナップサックを背負った姿だった。 父で生物工学者のアレクサンドレ・レジャバ氏が広島大学へ留学し、理化学研究所でも勤務していたことから、幼少期を日本で過ごしたレジャバ大使。ヴェルディ川崎のファンであったことを明かした。 「日本に住んでいた小学校1年生の時はヴェルディのファンでした。当時気に入っていたキャップと同じものメルカリで購入することで、そんな思い出と再会することができました」 懐かしいものをフリマアプリの『メルカリ』で見つけた大使は、懐かしさから購入したとのこと。すると、この写真を父に送ったときにスパイクも持っていたと返事があったとし、過去の感動エピソードに触れる機会となったと明かした。 「父親にこの写真を送ったら、そういえばシューズも持っていたよと言われました」 「さらに父曰く、当時まだ学生だったこともあって、お金があまりなかったけどあまりに欲しそうだったから買ってあげたんだ、と」 「良い思い出であるとともに、当時の両親にまつわるちょっぴり涙誘われる話を知るきっかけとなりました」 ヴェルディファンであり、父とのほっこりエピソードも飛び出したレジャバ大使。これにはヴェルディファンも「味スタに来て!」、「ぜひ試合にも来てください」と今のヴェルディも見て欲しいと誘いのコメントが。またキャップやシューズには、「懐かしいわ」、「俺も持ってた」、「みんなこれ被ってたな」、「大使同世代だったのか」、「めちゃくちゃ懐かしい」、「あの頃の小学生コスプレ極めてますね」と話題を呼んでいる。 なお、これには東京Vの公式ツイッターも反応。「ヴェルディを好きでいてくれてありがとうございます。昔の素敵な思い出とともに、今のヴェルディの試合を観に来てみませんか?夏休みはご家族で楽しめるイベントもたくさんあります。味の素スタジアムでお待ちしております」とお誘い。大使も「こちらこそ、多くの感動をありがとうございます。それではお言葉に甘えて、スタジアムにも伺いたいと思います」と返答しており、夏にはスタジアム観戦が実現する可能性が高そうだ。 <span class="paragraph-title">【写真】駐日ジョージア大使はまさかのヴェルディファン!懐かしグッズ着用姿が話題に</span> <span data-other-div="movie"></span> <blockquote class="twitter-tweet"><p lang="ja" dir="ltr">父親にこの写真を送ったら、そういえばシューズも持っていたよと言われました。<br><br>さらに父曰く、当時まだ学生だったこともあって、お金があまりなかったけどあまりに欲しそうだったから買ってあげたんだ、と。… <a href="https://t.co/Y54CnjLLTF">pic.twitter.com/Y54CnjLLTF</a></p>&mdash; ティムラズ・レジャバ駐日ジョージア大使 (@TeimurazLezhava) <a href="https://twitter.com/TeimurazLezhava/status/1673895363986722817?ref_src=twsrc%5Etfw">June 28, 2023</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> 2023.06.28 13:55 Wed
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G大阪戦で悪夢の3選手負傷…東京Vの城福監督が負傷者の状況を説明…「何箇所かの損傷がある」山田剛綺の長期離脱の可能性認める

東京ヴェルディの城福浩監督が、ガンバ大阪戦で負傷した3選手の状態について言及した。 東京Vは2日、味の素スタジアムで行われた明治安田J1リーグ第4節でG大阪と対戦し、0-1で敗戦した。 FC町田ゼルビア戦での初勝利の勢いを活かして連勝を目指した味スタでのホーム開幕戦だったが、同試合ではDF千田海人、FW山田剛綺、MF福田湧矢の3選手が相次いで負傷し、プレー続行不可能となる悪夢のようなアクシデントに見舞われた。 そのG大阪戦後の会見では「詳細はまだ聞いていない」と3選手の状態について明言を避けた指揮官だったが、5日に行われたトレーニング後の囲み取材の場で改めてケガの状態に言及。 いずれも前半に負傷した2選手に関して厳しい見通しを明かした。 前半10分過ぎの守備対応の際にハムストリングを痛めた千田に関しては、「(MRIの)画像も撮って診断もされたので、クラブからリリースを出さなければいけないぐらいのレベルの長さ」と、詳細への言及は避けたものの数週間以上の離脱となる見込みであると語った。 また、競り合いの際の着地で左ヒザを強く捻り、自力歩行が不可能で担架にのせられてピッチを後にした山田に関しては、負傷の様子を見た多くの人たちの予想通り、長期の離脱となることを認めている。 「ヒザの1箇所ではなくて、何箇所かの損傷がある。今は患部が腫れていることもあり、今はどの程度ということは言えない。もう少し様子を見て、どういう手法(治療法)が一番いいのかというのはジャッジするということになります」 一方、後半終盤に相手のシュートを至近距離から顔面に受け、脳震とう疑いでの交代となった福田については、G大阪時代に加え、東京V加入後も脳震とうを経験していたこともあり、状態が危ぶまれるところだ。 城福監督はそういった過去の経緯や福田自身の感覚を踏まえ、慎重な対応が必要であるとしながらも、今回のケースに関しては大事に至らなかったと説明。その上で最善を尽くしながら、復帰へのプロセスを進めていきたいと語った。 「彼のこれまでの経緯も含めて、ああいう状況に非常に過敏な状況であることは確か。今年に入っても何度かあったなかで、脳震とうと診断するかどうかというところが、ギリギリのところです」 「ただ、やっぱり慎重に対応しなければいけないし、慎重にジャッジしなければいけない。本人の症状とか、本人の感覚をしっかりとヒアリングしながら対応しなければいけないと思うので、メディカル的なジャッジと本人の認識というか自覚。ここを照らし合わせながら最短で復帰していくと」 「少なくとも過敏になっている部分と、脳震とうというのは違うので、そこはメディカル的にしっかり診断をしてもらって、あとはなるべく離れないように復帰させていくかというところのジャッジになっていくかなと考えています。ただ日々の彼の症状というか、状況を把握しながら、一歩ずつ進めていく感じなのかなと思います」 各選手の状況は異なるものの、少なくとも今後しばらくは主力クラスの3選手が不在となる上、開幕から1勝3敗と厳しいスタートとなった現状を鑑みれば、ここまでベンチを温める選手やメンバー外の選手たちのより一層の奮起が求められるところ。 そんななか、G大阪戦の翌日にはヴァンフォーレ甲府とのトレーニングマッチ(45分×2)を実施。結果は0-0と、得点力不足に喘ぐ状況において芳しいものとは言えなかったが、それでも指揮官は内容を含め、緊急事態の状況で選手たちが見せた姿勢に満足感を示した。 「チームがこういう状況だからこそ、『助けになりたい』、『その一員になりたい』という思いは、みんなが持って試合に臨んだと思います。内容としたら悪くなかったと思いますし、勝っておかしくない試合だったと思います。極寒の中で試合をやりましたが、集中を切らさずにやってくれたなというふうに思います」 「点が取れなかったところは反省しなければいけないですけど、姿勢としたら悪くなかったなと。(3選手の)ああいうケガもあって、それをどういうふうに受け止めて、もっと言えば、山田剛綺と千田海人、福田湧矢の心情も踏まえて、彼らがどうやって、どういうパフォーマンスを、どういう姿勢を示してくれるかなと思って見てましたけど、そこは彼らでしっかり思うところがあるな、という思いが伝わってきたし、それは大事なことかなと思います」 昨季の6位躍進からのJ1での2年目で不振と主力の相次ぐ負傷と、いきなり逆風に見舞われる東京Vだが、逆境でこそ手腕を発揮する闘将とともにチーム一丸となってここからの巻き返しを図る。 2025.03.05 15:38 Wed

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