メキシコ戦も代わり映えのしない選手交代/六川亨の日本サッカー見聞録
2020.11.19 19:30 Thu
J1リーグは川崎Fが優勝に王手をかけ、ACLに出場する3チームはドーハへと旅立った。試合はCS放送でしか見られないが、それも仕方ないだろう。
FIFA(国際サッカー連盟)はクラブW杯を来年2月1日から11日にかけて開催するらしい。スポンサーやテレビ放映権の契約などから開催しないわけにはいかないのだろう。一方AFC(アジアサッカー連盟)は、来年2月のACLプレーオフを実施しないと発表したばかり。お互い契約にがんじがらめになっているのかもしれないが、この足並みの悪さはなんとかしてほしいものだ。
そして日本代表である。メキシコに0-2と敗れたことで、森保監督に対する風当たりもだいぶ強くなっている。もしも原口のミドルシュートと、鈴木がGKと1対1のチャンスを確実に決めていれば2-2のドローだったかもしれない。あるいは、左足のキックにはいつも不安がつきまとうものの、シュートブロックに定評のある権田のような活躍をシュミット・ダニエルがしていたら、2-0で勝っていたかもしれない。
そんなお気楽なことを書いているとお叱りを受けるかもしれないが、それだけ期待が高かっただけに、その反動として森保監督に批判が集中したのだろう。
前半のメキシコにはつけいる隙が十分にあった。情報不足(日本はパナマ戦からスタメンを9人交代)からか、様子見のところもあった。しかし前半で見切ると、マルティノ監督はハーフタイムに2人の選手交代とシステム変更で日本の攻撃に蓋をする。そして攻撃の選手2人を同時交代でゴールを狙いに行き(実際には交代直前にヒメネスが先制)、終盤は試合を締めにかかった。
そして森保監督である。柴崎(橋本)と鈴木(南野)の交代が予定通りだったのかどうかは不明だが、その後に切った交代カードも効果的かと問われれば首をひねらざるをえない。例えが悪いのは十分承知しているつもりだが、どこを切っても同じ顔の「金太郎飴」よろしく、あまり代わり映えしないのだ。
パナマ戦後のことである。森保監督は不慮のケガやアクシデントで選手を招集できなかったとしても、「誰とでも組める――を連係連動しながらトライして欲しい。理想を求めながら、理想通りにいかなくてもその中でいかに勝っていくか」をテーマに掲げた。
こうしたチーム作りは、特に攻撃陣は似たようなタイプの選手が揃う危険をはらんでいる。
例えば理想論として、攻撃的な布陣を組んだ時は1トップに大迫、2列目は左に中島、トップ下に南野(鎌田)を配置したとする。右は堂安なのか久保なのか、はたまた三好らテクニシャンタイプか、伊東、浅野、あるいは永井のようなスピード系を起用したとする。要はそのとき好調な選手だ。選手が変わればプレースタイルも変わるが、それでも攻撃のバリエーションに大きな変化は生じない。
森保監督の采配はワンパターンと言われるが、そうした選手を揃えているのだから変化が起きようがない。これがクラブチームだったら、主力選手のコンビネーションを熟成させる時間もたっぷりあったことだろう。しかし代表チームにそうした余裕はない。
メキシコ戦で森保監督は6枚の交代カードのうち5枚しか切らなかった。正確には「切れなかった」と言うべきだろう。5枚目の三好にしても、何を彼に期待したのか意図を感じ取れなかった。
この試合を「ロストフの悲劇」に例えるメディアもあったが、それは大げさというもの。単なるテストマッチだし、相手の格も違う。それでも教訓としたいのは、劣勢のベルギーがフェライニという長身FWを投入したことだ。古くは06年ドイツW杯初戦のオーストラリアも、日本にリードを許すとケーヒルという飛び道具を使って逆転に成功した。
洋の東西を問わず、いつの時代も劣勢で残り時間が少なくなったら空中戦に活路を見いだすのがセオリーだ。しかし森保ジャパンは地上戦しかできない弱点がある。長身FWがいたとしても「ドメスティックな選手」と諦めているのかテストすらしていない。ここらあたり、日本人の特性を理解している日本人監督ゆえの弊害かもしれない。
となると、やはり“劇薬"を使えるのは外国人監督ということになるのだろうか。あるいは過去にもあったように、外国人選手に日本国籍を取得してもらうしか方法はないのだろうか。
もう1つ、「ロストフの悲劇」を忘れないのはいいが、その前にアジア最終予選を勝ち抜かなくてはカタールに行けない。19年のアジア杯はトルクメニスタン、オマーン、ウズベク、サウジ、ベトナムといずれも1点差の薄氷を踏む勝利で、サウジ戦などはワンサイドで押し込まれた。そして決勝でもカタールに1-3の完敗だ。まずは足下を見つめ直す意味でも、来年のテストマッチは中東勢との対戦を増やして欲しい。
FIFA(国際サッカー連盟)はクラブW杯を来年2月1日から11日にかけて開催するらしい。スポンサーやテレビ放映権の契約などから開催しないわけにはいかないのだろう。一方AFC(アジアサッカー連盟)は、来年2月のACLプレーオフを実施しないと発表したばかり。お互い契約にがんじがらめになっているのかもしれないが、この足並みの悪さはなんとかしてほしいものだ。
そして日本代表である。メキシコに0-2と敗れたことで、森保監督に対する風当たりもだいぶ強くなっている。もしも原口のミドルシュートと、鈴木がGKと1対1のチャンスを確実に決めていれば2-2のドローだったかもしれない。あるいは、左足のキックにはいつも不安がつきまとうものの、シュートブロックに定評のある権田のような活躍をシュミット・ダニエルがしていたら、2-0で勝っていたかもしれない。
前半のメキシコにはつけいる隙が十分にあった。情報不足(日本はパナマ戦からスタメンを9人交代)からか、様子見のところもあった。しかし前半で見切ると、マルティノ監督はハーフタイムに2人の選手交代とシステム変更で日本の攻撃に蓋をする。そして攻撃の選手2人を同時交代でゴールを狙いに行き(実際には交代直前にヒメネスが先制)、終盤は試合を締めにかかった。
特に難しいことをしたわけではない。セオリー通りの采配と言えるだろう。
そして森保監督である。柴崎(橋本)と鈴木(南野)の交代が予定通りだったのかどうかは不明だが、その後に切った交代カードも効果的かと問われれば首をひねらざるをえない。例えが悪いのは十分承知しているつもりだが、どこを切っても同じ顔の「金太郎飴」よろしく、あまり代わり映えしないのだ。
パナマ戦後のことである。森保監督は不慮のケガやアクシデントで選手を招集できなかったとしても、「誰とでも組める――を連係連動しながらトライして欲しい。理想を求めながら、理想通りにいかなくてもその中でいかに勝っていくか」をテーマに掲げた。
こうしたチーム作りは、特に攻撃陣は似たようなタイプの選手が揃う危険をはらんでいる。
例えば理想論として、攻撃的な布陣を組んだ時は1トップに大迫、2列目は左に中島、トップ下に南野(鎌田)を配置したとする。右は堂安なのか久保なのか、はたまた三好らテクニシャンタイプか、伊東、浅野、あるいは永井のようなスピード系を起用したとする。要はそのとき好調な選手だ。選手が変わればプレースタイルも変わるが、それでも攻撃のバリエーションに大きな変化は生じない。
森保監督の采配はワンパターンと言われるが、そうした選手を揃えているのだから変化が起きようがない。これがクラブチームだったら、主力選手のコンビネーションを熟成させる時間もたっぷりあったことだろう。しかし代表チームにそうした余裕はない。
メキシコ戦で森保監督は6枚の交代カードのうち5枚しか切らなかった。正確には「切れなかった」と言うべきだろう。5枚目の三好にしても、何を彼に期待したのか意図を感じ取れなかった。
この試合を「ロストフの悲劇」に例えるメディアもあったが、それは大げさというもの。単なるテストマッチだし、相手の格も違う。それでも教訓としたいのは、劣勢のベルギーがフェライニという長身FWを投入したことだ。古くは06年ドイツW杯初戦のオーストラリアも、日本にリードを許すとケーヒルという飛び道具を使って逆転に成功した。
洋の東西を問わず、いつの時代も劣勢で残り時間が少なくなったら空中戦に活路を見いだすのがセオリーだ。しかし森保ジャパンは地上戦しかできない弱点がある。長身FWがいたとしても「ドメスティックな選手」と諦めているのかテストすらしていない。ここらあたり、日本人の特性を理解している日本人監督ゆえの弊害かもしれない。
となると、やはり“劇薬"を使えるのは外国人監督ということになるのだろうか。あるいは過去にもあったように、外国人選手に日本国籍を取得してもらうしか方法はないのだろうか。
もう1つ、「ロストフの悲劇」を忘れないのはいいが、その前にアジア最終予選を勝ち抜かなくてはカタールに行けない。19年のアジア杯はトルクメニスタン、オマーン、ウズベク、サウジ、ベトナムといずれも1点差の薄氷を踏む勝利で、サウジ戦などはワンサイドで押し込まれた。そして決勝でもカタールに1-3の完敗だ。まずは足下を見つめ直す意味でも、来年のテストマッチは中東勢との対戦を増やして欲しい。
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