攻撃陣が楽しみなU-23日本代表/六川亨の日本サッカー見聞録
2024.04.04 21:30 Thu
パリ五輪の出場権がかかるU-23アジアカップ2024に出場する日本代表23名が決定した。意外だったのは左SBのレギュラー候補と思っていたバングーナガンデ佳史扶が外れたことだ。当初はGKに鈴木彩艶が招集可能ということで、「1クラブ3名」という招集制限からFC東京は松木玖生、荒木遼太郎に加えて佳史扶で、GK野澤大志ブランドンが招集外になるかと予想していた。
しかしシント=トロイデンのトルステン・フィンク監督は鈴木の招集を拒否したことから、野澤がFC東京の「3人目の枠」として招集されたようだ。大岩剛監督も「人数制限だったり、悩みは大会で選手を選ぶ時には起こりえること」と選手招集の難しさをのぞかせれば、山本昌邦NTDは「何が正しいかわからないなか、ここまでたどり着いた。全クラブが合意に基づいて協力してくれた。そこは感謝しかないのでみんなの力を結集したい」とお礼の言葉を述べていた。
「3人枠」といえば、12年ロンドン五輪の際にC大阪にはU-23日本代表候補に清武弘嗣、山口蛍(現神戸)、扇原貴宏(現神戸)、杉本健勇(現大宮)の4人がいた。このままでは代表に選ばれるかどうか微妙なため、杉本は東京Vへ移籍することで「3人枠」を回避し、大迫勇也とのポジション争いに勝って代表の座をつかんだのは有名な話。4人ともレギュラーだったため選択できた決断だろう。
そして大岩監督や山本NTDは多くを語らなかったが、斉藤光毅(スパルタ)や鈴木唯人(ブレンビー)など、呼びたくても呼べなかった海外組がいたことも確かだろう。それでも攻撃陣は、FC東京への移籍でストライカーとして活躍することで代表入りを果たした荒木らJでもレギュラーで活躍している選手が多いだけに人材は豊富だ。
日中の気温は30度を超える厳しい環境で、グループリーグは中2日の3連戦となる。前線からの守備など消耗の激しいFW陣はターンオーバーでの戦いを余儀なくされるだろう。そこで、絶対に負けてはならない初戦の中国戦は細谷真大の1トップでカウンタースタイルから最低限でも勝点1を確保しつつ、1-0の僅差で逃げ切る戦い方で臨むことができる。
そしてJ1リーグの第6節、FC東京が浦和戦で見せた荒木と松木の2トップは日本の秘策として残しておいてもいい。準々決勝を突破しても、次にはサウジアラビアやイラク、ウズベキスタンなどが控えていて、ここを突破しない限り五輪キップはつかめないだけに、攻撃の選択肢は多ければ多いほどいい。
不安は経験不足が否めないGKとCB陣だが、これはもう現メンバーで戦い抜くしかない。山本NTDもこの年代は21年のU-20W杯インドネシアが新型コロナウイルスの影響で中止となり、23年のアルゼンチン大会は1勝2敗でグループリーグ敗退と「世界大会の経験不足がある」ものの、これはこれから補っていくしかない。
16年のリオ五輪予選からホーム・アンド・アウェーではなくセントラルでの一発勝負という難しい大会になったが、カタールでは痺れるような経験を積みながら、パリへの出場権を獲得して欲しい。
【文・六川亨】
しかしシント=トロイデンのトルステン・フィンク監督は鈴木の招集を拒否したことから、野澤がFC東京の「3人目の枠」として招集されたようだ。大岩剛監督も「人数制限だったり、悩みは大会で選手を選ぶ時には起こりえること」と選手招集の難しさをのぞかせれば、山本昌邦NTDは「何が正しいかわからないなか、ここまでたどり着いた。全クラブが合意に基づいて協力してくれた。そこは感謝しかないのでみんなの力を結集したい」とお礼の言葉を述べていた。
そして大岩監督や山本NTDは多くを語らなかったが、斉藤光毅(スパルタ)や鈴木唯人(ブレンビー)など、呼びたくても呼べなかった海外組がいたことも確かだろう。それでも攻撃陣は、FC東京への移籍でストライカーとして活躍することで代表入りを果たした荒木らJでもレギュラーで活躍している選手が多いだけに人材は豊富だ。
日中の気温は30度を超える厳しい環境で、グループリーグは中2日の3連戦となる。前線からの守備など消耗の激しいFW陣はターンオーバーでの戦いを余儀なくされるだろう。そこで、絶対に負けてはならない初戦の中国戦は細谷真大の1トップでカウンタースタイルから最低限でも勝点1を確保しつつ、1-0の僅差で逃げ切る戦い方で臨むことができる。
そして勝利が必要なUAE戦は、ポストプレーを得意としてフィジカルの強さが武器の藤尾翔太で厚みのある攻撃を仕掛けるのはどうだろう。状況によっては荒木との2トップでも面白い。そして第3戦の韓国戦は、グループAの1位と2位は地元カタールなのか、近年は安定した成績を残しているオーストラリアなのか、1位抜けと2位抜けのどちらがベターかを判断しながら戦うことができれば理想的だ。
そしてJ1リーグの第6節、FC東京が浦和戦で見せた荒木と松木の2トップは日本の秘策として残しておいてもいい。準々決勝を突破しても、次にはサウジアラビアやイラク、ウズベキスタンなどが控えていて、ここを突破しない限り五輪キップはつかめないだけに、攻撃の選択肢は多ければ多いほどいい。
不安は経験不足が否めないGKとCB陣だが、これはもう現メンバーで戦い抜くしかない。山本NTDもこの年代は21年のU-20W杯インドネシアが新型コロナウイルスの影響で中止となり、23年のアルゼンチン大会は1勝2敗でグループリーグ敗退と「世界大会の経験不足がある」ものの、これはこれから補っていくしかない。
16年のリオ五輪予選からホーム・アンド・アウェーではなくセントラルでの一発勝負という難しい大会になったが、カタールでは痺れるような経験を積みながら、パリへの出場権を獲得して欲しい。
【文・六川亨】
1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた
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