マドリッドではもうCLを見られない…/原ゆみこのマドリッド
2025.04.19 23:30 Sat
「もしや移籍しない方が良かったのかも」そんな風に私が複雑な気持ちになっていたのは金曜日、エムバペがここ9年間、CL優勝を目指しながら、その夢を叶えられていないという記事をマルカ(スポーツ紙)で読んだ時のことでした。いやあ、昨季までいたPSGではまさしく、レアル・マドリーに敗退したことも2回あり、一番トロフィーに近づいたのは2020年、決勝でバイエルンに敗れた時だったそうなんですけどね。その間、マドリーは4回も優勝しており、それこそ6度のタイトル獲得を誇るモドリッチ、カルバハルを始め、2022年と昨季の2回組もビニシウスやロドリゴ、クルトワらと多数。当人も彼らと一緒にプレーできる今季こそと期待をしていたはずですが、準々決勝で呆気なく敗退とは見込み違いも甚だしい?
更に悲劇だったのが、対照的に古巣のPSGはアストン・ビラを総合スコア4-5で破り、皮肉にもアーセナルとの準決勝に進出。ええ、このラウンドに勝てば、あとはバルサvsインテル戦の勝者とのアリアンツ・アレナでの決勝を残すのみですからね。うっかりルイス・エンリケ監督のチームが優勝した日には、エムバペも何のためにマドリーに移ったのかと自問自答することになりかねませんが、その一方で彼がいなくなって、PSGがより強くなったという声が巷にあるのも事実。逆にマドリーはCLと相性が悪い選手を獲ってしまったのだったら、目も当てられないことになりますが、まあ、それはそれ。
とりあえず、水曜のCL準々決勝アーセナル戦2ndレグがどんな試合だったか、お話ししていくことにすると、先週、エミレーツ・スタジアムでの1stレグで3-0と完敗した直後から始まった根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)作戦は今回も成功。少なくともマドリーファンに対してはなんですが、だってえ、キックオフ2時間前にはチームバスをお出迎えするため、雨が降っている中、サンティアゴ・ベルナベウの外側東南部の通りが何万もの群衆で身動きが取れない状態になっていたんですよ。
いや、私は行っていないんですが、ここずっと、メトロのサンティアゴ・ベルナベウ駅は工事中で、改札が1つしかないのもあり、普通の試合でも地上に出るのに人が詰まることが多くてねえ。そこにあのお出迎え帰りのファン集団が入ってきたら、恐ろしい混雑になるだろうと、乗車中に流れたアナウンスに従って、1つ手前のヌエボス・ミニステリオスから歩くことに。それもまた、駅に向かう人々の流れに逆らって進まざるを得ず、なかなか大変だったんですが、そんな苦労もスタジアムに入るまでですって。
ええ、屋根を閉じたベルナベウ内部は雨も風も入らず、快適だからですが、恒例の大幕とモザイクがfondo sur/フォンド・スール(ゴール裏南側スタンド)を飾り、確実にいつもより大きいボリュームでクラブ歌の合唱があった後、ピッチに立った選手たちが主役になってくれなくてはねえ。いやまあ、キックオフから点を取る気満々で攻めていったマドリーは早くも3分、ビニシウスのクロスをエムバペが胸で押し込んでゴールを入れたんですが、火を見るよりも明らかなオフサイドだったため、スコアに挙がらず。どうも気力の方ばかりが空回りしているような傾向が見受けられたんですが、すると10分過ぎ、いきなりVAR(ビデオ審判)注進を受けた主審がモニターに走り、アーセナルにPKを与えたから、ビックリしたの何のって。
でもねえ、このVARお節介はこれだけでなく、23分にはライスがエムバペをエリア内で倒したとして、主審がペナルティを宣告。これにはスタンドも待望の1点目が入ると大喜びだったんですが、いつになってもVAR通信が終わらず、長々3分も待たせた後、モニターチェックに行くって一体、何?挙句の果てにペナルティは取り消されてしまい、アンチェロッティ監督を「Para cambiar la dinámica necesitábamos algo positivo/パラ・カンビアル・ラ・ディナミカ・ネセシタバモス・アルゴ・ポシティボ(流れを変えるためには何かポジティブなことが必要だった)」と嘆かすことに。
結局、前半は敵エリアに近づいても、シュートが撃てないマドリーは0-0で折り返したんですが、ええ、根性のレモンターダは試合の終盤に発動することが多いですからね。その時は私も含め、まだファンたちも期待を持っていたと思いますが、後半16分、アンチェロッティ監督はルーカス・バスケス、アラバ、ロドリゴから、セバージョス、エンドリック、フラン・ガルシアへの早めの3人一斉交代実施。その後すぐの20分にはまさか、メリーノのスルーパスがサカに渡り、クルトワの上を超すvaselina(バセリーナ/ループシュート)でゴールを奪われてしまうとは!
え、それでもマドリーはサリバからエリア前でボールを奪ったビニシウスが決めて、即座に同点にしたんだろうって?まあ、そうなんですが、それでも総合スコアは1-4で、あと3点取らないと延長戦にも入れないのは変わりませんからね。おまけに28分、アセンシオに代わり、モドリッチが入る直前、ライスからボールを奪おうとしてファールを取られた際、着地に失敗。足首を捻ってしまったエムバペが続行不能になってしまうって、こんな間の悪いことがあっていい?
それでもブライムを入れて、得点を目指したマドリーだったんですが、とにかく「Metimos muchos centros pero este año no tenemos un Joselu, un delantero nato ahí arriba/メティモス・ムーチョス・セントロス・ペロ・エステ・アーニョ・ノー・テネモス・ウン・ホセル、ウン・デランテーロ・ナトー・アイー・アリバ(ウチは沢山クロスを入れたけど、今季は前線に生粋のFW、ホセルみたいな選手がいない)」(クルトワ)彼らですからね。ほとんどシュートには繋がらず、相手のGKダビド・ラジャのグローブもキレイなまま、最後はロスタイム3分にはアーセナルのカウンターが炸裂。マルティネッリに止めの2点目を入れられて、総合スコア1-5で敗退してしまいましたっけ。
いやあ、今季のマドリーのCLは決勝トーナメント16強対決プレーオフでのマンチェスター・シティ戦こそ、総合スコア6-3と強さを見せたものの、大体がして、リーグフェーズで3敗もして、直接進出のトップ8入りできない辺りから、ケチはついていたんですけどね。16強対決のアトレティコ戦も総合スコア2-2でPK戦までもつれ込み、お隣さんの不幸体質によるフリアン・アルバレスの両足で蹴ったPK無効判定のおかげで勝ち上がったという経緯も。とりわけ最近はリーガでもホームでバレンシアに負けたり、下位のアラベスに0-1の辛勝だったりと、チームの落ち込みぶりが心配されていたんですが、何より自分たちの大会と自負するCLで、16年のぶりの準決勝進出となるアーセナルに手も足も出なかったのは痛かったかと。
おかげで試合後の記者会見など、ほとんどアンチェロティ監督の先行きの質問ばかりになってしまい、当人も「No sé qué va a ser de mi futuro y no quiero saberlo.../ノー・セ・ケ・バ・ア・セル・デ・ミ・フトゥロ・イ・ノー・キエロ・サベールロ(自分の将来に何が起きるかは知らないし、知りたくもない)」と言うしかなかったんですが、まだいいんですよ、マドリーは。何故なら、彼らにはコパ・デル・レイ決勝も来週土曜に控えていますし、リーガも首位とは勝ち点4差。決して今季のビッグタイトル獲得の可能性がゼロになってしまった訳じゃないからですが、問題なのは相手がどちらもバルサであることでしょうか。
ええ、コパ決勝の後、5月11日にはリーガのクラシコ(伝統の一戦)もあるんですが、今季のシーズン前半戦は0-4、1月のスペイン・スーパーカップ決勝でも2-5と、彼らはバルサにgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)負けしていますからね。ただ相手は1日早く、ドルトムントに3-1で負けたものの、1stレグでの4-0勝利のおかげで、CL準決勝進出が決定。リーガでの対戦の時にはインテルとの死闘を終えて疲弊している相手に、週1試合で体力十分で挑めるというアドバンテンージがありますが、こればっかりはねえ。
ちなみにそこに行きつくまで負けられないマドリーの今週末のリーガは、日曜午後9時(日本時間翌午前4時)に再び、ベルナベウ開催となるアスレティック戦。バルベルデ監督のチームも木曜にEL準々決勝レンジャース戦2ndレグをプレーして、疲れてはいるものの、今季の決勝会場でもあるサン・マメスで2-0と勝って準決勝進出が決まり、マンチェスター・ユナイテッド戦を前に士気が上がっていますからね。コパ決勝までにネンザは治るものの、どちらにしろ、出場停止でエムバペが出られないマドリーだけに、ブラジル人FWコンビやベリンガム、ブライムが早く気持ちを切り替えて、ゴールを挙げてくれるといいんですが。
そして他のマドリッド勢の週末の試合もお伝えしていくと、この32節は土曜に3チームが集中していて、まず午後2時試合でラージョがバレンシアとエスタディオ・バジェカスで対戦。勝ち点を残留目安の40にした後、ここ2試合、エスパニョールとアスレティックに連敗して、ちょっと停滞している彼らなんですが、今週のヨーロッパの大会の準々決勝でバルサ、アスレティック、そしてベティスもヤギエロニア(ポーランド)を退け、コンフェレンスリーグ準決勝に進出したため、来季のスペインのCL出場枠が5チームに拡大したのは朗報だったかと。
おかげで8位のチームがコンフェレンスリーグに行けることになり、それって、現在、同勝ち点で並ぶ7、8位のセルタ、マジョルカと3差で10位のラージョにもまだまだチャンスはあるのでは?いえまあ、マドリー戦を含め、ここ3連勝で残留争いからかなり距離を置いたバレンシアは決して侮れないんですけどね。水曜にはイニゴ・ペレス監督の契約1年延長も発表されましたし、そのお祝いも兼ねて、白星を掴めたらいいかと。
続いて午後6時半からは前節、バルサにサエンスのオウンゴールで0-1と負け、お隣さんのヘタフェがラス・パルマスに負けたせいもあって、19位に落ちてしまったレガネスがアウェイでマジョルカに挑むことに。何せ、ボルハ・ヒメネス監督のチームはここ5試合で勝ち点1しか取れていませんからね。いよいよあと7試合となり、2部最速Uターンを避けるための正念場がやって来た感がありますが、今回、心配なのは累積警告となったラバが出場停止なこと。ファン・クルスも痛むところがあって、せいぜい20~30分ぐらいしかプレーできないようですが、そんなの、エースのムリキ、浅野拓磨選手、モルラネス、ロベルト・ナバーロが負傷で不在のアラサーテ監督のチームの比じゃない?
まあ、それでもレガネスは17位のアラベスと勝ち点2差しかありませんし、土曜の午後9時には兄貴分がラス・パルマスと対戦。ささやかな援護射撃をしてくれるはずですが、すでにミッドウィークフリー2週間目に突入したアトレティコは結構、ヒマを持て余しているようでねえ。月曜にバジャドリーに勝った後、マハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場でセッションを再開したのは水曜で、しかもその後、週2試合時代は時間がなくてできなかった、バーベキュー決起ランチ会もあったのだとか。
え、4月の頭に全ての大会で優勝可能性を失ったアトレティコが今更、何を決起しているのかって?いやあ、それがリーガ首位のバルサとは勝ち点7差あるんですが、彼らは残り7試合に全勝して、勝ち点3差のお隣さん共々、上位2チームが躓くのを祈ることにしたそうで、嬉しいことにこのカナリア諸島遠征には負傷で欠けていたデ・パウル、リノも回復して参加。更に5試合の出場停止処分がやっと明けたコレアも加わって、全員で前日移動したんですが、折りしも世間はセマナ・サンタ(イースター週間)とあって、あまり浮かれ過ぎずにプレーできるといいのですが。
そして先駆けて、金曜試合でエスパニョールとのアウェイゲームに臨んだヘタフェは、いやあ、こちらも勝ち点40まであと1つに迫っているんですけどね。アトレティコと引き分けた後、ラージョ、セルタに連勝していたエスパニョールの勢いに押され、前半39分にはクンブラのゴールで先制されてしまうことに。同点を目指した後半も14分にウチェがレッドカードをもらってしまったのが災いし、そのまま1-0で負けてしまったんですが、まあドンマイ。来週水曜はコリセウムで兄弟分ダービー、マドリー戦もありますしね。ラージョの1つ下の11位につける彼らにもまだヨーロッパの大会出場圏を目指すことはできるんでが、まずは残留確定を果たしてほしいものです。
更に悲劇だったのが、対照的に古巣のPSGはアストン・ビラを総合スコア4-5で破り、皮肉にもアーセナルとの準決勝に進出。ええ、このラウンドに勝てば、あとはバルサvsインテル戦の勝者とのアリアンツ・アレナでの決勝を残すのみですからね。うっかりルイス・エンリケ監督のチームが優勝した日には、エムバペも何のためにマドリーに移ったのかと自問自答することになりかねませんが、その一方で彼がいなくなって、PSGがより強くなったという声が巷にあるのも事実。逆にマドリーはCLと相性が悪い選手を獲ってしまったのだったら、目も当てられないことになりますが、まあ、それはそれ。
とりあえず、水曜のCL準々決勝アーセナル戦2ndレグがどんな試合だったか、お話ししていくことにすると、先週、エミレーツ・スタジアムでの1stレグで3-0と完敗した直後から始まった根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)作戦は今回も成功。少なくともマドリーファンに対してはなんですが、だってえ、キックオフ2時間前にはチームバスをお出迎えするため、雨が降っている中、サンティアゴ・ベルナベウの外側東南部の通りが何万もの群衆で身動きが取れない状態になっていたんですよ。
ええ、屋根を閉じたベルナベウ内部は雨も風も入らず、快適だからですが、恒例の大幕とモザイクがfondo sur/フォンド・スール(ゴール裏南側スタンド)を飾り、確実にいつもより大きいボリュームでクラブ歌の合唱があった後、ピッチに立った選手たちが主役になってくれなくてはねえ。いやまあ、キックオフから点を取る気満々で攻めていったマドリーは早くも3分、ビニシウスのクロスをエムバペが胸で押し込んでゴールを入れたんですが、火を見るよりも明らかなオフサイドだったため、スコアに挙がらず。どうも気力の方ばかりが空回りしているような傾向が見受けられたんですが、すると10分過ぎ、いきなりVAR(ビデオ審判)注進を受けた主審がモニターに走り、アーセナルにPKを与えたから、ビックリしたの何のって。
いやあ、その原因は数分前にあったCKの時に、いえ、デクラン・ライスの蹴ったボールはGKクルトワがキャッチして、即座にカウンター攻撃が始まっていたんですけどね。その時、エリア内でミケル・メリーノをマークしていたアセンシオが相手を引き倒したのがVAR審判の目に留まり、ペナルティにされてしまったんですが、この時はクルトワが発奮。サカが蹴ったPKを倒れながら手で弾き、「cuando te pitan un penalti en contra, si la paras sigues creyendo/クアンドー・テ・ピタン・ウン・ペナルティ・エン・コントラ、シー・ラ・パラス・シゲス・クレジェンドー(ペナルティを取られた時、もしそれを止めれば、信じ続けることができる)」(クルトワ)と、4点差になるのを避けられたのは助かったかと。
でもねえ、このVARお節介はこれだけでなく、23分にはライスがエムバペをエリア内で倒したとして、主審がペナルティを宣告。これにはスタンドも待望の1点目が入ると大喜びだったんですが、いつになってもVAR通信が終わらず、長々3分も待たせた後、モニターチェックに行くって一体、何?挙句の果てにペナルティは取り消されてしまい、アンチェロッティ監督を「Para cambiar la dinámica necesitábamos algo positivo/パラ・カンビアル・ラ・ディナミカ・ネセシタバモス・アルゴ・ポシティボ(流れを変えるためには何かポジティブなことが必要だった)」と嘆かすことに。
結局、前半は敵エリアに近づいても、シュートが撃てないマドリーは0-0で折り返したんですが、ええ、根性のレモンターダは試合の終盤に発動することが多いですからね。その時は私も含め、まだファンたちも期待を持っていたと思いますが、後半16分、アンチェロッティ監督はルーカス・バスケス、アラバ、ロドリゴから、セバージョス、エンドリック、フラン・ガルシアへの早めの3人一斉交代実施。その後すぐの20分にはまさか、メリーノのスルーパスがサカに渡り、クルトワの上を超すvaselina(バセリーナ/ループシュート)でゴールを奪われてしまうとは!
え、それでもマドリーはサリバからエリア前でボールを奪ったビニシウスが決めて、即座に同点にしたんだろうって?まあ、そうなんですが、それでも総合スコアは1-4で、あと3点取らないと延長戦にも入れないのは変わりませんからね。おまけに28分、アセンシオに代わり、モドリッチが入る直前、ライスからボールを奪おうとしてファールを取られた際、着地に失敗。足首を捻ってしまったエムバペが続行不能になってしまうって、こんな間の悪いことがあっていい?
それでもブライムを入れて、得点を目指したマドリーだったんですが、とにかく「Metimos muchos centros pero este año no tenemos un Joselu, un delantero nato ahí arriba/メティモス・ムーチョス・セントロス・ペロ・エステ・アーニョ・ノー・テネモス・ウン・ホセル、ウン・デランテーロ・ナトー・アイー・アリバ(ウチは沢山クロスを入れたけど、今季は前線に生粋のFW、ホセルみたいな選手がいない)」(クルトワ)彼らですからね。ほとんどシュートには繋がらず、相手のGKダビド・ラジャのグローブもキレイなまま、最後はロスタイム3分にはアーセナルのカウンターが炸裂。マルティネッリに止めの2点目を入れられて、総合スコア1-5で敗退してしまいましたっけ。
いやあ、今季のマドリーのCLは決勝トーナメント16強対決プレーオフでのマンチェスター・シティ戦こそ、総合スコア6-3と強さを見せたものの、大体がして、リーグフェーズで3敗もして、直接進出のトップ8入りできない辺りから、ケチはついていたんですけどね。16強対決のアトレティコ戦も総合スコア2-2でPK戦までもつれ込み、お隣さんの不幸体質によるフリアン・アルバレスの両足で蹴ったPK無効判定のおかげで勝ち上がったという経緯も。とりわけ最近はリーガでもホームでバレンシアに負けたり、下位のアラベスに0-1の辛勝だったりと、チームの落ち込みぶりが心配されていたんですが、何より自分たちの大会と自負するCLで、16年のぶりの準決勝進出となるアーセナルに手も足も出なかったのは痛かったかと。
おかげで試合後の記者会見など、ほとんどアンチェロティ監督の先行きの質問ばかりになってしまい、当人も「No sé qué va a ser de mi futuro y no quiero saberlo.../ノー・セ・ケ・バ・ア・セル・デ・ミ・フトゥロ・イ・ノー・キエロ・サベールロ(自分の将来に何が起きるかは知らないし、知りたくもない)」と言うしかなかったんですが、まだいいんですよ、マドリーは。何故なら、彼らにはコパ・デル・レイ決勝も来週土曜に控えていますし、リーガも首位とは勝ち点4差。決して今季のビッグタイトル獲得の可能性がゼロになってしまった訳じゃないからですが、問題なのは相手がどちらもバルサであることでしょうか。
ええ、コパ決勝の後、5月11日にはリーガのクラシコ(伝統の一戦)もあるんですが、今季のシーズン前半戦は0-4、1月のスペイン・スーパーカップ決勝でも2-5と、彼らはバルサにgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)負けしていますからね。ただ相手は1日早く、ドルトムントに3-1で負けたものの、1stレグでの4-0勝利のおかげで、CL準決勝進出が決定。リーガでの対戦の時にはインテルとの死闘を終えて疲弊している相手に、週1試合で体力十分で挑めるというアドバンテンージがありますが、こればっかりはねえ。
ちなみにそこに行きつくまで負けられないマドリーの今週末のリーガは、日曜午後9時(日本時間翌午前4時)に再び、ベルナベウ開催となるアスレティック戦。バルベルデ監督のチームも木曜にEL準々決勝レンジャース戦2ndレグをプレーして、疲れてはいるものの、今季の決勝会場でもあるサン・マメスで2-0と勝って準決勝進出が決まり、マンチェスター・ユナイテッド戦を前に士気が上がっていますからね。コパ決勝までにネンザは治るものの、どちらにしろ、出場停止でエムバペが出られないマドリーだけに、ブラジル人FWコンビやベリンガム、ブライムが早く気持ちを切り替えて、ゴールを挙げてくれるといいんですが。
そして他のマドリッド勢の週末の試合もお伝えしていくと、この32節は土曜に3チームが集中していて、まず午後2時試合でラージョがバレンシアとエスタディオ・バジェカスで対戦。勝ち点を残留目安の40にした後、ここ2試合、エスパニョールとアスレティックに連敗して、ちょっと停滞している彼らなんですが、今週のヨーロッパの大会の準々決勝でバルサ、アスレティック、そしてベティスもヤギエロニア(ポーランド)を退け、コンフェレンスリーグ準決勝に進出したため、来季のスペインのCL出場枠が5チームに拡大したのは朗報だったかと。
おかげで8位のチームがコンフェレンスリーグに行けることになり、それって、現在、同勝ち点で並ぶ7、8位のセルタ、マジョルカと3差で10位のラージョにもまだまだチャンスはあるのでは?いえまあ、マドリー戦を含め、ここ3連勝で残留争いからかなり距離を置いたバレンシアは決して侮れないんですけどね。水曜にはイニゴ・ペレス監督の契約1年延長も発表されましたし、そのお祝いも兼ねて、白星を掴めたらいいかと。
続いて午後6時半からは前節、バルサにサエンスのオウンゴールで0-1と負け、お隣さんのヘタフェがラス・パルマスに負けたせいもあって、19位に落ちてしまったレガネスがアウェイでマジョルカに挑むことに。何せ、ボルハ・ヒメネス監督のチームはここ5試合で勝ち点1しか取れていませんからね。いよいよあと7試合となり、2部最速Uターンを避けるための正念場がやって来た感がありますが、今回、心配なのは累積警告となったラバが出場停止なこと。ファン・クルスも痛むところがあって、せいぜい20~30分ぐらいしかプレーできないようですが、そんなの、エースのムリキ、浅野拓磨選手、モルラネス、ロベルト・ナバーロが負傷で不在のアラサーテ監督のチームの比じゃない?
まあ、それでもレガネスは17位のアラベスと勝ち点2差しかありませんし、土曜の午後9時には兄貴分がラス・パルマスと対戦。ささやかな援護射撃をしてくれるはずですが、すでにミッドウィークフリー2週間目に突入したアトレティコは結構、ヒマを持て余しているようでねえ。月曜にバジャドリーに勝った後、マハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場でセッションを再開したのは水曜で、しかもその後、週2試合時代は時間がなくてできなかった、バーベキュー決起ランチ会もあったのだとか。
え、4月の頭に全ての大会で優勝可能性を失ったアトレティコが今更、何を決起しているのかって?いやあ、それがリーガ首位のバルサとは勝ち点7差あるんですが、彼らは残り7試合に全勝して、勝ち点3差のお隣さん共々、上位2チームが躓くのを祈ることにしたそうで、嬉しいことにこのカナリア諸島遠征には負傷で欠けていたデ・パウル、リノも回復して参加。更に5試合の出場停止処分がやっと明けたコレアも加わって、全員で前日移動したんですが、折りしも世間はセマナ・サンタ(イースター週間)とあって、あまり浮かれ過ぎずにプレーできるといいのですが。
そして先駆けて、金曜試合でエスパニョールとのアウェイゲームに臨んだヘタフェは、いやあ、こちらも勝ち点40まであと1つに迫っているんですけどね。アトレティコと引き分けた後、ラージョ、セルタに連勝していたエスパニョールの勢いに押され、前半39分にはクンブラのゴールで先制されてしまうことに。同点を目指した後半も14分にウチェがレッドカードをもらってしまったのが災いし、そのまま1-0で負けてしまったんですが、まあドンマイ。来週水曜はコリセウムで兄弟分ダービー、マドリー戦もありますしね。ラージョの1つ下の11位につける彼らにもまだヨーロッパの大会出場圏を目指すことはできるんでが、まずは残留確定を果たしてほしいものです。
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リバプールのOBでもあるジェイミー・キャラガー氏が、今シーズン限りで退団するイングランド代表DFトレント・アレクサンダー=アーノルドへのファンのブーイングに言及した。イギリス『スカイ・スポーツ』が伝えた。 11日、プレミアリーグ第36節でリバプールはホームにアーセナルを迎えた。 すでに優勝を決めた首位のリバプールが2位のアーセナルを迎えた戦いに。試合は20分にコーディ・ガクポ、21分にルイス・ディアスと連続ゴールを決めてアーセナルに力の差を見せつけた。 スタンドも2位相手の連続ゴールに大きく盛り上がりを見せたが、アーセナルは後半に反撃。47分にガブリエウ・マルティネッリのゴールが決まり1点差とされると、70分にはミケル・メリーノにゴールを奪われ同点に。その後数的有利となるも最後までゴールを奪えず、2-2のドローに終わった。 この試合は右サイドバックとしてコナー・ブラッドリーが先発出場。67分にアレクサンダー=アーノルドと交代となったが、ピッチに入った途端にスタンドからは拍手と大きなブーイングが入り混じった声援が飛んだ。 『スカイ・スポーツ』の「Super Sunday」に出演したキャラガー氏は、この事態について言及。チームのために戦っている選手へのブーイングはできないとした。 「これがこの試合のストーリーだ。試合後にはこれが話題になるだろうし、各新聞の裏面にも載るだろう」 「その多さに驚いた。私としては、赤いシャツを着てトロフィーを獲得する選手がブーイングを受けるべきではないと思う」 「自分のチームの選手がプレーしているときにブーイングをするのは、私には無理だ」 「(ブーイングは)行き過ぎだった。あれが彼の最後の出番になる可能性もあったが、リバプールにサーカスは必要ないので、それが正しいことだったのかもしれない」 また、リバプールについても手痛い指摘をした。 「どのサッカークラブのファンでも、今のリバプールのファンでも、おそらく聞きたくない話だろうが、リバプールのロッカールームにいる選手のほとんどは、レアル・マドリーでプレーしたいと思っている」 「私もロッカールームにいたことがあるが、選手たちは我々のもとを去ってバルセロナやレアル・マドリーに行ってしまった。ファンにとっては非常に辛いことだが、彼らはいつも『この選手は我々のことを愛している』と思っているため、どこか他のところに行ってしまうという罠に陥っているような気がする」 「選手たちはファンのようには考えていない。ロッカールームの選手たちは『レアル・マドリーでプレーしたい』と思っている。彼らはぜひともそうしたいと思っているのだ」 アレクサンダー=アーノルドもレアル・マドリーへの移籍が濃厚ともみられている。過去には、マイケル・オーウェンやシャビ・アロンソなどが移籍しており、歴史ある世界最高峰のクラブでもあるマドリーへの移籍は望まれているものだとの見解を示した。 2025.05.12 21:20 Mon3
「生涯レアルのファン」ブラジル代表監督就任決定のアンチェロッティ監督が6シーズン指揮したレアルに感謝「一生忘れられない素晴らしい思い出」
レアル・マドリーのカルロ・アンチェロッティ監督が、ブラジル代表監督就任について言及した。 12日、ブラジルサッカー連盟(CBF)はアンチェロッティ監督がブラジル代表監督に就任することを発表。5月26日からチームを指揮すると発表した。 マドリーを指揮し、2023-24シーズンはラ・リーガとチャンピオンズリーグ(CL)の2冠を達成。しかし、今シーズンはコパ・デル・レイではバルセロナに決勝で敗れてタイトルを逃すと、CLでは準々決勝でアーセナルに連敗して敗退。ラ・リーガも“エル・クラシコ”での連敗などもあり、バルセロナの優勝があと一歩のところとなっており、無冠で終わることがほぼ確実となっている、 CL敗退直後から、退任の話が急加速。予てから招へいに動いていたブラジル代表も本格的に動き出すと、正式に就任が決定した。 13日、マジョルカ戦に向けた記者会見に出席したアンチェロッティ監督は、自身の去就について言及。最後までマドリーの監督として戦うとした。 「26日からはブラジル代表監督に就任する。これは大きな挑戦だが、今はレアル・マドリーの監督だ。この素晴らしい冒険の最後の瞬間を、ここで上手く締めくくりたいと思っている」 「今、私が過ごしているのはここに残された日々だ。このクラブ、ファン、そして選手たちへの深い敬意から、この壮大な冒険の最後の瞬間に集中している」 また、マドリーの監督を退任し、ブラジル代表監督に就任する理由についても言及。クラブとの問題はないとし、終わりのある冒険の中で、今がその時だとした。 「私は26日からブラジル代表監督を務める。これは公式発表だ。ブラジルは昨日声明を発表した。レアル・マドリーも望む時に声明を発表するだろう。全く問題はない」 「レアル・マドリーにとって適切なタイミングで発表されるだろうし、CBFが昨日声明を発表したように、これ以上付け加えることはない」 「クラブと話し合うことは、完全に個人的なものだ。事実関係をきちんと確認する必要がある。私は25日までレアル・マドリーの監督を務めるが、昨日、自分がもはやこのチームの監督ではないことを実感した」 「サッカーは人生と同じように、始まりと終わりのある冒険だ。ここに来た時、いつかは終わると分かっていた。25日だ。素晴らしい時間を過ごし、皆で素晴らしい時間を過ごしたが、キャリアには必ず終わりが来る」 「人生にも終わりがある。サッカーチームで過ごした時間も終わると想像してみてほしい。私は素晴らしい時間を過ごした。私のプロ意識と誠実さは、この終わりを良いものにすることを求めている」 「大切な時間だった。クラブと問題を抱えたことは一度もないし、これからも決してないだろう。このクラブは、私の心の中に大切に刻み込まれている。いつかこの冒険も終わる時が来なければならなかった。我々は素晴らしい時間を過ごし、多くのタイトルを獲得した。一生忘れられない素晴らしい思い出だ」 また、マドリーに感謝の言葉を残し、2度にわたって6シーズンも指揮をするとは思わなかったとした。 「クラブが新たな息吹を必要としている時、物事は必ず終わりを迎える。大騒ぎする必要はない。このクラブに心から感謝する。我々はそれぞれ自分の道を歩み続ける。そして、世界中の愛を込めて、私は生涯レアル・マドリーのファンであり続ける」 「輝かしい時代が終わりを迎えようとしている。まさかレアル・マドリーを6シーズンも監督として率いられるとは思ってもいなかった。それが現実になった今、クラブに感謝しなければならない」 2025.05.13 23:00 Tue4
マドリーがスペイン代表DFハイセン獲得合意を正式発表!プレミアリーグ終了後にチームに合流
レアル・マドリーは17日、ボーンマスに所属するスペイン代表DFディーン・ハイセン(20)の獲得合意を発表した。契約期間は2025年6月1日~2030年6月30日までの5年間となる。 なおボーンマスによれば、マドリーは契約解除金として5000万ポンド(約97億円)を支払ったとのことだ。 ハイセンは197cmの高さを備え、両足でボールを扱えるモダンなセンターバック。ユベントスの下部組織に所属し、昨シーズン後半にはローマへ加入して公式戦13試合に出場するなど存在感を示した。 その後、ユベントスへ復帰するもクラブは売却に動き、昨夏の移籍市場でボーンマスに完全移籍。アンドニ・イラオラ監督から徐々に信頼を得ると、20歳ながらチームの主力センターバックに定着。 プレミアリーグ30試合3ゴールを記録し、3月にはスペイン代表を選択してデビューしていた。 2025.05.17 20:00 Sat5