Jリーグ登録選手枠の拡大と選手のポリバレント化/六川亨の日本サッカーの歩み

2024.10.31 22:00 Thu
©超ワールドサッカー
すでに当サイトでも紹介したが、Jリーグは29日の理事会で、来シーズンからベンチ入りメンバーをこれまでの7名から9名をエントリーできるように変更した。すでに今シーズンのルヴァン杯はエントリー20名だったが(延長戦があるため)、Jリーグは18名のままで7名の交代枠だった。

しかし来シーズンからはJ1~J3とルヴァン杯に加え、J1・J2昇格プレーオフ、J3・JFL入替戦も1試合のエントリーメンバーは20名になることが決まった。

これは従来3名の交代枠だったのが、新型コロナウイルスの影響で5枠に増加したことで「戦術の幅の拡大や、育成や経験のためのベンチ入り機会の増加」とその背景を説明。5枠の増加は新型コロナウイルスによる臨時の措置だったものの、2022年6月にFIFAが恒久化したことで今回の決定につながった。
IFAB(国際サッカー評議会)が公式に選手交代制度を導入したのは1953年と言われている。しかし当時の具体的な記録は残されていない。

W杯で選手交代が初めて採用されたのは1970年のメキシコW杯からだった。その理由は、前回66年イングランド大会で優勝候補だったブラジルのペレが、ヨーロッパ勢の反則まがいのたび重なるチャージで負傷退場を余儀なくされたことに起因する。
このため交代制度のなかった66年大会までは、負傷者が出ても少ない人数のまま戦わなくてはならなかった(イエローカードとレッドカードも同様の理由から70年メキシコW杯から採用された)。

そこで5名のベンチ入りメンバーを認め、その中から選手を交代させることが可能になったわけだが、当時のヨーロッパリーグの交代は2名までで、3名まで認められるようになったのは1995年から。W杯も1998年フランス大会から3名の交代枠が認められるようになった(Jリーグも93年開幕当初の交代枠は2名までだった)。

5名エントリーで交代枠が2名ないし3名だった時代は、まずGKは必ず1名エントリーする。これは今も昔も変わらない。そしてDF1名、MF1名、FW2名というのがオーソドックスなベンチ入りメンバーだった。

基本的に勝っていたら、負傷者が出ない限り交代はしない。ビハインドになった際に攻撃を活性化、もしくは反撃の切り札として攻撃陣の選手を多く入れるのがオーソドックスなベンチ入りのメンバー構成だった。

しかし時代とともにベンチ入りメンバーの構成もかなり変わってきた。GK1名は不変で、実力的に上位のチームが守備固め要員としてDFを多くエントリーし、劣勢が予想されるチームはFW陣の人数を増やすのも昔から変わらない。

変化があったのは、ポリバレントな選手が格段に増えたことで、単純に「攻撃の選手、守備の選手」とくくれなくなったことだろう。

例えば町田の望月ヘンリー海輝は右SBだが、黒田剛監督は長身の彼を終盤のパワープレー要員として前線で起用したことがある。4BKのサイドバックが3BKではウイングバックになるのは当り前だし、その逆にFWが1列下がることもある。

昨日の横浜FM対浦和戦では、開始6分に負傷した横浜FMの右SB加藤連に変わって天野純が起用されると、ボランチの小池龍太が右SBに入るなど、中盤の選手はどのポジションでもプレーすることを要求される時代になっている。

脳しんとうを除いて交代選手は5名まで、そして交代はハーフタイムをのぞき3回までは変わらない。しかしエントリーメンバーが7名から9名に増えたことで、監督の選択肢は広がったことは間違いないだろう。

すでにルヴァン杯で経験済みとはいえ、この交代枠の拡大が戦術にどのような変化をもたらすのか(あるいは、もたらさないのか)。ただ一つ確実なのは、選手層の厚いチームはやはり有利なルール改正と言えるのではないだろうか。

文・六川亨

J1の関連記事

ファジアーノ岡山は12月6日、明治安田J1リーグ第38節で清水エスパルスと対戦し、1-2で勝利を収めた。11試合ぶりの勝利に沸くピッチで、岡山のDF工藤孝太は真っ先にDF立田悠悟のもとへ向かった。J1の壁にぶつかり続けた若きDFと、自らの過去を重ねて支え続けた先輩。2026シーズンも共闘が決まった、2人の熱き師弟関係を 2025.12.30 20:00 Tue
12月17日、横浜FCの山根永遠がファジアーノ岡山に加入することが発表された。J1昇格の歓喜も、残留争いの苦しみも知る彼の移籍リリースには、横浜FCサポーターからたくさんの「ありがとう」をはじめ別れを惜しむ声が集まった。そして、岡山のサポーターは活躍を期待している。山根永遠とは、どんな選手なのか。編集部に所属しながら岡 2025.12.23 19:30 Tue
Jリーグは12月16日、来シーズン開幕する明治安田Jリーグ百年構想リーグにおけるオフィシャルボールパートナーとしてSFIDA社(株式会社イミオ)と契約を締結したことを発表した。同大会では公式試合球として『TSUBASA J PRO』を使用。大人気漫画である『キャプテン翼』とのコラボレーションモデルとなっている。 2025.12.16 18:00 Tue
「チームが勝てていない状況で自分が出て勝てれば、大きなアピールになると思っていたんで、本当に今日に懸ける思いは強かった」 明治安田J1リーグ第35節でファジアーノ岡山はFC東京と対戦。契約の都合により出場できないMF佐藤龍之介に代わり、左ウイングバックで先発に名を連ねたのはMF加藤聖だった。第33節のアルビレック 2025.10.27 20:00 Mon
アビスパ福岡の秘密兵器がJリーグデビュー戦で初ゴールをあげた。陸上選手であるサニブラウン・アブデル・ハキームの実弟であるFWサニブラウン・ハナンのゴールにファンたちが歓喜した。 #モーメントブースター でシェアして盛り上がれ!​ゴール (91:44)ハナン サニブラウン​​アビスパ福岡 vs サンフレッチェ広島 2025.09.30 16:50 Tue

NEWS RANKING
Daily
Weekly
Monthly