日本サッカー殿堂掲額者の横顔/六川亨の日本サッカーの歩み

2022.08.02 21:00 Tue
Getty Images
ちょっと早いけれど、今年も日本サッカーの発展に貢献・寄与したJFA(日本サッカー協会)の「殿堂掲額者」が決定した。掲額式は9月10日にJFAハウス1Fのバーチャルスタジアムで開催される予定だが、JFAハウスはすでに売却先が決まっているため、同ハウスでの「殿堂掲額式」は今年が最後になる。

記者などの投票による「投票選考」には8人の候補者(国際Aマッチ50試合以上出場、JSLまたはJ1リーグの通算出場が200試合以上、W杯出場などが条件)がいたものの、得票率で75%以上を獲得できなかったため、「該当者なし」として選出が見送られた(5%以上75%未満なら次回投票の候補になるが、5%未満だと名簿から外れる)。
今年の候補は碓井博行氏(藤枝東高、早稲田大、日立で活躍。JSL得点王2回で、通算85得点は釜本邦茂氏に次いで2位)。金田喜稔氏(広島県工、中央大学、日産で活躍。日本代表では19歳119日という史上最年少得点記録の保持者)。原博実氏(アジアの核弾頭と言われたストライカーで、JFA技術委員長や専務理事を歴任。現大宮フットボール本部長)。森下申一氏(静岡学園高で高校選手権準優勝。ヤマハや磐田でGKとして活躍し、現在は磐田アカデミーGKコーチ)。

彼ら以外にも柱谷幸一氏や都並敏史氏らは解説者としても活躍しているし、吉田光範氏と松永成立氏は指導者として現場に携わっている。

しかしながら各氏とも75%以上を獲得できなかったのは、候補者が多くて票が割れてしまった可能性が高い。昨年はW杯予選・日韓戦での伝説のFKや、横浜F・マリノスの30周年の記念イベントにも元気な姿を見せた“ミスター・マリノス”こと木村和司氏が受賞した。
碓井氏や金田氏、原氏、森下氏、柱谷氏、都並氏らは木村氏と一緒にロス五輪予選やメキシコW杯予選を戦ったチームメイトでもあるが、やはり木村氏は日本代表や日産時代のFKのインパクトが強かったのだろう。

一方、特別選考では次の4氏が選出された。

イヴィチャ・オシム氏については、今さら説明は不要だろう。20年のフィリップ・トルシエ氏に続く外国人の日本代表監督の選出である。

元国見高校の小嶺忠敏氏は島原商業や国見高校を率いて全国制覇を達成しただけでなく、高木琢也氏や大久保嘉人氏ら多くの日本代表選手を育て上げた。

高校選手権やインターハイでの全国制覇や代表選手の育成という点では、帝京高校の古沼貞雄監督や元清水商業(現清水桜が丘高校)の大滝雅良監督も負けてはいない。

彼らと小嶺監督との大きな違いは、小嶺監督が1993 年に日本で開催された FIFA U-17 世界選手権(現FIFA U-17W杯)にU-17 日本代表監督としてチームを率い、FIFA主催大会で日本サッカー史上初となるベスト8進出を果たしたことだろう。

残る2人は、サッカーファンにとってもあまり馴染みのない名前かもしれない。綾部美知枝さんは、清水FCの監督として長谷川健太、大榎克己、堀池巧らを指導して第1回の全日本少年サッカー大会で優勝するなど、清水のサッカーの発展に寄与した。それまで静岡の“サッカーどころ”と言えば藤枝だったが、堀田哲爾氏との二人三脚で清水を今日の地位に引き上げた功労者である。

JFAでは第4種(少年)や女子の理事や特任理事を担当して少年サッカーや女子サッカーの普及・発展に努めた。

最後に北山朝徳氏である。アルゼンチン在住のJFA国際委員で、南米の各国協会との強固なパイプから、約40年にわたりキリンカップなどのマッチメイクや日本チームと日本人選手の留学などのサポートを行ってきた。彼がいなければキリンカップなどで簡単に南米のチームは呼べなかったし、トヨタカップで来日するチームの取材のアテンドもしてきた。99年に日本が初めてパラグアイでのコパ・アメリカに参加できたのも、北山氏の功績が大きい。

アルゼンチン在住のジャーナリスト、藤坂ガルシア千鶴氏がアルゼンチンに渡って最初にお世話になったのも北山氏で、彼の事務所で働きながらサッカージャーナリストとして日々研さんした。

【文・六川亨】
1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた

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