気になる陽性者の増加とチーム作りの難しさ/六川亨の日本サッカーの歩み

2022.07.11 21:00 Mon
©︎J.LEAGUE
J1リーグは折り返しの後の第21節を終え、攻守にスキのない横浜F・マリノスが首位をキープ。これを2位の鹿島と3位の川崎Fが追う展開に変わりはないが、鹿島と川崎Fは勝ちきれない試合も目立つ。この3チームを猛追していのが、攻撃陣の歯車がかみ合ってきた広島とC大阪だ。
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広島は第20節で横浜F・マリノスに0-3と完敗したものの、前半の決定機を確実に決めていれば逆のスコアになってもおかしくないほど横浜F・マリノスを圧倒した。その第20節ではC大阪も鹿島相手にアウェーで3-2とリードしながら終了間際のゴールで3-3のドローにおいつかれた。さらにC大阪は第21節の横浜F・マリノス戦でも2-0と優位に試合を進めながら、後半アディショナルタイムの失点で2-2と勝点3をつかみ損ねたのは悔やまれるところ。すでにC大阪は上位3強との対戦を終えているが、広島は鹿島と川崎F戦を残しているだけに、波乱を起こす可能性を秘めていると言っていいだろう。
そんな佳境を迎えつつあるJリーグだが、ここ1~2週間はどのチームにも選手や監督、スタッフに新型コロナウイルスの陽性者が出たことがリリースされている。それはJリーグに限らず大学リーグや高校年代も同様で、試合が延期されることは珍しくない。

今月15日には移籍ウインドウがオープンになる。このため下位に沈むチームは外国人選手の補強など積極的に動いている。しかし、負傷に加えて新型コロナウイルスに感染した主力の離脱というダブルパンチはどのチームにとっても想定外だったに違いない。
Jリーグは公式試合における声出し応援を段階的に導入して検証を重ねているが、選手に感染者が増えているのは残念な結果と言わざるを得ない。個人情報の保護から感染者の実名は報道されないものの、スタメンはもちろんリザーブからも名前が消えて3~4試合くらい欠場したら、新型コロナウイルスの感染者と判断して間違いないだろう。というのも、負傷の際はチームから負傷箇所と全治までの期間が発表されるからだ。

「ない袖は振れない」と言うが、主力が長期欠場したら代役に誰を起用するか。これはこれで、指揮官の意図を探る楽しみでもある。おしなべて外国人監督は元日本代表といったベテランより、経験は浅くても若い選手を起用する傾向が強いようだ。自分自身の“色"を出しやすいこともあるのだろう。

例えば10日の第21節で、苦手の浦和に0-3と完敗したFC東京は、6月26日の鳥栖戦を最期にMF安部柊斗の名前がスタートリストから消えたままだ。浦和戦でアルベル監督は18歳の梶浦勇輝をスタメンで起用したものの、彼のバックパスミスから先制点を与えてしまった。このため指揮官は後半開始から梶浦に代えてFW紺野和也をピッチに送り出した。大胆な采配がいつも的中するとは限らないということだ。

そしてアルベル監督になってから出場機会の激減したFW永井謙佑は古巣の名古屋へ完全移籍。MF高萩洋次郎も栃木SCへ期限付き移籍することが11日に発表された。元日本代表とはいえ、起用されなければ出場機会を求めて移籍を選択するのは当たり前。彼ら2人の放出が“吉"と出るか、それとも“凶"と出るのか。監督と選手の両者にとって難しい選択でもあっただろう。

そしてこの原稿を書いているとJFA(日本サッカー協会)からリリースが届き、13日の天皇杯4回戦、磐田対東京V(味の素スタジアム)は東京Vに複数名の新型コロナウイルス感染症の陽性者が出たため、管轄の保健所よりチーム活動の停止を勧告されたため中止となった。代替日は7月20日(水)で、19時より味の素スタジアムで開催される。

今後も同様のケースが起きる可能性があるものの、東京Vの選手には早期の回復を願わずにはいられない。


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