「その心痛は想像を絶する」あと10秒からW杯出場を逃したアルジェリア指揮官、ピッチから動けず「打ちひしがれた」

2022.03.31 19:10 Thu
Getty Images
今年11月に開幕を迎えるカタール・ワールドカップ(W杯)。4月1日には組み合わせ抽選会も控えているが、その出場国も続々と決まっている。アフリカからは5カ国のみが出場できる中、29日には出場国を決める最後の大一番となるアフリカ予選最終ラウンドの2ndレグが行われた。

アルジェリア代表はカメルーン代表と対決。アウェイでの1stレグを0-1で先勝しており、有利な状況で試合に入ったが、22分にカメルーンのFWエリック・チュポ=モティングにゴールを決められ、2戦合計スコアでタイに戻される。
以降はアルジェリアペースで進むも、際どいシーンがVARの介入によってノーゴールとなるなど、1-1のまま試合は膠着。延長戦ではFWイスラム・スリマニがゴールネットを揺らすものの、オン・フィールド・レビューの結果ゴールは取り消しとなる。

アルジェリアにとっては厳しい判定が続くが、延長後半の118分についに待望のゴールが。左CKからアーメド・トゥーバがヘディングでネットを揺らし、いよいよ勝ち越しに成功した。
しかし、アルジェリアの突破が決定的と思われた最後に大どんでん返しが待っていた。

ラストプレーとなった124分のカメルーンのFKの場面。サインプレーから最後はFWカール・トコ・エカンビが右足ダイレクトで流し込む。この直後に試合はタイムアップを迎え、2戦合計2-2もアウェイゴールの差で上回ったカメルーンが劇的過ぎる逆転突破を決めたのだ。

試合終了の笛と同時にカメルーンの面々が歓喜に沸く一方で、あと一歩まで近づいたW杯出場を逃したアルジェリアのメンバーたちは打ちひしがれていた。

中でもジャメル・ベルマディ監督は、両手で顔を覆ったままタッチライン際に座り込んでしまう。関係者からなだめられるも中々立ち上がることはできず、しばらくしてから顔を上げたものの、その表情は悲痛そのものだった。

この光景には多くの人が胸を打たれたようで、「この痛みは想像を絶する」、「顔を上げてほしい」、「情熱が伝わってくる」といった声が集まっている。

フランス『レキップ』によると、試合後ベルマディ監督は心境を語り、代表監督から離れることも示唆している。

「我々は崩れ落ちた。この試合のために、国のために、国民のために、自分の人生をかけてきた。もう終わりだ。これがサッカーであり、スポーツだ。それは同時に我々の人生のすべてでもある」

「メンタル面でしくじったのかは分からない。精神的に余裕がなかったのかどうかはわからないが、W杯まであと10秒となった集中力と意識の問題であることは間違いないだろう。セットプレーとその10秒間を除いては、決して危ない状況も作らず、支配されることもなかった。計画は崩壊した。みんな打ちひしがれている。現実を直視できない。残り10秒であの終わり方をするのは残酷だ」

「この酷い物語を乗り越えなければならない。未来のことを話すのは難しい。私たちは立ち直らなければならない。立ち直ることが必要だ。アルジェリアは偉大な国。私がいてもいなくても、まだまだ素晴らしいものがある」

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