Jリーグ選手名鑑の違い/六川亨の日本サッカーの歩み

2022.02.16 11:50 Wed
©超ワールドサッカー
今年もまた恒例の、『Jリーグ選手名鑑』が15日に発売された。J1リーグ開幕戦の3日前というギリギリのタイミングでの発売である。今年はW杯イヤーのためJ1リーグは過密日程となる。このため開幕を例年より早めたが(昨年は27日開幕)、だからといって選手名鑑は開幕前に読者に届けなければならない。

ネットと違い雑誌は原稿を書いて写真を集めてレイアウトしても、そこから印刷→製本→配送という手間暇がかかるため、必然的に締め切りも早くなる。それでも開幕前に書店に並んだだけに、製作に携わった人々の苦労がしのばれる。

昨年の選手名鑑もそうだったが、コロナの影響で、名鑑に顔写真やデータが掲載されていても入国できない外国人監督や選手がいるかもしれないし、そのまま来日しないケースもありえる。
それでも選手名鑑を読んでいると、「あの選手はまだJ3リーグでやっているのか」といった新鮮な驚きに出会うことができる。当該クラブのファン・サポーターにとっては当然のことでもあるのだろうが、すべてを網羅しているわけではないので、ご容赦願いたい。

この選手名鑑だが、やはり長年読んできて、慣れ親しんだダイジェストを毎年購入している。安心感の1つとして、雑誌の「右開き」があげられるだろう。「右開き」とはどういうことかというと、右手で(左手でも)「右から左にページをめくる」雑誌のことを指す。
雑誌はもちろん新聞も、日本語の基本は「縦書き」だ。この「縦書き」で読みやすいのが「右開き」の雑誌であり新聞である。

一方、逆に「左から右にページをめくる」いわゆる「左開き」の雑誌もある。海外の雑誌はほとんど「左開き」で、その理由はアルファベットが「横書き」だからだ。

ダイジェストもマガジンも「右開き」だったが、いまはもう廃刊となった『カルチョ2002』や『プレミアシップ・マガジン』は、日本のサッカー雑誌では珍しい「左開き」だった。というのも『カルチョ2002』はイタリアの週刊誌『グエリン・スポルティーボ』と、『プレミアシップ・マガジン』はイングランドの月刊誌『Four Four Two』と業務提携していたため、文章や写真のレイアウトが「横書き(横組みともいう)」の方が収まりもよかったからだ。

同じような理由と思われるが、『エルゴラッソ』は「横書き」のため「左開き」の新聞だ。こちらもイタリアのスポーツ新聞『ガゼッタ・デロ・スポルト』のピンク色の紙面を採用しているように、同紙を意識しての紙面構成かもしれない。

そして『Jリーグ選手名鑑』でもエルゴラ版は「左開き」である。誌面構成は「横書き」なので、こちらの方が“理にかなって"いる。にもかかわらず、ダイジェストの選手名鑑を買ってしまうのは、やはり「右開き」の方が読みやすいと感じるからだ。

いまはニュース記事を含め、あらゆるコンテンツが雑誌よりネットの読者の方が多いかもしれない。そして、その読者は「横書き」のコンテンツが当たり前と感じているだろう。選手名鑑のデータもスマホで簡単に呼び出せるかもしれない。

しかし、それでも雑誌のズシリとした手応えに幸福感を覚えて開幕が待ち遠しいファン・サポーターも多いのではないだろうか。かくいう私がその1人だからだ。292ページのボリュームと豊富な写真にもかかわらず1000円という定価は驚異でしかありえない。

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