高校選手権はベスト4が出揃う/六川亨の日本サッカーの歩み

2022.01.06 17:30 Thu
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みなさん、明けましておめでとうございます。
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といったところで、年末の12月28日に開幕した第100回全国高校選手権も4日でベスト4が出揃った。その顔ぶれは大津(熊本)、関東第一(東京)、高川学園(山口)、青森山田(青森)の4チームで、関東第一は初のベスト4進出である。その一方で、一発勝負のトーナメントらしい波乱も多かった。昨年度優勝の山梨学院(山梨)は2回戦で佐賀北(佐賀)に0-2で敗れて初戦敗退。インターハイ決勝で優勝した青森山田を苦しめた米子北(鳥取)も、初戦となる2回戦で矢板中央(栃木)にPK戦で敗退した。
さらに静岡学園(静岡)や尚志(福島)らがいる激戦区に入った流通経済大柏(千葉)も、1回戦で近大和歌山(和歌山)にPK戦で涙を飲んだ。

その静岡学園は、1回戦から3回戦まで14ゴール無失点と圧倒的な強さで勝ち進んできた。ドリブラーの古川陽介らJリーグ入りが内定している選手4人を擁し、インターハイの準決勝で敗れた青森山田への雪辱が期待されていた。しかし準々決勝では後半40分に許した初シュートで失点し、PK戦は3-4で敗れて関東第一に国立行きを許してしまった。
強豪校がPK戦で涙を飲む一方で、本大会に入ってから神がかり的な躍進を見せるチームもある。それが高校選手権の怖さであり、醍醐味とも言える。そうしたなかで、しっかり勝ちきっている青森山田はやはり頭一つ抜けていると言わざるをえないようだ。

準々決勝で対戦した東山(京都)は、割り切ったサッカーで青森山田を苦しめた。青森山田は4-1-4-1のフォーメーションから1トップの名須川真光に加え、2列目の藤森颯太、FC東京への入団が内定している松木玖生、渡邊星来、田澤夢積らが流動的に攻め上がり、3トップや4トップと変化する。

これに対し東山は、いつもは4-4-2だが、青森山田戦では試合開始と同時に5バックによる5-3-2を採用。あらかじめ最終ラインの人数を増やして迎撃しつつ、マイボールになると前線の2人、李隆志と藤枝康佑へロングパスをフィードして、彼らの個人技による突破にゴールを託した。

こうした、あらかじめ割り切った戦い方は、インターハイの準々決勝で青森山田に敗れたことも関係しているのだろう。そして16分には念願の先制点を奪った。おそらく多くのチームにとって、青森山田を倒すのにPK戦は現実的な選択になるはずだ。その点、東山は先制点を奪うことに成功した。

残念ながら前半アディショナルタイムにPKを与えて同点にされると、後半はロングスローからのこぼれ球を押し込まれて逆転を許した。しかし東山の戦い方は、準決勝で激突する高川学園をはじめ、大津や関東第一にも大いに参考になったのではないだろうか。

そして、それを跳ね返す青森山田の黒田剛監督の采配も楽しみな8日の準決勝である。

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