レーティング:ローマ 1-2 ミラン《セリエA》
2021.11.01 07:36 Mon
セリエA第11節、ローマvsミランが10月31日にスタディオ・オリンピコで行われ、アウェイのミランが1-2で勝利した。超WSの選手採点結果と寸評は以下の通り。
▽ローマ採点

GK
1 パトリシオ 5.5
1失点場面は逆を突かれる形となったが、相手のシュートを褒めるべき。それ以外はいつも通りの安定したゴールキーピングを見せた
DF
2 カルスドルプ 5.0
1失点目に繋がるファウルなど、守備面では後手の対応が続いた。攻撃では良いタイミングで攻撃参加を見せたが、最後の場面での判断、精度に課題
(→ショムロドフ 5.0)
対人戦での活躍が期待されたが、相手の3センターバックに封じ込まれた
23 G・マンチーニ 5.5
最終的に2失点も流れの中では粘り強く戦えていた。決定的なシュートは相手GKの好守に遭う
痛恨のPK献上も判定が厳しすぎたか…。それ以外は機動力を生かした守備で奮闘。落ち着いた対応が光った
5 ビーニャ 5.5
開始直後に見事な仕掛けで決定機を創出。以降はカラブリアに押し返されたが、大きな穴は作らなかった
(→カルレス・ペレス 5.5)
試合終了間際に決定的なシュートを放ったが、GKの好守に遭う。ザニオーロと動きが被る場面は要改善
MF
22 ザニオーロ 5.0
個で局面を打開する場面もあったが、全体的にプレー判断が悪くボールを失う場面や流れを止めてしまうシーンも目立った
4 クリスタンテ 5.5
相手退場後は3バックの中央でプレー。無難な捌きにフィードを狙う場面もあったが、ケシエら相手中盤に苦戦
7 ペッレグリーニ 6.0
攻撃の起点として効果的なプレーを見せていた。テオの退場も誘発したが、試合終盤のケアーとの接触ではPKをもらえず
17 ヴェレトゥ 5.5
攻守に最低限の仕事はこなしたが、勤続疲労の蓄積か攻撃面でなかなか良いアクセントを付けられなかった
77 ムヒタリアン 5.5
攻撃の潤滑油の役目を担いつつ、守備でも献身性を見せたが、前半のみの出場に
(→アフェナ=ギャン 5.5)
18歳のガーナ人FWがカリアリ戦に続く途中出場でオリンピコデビュー。相手の屈強な守備陣に対して積極的にチャレンジする姿勢は見せた
FW
9 エイブラハム 4.5
シーズン序盤の身体のキレがなく親友トモリとケアーのコンビに封じ込められた。チームのためにはラクなポジションではなく厳しいエリアで戦うことも必要
(→エル・シャーラウィ 6.0)
古巣相手に一矢報いるゴール。ただ、得点以外の場面では焦りからかミスが目立った
監督
モウリーニョ 5.0
インテル時代から継続していたセリエA無敗記録が「43」でストップ。勝ちに行く姿勢は見せたが、全体的に戦い方が整理されておらず、相手との完成度の差は大きかった
▽ミラン採点

GK
1 タタルサヌ 6.5
失点は完全にノーチャンス。試合最終盤の2度のビッグセーブを含めベテランらしい安定したパフォーマンスだった
DF
2 カラブリア 6.5
前半は攻撃面で良いアクセントになり、後半は守備の局面で奮闘。簡単に一対一でやらせなかった
24 ケアー 7.0
試合を通して攻守にハイレベルのパフォーマンス。強さと巧さを兼ね備えたプレーに卓越したリーダーシップを発揮。守備の主役だった
23 トモリ 6.5
親友エイブラハムに仕事を許さず。押し込まれた状況でも冷静なクロス対応や対人対応が光った
19 テオ・エルナンデス 5.0
前半は決定機に絡んでPK奪取の起点に。ただ、課題の守備ではやや軽率な2つのファウルで退場処分に
MF
56 サーレマーケルス 5.5
味方の退場の煽りを受けるまで攻守両面で精力的にプレー。決定的な仕事はなかったが、必要な仕事なきっちりこなした
(→バロ=トゥーレ 5.5)
スクランブル投入も周囲のサポートを受けながら危なげなく守れていた
4 ベナセル 6.5
機動力と読みを利かせた守備に加え、マイボール時は的確な捌きと効果的なサポートでチームの戦いをスムーズにしていた
33 クルニッチ 5.5
トップ下の位置で効果的にボールを引き出してチャンスに関与。ただ、退場に繋がる不用意なボールロストは頂けなかった
(→バカヨコ 5.5)
球際の強さを生かした守備で逃げ切りに貢献
79 ケシエ 6.5
冷静なPKで決勝点を記録。マイボール時は低い位置で起点となり、守備時は味方を追い越す動きでボールホルダーを潰すなど、多くの仕事をこなした
17 レオン 6.0
決定的な仕事はなかったが、鋭い仕掛けで相手のファウルを誘い。幾つかの決定機にも顔を出した
(→トナーリ 5.5)
機動力と献身性を武器にフィルター役を完遂
FW
11 イブラヒモビッチ 7.0
弾丸FKでリーグ戦通算400、セリエA通算150ゴールを達成。決勝点に繋がるPK奪取を含めて攻撃の主役を担った
(→ジルー 5.5)
味方の退場で思い描いた形にはならなかったが、要所で身体を張った
監督
ピオリ 6.5
テオの退場で最終的には難しい試合になったが、初対決のモウリーニョに対してチームとしての完成度の差を見せつけた
★超WS選定マン・オブ・ザ・マッチ!
ケアー(ミラン)
普通に試合が終わっていた場合、イブラヒモビッチがMOMに相応しい活躍を見せていたが、思わぬ退場で試合の形が変わった中で圧巻のパフォーマンスを見せたディフェンスリーダーをMOMに選出。総合力の高い守備に加え、イブラヒモビッチの幻のゴールをお膳立てするなど持ち味のフィードやビルドアップでも存在感を示した。
ローマ 1-2 ミラン
【ローマ】
エル・シャーラウィ(後48)
【ミラン】
イブラヒモビッチ(前26)
ケシエ(後12[PK])
▽ローマ採点

(C)CWS Brains,LTD.
GK
1 パトリシオ 5.5
1失点場面は逆を突かれる形となったが、相手のシュートを褒めるべき。それ以外はいつも通りの安定したゴールキーピングを見せた
DF
2 カルスドルプ 5.0
1失点目に繋がるファウルなど、守備面では後手の対応が続いた。攻撃では良いタイミングで攻撃参加を見せたが、最後の場面での判断、精度に課題
対人戦での活躍が期待されたが、相手の3センターバックに封じ込まれた
23 G・マンチーニ 5.5
最終的に2失点も流れの中では粘り強く戦えていた。決定的なシュートは相手GKの好守に遭う
3 イバニェス 5.5
痛恨のPK献上も判定が厳しすぎたか…。それ以外は機動力を生かした守備で奮闘。落ち着いた対応が光った
5 ビーニャ 5.5
開始直後に見事な仕掛けで決定機を創出。以降はカラブリアに押し返されたが、大きな穴は作らなかった
(→カルレス・ペレス 5.5)
試合終了間際に決定的なシュートを放ったが、GKの好守に遭う。ザニオーロと動きが被る場面は要改善
MF
22 ザニオーロ 5.0
個で局面を打開する場面もあったが、全体的にプレー判断が悪くボールを失う場面や流れを止めてしまうシーンも目立った
4 クリスタンテ 5.5
相手退場後は3バックの中央でプレー。無難な捌きにフィードを狙う場面もあったが、ケシエら相手中盤に苦戦
7 ペッレグリーニ 6.0
攻撃の起点として効果的なプレーを見せていた。テオの退場も誘発したが、試合終盤のケアーとの接触ではPKをもらえず
17 ヴェレトゥ 5.5
攻守に最低限の仕事はこなしたが、勤続疲労の蓄積か攻撃面でなかなか良いアクセントを付けられなかった
77 ムヒタリアン 5.5
攻撃の潤滑油の役目を担いつつ、守備でも献身性を見せたが、前半のみの出場に
(→アフェナ=ギャン 5.5)
18歳のガーナ人FWがカリアリ戦に続く途中出場でオリンピコデビュー。相手の屈強な守備陣に対して積極的にチャレンジする姿勢は見せた
FW
9 エイブラハム 4.5
シーズン序盤の身体のキレがなく親友トモリとケアーのコンビに封じ込められた。チームのためにはラクなポジションではなく厳しいエリアで戦うことも必要
(→エル・シャーラウィ 6.0)
古巣相手に一矢報いるゴール。ただ、得点以外の場面では焦りからかミスが目立った
監督
モウリーニョ 5.0
インテル時代から継続していたセリエA無敗記録が「43」でストップ。勝ちに行く姿勢は見せたが、全体的に戦い方が整理されておらず、相手との完成度の差は大きかった
▽ミラン採点

(C)CWS Brains,LTD.
GK
1 タタルサヌ 6.5
失点は完全にノーチャンス。試合最終盤の2度のビッグセーブを含めベテランらしい安定したパフォーマンスだった
DF
2 カラブリア 6.5
前半は攻撃面で良いアクセントになり、後半は守備の局面で奮闘。簡単に一対一でやらせなかった
24 ケアー 7.0
試合を通して攻守にハイレベルのパフォーマンス。強さと巧さを兼ね備えたプレーに卓越したリーダーシップを発揮。守備の主役だった
23 トモリ 6.5
親友エイブラハムに仕事を許さず。押し込まれた状況でも冷静なクロス対応や対人対応が光った
19 テオ・エルナンデス 5.0
前半は決定機に絡んでPK奪取の起点に。ただ、課題の守備ではやや軽率な2つのファウルで退場処分に
MF
56 サーレマーケルス 5.5
味方の退場の煽りを受けるまで攻守両面で精力的にプレー。決定的な仕事はなかったが、必要な仕事なきっちりこなした
(→バロ=トゥーレ 5.5)
スクランブル投入も周囲のサポートを受けながら危なげなく守れていた
4 ベナセル 6.5
機動力と読みを利かせた守備に加え、マイボール時は的確な捌きと効果的なサポートでチームの戦いをスムーズにしていた
33 クルニッチ 5.5
トップ下の位置で効果的にボールを引き出してチャンスに関与。ただ、退場に繋がる不用意なボールロストは頂けなかった
(→バカヨコ 5.5)
球際の強さを生かした守備で逃げ切りに貢献
79 ケシエ 6.5
冷静なPKで決勝点を記録。マイボール時は低い位置で起点となり、守備時は味方を追い越す動きでボールホルダーを潰すなど、多くの仕事をこなした
17 レオン 6.0
決定的な仕事はなかったが、鋭い仕掛けで相手のファウルを誘い。幾つかの決定機にも顔を出した
(→トナーリ 5.5)
機動力と献身性を武器にフィルター役を完遂
FW
11 イブラヒモビッチ 7.0
弾丸FKでリーグ戦通算400、セリエA通算150ゴールを達成。決勝点に繋がるPK奪取を含めて攻撃の主役を担った
(→ジルー 5.5)
味方の退場で思い描いた形にはならなかったが、要所で身体を張った
監督
ピオリ 6.5
テオの退場で最終的には難しい試合になったが、初対決のモウリーニョに対してチームとしての完成度の差を見せつけた
★超WS選定マン・オブ・ザ・マッチ!
ケアー(ミラン)
普通に試合が終わっていた場合、イブラヒモビッチがMOMに相応しい活躍を見せていたが、思わぬ退場で試合の形が変わった中で圧巻のパフォーマンスを見せたディフェンスリーダーをMOMに選出。総合力の高い守備に加え、イブラヒモビッチの幻のゴールをお膳立てするなど持ち味のフィードやビルドアップでも存在感を示した。
ローマ 1-2 ミラン
【ローマ】
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【ミラン】
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ケシエ(後12[PK])
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