対策連絡会議での斉藤コミッショナーの鋭い指摘/六川亨の日本サッカーの歩み

2021.09.08 22:30 Wed
©超ワールドサッカー
カタール・ドーハで行われたW杯アジア最終予選の中国対日本戦は、日本が大迫のゴールで初勝利を奪った。前半は5BKで守備を固める中国に手こずったものの、伊東の突破から大迫が最終予選初ゴールを奪取。1-0のスコアには物足りなさが残ったものの、いまの森保ジャパンでは勝点3がなりよりの“良薬"になるに違いない。
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さて今回は9月6日に開催されたNPB(日本野球機構)とJリーグによる対策連絡会議の話題をお届けしたい。第38回目となる会議だったが、東京五輪・パラリンピック前の同会議は、NPBとJリーグはともに「やるべきことはやり尽くした」感が強かった。ところが昨日の会議は、久々に建設的(?)な意見を聞くことができた。
口火を切ったのはNPBの斉藤惇コミッショナーだった。

「フランスはイベントの際にワクチンを2回接種した証明書か、72時間以内のPCR検査の陰性証明がないと入れない。MLB(メジャーリーグ)でもテスト的に似たようなことが行われている。球団によって違うが、ワクチンを2回打った人と、72時間以内にPCR検査を受けた人のゾーンがあり、データ作りをしている。プロ野球はすでにチケットを売ってしまっているが、2度のワクチン接種かPCR検査の陰性証明を導入したい。しかし政府は宣言を先延ばしするだけで、着地点はなく、同じ政策を繰り返しているだけ。これでは政策ではない」と大谷翔平もビックリするような“直球"を投げ込んだ。
現職の総理大臣が「コロナの感染拡大の防止に専念したい」と続投を断念するやいなや、総裁の後継者争いに奔走している政権政党。その最有力候補がコロナ対策の“ワクチン担当"で後手を踏んだ当人なのだから、斉藤コミッショナーならずとも呆れるところだろう。

この提案に、座長の賀来満夫(東北医科薬科大学)ドクターは「ワクチンは効果があるものの、ブレイクスルー、(2回)打っても感染したり、感染しても症状が出ない人もいたりする。このため打ったとしても注意が必要」と警鐘をならした。

一方、オリ・パラの検査を担当した愛知医科大学の三鴨廣繁ドクターは、「オリ・パラはNPBとJを参考に、毎日厳しく検査をしたことで感染を制御できた」と報告しつつ、「陰性かワクチンの証明が経済的にも有効だ」という見解を示した。さらに東邦大学の舘田一博ドクターは「NPBとJの1年半のエビデンスを元に提案して社会経済を再生すべきである」とさたに一歩踏み込んだ発言もあった。

ワクチンを2回接種した証明書か、PCR検査による陰性証明書で、現状の5000人か収容率の50%の少ない方という現行の入場制限を緩和することができれば、これはこれで一歩前進と言えるのではないだろうか。

しかしながら賀来ドクターはメリットとデメリットの両方を指摘した。まずメリットは「安心安全な観戦ができること。ワクチンもPCRも100%ではないが、感染リスクを下げるメリットはある」と言う。一方のデメリットとしては「PCRか抗原か抗体か、いろいろな検査がある。それらの証明書をスタジアムで管理する難しさがある」と指摘した。同じように舘田ドクターも「ワクチンを打ちたくない人、受けたくても受けられない人もいるので、差別的な風潮が起きるのもデメリット」と危惧した。

さらに三鴨ドクターも「実際に検査体制を作るのは各自治体になるだろうが、誰がその費用を負担するのか。PCR検査よりはワクチン証明の方が現実的だが、ワクチンの有効期間をどうするかという問題もある」と実現に向けてのハードルを指摘した。

村井チェアマンは常々上限5000人ではなく、スタジアムのキャパに応じての50%を提言している。ニッパツ三ツ沢や浦和駒場の5000人と、日産スタジアムや埼玉スタジアムの5000人では密集度がケタ外れに違うため、一律に制限するのは整合性を欠いているからからだが、実現するのはやはりそう簡単ではなさそうだ。

そして、これらの結論として、再び斉藤コミッショナーに登場してもらったほうがいいだろう。

「これは国の制度として、イベントを認可しようという方向にはなっていない。検討しているものの、発表を恐れている。批判されることを恐れているので、我々NPBも動けない。(プラスして試合の)興行権は各球団が持っているので、よほどルールから逸脱しないとNPBも介入できないのが現状です」

いろいろと勉強になった対策連絡会議だった。


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