サッカー決勝のライブがなくなった訳/六川亨の日本サッカーの歩み

2021.08.09 22:00 Mon
Getty Images
東京五輪が昨日8日で閉幕した。約2週間、朝テレビをつければ何かしらの競技を見られた日々が終わり、「五輪ロス」に陥っている人も多いかもしれない。
PR
それにしても、開会式に続き意味不明の閉会式だった(個人的な感想です)。パントマイムは何を意味しているのかわからないし、「上を向いて歩こう」は唐突感があったし(イマジンもそう)、なんで大竹しのぶさんが登場したのかも説明がないとわからなかった。日本が世界に向けて発信できる“文化”はアニメだけではないと思うのは、年寄りの愚痴だろうか。
話をサッカーに戻すと、ブラジル対スペインの決勝はすごく楽しみだった。スペインの試合は2試合ほど見たが、ブラジルは初めてとなる。リシャルリソンを始めストライカーのマテウス・クニャなど注目していたが、NHKのBS1で8時30分からライブ中継のはずが、空手の放送時間が伸びたため、そのまま空手の中継となった。

いつもなら、Eテレで放映種目をチェンジするはずで、そのためのリモコンの操作方法も繰り返しオンエアされていた。しかしEテレでもBS1と同じ空手がオンエアされている。地上波とBSで視聴者が異なるかもしれないが、“有料放送”としては納得できなかった(BS8Kは見られないし)。
すぐに新聞のテレビ欄を見てNHKのBS1に電話をしたが、話し中か混雑しているので時間をおいてかけ直すよう録音された音声が流れるだけ。

一部のサッカーファンが楽しみにしている決勝より、やはり日本人の活躍が優先されるのだなと、諦めつつも納得した。

それというのも、五輪を始めて現地取材した08年北京五輪の時だった。反町ジャパンは健闘及ばすアメリカに0-1、ナイジェリアに1-2、オランダに0-1と3試合とも1点差で敗れグループリーグで敗退した。

その後も現地に残って決勝トーナメントや、なでしこジャパンの試合を取材したが、他の競技の日本人選手の活躍をまったくと言っていいほど知ることができなかった。

テレビをつけると、どの競技でも映っているのは中国の選手ばかり。それも順位は関係ない。北島康介や吉田沙保里、伊調馨らの活躍はネットで知るしかない。

そこで改めて気付かされたのは、五輪は開催国のもの。そして他国で開催されている五輪を楽しむにはテレビ観戦に限るということだった。それなら日本人の活躍が手に取るようにわかるからだ。もちろんコロナ禍でなければ現地に訪れて、観戦かたがら地元の人々と交流するという楽しみ方もある。

北京五輪で出会った日本人のボランティア男性は、ドイツ在住で地元企業に勤務していて、夏のバカンスは2ヶ月近くあるそうだ。このため五輪のボランティアを生き甲斐にしていると言っていた。残念ながら4年後のロンドン五輪はIDカードが出なかったため現地へ行けなかったが、16年リオ五輪ではサッカー会場で8年ぶりの再会を果たすことができた。

こうした楽しみ方は、ワールドカップではできない。五輪ならではのエンジョイ方法だ。

次回パリ五輪は3年後だが、そのためのチームが早くも今年10月に立ち上がる。AFC U-23アジアカップ ウズベキスタン2022の予選が10月29日(カンボジア)と31日(北朝鮮)に行われるからだ(開催国は調整中)。

そして9月からはカタールW杯のアジア最終予選も始まる。東京五輪で悔しい思いをした選手たちがどれだけ成長した姿を見せてくれるのか。とりわけ久保と堂安に注目が集まるのは必至だろうが、彼らにしても鎌田や南野、原口らとの激しいポジション争いが待っている。

神戸に新天地を求めた大迫勇也はもちろん、武藤も捲土重来を期しているだろう。競争激化は歓迎するところだ。


PR

オリンピックの関連記事

カナダサッカー協会(CSA)は12日、パリ・オリンピック期間中に発覚したドローンの不正使用問題の独立調査の結果を発表。停職処分を受けていたカナダ女子代表のビバリー・プリーストマン監督(38)が解雇されることとなった。 また、アシスタントコーチのジャスミン・マンダー氏とアナリストのジョセフ・ロンバルディ氏も解雇され 2024.11.13 17:10 Wed
レアル・マドリーのカルロ・アンチェロッティ監督とチェルシー・ウィメンのエマ・ヘイズ監督がヨハン・クライフ・トロフィーを獲得した。 28日、フランスのフットボール専門誌『フランス・フットボール』が主催する2024バロンドール授賞式がパリで開催。今回は最優秀監督賞となるヨハン・クライフ・トロフィーが新設され、男子はア 2024.10.29 17:15 Tue
フランス・フットボールは4日、2023-24シーズンの女子バロンドール候補30名を発表した。 なでしこジャパンからは昨年に続きMF長谷川唯(マンチェスター・シティ)が選出されている。 候補者30名のなかには昨年受賞のスペイン女子代表MFアイタナ・ボンマティの他、パリ・オリンピック優勝のアメリカ代表からFWト 2024.09.05 07:30 Thu
フランス・フットボールは4日、2023-24シーズンのコパ・トロフィー候補10名を発表した。 2018年に新設され、21歳以下の若手が対象となるコパ・トロフィー。昨年はレアル・マドリーのMFジュード・ベリンガムが受賞していた。 候補者にはユーロ優勝に大きく貢献したスペイン代表FWラミン・ヤマル(バルセロナ) 2024.09.05 06:15 Thu
日本サッカー協会(JFA)は3日、なでしこジャパンの宮本ともみコーチ(45)が、契約満了により退任することを発表した。 宮本コーチは、現役時代になでしこジャパンのメンバーとしてもプレー。ワールドカップ(W杯)に3大会出場し、アテネ・オリンピックにも出場。77試合で13得点を記録していた。 現役引退後は指導者 2024.09.03 18:45 Tue

NEWS RANKING
Daily
Weekly
Monthly