もっとゴールを見られるといいんだけど…/原ゆみこのマドリッド

2021.07.31 15:00 Sat
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「最近は結構、すぐ解放されるのね」そんな風に私が驚いていたのは金曜日、丁度、1週間前、コロナ陽性となったベンゼマとコンドグビアがもう、それぞれバルデベバス(バラハス空港の近く)、マハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場に姿を見せたとお昼のニュースで知った時のことでした。いやあ、ほんの2カ月程前、ユーロ2020前のスペインA代表の合宿でブスケツ(バルサ)がPCR検査に引っかかり、ラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設から自宅に強制送還された際には、10日間の隔離が必要だったんですけどね。ベンゼマはすでに3度のPCR陰性が出たため、リヨンにある実家を離れ、スペイン入国が叶ったようで、コンドグビアも昨季アトレティコに来る前、バレンシア時代に1度、感染しているせいか、今度はすぐにウィルス量が減少したのだとか。
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となれば、この水曜に陽性となったレアル・マドリー唯一の新顔、ダビド・アラバ(バイエルンとの契約を満了して入団)も次のプレシーズンマッチ、8月6日のミラン戦には出場できるようになるんじゃないかと思いますが、何せ今のところ、アンチェロッテイ監督が使えるトップチームのCBはナチョしかいませんからね。そう、契約延長できずにPSGに行ってしまったセルヒオ・ラモスに続き、今週、マンチェスター・ユナイテッドへの移籍が発表されたバランもこの金曜、チームメートにお別れを告げに午前セッションを訪問。コパ・アメリカ準優勝のブラジル代表に参加していたミリトンが戻るのも来週、グラナダへのレンタル移籍を終えたバジェホもオリンピック・スペイン代表で日本滞在中となれば、それまでチュストら、カンテラーノ(RMカスティージャの選手)が頑張って、代役を務めるしかないんですよ。それ以外にもプレシーズン練習初日から来てはいるものの、まだ昨季の負傷のリハビリをしているメンディ、木曜に2025年までの契約延長が決まったとはいえ、こちらも個人メニューが続いているカルバハル、そしてこの夏こそ、体重8kgオーバーはしてなさそうですが、ユーロのベルギー代表でケガをしたアザールもチーム練習には加わっておらずと、欠けているメンバーがいるマドリーなんですが、まあしばらくは試合もありませんからね。人事異動の方もウーデゴーアが今度こそ、レンタルでない移籍になるかもとか、イスコ、マリアーノは放出要員とかいう話は聞いても、入りの方はPSGのプレシーズン練習に合流したエムバペがポチェッティーノ監督に契約更新はしないと言ったとか、言わないとか。
とにかくあちら側で話が止まっているため、しばらく変化はなさそうですし、今はマドリーから3人の選手が参加しているスペイン代表の試合がどうだったか、お伝えしていくことにすると。水曜に埼玉スタジアムでグループリーグ最終節のアルゼンチン戦を迎えたデ・ラ・フエンテ監督のチームは、うーん、この日はまた前線の3人をオジャルサバル(レアル・ソシエダ)、アセンシオ(マドリー)、ダニ・オルモ(ライプツィヒ)に戻したんですけどね。ゴールがなかなか決まらない流れは変わらず、ペドリ(バルサ)やオジャルサバルがシュートを撃ったものの、前半は両者無得点のまま、ハーフタイムに入ることに。

それでも後半21分にはいいコンビネーションを見せて、アセンシオが右から上げたクロスをオルモが落とすと、ミケル・メリノ(レアル・ソシエダ)がシュートして、とうとう虎の子の1点をゲット。この大会、まだ失点していなかったスペインだけに、あとは上手く逃げ切れればと思ったところ、何せ、相手も決勝トーナメント進出が懸かっていましたからね。他会場でエジプトがオーストラリアに勝っていたせいもあって、42分にはCKからベルモンテ(ラヌース)がヘッドを決め、同点に追いついてきたから、ここはちょっと、デ・ラ・フエンテ監督も焦ったかも。すぐさまメリノ、オスカル・ヒル(エスパニョール)をモンカジョラ(オサスナ)、バジェホに代え、勝ち越し点を狙うアルゼンチンを抑えにかかったところ、そのまま、1-1で引き分けて試合は終了。グループ首位通過できただけでなく、直前に同じ会場でサウジアラビアに1-3と快勝、余裕のスタンド観戦をしていたブラジルと準々決勝で当たらなくて済むことになったのは大きかったかと。
いや、まあ、ここまでの3試合のようにどんなにシュートを沢山撃っても最大1点しか取れないのでは、土曜午前10時(日本時間午後5時)からのコートジボワール戦でもスペインは苦労しそうなんですけどね。ただ、デ・ラ・フエンテ監督によると、「ウチは得点のチャンスを十分、活用していないが、これはもっと精度が上がるまでのプロセス。まだ少ない日数しか練習していないプレシーズン中の選手たちは、そういうところが欠けている」そうなんですが、でもお、実際、チャンスに決めきれていないのはオジャルサバル、オルモ、ペドリら、ユーロ2020から流れてきたメンツの方だったのでは?

といっても、もちろん各国リーグのシーズン終了後、ほとんど休みもなしにお国の奉公に駆り出されている選手たちを責める訳にもいかず、いえ、EL決勝マンチェスター・ユナイテッド戦で120分間プレーして、PK戦でも貢献。優勝祝いの酔いも覚めぬうちにA代表の合宿に合流したパウ・トーレス(ビジャレアル)など、24才と若いからでしょうかね。「Para defender la camiseta de tu país uno nunca está cansado/パラ・デフェンデール・ラ・カミセタ・デ・ツ・パイス・ウノ・ヌンカ・エスタ・カンサードー(母国のユニフォームのためなら、疲れることなど決してない)」と言っていましたけどね。それどころか、8月11日開催のUEFAスーパーカップのチェルシー戦にも出たいそうで、え、そしたらいつ、彼はバケーションを取る?

もうその週末にはラ・リーガも開幕しますしね。各クラブのファンにしてみれば、所属選手には早く戻って来てもらいたいところでしょうが、オリンピックも長くてあと3試合。こうなったら、丁度、「El equipo está creciendo mucho/エル・エキポ・エスタ・クレシエンドー・ムーチョ(チームはぐんぐん成長していっている)。初戦に比べたら、フィジカル的にも皆の理解度もずっと良くなった。一緒に練習したのが3日間だけだったから、最初は大変だったんだ」とエリック・ガルシア(マンチェスター・シティからバルサに移籍)も言っていた通り、ユーロ組、現U21組、2年前のU21ユーロ優勝組と混在している選手たちがまとまってきたこともありますし、いっそ8月7日の決勝までたどり着いて、優勝を狙うのもいいかもしれませんね。

ちなみに準々決勝では、アルゼンチン戦で累積警告となった右SBオスカル・ヒルに代わって、エジプト戦でのケガが治ったミンゲサ(バルサ)が出場する予定。足首ネンザのセバージョス(昨季はマドリーからアーセナルにレンタル)の方も奇跡的に木曜はボールを蹴れるぐらい回復していたんですが、仙台スタジアムでの前日練習では感触が良くなかったため、宮城スタジアムのスタンドでチームが準決勝進出を決めてくれるよう、応援に専念するようです。

そしてスペインにいる私にとって、オリンピックは午前中の試合なんですが、このところ、夕方からはプレシーズンマッチが花盛り。以前はマドリーやバルサ、アトレティコぐらいしか、TV中継はなかったものの、嬉しいのは去年ぐらいから、YouTubeでライブ配信してくれるチームが増えたことでしょうか。おかげでアトレティコのザルツブルク戦と重なるため、観戦には行かなかった2部の弟分、レガネスがシュダッド・デポルティーバ・ブタルケで行ったラージョ・マハダオンダ(RFEF1部、ラージョ・バジェカーノとは関係ない)との試合も見ることができたんですが、ちょっと今の時期は暑そうな感じですかね。その日、初めてお目見えしたpepino(ペピーノ/キュウリ)の濃いグリーンをモチーフにした第2ユニは。

これもレガネスの愛称がpepinero(ペピネーロ)だからなんですが、焼けるような夕日が照りつける中で行われた試合の方はアシエル・ガリターノ監督のチームがカテゴリーの差を示し、前半早い時間にサビン・メリーノ、ファン・ムニョスのゴールで2点を先行。24分には1点を返されたものの、柴崎岳選手も交代出場した後半途中以降もスコアは変わらず、そのまま2-1で勝利することに。昨季は昇格プレーオフ準決勝で同じマドリッド勢のラージョに負け、最短1部Uターンを逃した彼らですが、戦力補強も着々と進んでいるようですしね。今季はまた、ブタルケにファンを迎えることができるのを励みに精進を続けてくれるといいですね。

そしてアトレティコの方はまた、スタメンのトップチームウメンバーがGKオブラク、サウール、エルモーソの3人だけ。あとはカンテラーノ(アトレティコBの選手)ばかりという陣容だったんですが、やっぱり難しいですよね。先日のヌマンシア(RFEF2部)こそ、何とかPK戦で勝ったとはいえ、この日の相手は昨季のCLグループリーグでも対戦している実力派チーム。しかもオーストリア・ブンデスリーガは先週末に開幕しているとあって、準備もずっと進んでいるとなれば、前半34分にカウンターから、アデイエミに決められた1点を返せず、1-0で負けてしまっても仕方なかった?

いえ、後半10分にはシメオネ監督の三男、18才のジュリアーノが見事なゴールを決め、一時は同点になったかに見えたんですけどね。アシストしたBチームの先輩、カメージョがトラップの際にボールが手に当たったとハンドを取られ、残念ながら、スコアボードには上がらず。最後は大人のチームの選手がアリアスだけだったことを考えると、それ以上の失点を許さなかった、2部Bから降格して、今季は3部(実質5部)で戦う若い子たちを褒めるべきなんでしょうが、ここに来て、ますます心配になってきた選手が約1名。

それはサウールで、彼はこの2試合、先発しているんですけどね。この夏は当人の希望もあって、今はまだ、イビサ(地中海のリゾートアイランド)でメッシ一家とバケーションを過ごしているルイス・スアレスを補完するFWを獲るため、多額の移籍金をもたらしてくれるはずというクラブの期待が懸かっているにも関わらず、出場すればする程、評価が下がっていくんですよ。

そう、ヌマンシア戦でも同点ゴールを奪われるパスミスをしたのに続き、この日もザルツブルクの先制点は彼のボールロストからと、一応、マジメにはプレーしているんですけどね。金曜午後に私が見学に行った練習でもジュリアーノを始め、カンテラの後輩たちに見本を示していましたが、コロナ明けのコンドグビア以下、遅れて合流したレマル、カラスコ、ヒメネス、ベルサイコ、フェリペ、そして期待の新戦力、ロドリゴ・デ・パウル(ウディネーゼから移籍)らもそろそろ、実戦で足慣らしをしても良さそうになっていましたからね。ザルツブルク遠征前に負傷したマルコス・パウロ(フルミネンセから移籍)と丁度、金曜の朝から、復帰したコケとマルコス・ジョレンテのスペイン代表ユーロ組はまだ個別メニューで姿が見えなかったものの、土曜午後6時(日本時間翌午前1時)からのボルフスブルク戦には、傷口をこれ以上広げないためにもサウールは出ない方がいい?

まあ、その辺はシメオネ監督の考え次第ですが、トップチームのメンバーも来週頭にコパ・アメリカ決勝組のコレア、ロディ、ユーロ決勝組のトリッピアー、そしてオリンピックでグループ敗退したアルゼンチン代表のネウエン・ペレス(昨季はグラナダにレンタル)が合流すれば、ほぼ揃い。例外はメキシコ代表キャプテンを務めるエレーラだけで、ゴールドカップ準決勝のカナダ戦、後半ロスタイム9分に2-1での勝利を決めるゴールを挙げた彼は日曜にアメリカとの決勝を済ませてから、戻って来ることになりますが、もうラ・リーガ開幕もあと2週間に迫りましたからね。ファンもそろそろ、8月4日のカランサ杯(カディスが主催する夏の親善試合)や8日のフェイエノールト戦では昨季王者の強さの片鱗を見せてもらいたいんじゃないでしょうか。

そして金曜にはマドリッドの弟分親善対決があり、1部のヘタフェが2部のフエンラブラダを残り5分にチェマのゴールで下し、これでプレシーズンマッチ4連勝。丁度、私も彼らの練習を木曜に見学してきたばかりだったんですが、やっぱりボルダラス監督(現バレンシア)から、ミチェル監督に代わって、一番大きな違いはセッションの時間が3時間から、1時間ちょっとに減ったことでしょうか。狭い区画でのミニゲームのような、ボールを扱うメニューも多かったですしね。昨季は兎角、苦労したPKの練習などもちゃんとやっていましたし、何より今はマドリッドの暑さも半端なし。ヘタフェには土曜朝10時から、ラージョとの練習試合も入っているため、今はどの選手も熱中症とケガに気をつけて、リーガ開幕を迎えてくれたらと思います。


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