東京五輪で道交法が変わった?/六川亨の日本サッカーの歩み
2021.07.20 15:00 Tue
U-24日本対U-24南アフリカ戦を3日後に控えた19日、南アの選手2名とスタッフ1名の3名が新型コロナウイルスの陽性判定を受けた。さらに残りのメンバー21名も保健所の検査により濃厚接触者と判定された。
過去の夏期オリンピックでは、第一次世界大戦(1916年ベルリン五輪)と第二次世界大戦(40年東京五輪)で2度の中止と、ソ連のアフガニスタン侵攻により西側諸国がボイコット(80年モスクワ五輪)したり、その報復に東側諸国がボイコット(84年ロサンゼルス五輪)したりした。
しかし今回は新型コロナウイルスのパンデミックという、これまで経験したことのない脅威の中での開催だ。もしも日本対南アの試合が開催できなければ初めてのケースになるだろうし、南ア戦だけでなく他のカード、もしくは他の競技にも同様のケースが起こらないとは断言できない。こちらは今後も注意深く見守る必要があるだろう。
19日の昼過ぎに大宮対浦安の練習試合を取材するためクルマを走らせていたが、平日の日中なのにやけに交通量が多く渋滞している。するとラジオからは高速道路の入り口閉鎖のニュースが流れてきた。こんなところにも影響が出てくるのだと実感した。
高速道では日中料金を午前6時から午後10時まで通常料金にプラスして、1000円を上乗せすることで交通量を規制しようとしている。期間は19日から8月9日までと、パラリンピックの期間中の8月24日から9月5日までだ。こちらはクルマに乗っていると、それを伝える電光掲示板での表示があるため知っていた。
しかしTVで報道するまで、東京都と千葉県の一般道で、選手や大会関係者が乗る車両の専用レーンと優先レーンがあることは知らなかった。通行証を持たない一般車両がこのレーンを走ると道交法の違反となり、普通車は違反点数1点と反則金6000円を支払わないといけないらしい。
こちらに関しては、ほとんど告知していない(と思う)ので、知らずに走ってしまい“被害"にあうドライバーも多いのではないだろうか。これは大会組織委員会と政府の怠慢以外のなにものでもないと思う。
86年メキシコW杯を取材した時のことだ。選手、関係者はもちろん、メディアも移動手段はバスがメインだった。当時はメキシコシティに地下鉄こそあったものの、それ以外の移動手段はバスかタクシーかレンタカーしかなかった。そしてメインメディアセンターからスタジアムへはメディア専用のバスがあり、白バイが先導したため渋滞に巻き込まれることはなかった。
ただ、貧しい人々が暮らすネサでは、プレスバスを目がけて石を投げたり、徐行運転になると車体に蹴りを入れたりする若者がいた。それだけ不満が溜まっていたのだろう。
90年イタリアW杯などヨーロッパでの大会は、基本的に都市間の移動手段は列車になる。それでもナポリでのゲームでは、プレスセンターからのバスが確実な移動手段だった。広い道路には今回の東京五輪と同様に大会関係者専用のレーンがあったものの、それを守るナボリっ子は1人もいない。
かくして大渋滞になるが、先導する白バイは突然、空いている反対車線にコースを変え、サイレンを鳴らして信号無視でプレスバスを先導。乗客のスペイン人らしい記者は「バモ! バモ!(行け、行け)」とはやしたてていた。
この白バイやパトカーによる先導は、14年ブラジルW杯でも活躍した。ブラジルでの移動手段の基本は飛行機である(広大なため)。そして空港からはバスかタクシーになる。そこで代表チームを乗せたバスが走る時間帯の高速道は、一般車の乗り入れが一切禁止となり、パトカーが前後について、かなりのスピードでキャンプ地まで先導した。
同じようなこと(パトカーの先導)はW杯予選のオーストラリアでも目撃したが、残念ながら日本はパトカーによる先導が法的に認められていない。02年の日韓W杯ではパトカーが先導したものの、選手バスの移動のタイミングに応じてすべての信号を“青“に変える高等テクニックを使った。まさに日本ならではの芸当だろう。
しかし東京五輪では、日韓W杯とは比べものにならない法規制を実施する。それもこれも新型コロナウイルスの影響かもしれないが、それならいっそ、白バイやパトカーによる先導と信号無視などを認める法改正を――時限立法でもいいから――すべきではないだろうか。
専用レーンを走ったら減点1と反則金は、なんだかだまし討ちのような気がしてならないからだ。
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発熱の症状があり陽性と判明したのはDFジエームズ・モニャンとMFカモヘロ・マーラツィで、選手村を出てホテルに隔離されているそうだ。そして濃厚接触者のチームメイトとスタッフは全員が自室待機となっている。日本政府と組織委員会は、試合開始(20時)6時間前のPCR検査で陰性なら出場を認めるが、果たしてどんな結果が出るか予断を許さない。しかし今回は新型コロナウイルスのパンデミックという、これまで経験したことのない脅威の中での開催だ。もしも日本対南アの試合が開催できなければ初めてのケースになるだろうし、南ア戦だけでなく他のカード、もしくは他の競技にも同様のケースが起こらないとは断言できない。こちらは今後も注意深く見守る必要があるだろう。
さて、開幕を控えて都内の首都高速道では大規模な交通規制が始まった。料金所のレーン数を減少したり、入り口を封鎖したりして交通量を減らし、選手と大会関係者がスムーズに移動できるようにするためだ。
19日の昼過ぎに大宮対浦安の練習試合を取材するためクルマを走らせていたが、平日の日中なのにやけに交通量が多く渋滞している。するとラジオからは高速道路の入り口閉鎖のニュースが流れてきた。こんなところにも影響が出てくるのだと実感した。
高速道では日中料金を午前6時から午後10時まで通常料金にプラスして、1000円を上乗せすることで交通量を規制しようとしている。期間は19日から8月9日までと、パラリンピックの期間中の8月24日から9月5日までだ。こちらはクルマに乗っていると、それを伝える電光掲示板での表示があるため知っていた。
しかしTVで報道するまで、東京都と千葉県の一般道で、選手や大会関係者が乗る車両の専用レーンと優先レーンがあることは知らなかった。通行証を持たない一般車両がこのレーンを走ると道交法の違反となり、普通車は違反点数1点と反則金6000円を支払わないといけないらしい。
こちらに関しては、ほとんど告知していない(と思う)ので、知らずに走ってしまい“被害"にあうドライバーも多いのではないだろうか。これは大会組織委員会と政府の怠慢以外のなにものでもないと思う。
86年メキシコW杯を取材した時のことだ。選手、関係者はもちろん、メディアも移動手段はバスがメインだった。当時はメキシコシティに地下鉄こそあったものの、それ以外の移動手段はバスかタクシーかレンタカーしかなかった。そしてメインメディアセンターからスタジアムへはメディア専用のバスがあり、白バイが先導したため渋滞に巻き込まれることはなかった。
ただ、貧しい人々が暮らすネサでは、プレスバスを目がけて石を投げたり、徐行運転になると車体に蹴りを入れたりする若者がいた。それだけ不満が溜まっていたのだろう。
90年イタリアW杯などヨーロッパでの大会は、基本的に都市間の移動手段は列車になる。それでもナポリでのゲームでは、プレスセンターからのバスが確実な移動手段だった。広い道路には今回の東京五輪と同様に大会関係者専用のレーンがあったものの、それを守るナボリっ子は1人もいない。
かくして大渋滞になるが、先導する白バイは突然、空いている反対車線にコースを変え、サイレンを鳴らして信号無視でプレスバスを先導。乗客のスペイン人らしい記者は「バモ! バモ!(行け、行け)」とはやしたてていた。
この白バイやパトカーによる先導は、14年ブラジルW杯でも活躍した。ブラジルでの移動手段の基本は飛行機である(広大なため)。そして空港からはバスかタクシーになる。そこで代表チームを乗せたバスが走る時間帯の高速道は、一般車の乗り入れが一切禁止となり、パトカーが前後について、かなりのスピードでキャンプ地まで先導した。
同じようなこと(パトカーの先導)はW杯予選のオーストラリアでも目撃したが、残念ながら日本はパトカーによる先導が法的に認められていない。02年の日韓W杯ではパトカーが先導したものの、選手バスの移動のタイミングに応じてすべての信号を“青“に変える高等テクニックを使った。まさに日本ならではの芸当だろう。
しかし東京五輪では、日韓W杯とは比べものにならない法規制を実施する。それもこれも新型コロナウイルスの影響かもしれないが、それならいっそ、白バイやパトカーによる先導と信号無視などを認める法改正を――時限立法でもいいから――すべきではないだろうか。
専用レーンを走ったら減点1と反則金は、なんだかだまし討ちのような気がしてならないからだ。
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