W杯2次予選は日本でセントラル開催の裏側/六川亨の日本サッカー見聞録
2021.05.14 21:15 Fri
JFA(日本サッカー協会)は13日、カタールW杯アジア2次予選の残り6試合が日本でのセントラル開催になることと、その対戦スケジュールを発表した。
まずは5月28日、フクダ電子アリーナでのミャンマー戦(19時30分キックオフ。無観客試合)でスタートする。軍事クーデターにより政情が不安なミャンマーだが、13日の理事会後、須原専務理事は次のように見通しを語った。
「ミャンマー協会とは密に連絡を取っています。協会から『行ける』と連絡が来ていますし、日本で練習もしたいと言っている。我々としては受け入れ態勢を整えるだけで、まだ来日のフライトまでは決定していません」
ミャンマーに対しては市民への発砲など人権問題で国際的に批判が集中しているものの、「いまのところ、その議論は出ていません。(日本政府への)入国許可はこれから取ります」(須原専務理事)ということだった。
サムライブルーはその後、札幌に移動してキリンチャレンジカップのジャマイカ戦(19時30分)、7日はパナソニックスタジアム吹田でのタジキスタン戦(19時30分)があり、同日はヤンマースタジアム長居でキルギス対モンゴル戦(16時)もある。
新型コロナウイルスの感染が拡大するなかでサムライブルーの活動が決定した背景について、須原専務理事は「基本ポリシーは2つです。まず関係者の安全の確保、次いで政府・自治体の考えと一致させること。中止や延期は想定していませんが、その時の状況を考慮し、タイムリーに動いていきたい。3月の経験と知見があり、安全な準備態勢を取りたい」と、3月の韓国戦やモンゴル戦、U―24アルゼンチンとの2試合などが評価されたことを強調した。
当初W杯予選はオーケーでも、セルビア戦は中止になることが危惧された。この点についても「強化試合は公式戦のパフォーマンスを上げるためと話して理解してもらった」と須原専務理事。さらに今回の特例について「W杯予選と五輪の準備は大切なポイント」とも話した。
今週初めのNPBとJリーグの対策連絡会議でも、政府は緊急事態宣言を継続しながら、プロ野球とJリーグの有観客試合を自ら認可した。それと同じように、5月31日で緊急事態宣言が解除されるかどうか分からない状況で政府・自治体がサムライブルーの活動を認可したのは、3月の実績があるとはいえ、東京五輪開催のためのプロパガンダと思えてならない。
3月と同様に、海外から訪れる選手はバブル方式で対処し、公共交通機関を使わず、札幌への移動はチャーター機を用意し、ホテルに隔離し、定期検査を欠かさず実施。さらに必要な措置を政府と自治体と議論する予定だ。
サムライブルーだけでも来日するチームはジャマイカ、セルビア、ミャンマー、モンゴル、キルギス、タジキスタンの6チーム。これに日本の海外組を加えたら、バブル方式での対処はかなりのコストがかかるはず。
さらに6月上旬はU-24日本代表の強化試合が博多と豊田であり、なでしこジャパンは広島、栃木での試合が予定されている。対戦相手が各1試合なら4チームが来日する計算になり、サムライブルーと合わせれば10チーム×23人で230人の選手に加え、監督やコーチなどのスタッフを含めれば300人近くの大所帯になるだろう。そんな彼らが日本列島を大移動する。
だからこそ、「五輪のシミュレーションになる」とも言える。他の競技ではここまで来日チームを招聘できないだろうし、バブル方式やPCR検査などのノウハウもサッカー界はここ1年で蓄積してきた。JFAとしてはW杯予選を実施したいし、五輪でメダルを獲得したい。一方の日本政府は、国内外からの逆風に対して感染者を出さず、無事に国際大会を開催できれば安全のアピールになる(それも身銭を切らず)。
そうした日本政府の思惑(だったとして)を癪に感じているのは僕だけではないだろう。
最後に改めてアジア予選の現状を確認した。グループFの日本は現在5連勝で勝点15の首位で、あと1勝すればグループリーグ突破が決まる。残り1試合で勝点3の最下位モンゴルは予選敗退が決定。残る1枠を勝点10のタジキスタン(残り2試合)、同7のキルギス(残り3試合)、同6のミャンマー(残り3試合)が争っている状況だ。
日本がミャンマー戦に勝利して予選突破を決めたら、2位争いに注目してみるのも面白いのではないだろうか。
まずは5月28日、フクダ電子アリーナでのミャンマー戦(19時30分キックオフ。無観客試合)でスタートする。軍事クーデターにより政情が不安なミャンマーだが、13日の理事会後、須原専務理事は次のように見通しを語った。
「ミャンマー協会とは密に連絡を取っています。協会から『行ける』と連絡が来ていますし、日本で練習もしたいと言っている。我々としては受け入れ態勢を整えるだけで、まだ来日のフライトまでは決定していません」
サムライブルーはその後、札幌に移動してキリンチャレンジカップのジャマイカ戦(19時30分)、7日はパナソニックスタジアム吹田でのタジキスタン戦(19時30分)があり、同日はヤンマースタジアム長居でキルギス対モンゴル戦(16時)もある。
11日は再びキリンチャレンジカップのセルビア戦(19時25分)がノエビアスタジアム神戸で開催され、ミャンマー対キルギス戦がヤンマースタジアム長居で行われる(16時)。そして15日にサムライブルー対キルギス戦(19時25分)がパナソニックスタジアム吹田で、タジキスタン対ミャンマー戦(19時25分)がヤンマースタジアム長居で開催される予定だ。
新型コロナウイルスの感染が拡大するなかでサムライブルーの活動が決定した背景について、須原専務理事は「基本ポリシーは2つです。まず関係者の安全の確保、次いで政府・自治体の考えと一致させること。中止や延期は想定していませんが、その時の状況を考慮し、タイムリーに動いていきたい。3月の経験と知見があり、安全な準備態勢を取りたい」と、3月の韓国戦やモンゴル戦、U―24アルゼンチンとの2試合などが評価されたことを強調した。
当初W杯予選はオーケーでも、セルビア戦は中止になることが危惧された。この点についても「強化試合は公式戦のパフォーマンスを上げるためと話して理解してもらった」と須原専務理事。さらに今回の特例について「W杯予選と五輪の準備は大切なポイント」とも話した。
今週初めのNPBとJリーグの対策連絡会議でも、政府は緊急事態宣言を継続しながら、プロ野球とJリーグの有観客試合を自ら認可した。それと同じように、5月31日で緊急事態宣言が解除されるかどうか分からない状況で政府・自治体がサムライブルーの活動を認可したのは、3月の実績があるとはいえ、東京五輪開催のためのプロパガンダと思えてならない。
3月と同様に、海外から訪れる選手はバブル方式で対処し、公共交通機関を使わず、札幌への移動はチャーター機を用意し、ホテルに隔離し、定期検査を欠かさず実施。さらに必要な措置を政府と自治体と議論する予定だ。
サムライブルーだけでも来日するチームはジャマイカ、セルビア、ミャンマー、モンゴル、キルギス、タジキスタンの6チーム。これに日本の海外組を加えたら、バブル方式での対処はかなりのコストがかかるはず。
さらに6月上旬はU-24日本代表の強化試合が博多と豊田であり、なでしこジャパンは広島、栃木での試合が予定されている。対戦相手が各1試合なら4チームが来日する計算になり、サムライブルーと合わせれば10チーム×23人で230人の選手に加え、監督やコーチなどのスタッフを含めれば300人近くの大所帯になるだろう。そんな彼らが日本列島を大移動する。
だからこそ、「五輪のシミュレーションになる」とも言える。他の競技ではここまで来日チームを招聘できないだろうし、バブル方式やPCR検査などのノウハウもサッカー界はここ1年で蓄積してきた。JFAとしてはW杯予選を実施したいし、五輪でメダルを獲得したい。一方の日本政府は、国内外からの逆風に対して感染者を出さず、無事に国際大会を開催できれば安全のアピールになる(それも身銭を切らず)。
そうした日本政府の思惑(だったとして)を癪に感じているのは僕だけではないだろう。
最後に改めてアジア予選の現状を確認した。グループFの日本は現在5連勝で勝点15の首位で、あと1勝すればグループリーグ突破が決まる。残り1試合で勝点3の最下位モンゴルは予選敗退が決定。残る1枠を勝点10のタジキスタン(残り2試合)、同7のキルギス(残り3試合)、同6のミャンマー(残り3試合)が争っている状況だ。
日本がミャンマー戦に勝利して予選突破を決めたら、2位争いに注目してみるのも面白いのではないだろうか。
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overflow:hidden; padding:8px 0 7px; text-align:center; text-overflow:ellipsis; white-space:nowrap;"><a href="https://www.instagram.com/p/Clo2ePCPNB8/?utm_source=ig_embed&utm_campaign=loading" style=" color:#c9c8cd; font-family:Arial,sans-serif; font-size:14px; font-style:normal; font-weight:normal; line-height:17px; text-decoration:none;" target="_blank">ESPN FC(@espnfc)がシェアした投稿</a></p></div></blockquote> <script async src="//www.instagram.com/embed.js"></script> 2022.12.03 15:33 Sat4
森保監督続投で歴代最長監督はというと…/六川亨の日本サッカーの歩み
まだ正式決定ではないが、森保一監督の『2年間の』続投が決まったようだ。正式には来年のJFA(日本サッカー協会)理事会での承認待ちになる。その頃にはコーチ陣などのスタッフの詳細も決定しているだろう。 93年のJリーグ誕生以降、日本代表の監督は基本的にW杯の4年サイクルで交代してきた。例外は94年のアジア大会で韓国に敗れたロベルト・ファルカン氏、97年のアウェー中央アジア2連戦で更迭された加茂周氏、07年に病に倒れたイヴィチャ・オシム氏、15年に契約解除されたハビエル・アギーレ氏、そして18年に解任されたヴァイッド・ハリルホジッチ氏の5人しかいない。 そうした過去30年の歴史のなかで、初めて『続投』が決定的となったのが森保監督である。目標としていた「ベスト8」には届かなかったものの、大国ドイツとスペインに逆転勝ちを収めたことが高く評価されたことは言うまでもない。 そこで過去の歴代監督の任期を振り返ると、上には上がいるもので、長沼健氏(元JFA会長)は1962年から69年までの7年間と、さらに72年から76年までの4年間、トータル11年間も日本代表の監督を務めた。「時代が違う」と言ってしまえばそれまでだが、おそらく2度と破られることのない記録と言っていいだろう。 長沼氏が“長期政権"を担うことになったのには理由がある。64年に東京五輪があったからだ。このため62年に33歳の若さで監督に抜擢された。そして東京五輪ではグループリーグでアルゼンチンを倒して決勝トーナメントに進出。準々決勝で銀メダルに輝いたチェコスロバキアに0-4で敗れたが、ベスト8進出で日本に“第1次サッカーブーム"を巻き起こした。 さらに4年後のメキシコ五輪では、アジア勢初となる銅メダル獲得の快挙を達成。その再現を半世紀後の21年東京五輪で森保監督は期待されたが、残念ながらメダルにはあと一歩届かなかった。 長沼氏は69年のメキシコW杯アジア1次予選で、韓国とオーストラリアの後塵を拝したことで監督の座をコーチだった岡野俊一郎氏(元JFA会長)に譲る。しかし岡野氏が71年のミュンヘン五輪予選で韓国とマレーシアに負けたことで、日本サッカーの復権は再び長沼氏に託されることになった。 ところが73年の西ドイツW杯アジア予選はイスラエル(当時はアジアに所属し、中東勢が対戦を拒否したため予選は東アジアに組み込まれた)とマレーシアに敗れ、76年のモントリオール五輪アジア予選も韓国とイスラエルに敗れて監督から退くことになった。 当時の日本サッカーは、「W杯予選は負けても当たり前」であり、五輪予選で敗退するたびに監督は交代していた。Jリーグ開幕以前では、92年のバルセロナ五輪アジア最終予選で敗れた横山謙三総監督、88年ソウル五輪アジア最終予選で中国に逆転負けを喫した石井義信氏(故人)、80年モスクワ五輪アジア予選で韓国とマレーシアに及ばなかった下村幸男氏らである。 しかし96年のアトランタ五輪に28年ぶりに出場して以来、五輪出場は7大会連続して出場。その間には12年ロンドン五輪と21年東京五輪ではメダルまであと一歩に迫った。もう五輪は出場するのは当たり前で、次の24年パリ五輪は「メダル獲得」がノルマになるだろう。 同じようにW杯も98年以降7大会連続して出場中で、さらに2026年のアメリカ・カナダ・メキシコ大会は出場国が48に増えるため、出場権を失うことはまず考えられない。森保監督にとっては「ベスト8」への再チャレンジになるが、その前に横内昭展ヘッドコーチは磐田の監督に、上野優作コーチはFC岐阜の監督に転身するなどスタッフの陣容は一新せざるを得ない。 果たして新たなスタッフの顔ぶれはどうなるのか。そこに外国人コーチが入るのかどうかなどは楽しみなところ。 そして森保監督は、23年こそ秋まで親善試合しかない“静かな"一年になるものの、21年東京五輪は「金メダル」を目標に掲げながらも4位に終わり、カタールW杯も「ベスト8」が目標だったがラウンド16で敗退した。このため、まだ先の話ではあるが、24年のアジアカップでは『優勝』がW杯まで続投するためのノルマにすべきではないだろうか。 2022.12.26 22:00 Mon5
