緊急事態宣言継続でも有観客試合を国が推奨?/六川亨の日本サッカーの歩み
2021.05.11 18:15 Tue
何かと慌ただしい週の始まりだった。10日はNPB(日本野球機構)とJリーグの31回目となる「新型コロナウイルス対策連絡会議」が開催された。スポーツニッポンは浦和が酒井宏樹を獲得と報じ、夕方には神戸が“「イニエスタ選手に関する重要な記者会見」のライブ配信実施のお知らせ”を発信した。
イニエスタに関して言えば、すでに報じられているように2年間の契約延長となった。当日37歳となったイニエスタは、2年後は39歳になる。カズや中村俊輔のような例もあるが、彼らは特別だろう。恐らく2年後のシーズンが終わったところで引退を表明するのではないか。
逆算するなら、イニエスタのプレーが見られるのはあと2年しかない。このため復調すればするほど、改めてイニエスタのプレーは注目を集めるに違いない。緊急事態宣言の出されている兵庫県だけに、5000人しかスタジアムに入れないのは神戸ファンにとっても寂しいことだろう。
これには村井チェアマンも同調し、「国民の健康が大前提でも、プロは試合を消化するだけでなく、お客さんとの相互作用、生き甲斐や、やり甲斐になる。対策を講じ94~95パーセントは封じるエビデンスができた。去年の選手の感染数を越えたが、オンサイト検査とPCR検査で去年よりバージョンアップしている」と1年間の成果を強調した。
こうした実績が評価されたのかどうかは後述するとして、4都府県に緊急事態宣言が発令されている間、5月1日のFC東京対横浜FM(味スタ)や5日のルヴァンカップ、神戸対FC東京(ノエスタ)は無観客で、リモートマッチで開催された。
ところが緊急事態宣言が継続され、新たに加わった県があるにも関わらず、5000人か収容人数50パーセントの少ない方での有観客試合が認められた。
このことに関して斉藤コミッショナーは「今回は政府の方が緊急事態宣言を継続するなかで、一部緩和策が政府からリリースされた」と、政府が自ら緩和したことを明らかにした。最初の緊急事態宣言では無観客なのに、継続した緊急事態宣言下では有観客に変わっている。この差(矛盾)はどこにあるのだろうか。
変わったのはそれだけではない。例えば私事で恐縮だが、よくシニアの東京都リーグで使用する、西が丘サッカー場の近くにある赤羽スポーツの森という人工芝のサッカー場がある。ここは最初の緊急事態宣言で11日まで使用禁止になった。ところが宣言が継続される12日からは使用が認められた。恐らく施設は東京都ではなく北区のものだからだろう。
テレビでも、東京都美術館(上野)や江戸東京博物館(両国)ら都立の施設は小池都知事の要請により5月31日まで休館となっている。それに対し東京国立博物館(上野)や東京国立近代美術館(竹橋)は休館を止めるという。国立の博物館や美術館を管理する文化庁の職員は「密にならないし、会話もないので休館にする理由がわからない」とテレビの取材に答えたそうだ。
そこで調べたところ、確かに東京都の施設は5月31日まで休館を延長すると、国立の施設はいずれも5月12日から再開したり、夜間の開館を始めたりするとホームページに出ていた。
考えられる理由は1つしかない。NPBやJリーグの要請以上に、国としては五輪開催のためにも観客を入れたスポーツイベントを開催することで、安全性を証明したいのだろう。
対策連絡会議でも三鴨廣繁ドクター(愛知医科大学)は「五輪を開催か中止か。7~8割の世論は反対している。止めるのは簡単だが、準備を進めないと開催できない」と理解を示した。
IOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長の来日が延期され、聖火リレーのたび重なる予定変更などで、いつの間にかすっかり“悪者”になってしまった東京五輪。ちょっと可哀想な気がしないでもない。
id="cws_ad">1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた
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会見は11日の14時からだが、神戸とイニエスタの契約は今年で切れる。このため契約延長か、あるいは昨シーズンのACLで負傷し、手術までした大腿が悪化して、今シーズン限りで現役引退かとの憶測が流れた。その11日は13時からJリーグの実行委員会後の会見があったが、Jリーグも心得ていたのだろう。14時ちょっと前に会見を終え、神戸の会見に支障がないよう配慮した。逆算するなら、イニエスタのプレーが見られるのはあと2年しかない。このため復調すればするほど、改めてイニエスタのプレーは注目を集めるに違いない。緊急事態宣言の出されている兵庫県だけに、5000人しかスタジアムに入れないのは神戸ファンにとっても寂しいことだろう。
その緊急事態宣言について、対策連絡会議では斉藤コミッショナーから会見の冒頭に大胆な発言が飛び出した。4都府県の宣言が5月31日まで延長されたことを受け、「31日までにコントロールできるのか。年間スケジュールを立てている組織は、その都度政府と交渉しないといけない。プロ野球は、無観客ならやる意味があまりない」と断言したのだ。
これには村井チェアマンも同調し、「国民の健康が大前提でも、プロは試合を消化するだけでなく、お客さんとの相互作用、生き甲斐や、やり甲斐になる。対策を講じ94~95パーセントは封じるエビデンスができた。去年の選手の感染数を越えたが、オンサイト検査とPCR検査で去年よりバージョンアップしている」と1年間の成果を強調した。
こうした実績が評価されたのかどうかは後述するとして、4都府県に緊急事態宣言が発令されている間、5月1日のFC東京対横浜FM(味スタ)や5日のルヴァンカップ、神戸対FC東京(ノエスタ)は無観客で、リモートマッチで開催された。
ところが緊急事態宣言が継続され、新たに加わった県があるにも関わらず、5000人か収容人数50パーセントの少ない方での有観客試合が認められた。
このことに関して斉藤コミッショナーは「今回は政府の方が緊急事態宣言を継続するなかで、一部緩和策が政府からリリースされた」と、政府が自ら緩和したことを明らかにした。最初の緊急事態宣言では無観客なのに、継続した緊急事態宣言下では有観客に変わっている。この差(矛盾)はどこにあるのだろうか。
変わったのはそれだけではない。例えば私事で恐縮だが、よくシニアの東京都リーグで使用する、西が丘サッカー場の近くにある赤羽スポーツの森という人工芝のサッカー場がある。ここは最初の緊急事態宣言で11日まで使用禁止になった。ところが宣言が継続される12日からは使用が認められた。恐らく施設は東京都ではなく北区のものだからだろう。
テレビでも、東京都美術館(上野)や江戸東京博物館(両国)ら都立の施設は小池都知事の要請により5月31日まで休館となっている。それに対し東京国立博物館(上野)や東京国立近代美術館(竹橋)は休館を止めるという。国立の博物館や美術館を管理する文化庁の職員は「密にならないし、会話もないので休館にする理由がわからない」とテレビの取材に答えたそうだ。
そこで調べたところ、確かに東京都の施設は5月31日まで休館を延長すると、国立の施設はいずれも5月12日から再開したり、夜間の開館を始めたりするとホームページに出ていた。
考えられる理由は1つしかない。NPBやJリーグの要請以上に、国としては五輪開催のためにも観客を入れたスポーツイベントを開催することで、安全性を証明したいのだろう。
対策連絡会議でも三鴨廣繁ドクター(愛知医科大学)は「五輪を開催か中止か。7~8割の世論は反対している。止めるのは簡単だが、準備を進めないと開催できない」と理解を示した。
IOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長の来日が延期され、聖火リレーのたび重なる予定変更などで、いつの間にかすっかり“悪者”になってしまった東京五輪。ちょっと可哀想な気がしないでもない。
id="cws_ad">1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた
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