Jリーグジャッジリプレイで原副チェアマンはレッドに理解を示す/六川亨の日本サッカー見聞録
2021.04.15 22:01 Thu
今週の「Jリーグジャッジリプレイ#6」で最初に取り上げられたプレーが、4月7日に開催されたJ1リーグ第8節のFC東京対札幌戦の後半10分のプレーだった。スコアは0-0。しかしFC東京は前半29分にFW小柏の独走を体当たりで阻止したCB渡辺剛が1発レッドで退場となっていた。
問題のプレーは後半10分、自陣バイタルエリア付近でルーズボールを拾ったディエゴ・オリベイラがドリブル突破を試み、札幌のペナルティエリアに迫ろうとしたところでCBキム・ミンテに倒された。
主審は最初、キム・ミンテにイエローカードを出したが、VARが採用され、オンフィールドレビューの結果、レッドカードに変更。守備の要を失った札幌は、このFKからディエゴ・オリベイラに先制点を許した。
面白かったのはJリーグ副チェアマンの原博実氏の見解だった。
原氏は「難しいけど、この試合のシチュエーション(前半にFC東京の渡辺剛が退場していた)で言うと、やはりドグソ(決定的な得点機会の阻止)になってしまうんだろうなという気がした」とコメント。これは、選手・監督経験者ならではの発想である。
VARを始めとする様々なテクノロジーが導入される以前は、主審のジャッジが最終判断だった。そこで、Aというチームに退場者が出たら、試合の公平性を保つために主審は数的優位にあるBチームから退場者を出すケースが往々にしてあった。
これはルールブックに明記されているわけではないし、試合後の主審もコメントを出すことはない。いわば万国共通の「暗黙のルール」のようなものだった。
だから数的優位にあるBチームの選手は、経験や肌感覚から主審が退場者を出すのではないかと察し、「余計なファウルはするな!」とお互いに声がけして気をつけ合ったものである。それは記者席から見ていても「それをやったらダメでしょ。イエロー2枚で退場だよ」というシーンを何度か目撃した。
だからこそ原氏も「この試合のシチュエーションで言うと、やはり」と、自身の経験からレッドになっても仕方がないと思ったのではないだろうか。
最終的な結論としては、深野悦子審判インストラクターの、メインスタンドからのカメラではイエローカードと思ったものの、ゴール裏に近いカメラからの映像を見てレッドカードと思ったということに落ち着いた。
深野インストラクターいわく「ポイントとなるのがペナルティエリアの角です。割と幅に近いところ、いわゆる45度ぐらいでした。そうすると、シュートに持っていけると思える。最初の印象では、もうちょっとタッチラインに寄っているので、角度がないのではないかと思ったんですけど、十分にいい角度だった。そういう意味では違う映像を見てドグソに変わりました」と、VARの介入と主審の判断を妥当だったと認めた。
このシーンについては、主審もオンフィールドレビューを3分近く繰り返し見ていた。それだけジャッジが難しいプレーだったということだろう。
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FC東京はCB岡崎がカバーに入れたかもしれないが、渡辺剛のアプローチはボールではなく明らかに体をぶつけに行っただけに、VARを採用するまでもなく主審は退場処分とした。当の渡辺剛は15日のズーム会見で、「失点につながるプレーだったので、自分としては食い止めたい、ピンチになるのを止めたかったので体をぶつけに行った」と先週のプレーを冷静に振り返りつつ、「もったいないことをしたが、恥じてはいません。結果として(札幌に)勝てたが、次の試合(川崎F)が出場停止でチームに迷惑をかけてしまった」と揺れ動く心境を素直に話した。主審は最初、キム・ミンテにイエローカードを出したが、VARが採用され、オンフィールドレビューの結果、レッドカードに変更。守備の要を失った札幌は、このFKからディエゴ・オリベイラに先制点を許した。
このイエローからレッドに変わったカードについて、「Jリーグジャッジリプレイ」でJリーグウォッチャーの平畠啓史氏は、VARの介入条件である「明白な」シーンだったかどうかに疑問を呈しつつ、「僕の印象ではイエローでいいのかなという気がする」と主審の最初の判断を支持した。
面白かったのはJリーグ副チェアマンの原博実氏の見解だった。
原氏は「難しいけど、この試合のシチュエーション(前半にFC東京の渡辺剛が退場していた)で言うと、やはりドグソ(決定的な得点機会の阻止)になってしまうんだろうなという気がした」とコメント。これは、選手・監督経験者ならではの発想である。
VARを始めとする様々なテクノロジーが導入される以前は、主審のジャッジが最終判断だった。そこで、Aというチームに退場者が出たら、試合の公平性を保つために主審は数的優位にあるBチームから退場者を出すケースが往々にしてあった。
これはルールブックに明記されているわけではないし、試合後の主審もコメントを出すことはない。いわば万国共通の「暗黙のルール」のようなものだった。
だから数的優位にあるBチームの選手は、経験や肌感覚から主審が退場者を出すのではないかと察し、「余計なファウルはするな!」とお互いに声がけして気をつけ合ったものである。それは記者席から見ていても「それをやったらダメでしょ。イエロー2枚で退場だよ」というシーンを何度か目撃した。
だからこそ原氏も「この試合のシチュエーションで言うと、やはり」と、自身の経験からレッドになっても仕方がないと思ったのではないだろうか。
最終的な結論としては、深野悦子審判インストラクターの、メインスタンドからのカメラではイエローカードと思ったものの、ゴール裏に近いカメラからの映像を見てレッドカードと思ったということに落ち着いた。
深野インストラクターいわく「ポイントとなるのがペナルティエリアの角です。割と幅に近いところ、いわゆる45度ぐらいでした。そうすると、シュートに持っていけると思える。最初の印象では、もうちょっとタッチラインに寄っているので、角度がないのではないかと思ったんですけど、十分にいい角度だった。そういう意味では違う映像を見てドグソに変わりました」と、VARの介入と主審の判断を妥当だったと認めた。
このシーンについては、主審もオンフィールドレビューを3分近く繰り返し見ていた。それだけジャッジが難しいプレーだったということだろう。
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