Jリーグは抗原検査の実施を承認/六川亨の日本サッカーの歩み

2021.04.06 22:15 Tue
©超ワールドサッカー
先週末の4月3日と4日、J1リーグは久しぶりに9試合を実施した。新型コロナの影響でクラスターの発生したG大阪は6試合が中止となっていたが、3日の第7節は開幕戦以来となるアウェーの広島戦に臨み結果は0-0のドローに終わったものの35日ぶりに試合ができた。待ち望んだ試合ができたことで、選手はもちろんチーム関係者も胸をなで下ろしたことだろう。

しかしながら最近も浦和やC大阪、福岡、岐阜に感染者が出るなど新型コロナの脅威は変わらない。そうした状況で4月5日に第29回となるJリーグとNPB(日本野球機構)と専門家による対策連絡会議が開催された。

会見の冒頭で挨拶に立った村井チェアマンがG大阪の感染者のゲノム解析を行った結果、感染源はバスの車中ではなく、ロッカーの可能性が高いことを報告した。
賀来満夫ドクター(東北医科薬科大学)によると、バスの車中での会話や狭いトイレは感染の危険が高いものの、G大阪の陽性の選手5名のゲノムを解析したところ、感染経路の調査によりウイルスの種類が違うことが判明。試合後のロッカーでの会話が感染経路となった可能性が高いと報告した。

試合後、勝ったチームの選手はつい大声を出してしまうかもしれないし、距離も近くなってしまう可能性がある。このため愛知医科大学の三鴨廣繁ドクターも「ロッカー内での会話でもマスクが必要ということ」と警鐘を鳴らした。
G大阪に関しては、6日に開催されたJリーグの実行委員会後、中止となった6試合の新たな開催日程が発表された。第11節のアウェー名古屋戦(3月3日開催予定)は4月22日で、その後の第2節から6節の5試合は7月24日、27日、30日と8月3日、6日の東京五輪期間中に開催される(J1リーグは7月11日の第22節終了後、8月9日まで試合はない)。

いくらナイトゲームとはいえ、夏場の暑い時期に中2日(1試合だけ中3日)の連戦が5試合も続くかなりハードな日程となっている。しかし試合を開催できなければ0-3の負けという『みなし開催』のルールがあるだけに、チーム一丸となって乗り切るしかないだろう。

5日の対策連絡会議では、プロ野球のヤクルトが出入り業者から選手が感染した事例も報告され、今後は出入り業者に加えてマッサーなどもPCR検査の実施や体温表の提出などを義務づけた方がいいというアドバイスもあった。

そしてJリーグは独自に『オンサイト検査(抗原検査)』を実施することを発表。ただし詳細は6日の実行委員会で説明してからということで、5日の対策連絡会議では具体的な話はなかった。なお、オンサイト検査はJリーグだけが実施予定で、NPBは従来通り月1回のPCR検査で対応する体制に変わりはない。

そのオンサイト検査である。村井チェアマンは「変異株が増えて感染力が増している。従前以上に厳しくする環境にある。機動的な対応が望まれている。専門家の意見を踏まえて今回の判断に踏み切った」と危機感を強めていた。

具体的には、『3名以上の陽性反応者か判定保留者』、あるいは『5名以上の濃厚接触と濃厚接触疑い者』が出たら実施する。検査は試合のキックオフ3時間30分前に、鼻咽頭と鼻腔から献体を採取し、15分ほどの判定時間の結果、陰性になったら試合出場が可能になるというシステムだ。

この抗原検査は『疑陽性』の可能性があるものの、PCR検査での陽性と陰性の全体の一致率は97・8%とかなり高い精度を誇っている。現在は自主隔離中の新規外国人選手も毎日の抗原検査と3日に1回のPCR検査を受けているが、肉体的にも精神的にも負担にはなっていないそうだ。ネックは1回2万円ほどかかる費用負担だが、安心・安全なリーグ戦を実施するためには仕方のないところ。

実施は「詳細な規約を作ってから」ということだが、それほど規約作りに時間はかからないだろう。

6日の実行委員会では、宮城県、大阪府、兵庫県に出された『まん延防止等重点措置区域』によりガイドラインを改定したことも報告された。すでに観客数について発表しているクラブもあるが、5000人か50%の少ない方で、ビジター席の設置は当該チームと対戦相手の自治体の見解を確認するか協議して有無を決める。キックオフ時間とアルコール販売は自治体の要請に準拠することとなっている。

緊急事態宣言が解除されたものの、第4波の到来も予想されるだけに、賀来氏と三鴨氏の両ドクターは、体調不良だったらスタジアム行きを諦めることと、試合後はどこにも寄らずに自宅へ帰ることを推奨していた。

余談ではあるが、実行委員会では現在15チームが参加しているJ3リーグが、将来20チームになったらJリーグ全体で60チームになる。その後はJFL(日本フットボールリーグ)との入替え戦の実施を、検討するかどうかの検討を始めた。そして木村専務は新聞等に出ていた「スパーリーグの構想は一切ない!」と断言した。

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