クリアソン新宿のホームスタジアムはどこになるのか?/六川亨の日本サッカー見聞録

2021.02.27 13:40 Sat
Jリーグは2月25日、今年初となる第1回の理事会を開催し、「Jリーグ100年構想クラブ」として新たにクリアソン新宿(関東リーグ1部)、鈴鹿ポイントゲッターズ(JFL)、ヴェルスパ大分(JFL)の3クラブを認定した。
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これにより「Jリーグ100年構想クラブ」は、すでに認定されているラインメール青森(JFL)、いわきFC(JFL)、栃木シティFC(関東リーグ1部)、VONDS市原(関東リーグ1部)、南葛SC(関東リーグ2部)、ヴィアティン三重(JFL)、F.C.大阪(JFL)、奈良クラブ(JFL)とあわせて11クラブとなった。クリアソン新宿というチームを知らない読者も多いかもしれないが、昨年12月には日本経済新聞に取り上げられ、つい最近もスポーツ紙がチームを紹介していた。新宿区をホームタウンとして将来のJリーグ入りを目指しているチームである。
Jリーグは93年の発足以来、23区をホームタウンにするチームはなかった。当時は東京都をホームタウンにすることに川淵チェアマンが大反対をした。それもそうだろう。黄金時代を迎えていた読売クラブ(後のヴェルディ川崎。現東京V)を筆頭に、東京都に本社のある三菱(浦和)、古河(後の市原。現千葉)、日立(柏)も東京都をホームタウンにしたかったからだ。

そこで東京都だけはホームタウンから外れてJリーグはスタートした。そして98年にFC東京が東京ガスからチーム名を変更し、東京都をホームタウンにしたものの、メインの活動は味の素スタジアムがある調布市や練習グラウンドのある小平市だった。さらに01年にはヴェルディがホームタウンを東京へ移すことが認められ現在のチーム名に至った。
ただし東京Vもホームタウンは東京都で、スクールは都内23区で活動しているものの、厳密な意味でホームタウンはどこかと聞かれると答に窮してしまう。それでもあえて言うなら、FC東京と同様に練習グラウンドとクラブハウスのある東京都稲城市がホームということになるのだろうか。

その東京Vが、一時期は23区の練馬区にスタジアムを建設してホームタウンにするという噂があった。昨年で営業を終えたレジャーランドの豊島園の再開発で、防災の拠点にもなるライフラインの整ったスタジアムを建設するというプランだった。そのための署名活動をサッカー仲間に手伝ってもらって集めたものだ。

しかし旗振り役だった区長の退任によりこのプランは雲散霧消した。

そしてクリアソン新宿である。新宿をホームタウンにするからには、ホームスタジアムも新宿区ということになるだろう。しかし、その候補地があるかどうか疑問だ。以前、東京都リーグや練習試合で区内の落合中央公園、西早稲田中学、西戸山公園、同多目的広場などで試合をしたことがあるが、いずれも正規のサッカーグラウンドを確保するには難しいスペースだった。ましてスタンド設置など不可能に近い。

となると候補地は新宿区以外となるが、既存の味の素フィールド西が丘はJ1基準ではないし、すでに東京Vや以前はFC東京U-23がJ3リーグでホームとして使っていた。駒沢陸上競技場は病院が隣接しているためナイター使用ができず、同じくFC東京と東京Vがホームとして使っている。

夢の島競技場は江東区を準ホームにするFC東京が慣例的に使ってきたし、江戸川陸上競技場はすでに東京23FC(関東1部)がホームとして使用している。葛飾区がスタジアムの新設計画があると聞くが、当然ここは南葛飾SCのホームになるだろう。

こうして改めて考えると、「Jリーグ100年構想」の学校の芝生化は着々と進んでいるが、芝生のスタジアム建設はそう簡単ではないことが分かる。

個人的には板橋区出身のため、23区をホームにするクラブの誕生を心待ちにしている。そしてホームタウンは地域限定になればなるほど、地元ファンにとっては愛着が沸くと思っている。

今回、クリアソン新宿と同時に「Jリーグ100年構想クラブ」に認定されたヴェルスパ大分は、チーム名こそ「大分」だがホームタウンは別府市と由布市だ。チーム名の一部にスパとあることからもわかるように「温泉」がキーワードとなっている。

コロナ禍で観光地はどこも苦労していると思うが、こうした地域密着の理念は大いに歓迎したい。


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