Jリーグの観客動員問題、課題は“観戦後”の行動…専門家「徹底されないのも事実」

2021.02.22 11:55 Mon
©超ワールドサッカー
Jリーグと日本野球機構(NPB)は22日、「第26回 新型コロナウイルス対策連絡会議」を実施した。
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今週末にJリーグは開幕を迎え、プロ野球は約1カ月ごの開幕に向けてキャンプやオープン戦が行われている状況だ。この連絡対策会議がスタートしたのは、2020年3月3日のこと。新型コロナウイルス(COVID-19)というものが何かもわからない中でスタートした会議から、およそ1年が経過した。
専門家チームの座長を務める賀来満夫氏(東北医科薬科大学医学部・感染症学教室特任教授)は冒頭「昨年の状況を思い出していますが、大変な状況の中で今後どうしたら良いのか。先が見えない中で、新型コロナのことがわからないまま、色々な意味で考えながら、連携しながら進めてきました」とこの1年間を振り返った。

昨シーズンはシーズンの中断やリモートマッチ(無観客試合)、そして入場制限など多くの感染予防対策をしながらシーズンを終えたJリーグとプロ野球。コロナ禍での2シーズン目を迎えるが、状況は厳しいままだ。
特に入場者の面では、現在10都府県に緊急事態宣言が発令されている状況であり、来場者の人数がスタジアムの50%未満、または5000人の少ない方が採用されている。

スタジアムの形状や収容人数など大きな差があるため、Jリーグとプロ野球は1年間のエビデンスを持って政府へと要望書を提出している。

NPBの斉藤惇コミッショナーは「チェアマンと一緒にお願いに文科省、スポーツ庁へ行きました。観客については、できるだけ絶対的な数字ではなく、球場のサイズ等々が違うので、パーセンテージでやっていただきたいという要望をしました」とコメント。政府の反応については「答えははっきり返ってきておりません。どちらかというと絶対数5000でやりたいという感じだった」と語り、緩和は難しいようだ。

一方で「我々は野球やJリーグの管理の状態を見ると、疫病なので蔓延させてはいけなく、選手にも管理やPCR検査を厳重にやっている。街で食事をされている方々と比べて、一律で考えられるのは疑問がある。数値を元に判断していただきたいと要望した」と語り、厳しい制限と管理を行った状態で生活している選手たちの状況を一律で考えることには疑問を投げかけた。

またJリーグの村井満チェアマンは「一昨日の富士ゼロックススーパーカップは5000人でやらせていただいた。緩衝帯などもあり、実際は4208人となった。7%の収容率となり、93%は空いている状況です」とし、6万人収容の埼玉スタジアム2002においては、ほとんどが空席だったとコメント。「埼玉スタジアムの5000人とJ2、J3クラブの1万人規模のスタジアムでの5000人は違う。形状個々に合わせた基準でやっていくことが重要だと趣旨を申しました」と語った。

一方で、専門家チームの賀来氏はスタジアムでの観戦後の行動が問題になると指摘。「球場の中での対策はしっかり取られている。厳密に取られていて、これからも取られていく。すぐに家に帰るのか、4、5人で食事などをするというリスクはある。それをいかに徹底できるか」と、帰宅時の行動をどう制御していくかが課題だとした。

また、三鴨廣繁氏(愛知医科大学大学院医学研究科臨床感染症学教授)は「携帯データを使った調査などの結果に対して、いかに啓発活動ができるかどうかが重要」とコメント。また、新型コロナウイルスへの認識の甘さがあると言い「この感染症はまだまだ軽く見られている。流行当時に警鐘を鳴らすとアウトローだと言われてきた。インフルエンザの致死率は0.1%だが、新型コロナウイルスは日本人の致死率でも1.8%と10倍以上。若い人には、ここをもう一度知ってもらいたい」と語り、改めて認識を深める必要があるとした。

舘田一博氏(東邦大学医学部微生物・感染症学講座教授)は現在敷かれている緊急事態宣言について「急所を狙った感染対策として緊急事態宣言を行った」とコメント。「急所は飲食の場。サッカーやプロ野球の観戦の後の飲食をどうコントロールしていくか。初めから提言を出しているが、徹底されないのも事実」とし、やはり試合後のスタジアム外での飲食が問題になると指摘した。

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