短いお正月だった…/原ゆみこのマドリッド
2021.01.02 17:30 Sat
「いい気分に浸れるのも2日間だけかあ」そんな風に私が嘆いていたのは金曜日、コロナ禍の折りとあり、恒例のcampanada(カンパナダ/年の変わる夜中の12時の鐘の音)を祝う群衆がプエルタ・デル・ソル(マドリッドの中止にある広場)に集まることもなく、花火の音だけを聞きながら、例年になく静かな年越しをした後、もう翌日にはリーガの16節が始まるのに気づいた時のことでした。いやあ、普通のシーズンでも年明けは6日のロス・レジェス・マゴス(キリスト誕生に駆けつけた東方の三博士の祝日)前後に最初の試合が組まれているため、大晦日や元旦に練習を始めるチームは結構、あるんですけどね。
とはいえ、イングランドと違い、これまで毎年、クリスマスにparon(パロン/リーガの中断期間)があったリーガは12月22日頃に年内最終節をプレーして、選手たちも1週間程度のバケーションをもらうのが習慣。よって、年末年始の練習はプチプレシーズンのようなものだったんですが、今季に限ってはただの連戦中日に。ええ、水曜に2020年ラストをマドリーミニダービー勝利で飾ったアトレティコも同日、エルチェと引分けるというポカを犯したお隣さんと勝ち点差2として、単独首位の美酒に酔いしれながら、もう土曜にはレアル・マドリーが先に試合をするため、ほんの2日天下で終わってしまうかもしれないのが、ちょっと寂しかったから。
まあ、それはともかくとして、そのマドリッド勢の年の瀬の試合がどうだったのか、お伝えしていくことにすると。火曜にはまず、先行してバルサが、乾貴士選手がフル出場したエイバルと対戦。アルゼンチンへのクリスマス電撃帰国からは当日、戻ったものの、足首を負傷しているというメッシがスタンド観戦する中、後半にはキケ・ガルシアに先制点を奪われてしまうことに。ブライトワイテがPKに失敗した後、デンベレが同点弾を放ったんですが、終盤には武藤嘉紀選手も入って、決勝点を目指した相手の前に1-1と引き分けたため、マドリッドの両雄が勝ち点差を10まで広げる可能性にワクワクしながら、水曜のキックオフを迎えたところ…。
先に始まったのはワンダ・メトロポリターノでのアトレティコvsヘタフェ戦だったんですが、どちらのチームも右SBにレギュラーを欠いていて、ええ、前者はFA(イングランド・サッカー協会)から、代表戦のない時期に合わせて、10週間のサッカー活動禁止処分を受けたトリッピアーの代わりに先日のコパ・デル・レイ1回戦で復帰を果たしたベルサイコが、後者はダミアン、ニヨンの出場停止により、カンテラーノ(ヘタフェBの選手)のイグレシアスがスタメン入り。序盤から、ガンガン攻めていたホームチームはレマルのシュートがゴールポストに弾かれた後、20分には前節のレアル・ソシエダ戦同様、FKのチャンスを活用することになります。この日はまず、レマルが短く出したボールをカラスコが上げると、壁の間でジェネにマークされていたルイス・スアレスが首を見事に捻ったヘッドで先制点をゲット。
え、でもそこを境に残りの70分、攻めていたのはヘタフェばかりじゃなかったかって?いやあ、その通りで、一種の省エネなのかもしれませんが、時間が経つにつれ、アトレティコはボールを持つ時間がグングン低下。ただ、彼らがラッキーだったのはヘタフェがここ17試合、勝利どころか、得点もしていない程、兄貴分を苦手にしていたことで、シメオネ監督も後で「Son situaciones, el Atlético estuvo 14 años sin ganar al Madrid/ソン・シトゥアシオネス、エル・アトレティコ・エストゥーボ・カトルセ・アーニョス・シン・ガナール・アル・マドリッド(そういう状況もある。アトレティコも14年間、マドリーに勝てない時期があった)」と同情していたんですけどね。
シメオネ監督に言わせれば、「El día que estás menos fino de cara al juego, hay que ganar/エル・ディア・ケ・エスタス・メノス・フィーノ・デ・カラ・アル・フエゴ、アイ・ケ・ガナール(プレーがあまりイケてない日こそ、勝たないといけない)」そうなんですが、これって、まさにチャンピオンの哲学と言っていい?まあ、そんな大袈裟なものではないかもしれませんが、実はこの日は彼にとって、9年前、マンサーノ監督から引き継いでから、節目となる500試合目。セレソ会長、キャプテンのコケと記念のプレートを掲げて写真を撮っていた当人など、「Bromeábamos con Koke sobre lo que hemos pasado y lo que me encontré en aquellos primeros días/ブロメアモス・コン・コケ・ソブレ・ロ・ケ・エモス・パサードー・イ・ロ・ケ・メ・エンコントレ・エン・アケージョス・プリメーロス・ディアス(私たちが経験してきたこと、赴任して最初の日々、自分が出会ったことについて、コケと冗談をかわしたよ)」と語っていましたが、いや、ホントに光陰矢の如し。
当時2部Bだったアルバセテにコパ・デル・レイで敗退して、リーガでも泣かず飛ばずだった、ダメダメのアトレティコが、現在の「しばらく前から、ヨーロッパ最高のクラブと肩を並べられるチーム」(ボルダラス監督)になるまで成長してくれたのは、間違いなく、シメオネ監督のおかげですが、いつの間にやら、その最初の年から、今でもチームにいる選手が、先日、ジエゴ・コスタが前倒しで退団してしまったこともあり、コケしかいないというのも凄いかと。それでも2020年はコロナ禍による中断もあった中、CLでリバプールやバイエルンといった強敵を迎えながら、ワンダ・メトロポリターノでの22試合を16勝6分けと、無敗で通すことができましたしね。
そのうち、ファンと喜びを共にできたのが半分もないというのは悲しい限りとはいえ、ホームで負けていないのは、今季の残りを戦うに当たり、選手たちの自信になってくれる? ちなみに元旦の夕方から、マハダオンダ(マドリッド郊外)の練習場でセッションを開始したアトレティコの年明け試合は、3日の日曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)から、メンディソロサでのアラベス戦。ケガ人はエレーラだけなのは変わらず、今回はサビッチが累積警告で出場停止となりますが、丁度、ヒメネスが戻って来たので、これはいいローテーションの機会になるかと。相手は12位、オサスナと1-1で引き分けた前節でのゴールはルーカス・ペレスのPKという、元々、得点が多いチームじゃないですしね。ただ、スアレスも来週のコパ・デル・レイ2回戦コルネジャ(2部B)戦では休めるとはいえ、その次のミッドウィークには延期されていた2節のセビージャ戦がやっぱり入るなど、過密日程が続くため、クラブには早く、控えCFの調達をしてほしいところです。
そして、「Un jugador del Atlético vale todo el Getafe/ウン・フガドール・デル・アトレティコ・バレ・トードー・エル・ヘタフェ(アトレティコの選手1人でヘタフェ全員の価値がある)」と自分を慰めていたボルダラス監督のチームは2日、土曜におそらく、値段的にはそう変わらない選手のいるバジャドリーとコリセウム・アルフォンソ・ペレスで対戦。負傷中かつ、4試合の出場停止処分を喰らったクーチョはまだ出られませんが、今度はダミアン、ニヨム、カバコがプレーできますからね。順位も14位に落ちてしまい、降格圏との差も勝ち点2差になってしまったヘタフェですが、年が変わるのと共にツキを変えるのにはいい相手なんじゃないでしょうか。
え、それでお隣さんはどうしてまた、昇格組相手に躓いたのかって?いやあ、こちらも前半はアトレティコとちょっと似ていて、久々に先発したマルセロのシュートがゴールバーに弾かれた後、前半20分にはアセンシオのエリア前からのシュートは枠に嫌われたものの、跳ね返って来たボールをモドリッチが頭でゴールに。だからといって、エルチェがヘタフェのように猛反撃に出てきた訳ではなく、専守防衛を貫いていたせいでしょうか。一旦は主審がPKを指示したハンドもVAR(ビデオ審判)の画面判定でなしとなり、マドリーは最少得点差でのリードのまま、ハーフタイムに入ります。
災厄が訪れたのは後半5分、エルチェのFKを先日のワンダでの一戦を思い出させるかのように、FWボジェが頭で撃ったボールはゴールを逸れたんですが、その守備の間にカルバハルがバラガンの体にすがりついて引っくり返していたのを主審に目撃されてしまったんですよ。この時はVAR裁定もなしに即PKとなり、フィデルが決めて、エルチェが1-1の同点に持ち込みます。うーん、今季6本目のPKも止められなかったGKクルトワなど、「No lo he visto, pero creo que es ligero/ノー・ロ・エ・ビストー、ペロ・クレオ・ケ・エス・リヘロ(ボクは見てないけど、軽いやつだったと思うよ)。前半にはベンゼマにもそういうのがあって、あれをペナルティに取らないなら、カルバハルのも取るべきじゃない」と文句を言っていましたけどね。いや、責めるべきはその後、40分以上も時間がありながら、勝ち越し点を挙げられないチームの攻撃力の方だったのでは?
まあ、エルチェのGKエドガルもカルバハルのシュートをparadon(パラドン/スーパーセーブ)したりと頑張りましたけどね。後半32分には負傷から復帰したアザールもピッチに入り、その10分後にはビニシウスと、ベンチにいても素通りされるヨビッチ、マリアーノ、そして前日、お子さんが生まれたため、マドリッドに残ったイスコを除き、持てるアタッカーを総動員しながら、マドリーはあと1点が奪えず。それどころか、最後のプレーでベルドゥの直接FKをクルトワが逸らしてくれなければ、土壇場の逆転負けを喰らっていたかもしれないんですが、残念。せっかくのリーガ5連勝を6連勝に伸ばし、宿敵バルサに勝ち点差10をつけることはできませんでしたっけ(最終結果1-1)。
いやあ、ジダン監督も「LaLiga es muy larga. Falta mucho y todos los equipos van a perder puntos/ラリーガ・エス・ムイ・ラルガ。ファルタ・ムーチョ・イ・トードス・ロス・エキポス・バン・ア・ペルデル・プントス(リーガは長い。どのチームも勝ち点を落とすことになるだろう)」と言っていた通り、まだシーズンは半ばにも到達していませんし、優勝するのに勝ち点100が必要な2強時代はとうの昔に終わっていますからね。ただ注意が必要なのはアトレティコは2試合、バルサも1試合、マドリーより消化試合が少ないことで、うっかりすると現在、勝ち点2差の首位と、最大8差まで開きかねませんからね。
それだけにこの土曜午後9時(日本時間翌午前5時)からのセルタ戦には必勝で挑んでもらいたいところですが、実はクデ監督になってからの相手は直近、5勝1分けとまったくマドリーと同じ成績で、順位もEL出場権まであと勝ち点2の8位まで急上昇。前節も岡崎慎司選手のいるウエスカに2-1と勝利している上、エースのイアゴ・アスパスが今季リーガ8得点目を挙げ、pichichi(ピチチ/得点王)レースのトップに躍り出ることに。いえ、ベンゼマもルイス・スアレス、オジャルサバル(レアル・ソシエダ)と並んで7ゴールで次点につけ、決して負けてはいないんですけどね。エルチェ戦の例を引くまでもなく、そうそう毎試合、当たってくれないのが難点かと。
その他、ルーカス・バスケスと共にまだ、この6月で終わる契約の延長交渉がまとまっておらず、ジダン監督にまで、早期解決を望まれているセルヒオ・ラモスが、いえ、大晦日は家族と自宅で花火を見て過ごし、元気そうだったんですけどね。元旦に胃腸の具合が悪くなり、3カ月の離脱となったロドリゴと共にセルタ戦のベンチに入らないことになったのは誤算だったかと。何せ、エスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(RMカスティージャのホーム)でのホームゲームにはお隣さんほど、信頼度がない彼らですからね。加えて、今季は一見、弱そうなチームから星を落としているとなると、やはり勝利へのカギは選手たちがセルタを強敵と見なすか、それとも格下と思うかに懸かっているのかもしれませんね。
とはいえ、イングランドと違い、これまで毎年、クリスマスにparon(パロン/リーガの中断期間)があったリーガは12月22日頃に年内最終節をプレーして、選手たちも1週間程度のバケーションをもらうのが習慣。よって、年末年始の練習はプチプレシーズンのようなものだったんですが、今季に限ってはただの連戦中日に。ええ、水曜に2020年ラストをマドリーミニダービー勝利で飾ったアトレティコも同日、エルチェと引分けるというポカを犯したお隣さんと勝ち点差2として、単独首位の美酒に酔いしれながら、もう土曜にはレアル・マドリーが先に試合をするため、ほんの2日天下で終わってしまうかもしれないのが、ちょっと寂しかったから。
まあ、それはともかくとして、そのマドリッド勢の年の瀬の試合がどうだったのか、お伝えしていくことにすると。火曜にはまず、先行してバルサが、乾貴士選手がフル出場したエイバルと対戦。アルゼンチンへのクリスマス電撃帰国からは当日、戻ったものの、足首を負傷しているというメッシがスタンド観戦する中、後半にはキケ・ガルシアに先制点を奪われてしまうことに。ブライトワイテがPKに失敗した後、デンベレが同点弾を放ったんですが、終盤には武藤嘉紀選手も入って、決勝点を目指した相手の前に1-1と引き分けたため、マドリッドの両雄が勝ち点差を10まで広げる可能性にワクワクしながら、水曜のキックオフを迎えたところ…。
え、でもそこを境に残りの70分、攻めていたのはヘタフェばかりじゃなかったかって?いやあ、その通りで、一種の省エネなのかもしれませんが、時間が経つにつれ、アトレティコはボールを持つ時間がグングン低下。ただ、彼らがラッキーだったのはヘタフェがここ17試合、勝利どころか、得点もしていない程、兄貴分を苦手にしていたことで、シメオネ監督も後で「Son situaciones, el Atlético estuvo 14 años sin ganar al Madrid/ソン・シトゥアシオネス、エル・アトレティコ・エストゥーボ・カトルセ・アーニョス・シン・ガナール・アル・マドリッド(そういう状況もある。アトレティコも14年間、マドリーに勝てない時期があった)」と同情していたんですけどね。
そのせいか、ヘタフェが撃つシュートもアンヘル、マタ、そして最後はククレジャと、GKオブラクに楽々セーブされていましたが、自軍の攻撃が振るわないのに納得したシメオネ監督もまだ、あまり実戦慣れしていないベルサイコを後半11分には交代。最初はマルコス・ジョレンテ、終盤はこちらも負傷明けのヒメネスを投入して、最後はCB4人のラインで守り、そのまま1-0で逃げ切りに成功してしまったとなれば、「La eficacia, ahí está la diferencia/ラ・エフィカシア、アイー・エスタ・ラ・ディフェレンシア(効率、違いはそこにあった)」というボルダラス監督の言葉ももっともだったかと。
シメオネ監督に言わせれば、「El día que estás menos fino de cara al juego, hay que ganar/エル・ディア・ケ・エスタス・メノス・フィーノ・デ・カラ・アル・フエゴ、アイ・ケ・ガナール(プレーがあまりイケてない日こそ、勝たないといけない)」そうなんですが、これって、まさにチャンピオンの哲学と言っていい?まあ、そんな大袈裟なものではないかもしれませんが、実はこの日は彼にとって、9年前、マンサーノ監督から引き継いでから、節目となる500試合目。セレソ会長、キャプテンのコケと記念のプレートを掲げて写真を撮っていた当人など、「Bromeábamos con Koke sobre lo que hemos pasado y lo que me encontré en aquellos primeros días/ブロメアモス・コン・コケ・ソブレ・ロ・ケ・エモス・パサードー・イ・ロ・ケ・メ・エンコントレ・エン・アケージョス・プリメーロス・ディアス(私たちが経験してきたこと、赴任して最初の日々、自分が出会ったことについて、コケと冗談をかわしたよ)」と語っていましたが、いや、ホントに光陰矢の如し。
当時2部Bだったアルバセテにコパ・デル・レイで敗退して、リーガでも泣かず飛ばずだった、ダメダメのアトレティコが、現在の「しばらく前から、ヨーロッパ最高のクラブと肩を並べられるチーム」(ボルダラス監督)になるまで成長してくれたのは、間違いなく、シメオネ監督のおかげですが、いつの間にやら、その最初の年から、今でもチームにいる選手が、先日、ジエゴ・コスタが前倒しで退団してしまったこともあり、コケしかいないというのも凄いかと。それでも2020年はコロナ禍による中断もあった中、CLでリバプールやバイエルンといった強敵を迎えながら、ワンダ・メトロポリターノでの22試合を16勝6分けと、無敗で通すことができましたしね。
そのうち、ファンと喜びを共にできたのが半分もないというのは悲しい限りとはいえ、ホームで負けていないのは、今季の残りを戦うに当たり、選手たちの自信になってくれる? ちなみに元旦の夕方から、マハダオンダ(マドリッド郊外)の練習場でセッションを開始したアトレティコの年明け試合は、3日の日曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)から、メンディソロサでのアラベス戦。ケガ人はエレーラだけなのは変わらず、今回はサビッチが累積警告で出場停止となりますが、丁度、ヒメネスが戻って来たので、これはいいローテーションの機会になるかと。相手は12位、オサスナと1-1で引き分けた前節でのゴールはルーカス・ペレスのPKという、元々、得点が多いチームじゃないですしね。ただ、スアレスも来週のコパ・デル・レイ2回戦コルネジャ(2部B)戦では休めるとはいえ、その次のミッドウィークには延期されていた2節のセビージャ戦がやっぱり入るなど、過密日程が続くため、クラブには早く、控えCFの調達をしてほしいところです。
そして、「Un jugador del Atlético vale todo el Getafe/ウン・フガドール・デル・アトレティコ・バレ・トードー・エル・ヘタフェ(アトレティコの選手1人でヘタフェ全員の価値がある)」と自分を慰めていたボルダラス監督のチームは2日、土曜におそらく、値段的にはそう変わらない選手のいるバジャドリーとコリセウム・アルフォンソ・ペレスで対戦。負傷中かつ、4試合の出場停止処分を喰らったクーチョはまだ出られませんが、今度はダミアン、ニヨム、カバコがプレーできますからね。順位も14位に落ちてしまい、降格圏との差も勝ち点2差になってしまったヘタフェですが、年が変わるのと共にツキを変えるのにはいい相手なんじゃないでしょうか。
え、それでお隣さんはどうしてまた、昇格組相手に躓いたのかって?いやあ、こちらも前半はアトレティコとちょっと似ていて、久々に先発したマルセロのシュートがゴールバーに弾かれた後、前半20分にはアセンシオのエリア前からのシュートは枠に嫌われたものの、跳ね返って来たボールをモドリッチが頭でゴールに。だからといって、エルチェがヘタフェのように猛反撃に出てきた訳ではなく、専守防衛を貫いていたせいでしょうか。一旦は主審がPKを指示したハンドもVAR(ビデオ審判)の画面判定でなしとなり、マドリーは最少得点差でのリードのまま、ハーフタイムに入ります。
災厄が訪れたのは後半5分、エルチェのFKを先日のワンダでの一戦を思い出させるかのように、FWボジェが頭で撃ったボールはゴールを逸れたんですが、その守備の間にカルバハルがバラガンの体にすがりついて引っくり返していたのを主審に目撃されてしまったんですよ。この時はVAR裁定もなしに即PKとなり、フィデルが決めて、エルチェが1-1の同点に持ち込みます。うーん、今季6本目のPKも止められなかったGKクルトワなど、「No lo he visto, pero creo que es ligero/ノー・ロ・エ・ビストー、ペロ・クレオ・ケ・エス・リヘロ(ボクは見てないけど、軽いやつだったと思うよ)。前半にはベンゼマにもそういうのがあって、あれをペナルティに取らないなら、カルバハルのも取るべきじゃない」と文句を言っていましたけどね。いや、責めるべきはその後、40分以上も時間がありながら、勝ち越し点を挙げられないチームの攻撃力の方だったのでは?
まあ、エルチェのGKエドガルもカルバハルのシュートをparadon(パラドン/スーパーセーブ)したりと頑張りましたけどね。後半32分には負傷から復帰したアザールもピッチに入り、その10分後にはビニシウスと、ベンチにいても素通りされるヨビッチ、マリアーノ、そして前日、お子さんが生まれたため、マドリッドに残ったイスコを除き、持てるアタッカーを総動員しながら、マドリーはあと1点が奪えず。それどころか、最後のプレーでベルドゥの直接FKをクルトワが逸らしてくれなければ、土壇場の逆転負けを喰らっていたかもしれないんですが、残念。せっかくのリーガ5連勝を6連勝に伸ばし、宿敵バルサに勝ち点差10をつけることはできませんでしたっけ(最終結果1-1)。
いやあ、ジダン監督も「LaLiga es muy larga. Falta mucho y todos los equipos van a perder puntos/ラリーガ・エス・ムイ・ラルガ。ファルタ・ムーチョ・イ・トードス・ロス・エキポス・バン・ア・ペルデル・プントス(リーガは長い。どのチームも勝ち点を落とすことになるだろう)」と言っていた通り、まだシーズンは半ばにも到達していませんし、優勝するのに勝ち点100が必要な2強時代はとうの昔に終わっていますからね。ただ注意が必要なのはアトレティコは2試合、バルサも1試合、マドリーより消化試合が少ないことで、うっかりすると現在、勝ち点2差の首位と、最大8差まで開きかねませんからね。
それだけにこの土曜午後9時(日本時間翌午前5時)からのセルタ戦には必勝で挑んでもらいたいところですが、実はクデ監督になってからの相手は直近、5勝1分けとまったくマドリーと同じ成績で、順位もEL出場権まであと勝ち点2の8位まで急上昇。前節も岡崎慎司選手のいるウエスカに2-1と勝利している上、エースのイアゴ・アスパスが今季リーガ8得点目を挙げ、pichichi(ピチチ/得点王)レースのトップに躍り出ることに。いえ、ベンゼマもルイス・スアレス、オジャルサバル(レアル・ソシエダ)と並んで7ゴールで次点につけ、決して負けてはいないんですけどね。エルチェ戦の例を引くまでもなく、そうそう毎試合、当たってくれないのが難点かと。
その他、ルーカス・バスケスと共にまだ、この6月で終わる契約の延長交渉がまとまっておらず、ジダン監督にまで、早期解決を望まれているセルヒオ・ラモスが、いえ、大晦日は家族と自宅で花火を見て過ごし、元気そうだったんですけどね。元旦に胃腸の具合が悪くなり、3カ月の離脱となったロドリゴと共にセルタ戦のベンチに入らないことになったのは誤算だったかと。何せ、エスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(RMカスティージャのホーム)でのホームゲームにはお隣さんほど、信頼度がない彼らですからね。加えて、今季は一見、弱そうなチームから星を落としているとなると、やはり勝利へのカギは選手たちがセルタを強敵と見なすか、それとも格下と思うかに懸かっているのかもしれませんね。
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