オランダ遠征で吉田の変化を発見/六川亨の日本サッカー見聞録
2020.10.16 15:00 Fri
10月15日、来年秋にスタートする女子のプロリーグ、通称「WEリーグ」の参加11チームが決定した。最高責任者である岡島チェアによると、当初は手を上げた17チームに対し、「8チームから10チームくらいでいこう」と選考委員会で決めていたものの、最終的に「財政基盤を重視した」結果、次の11チームに決定した。
マイナビ仙台レディース、浦和レッドダイヤモンズレディース、大宮アルディージャ、ちふれASエルフェン埼玉、ジェフユナイテッド市原・千葉レディース、日テレ・東京ヴェルディベレーザ、ノシマステラ神奈川相模あら、AC長野パルセイロ・レディース、アルビレックス新潟レディース、INAC神戸レオネッサ、サンフレッチェ広島F.Cの11チームだ。
ちふれASエルフェン埼玉と長野パルセイロ・レディースはなでしこリーグ2部からの挑戦で、これまで女子チームを持っていない大宮は2部のFC十文字がチームの母体になり、広島は1からのチーム作りとなる。
岡島チェアは成否のカギとして、常時5000人の集客とFIFAランクで日本より上のレベルの国からの選手獲得をあげた。さらに5000人に関しても、現状は男性客がメインだが、今後は将来の女子サッカーを担う小中学生ら「黄色い声でスタジアムがいっぱいになること」を理想に掲げた。
そのため土日は子供たちの練習や試合と重なり観戦できない現状を改善するために、指導者とコミュニケーションを取りながら、WEリーグの試合を土曜のナイターや金曜開催にするプランなどを明かした。
日曜は仕方ないとしても、土曜は練習や試合を止めてJリーグを見に来て欲しい──そうJリーグの初代チェアマンである川淵氏も苦慮したものだ。集客の1つのキーワードとして「地域密着」が上げられるものの、初年度の参加チームは首都圏と地方の大都市という顔ぶれだけにこちらも苦戦が予想される。
とはいえ走り出しただけに、その成功を祈りつつ、暖かく見守りたいと思っている。
といったところで話は変わり、オランダでの親善試合で日本は植田の代表初ゴールでコートジボワールを下した。森保ジャパンがアフリカ勢と対戦するのは今回が初めてだが、2試合とも完封にキャプテンの吉田も「僕の記憶にないし、非常にコンディションのいい相手だった。この無失点をこれからも続けていきたい」と意気込みを語った。
この2試合連続しての無失点で一番の驚きは、実は吉田のプレーだった。これまでの吉田というと、勢いをつけて片足ジャンプヘッドでクリアしようとしてかぶり、相手に裏を取られたり、インターセプトを狙ってアタックしたはいいが、これもかわされて裏をとられて独走を許したりと、あまりいい印象はなかった。
アグレッシブなプレーだからこそリスクと隣り合わせは承知している。それでも強く印象に残っているのは、やはり失点に結びついたからかもしれない。
しかしカメルーン戦とコートジボワール戦の吉田は、4バックでも3バックでも常に冷静沈着だった。サイドの選手が抜かれそうになればすかさずカバーに回るなど、「力の抜けた」さりげないプレーでDF陣を支えていた。
驚かされたのは、コートジボワール戦では浮き球をヘッドで強くヒットするのではなく、上半身を反らすようにして力を抜き、柔らかいパスを味方に落としたプレーだ。解説者の戸田氏も褒めていたが、DFが単にヘッドでクリアするか、それを味方につなぐかで、その後の展開は天と地ほども変わる。全盛時をちょっと過ぎた頃の中澤佑二や田中マルクス闘莉王が得意としたプレーでもあった。
こうした変化について吉田自身はサウサンプトンからサンプドリアへの移籍を口にした。
彼いわく「運動量や強度がイングランドの方が圧倒的にあるけど、ゴール前の質はイタリアの方が鋭い。イブラヒモビッチやロナウドのようなベテランは、試合ではほとんど動かないのに1チャンスをモノする集中力と決定力がある。彼らを止めるためにゴール前でしっかりブロックすることが仕事です」と自身のプレーの変化を語った。
確かに、イングランドのCBは伝統的に屈強だがプレーは正直だ。アンフェアなプレーを嫌う「ジョンブル魂」が今も息づいているのかもしれない。そして対してイタリアのDFは、「色々なタイプがいる」と述べるにとどめておこう。
マイナビ仙台レディース、浦和レッドダイヤモンズレディース、大宮アルディージャ、ちふれASエルフェン埼玉、ジェフユナイテッド市原・千葉レディース、日テレ・東京ヴェルディベレーザ、ノシマステラ神奈川相模あら、AC長野パルセイロ・レディース、アルビレックス新潟レディース、INAC神戸レオネッサ、サンフレッチェ広島F.Cの11チームだ。
ちふれASエルフェン埼玉と長野パルセイロ・レディースはなでしこリーグ2部からの挑戦で、これまで女子チームを持っていない大宮は2部のFC十文字がチームの母体になり、広島は1からのチーム作りとなる。
そのため土日は子供たちの練習や試合と重なり観戦できない現状を改善するために、指導者とコミュニケーションを取りながら、WEリーグの試合を土曜のナイターや金曜開催にするプランなどを明かした。
かつて30年以上前、JSL(日本サッカーリーグ)も同じ悩みを抱えたことがある。小中学生の足をいかにしてスタジアムに向かわせるか。一時は小学生以下を無料にしたものの、子供たちは集まったが、単にスタジアムを遊び場所にして飛び回っているため辞めることにした。
日曜は仕方ないとしても、土曜は練習や試合を止めてJリーグを見に来て欲しい──そうJリーグの初代チェアマンである川淵氏も苦慮したものだ。集客の1つのキーワードとして「地域密着」が上げられるものの、初年度の参加チームは首都圏と地方の大都市という顔ぶれだけにこちらも苦戦が予想される。
とはいえ走り出しただけに、その成功を祈りつつ、暖かく見守りたいと思っている。
といったところで話は変わり、オランダでの親善試合で日本は植田の代表初ゴールでコートジボワールを下した。森保ジャパンがアフリカ勢と対戦するのは今回が初めてだが、2試合とも完封にキャプテンの吉田も「僕の記憶にないし、非常にコンディションのいい相手だった。この無失点をこれからも続けていきたい」と意気込みを語った。
この2試合連続しての無失点で一番の驚きは、実は吉田のプレーだった。これまでの吉田というと、勢いをつけて片足ジャンプヘッドでクリアしようとしてかぶり、相手に裏を取られたり、インターセプトを狙ってアタックしたはいいが、これもかわされて裏をとられて独走を許したりと、あまりいい印象はなかった。
アグレッシブなプレーだからこそリスクと隣り合わせは承知している。それでも強く印象に残っているのは、やはり失点に結びついたからかもしれない。
しかしカメルーン戦とコートジボワール戦の吉田は、4バックでも3バックでも常に冷静沈着だった。サイドの選手が抜かれそうになればすかさずカバーに回るなど、「力の抜けた」さりげないプレーでDF陣を支えていた。
驚かされたのは、コートジボワール戦では浮き球をヘッドで強くヒットするのではなく、上半身を反らすようにして力を抜き、柔らかいパスを味方に落としたプレーだ。解説者の戸田氏も褒めていたが、DFが単にヘッドでクリアするか、それを味方につなぐかで、その後の展開は天と地ほども変わる。全盛時をちょっと過ぎた頃の中澤佑二や田中マルクス闘莉王が得意としたプレーでもあった。
こうした変化について吉田自身はサウサンプトンからサンプドリアへの移籍を口にした。
彼いわく「運動量や強度がイングランドの方が圧倒的にあるけど、ゴール前の質はイタリアの方が鋭い。イブラヒモビッチやロナウドのようなベテランは、試合ではほとんど動かないのに1チャンスをモノする集中力と決定力がある。彼らを止めるためにゴール前でしっかりブロックすることが仕事です」と自身のプレーの変化を語った。
確かに、イングランドのCBは伝統的に屈強だがプレーは正直だ。アンフェアなプレーを嫌う「ジョンブル魂」が今も息づいているのかもしれない。そして対してイタリアのDFは、「色々なタイプがいる」と述べるにとどめておこう。
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