五輪延期も含め問題山積の来シーズンのJリーグ/六川亨の日本サッカー見聞録
2020.10.09 10:30 Fri
今週も外出の機会は少ないが、バタバタと慌ただしい毎日だ。月曜は毎月恒例のNPBとの対策連絡会議に加え、夜からは日本代表がオランダ入りしたので、選手4人が交代でズームを利用してのインタビューがスタートした。
で今回は実行委員会での難題を紹介しよう。まずJリーグは10月17日より太鼓と応援ハリセンを自席で叩くことを、ホームクラブの判断で可能にした。その条件として、ホームとアウェーの両チームのサポーターに許可することを義務づけた。
この会見で気になったのは、記者から観客を70%に拡大することについて質問された際に、村井チェアマンが私見ながらも「どこまで広げられるかは来シーズンの話」と即答を避けたことだ。
他の具体例としては、アルコール(ビール)の販売を解禁したとして、野球と違いサッカーファンがトイレを利用するのはハーフタイム時が多い。そうなると当然、通路も含めて過密状態になる。それをどう防ぐかは非常に難しい問題だろう。
まだ来シーズンの詳しい日程は未定となっているが、規制が70%から100%に緩和され、スタジアムにかつての日常が戻るのはだいぶ先のことになるかもしれない。
他にも問題はある。クラブ存続のために募金を始めた仙台など、コロナ禍で経営に苦しみ今期は赤字になるクラブや債務超過に陥るクラブが多数予測される。その特例措置をどこまで延長するか、いま議論している真っ最中だそうだ。
それとリンクしているのが来シーズンと22年シーズンのJリーグだ。来シーズンのJ1は今シーズン「降格なし」のため20チームで開催される。そこまでは決まっているが、22年シーズンのJ1をどうするか、まだ詳細は決まっていないらしい。
当初は現行の18チームに戻す予定でいた。しかしコロナ禍での減収も踏まえ、「18チームに戻すと経営的なダメージが大きい」という意見も出てきた。「成績だけでなく経営も考えて欲しい」と言う実行委員もいるそうだ。このため降格チームを何チームにして、その方式をどうするかJリーグは頭を痛めている。
こうした難題に拍車をかけているのが代表チームの活動だ。
本来なら今年は五輪が開催される予定だった。このためFC東京などは昨年のラグビーW杯の影響を受けたのに続き、2年連続してアウェーの連戦地獄になるところだった(いずれも味スタが使用できないため)。不幸中の幸いで五輪は延期され、アウェーの連戦はなくなったが、今度は過密日程の連戦に苦しめられている。
五輪は来年に延期された。本来なら五輪期間中はJ1の開催も控える予定だった。しかし来シーズンは20チームのリーグ戦になる。事前キャンプも含めてリーグ戦の日程を空けることが可能なのかどうか。
さらに問題はリーグ戦の日程だけにとどまらない。今シーズン成長著しい三笘や旗手らU- 24日本代表候補の選手をどうするかという問題もある。五輪代表選手抜きでリーグ戦を実施するのかどうか。
これまでJリーグは、五輪代表に招集できる選手に関して「1チーム3名まで」という暗黙のルールがあった。前回リオ五輪は問題なかったが、12年ロンドン五輪ではC大阪に山口、扇原、清武、杉本の4人の候補がいた。誰か1人は資格を失うことになる。そこで杉本は短期間、東京Vに移籍し、大迫とのポジション争いに勝ってロンドン行きを決めた。
こうした制約は、五輪の開催地がいずれも海外だったからだ。しかし来年は開催国での五輪となり、当然のことながらメダル獲得が期待される。そこで「3人枠」をどうするか。維持か撤廃か、こちらも検討中と原副チェアマンは話していた。
五輪は開催を前提にJFA(日本サッカー協会)と調整しているのだろうが、日程も含めクリアしなければならないハードルは高い。
そして22年である。J1を何チームで開催するかは別にして、11月21日から12月18日にかけてカタールでW杯が開催される。このため代表の事前キャンプやテストマッチも考慮すると、リーグ戦とルヴァン杯の決勝、そして天皇杯の準々決勝くらいまでは10月中に終わらせる必要があるだろう。そうなると、国内の3大会とも前倒しでの開幕となる。
そうなれば、やはりJ1は18チームでのリーグ戦が日程も組みやすいし、22年こそACLは休むべきだろう。まだ2年も先の話ではあるが、もうすでに関係者の苦悩は始まっている。
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火曜は昼過ぎにルヴァン杯準決勝に臨むFC東京の監督の選手をズームで取材し、午後からはJリーグの実行委員会によるブリーフィング、さらに夕方からは代表選手によるインタビューの続きだ。そして水曜はルヴァン杯の準決勝、川崎F対FC東京戦。こちらは今シーズンのベストマッチと言ってもいいくらいの好勝負だったので、機会があったら詳しくレポートしたい。そして木曜は代表選手インタビューと両チームの監督会見、金曜は日本対カメルーン戦。土曜は再びJリーグと予定がびっしり入っている。この会見で気になったのは、記者から観客を70%に拡大することについて質問された際に、村井チェアマンが私見ながらも「どこまで広げられるかは来シーズンの話」と即答を避けたことだ。
確かに、政府は11月末まで50%の規制を打ち出している。そしてJ1リーグは12月に4節しかないため、規制を緩和するメリットはあまり感じられない。現状ではマスギャザリングの検証として「国立に6万人が入って、1人が感染したらどうなるかをシミュレートしている」(村井チェアマン)段階だ。
他の具体例としては、アルコール(ビール)の販売を解禁したとして、野球と違いサッカーファンがトイレを利用するのはハーフタイム時が多い。そうなると当然、通路も含めて過密状態になる。それをどう防ぐかは非常に難しい問題だろう。
まだ来シーズンの詳しい日程は未定となっているが、規制が70%から100%に緩和され、スタジアムにかつての日常が戻るのはだいぶ先のことになるかもしれない。
他にも問題はある。クラブ存続のために募金を始めた仙台など、コロナ禍で経営に苦しみ今期は赤字になるクラブや債務超過に陥るクラブが多数予測される。その特例措置をどこまで延長するか、いま議論している真っ最中だそうだ。
それとリンクしているのが来シーズンと22年シーズンのJリーグだ。来シーズンのJ1は今シーズン「降格なし」のため20チームで開催される。そこまでは決まっているが、22年シーズンのJ1をどうするか、まだ詳細は決まっていないらしい。
当初は現行の18チームに戻す予定でいた。しかしコロナ禍での減収も踏まえ、「18チームに戻すと経営的なダメージが大きい」という意見も出てきた。「成績だけでなく経営も考えて欲しい」と言う実行委員もいるそうだ。このため降格チームを何チームにして、その方式をどうするかJリーグは頭を痛めている。
こうした難題に拍車をかけているのが代表チームの活動だ。
本来なら今年は五輪が開催される予定だった。このためFC東京などは昨年のラグビーW杯の影響を受けたのに続き、2年連続してアウェーの連戦地獄になるところだった(いずれも味スタが使用できないため)。不幸中の幸いで五輪は延期され、アウェーの連戦はなくなったが、今度は過密日程の連戦に苦しめられている。
五輪は来年に延期された。本来なら五輪期間中はJ1の開催も控える予定だった。しかし来シーズンは20チームのリーグ戦になる。事前キャンプも含めてリーグ戦の日程を空けることが可能なのかどうか。
さらに問題はリーグ戦の日程だけにとどまらない。今シーズン成長著しい三笘や旗手らU- 24日本代表候補の選手をどうするかという問題もある。五輪代表選手抜きでリーグ戦を実施するのかどうか。
これまでJリーグは、五輪代表に招集できる選手に関して「1チーム3名まで」という暗黙のルールがあった。前回リオ五輪は問題なかったが、12年ロンドン五輪ではC大阪に山口、扇原、清武、杉本の4人の候補がいた。誰か1人は資格を失うことになる。そこで杉本は短期間、東京Vに移籍し、大迫とのポジション争いに勝ってロンドン行きを決めた。
こうした制約は、五輪の開催地がいずれも海外だったからだ。しかし来年は開催国での五輪となり、当然のことながらメダル獲得が期待される。そこで「3人枠」をどうするか。維持か撤廃か、こちらも検討中と原副チェアマンは話していた。
五輪は開催を前提にJFA(日本サッカー協会)と調整しているのだろうが、日程も含めクリアしなければならないハードルは高い。
そして22年である。J1を何チームで開催するかは別にして、11月21日から12月18日にかけてカタールでW杯が開催される。このため代表の事前キャンプやテストマッチも考慮すると、リーグ戦とルヴァン杯の決勝、そして天皇杯の準々決勝くらいまでは10月中に終わらせる必要があるだろう。そうなると、国内の3大会とも前倒しでの開幕となる。
そうなれば、やはりJ1は18チームでのリーグ戦が日程も組みやすいし、22年こそACLは休むべきだろう。まだ2年も先の話ではあるが、もうすでに関係者の苦悩は始まっている。
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