ルヴァン杯で川崎FとFC東京が激突/六川亨の日本サッカーの歩み
2020.10.06 14:00 Tue
JリーグとNPB(日本野球機構)による第17回の対策連絡会議が5日に行われ、入場者の規制緩和に伴い、感染の防止に加え、マスギャザリング(特定の場所に人々が集中するイベントの再開)と疫学(病気の流行を除去)の専門家をオブザーバーに加えた会議を開催した。
同様に三鴨廣繁(愛知医科大学)ドクターも「プロ野球とJリーグはここまで順調に来ています。関係者の努力の賜物で、この取り組みを日本は2021年に東京五輪とパラリンピックを控えているので、こちらにつながると確信している。疫学などの専門家と前向きな議論をできると期待しています」と新たな局面に入りつつあることを示唆した。
果たして東京五輪・パラリンピックで海外から訪れた観戦者が、日本のルールを守るかどうか。違反しても、いまのところ退場してもらうか、次回の入場を断るぐらいしか罰則はないだけに、余計なお世話だが気になってしまう。
その原因としては、マスクと手洗いを徹底したことが1つ。インフルエンザは吐く息から感染すると2年前から言われているそうで、そのためマスクが効果的だったのではないかと推測されている。そしてもう1つが、ウイルス同士が干渉しつつ、インフルエンザには基礎免疫があり感染予防につながったが、コロナにはそれがないのでオーストラリアでも感染を抑えきれなかったのではないかと見られている。
ちなみにインフルエンザのワクチンは、感染を防ぐのではなく重症化を防ぐのが目的で、効果は40%ということも初めて知った。
さて今週のもう1つのテーマが、ルヴァン杯準決勝の川崎F対FC東京戦だ。すでにリーグ戦は川崎Fが独走態勢に入っており、2年ぶり3度目の優勝は確実ではないだろうか。2位に浮上したFC東京とは勝点12差だが、FC東京はACLの関係で2試合多く消化している。この6勝点を加えると18差。川崎Fは残り13試合で6連敗してFC東京と同勝点になるという「ありえない」展開だ。
このため他の上位チームは天皇杯の出場権を獲得できる2位か、来シーズンのACLの出場圏を獲得できる3位以内がリーグ戦の現実的な目標となるだろう。ただし、一発勝負のルヴァン杯は別物――そう考えているのが準決勝で激突するFC東京の長谷川監督である。
話は9月下旬に遡る。苦手の仙台に1-0、優勝争いのライバルC大阪に2-0と勝った後の26日、15位の鳥栖戦を前にリモート会見に臨んだ長谷川監督は、ルヴァン杯を見据えたローテーションを採用するかという質問に「どういう使い方をするか、見ていただければわかると思います」と答えた。
その鳥栖戦、CB森重こそ累積警告で出場停止だったが、左SBにJ1初出場のバングーナガンデ佳史扶をスタメン起用したほか、永井とレアンドロもベンチスタートとスタメンを入れ替えてきた。そして結果は0-3の完敗。「結果がすべて」と敗れた指揮官は多くを語らなかった。
続く30日の浦和戦は、森重と左SB小川が戻り、永井とレアンドロもスタメンに復帰(ディエゴ・オリベイラは累積警告で出場停止)、9月12日の神戸戦で負傷離脱した高萩も5試合ぶりにベンチへ戻った。試合は永井の決勝点で1-0の勝利を収めた。そしてFC東京が埼玉スタジアムで勝利を奪ったのは、2003年7月以来13年ぶりの快挙でもあった。
FC東京が初めて浦和と対戦したのは2001年のこと。前年にJ1へ昇格したものの、入れ違いに浦和がJ2に降格したため2000年は対戦がなかった。そして初対戦はまだ日韓W杯前ということで、埼玉スタジアムは未完成(01年10月に完成)のため浦和駒場での対戦となった。
4月14日の初対戦を呂比須ワグナーなどのゴールで3-1の勝利を飾ると、2002年は3万人の観衆の前で1-0の勝利を奪った。さらに翌2003年もケリーのゴールで1-0と3連勝したが、ここからFC東京は長いトンネルに入った。
3連勝のあとは7連敗と苦手にし、12年と13年は2試合とも2-2のドローに持ち込むも、そこからまた5連敗で、昨シーズンも勝利を目前にしながらアディショナルタイムの森脇のゴールで1-1のタイスコアに終わった。それだけに、この浦和戦の勝利は上位争いに加わる意味でも価値のある勝点3だった。
そして迎えた4日の湘南戦、相手がいくら最下位とはいえ、スタメンを見て驚いた。スタメン11人を入れ替え、GK波多野(今シーズンは3試合出場。以下同)、CB丹羽(1)、ジョアン・オマリ(6)、左SBバングーナガンデ佳史扶(1)、品田(6)と一桁出場が5人。サブに至っては田川(12)以外の4人がJ1出場0で、CB木村が2、MF平川が1という顔ぶれだった。
それでもアダイウトンのゴールで1-0の勝利を収め、さらに長谷川監督は2人目となるJ1通算200勝を達成した。ただし200勝も通過点に過ぎないだろう。すべては7日の川崎F戦に照準を絞ってきたからだ。
一方の川崎Fの鬼木監督も、3日のC大阪戦ではレアンドロ・ダミアンと三笘をベンチに温存するなど余裕の采配を見せた。両チームとも攻撃陣には個の力で突破できるタレントが揃っているだけに、気の抜けない試合になることは間違いないだろう。名勝負を期待して7日を待ちたい。
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菅新内閣は経済活性化のためGO TO〜の様々な施策を打ち出しており、イベントでも50%の入場を許可するなど規制を緩和した(Jリーグは30%でスタート)。ただし、それがいつ70%になり100%になるのかは誰もわからない。そこで座長の賀来満夫(東北医科薬科大学)ドクターは、「70%になったらどうするか。(クラシック)コンサートなどは話さないので70%を越えているが、スポーツはそうはいかない。しかし応援でも声を出さなければ70%にチャレンジしていくことも必要ではないか」と話し、「観客の行動が決める」との見解を示した。果たして東京五輪・パラリンピックで海外から訪れた観戦者が、日本のルールを守るかどうか。違反しても、いまのところ退場してもらうか、次回の入場を断るぐらいしか罰則はないだけに、余計なお世話だが気になってしまう。
そして面白いデータもあった。オーストラリアやブラジルなど南半球はこれから夏を迎える。ということは、すでに冬は過ぎ、いまは春といったところだが、今冬のオーストラリアはインフルエンザが流行しなかったそうだ。
その原因としては、マスクと手洗いを徹底したことが1つ。インフルエンザは吐く息から感染すると2年前から言われているそうで、そのためマスクが効果的だったのではないかと推測されている。そしてもう1つが、ウイルス同士が干渉しつつ、インフルエンザには基礎免疫があり感染予防につながったが、コロナにはそれがないのでオーストラリアでも感染を抑えきれなかったのではないかと見られている。
ちなみにインフルエンザのワクチンは、感染を防ぐのではなく重症化を防ぐのが目的で、効果は40%ということも初めて知った。
さて今週のもう1つのテーマが、ルヴァン杯準決勝の川崎F対FC東京戦だ。すでにリーグ戦は川崎Fが独走態勢に入っており、2年ぶり3度目の優勝は確実ではないだろうか。2位に浮上したFC東京とは勝点12差だが、FC東京はACLの関係で2試合多く消化している。この6勝点を加えると18差。川崎Fは残り13試合で6連敗してFC東京と同勝点になるという「ありえない」展開だ。
このため他の上位チームは天皇杯の出場権を獲得できる2位か、来シーズンのACLの出場圏を獲得できる3位以内がリーグ戦の現実的な目標となるだろう。ただし、一発勝負のルヴァン杯は別物――そう考えているのが準決勝で激突するFC東京の長谷川監督である。
話は9月下旬に遡る。苦手の仙台に1-0、優勝争いのライバルC大阪に2-0と勝った後の26日、15位の鳥栖戦を前にリモート会見に臨んだ長谷川監督は、ルヴァン杯を見据えたローテーションを採用するかという質問に「どういう使い方をするか、見ていただければわかると思います」と答えた。
その鳥栖戦、CB森重こそ累積警告で出場停止だったが、左SBにJ1初出場のバングーナガンデ佳史扶をスタメン起用したほか、永井とレアンドロもベンチスタートとスタメンを入れ替えてきた。そして結果は0-3の完敗。「結果がすべて」と敗れた指揮官は多くを語らなかった。
続く30日の浦和戦は、森重と左SB小川が戻り、永井とレアンドロもスタメンに復帰(ディエゴ・オリベイラは累積警告で出場停止)、9月12日の神戸戦で負傷離脱した高萩も5試合ぶりにベンチへ戻った。試合は永井の決勝点で1-0の勝利を収めた。そしてFC東京が埼玉スタジアムで勝利を奪ったのは、2003年7月以来13年ぶりの快挙でもあった。
FC東京が初めて浦和と対戦したのは2001年のこと。前年にJ1へ昇格したものの、入れ違いに浦和がJ2に降格したため2000年は対戦がなかった。そして初対戦はまだ日韓W杯前ということで、埼玉スタジアムは未完成(01年10月に完成)のため浦和駒場での対戦となった。
4月14日の初対戦を呂比須ワグナーなどのゴールで3-1の勝利を飾ると、2002年は3万人の観衆の前で1-0の勝利を奪った。さらに翌2003年もケリーのゴールで1-0と3連勝したが、ここからFC東京は長いトンネルに入った。
3連勝のあとは7連敗と苦手にし、12年と13年は2試合とも2-2のドローに持ち込むも、そこからまた5連敗で、昨シーズンも勝利を目前にしながらアディショナルタイムの森脇のゴールで1-1のタイスコアに終わった。それだけに、この浦和戦の勝利は上位争いに加わる意味でも価値のある勝点3だった。
そして迎えた4日の湘南戦、相手がいくら最下位とはいえ、スタメンを見て驚いた。スタメン11人を入れ替え、GK波多野(今シーズンは3試合出場。以下同)、CB丹羽(1)、ジョアン・オマリ(6)、左SBバングーナガンデ佳史扶(1)、品田(6)と一桁出場が5人。サブに至っては田川(12)以外の4人がJ1出場0で、CB木村が2、MF平川が1という顔ぶれだった。
それでもアダイウトンのゴールで1-0の勝利を収め、さらに長谷川監督は2人目となるJ1通算200勝を達成した。ただし200勝も通過点に過ぎないだろう。すべては7日の川崎F戦に照準を絞ってきたからだ。
一方の川崎Fの鬼木監督も、3日のC大阪戦ではレアンドロ・ダミアンと三笘をベンチに温存するなど余裕の采配を見せた。両チームとも攻撃陣には個の力で突破できるタレントが揃っているだけに、気の抜けない試合になることは間違いないだろう。名勝負を期待して7日を待ちたい。
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