NPBとJリーグの規制緩和は予定通り?/六川亨の日本サッカーの歩み
2020.09.09 11:30 Wed
9月7日、月曜日のことだった。15回目となるNPB(日本野球機構)とJリーグによる対策連絡会議が開催された。リモートで行われた会見では、賀来満夫ドクター(東北大学大学院)らが、政府の専門家による分科会も新型コロナの(第2波の)ピークは7月28日~30日で過ぎており、感染は徐々に減少していると分析していることを紹介した。
このため対策連絡会議の終わりには、広報担当者が翌日にJリーグの臨時実行委員会があり、リモート会見が行われることをアナウンスするのが常だった。しかし、7日は次回の対策連絡会議が9月21日に行われることしか発表されなかった。
7日の夕刻だった。記者会見に臨んだ小池都知事は今日一日の都内の感染者が77人であることを発表した。1日で100人を下回ったのは8月24日以来だ。「久しぶりの70人台になる。お盆明けから3週間になるが、減少傾向を示していると思う」と、特に表情を変えずに話していた。
すると19時ちょうどだった。Jリーグからメールが届き、8日の12時30分からNPBとJリーグの合同会見を実施することと、参加者は斉藤コミッショナーと村井チェアマンの2人であることを伝えてきた。
この7日の対策連絡会議を改めて振り返ってみると、「プロ野球とJリーグ共同で要望書を政府に提出する」と斉藤コミッショナーは明言しながらも、いつ出すかは断言していなかった。
記者との質疑応答では、「何パーセントもしくは何人に増やしたいのか」という質問に対し、斉藤コミッショナーは「マックス(最大)いまは50パーセント。まだ具体的に話していない。チェアマンとも要望書に入れるかどうか相談したい」と答え、村井チェアマンも「マックスは50パーセントでしょう。詳細はこれからになります」と答えるにとどめ、要望書の提出には言及しなかった。
さらに村井チェアマンは、制限緩和に伴うアウェーの観客をどうするかについても、「アウェーについて今日は議論されませんでした。明日議論しますが、まだ慎重に、ステップを踏んでいくのかな」と、実行委員会の会議が8日に行われることを示唆しただけだった。
ところが8日になると話は急転直下、12時30分からのリモート会見では、冒頭で広報担当者が斉藤コミッショナーと村井チェアマンの連名で、西村経済再生担当大臣宛てにメールで要望書を出したことと、これから郵送でも送ることを発表した。その詳細については当サイトでも紹介しているので省略したい。
付け加えることがあるとすれば、今回の制限緩和は来年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、貴重なモデルケースにつながるということもドクターらは強調していた。スタジアムへの入退場はもちろん、スタジアム内外の飲食、トイレ、ファンゾーン(があれば)の過ごし方から、公共交通機関の利用の際の規制方法など、観客を5000人から増やすことで見えてくる、新たな課題もあるだろう。
ただ、「それにしても」という疑問を払拭できない。8日朝のニュースでは、IOC(国際オリンピック委員会)のコーツ副会長が「コロナに関係なく(五輪は)開催する」と電話インタビューで答えたことが伝えられた。
IOCにはIOCなりの思惑があるとしても、前日の小池都知事に続いてIOCの副会長までが、JリーグとNPBの観客増を後押ししている――ふうに感じられてしまった。なんだか急に強い追い風が吹いてきたような……。
そこで改めて7日のノートを読み返してみると、斉藤コミッショナーは次のような発言をしていた。
要望書の提出に関して「(政府の有識者による)分科会は状況の改善で(人数制限を)見直すコンセンサスは取れている。今週金曜(11日)に分科会があるので、採用を検討する要望書を出します」
そして「今回は要望書なのか、具体的な数字を入れるのか」という質問に対しては「GO TOトラベルも、GO TO イートも(考えたらサッカーも野球も2つを同時に実行している)政府主導で経済・社会活動の重要性を新内閣も考えるでしょう。来年も見えてきている。じっとしている時期ではない。来年を考えるきっかけとして要望書を出したい。絶対数5000は論理的に合わない。根拠がない。パーセンテージにするべきです」
最後に五輪に向けて賀来ドクターは次のように語っていた。「政府の分科会、厚労省で議論している。プロ野球とJリーグで、5000人規模でクラスターは発生していない。対応は十分取れている。5000人を五輪に向けたチャレンジとして、段階的に対策を取りながら(人数を)上げていくべきではないか。社会経済活動を回すために、ウィズコロナでどうするべきか。そういう考え方が今後は必要になる」
11日の分科会での最終判断を受け、19日の政府の感染症対策会議で制限を緩和して50パーセントに引き上げる。20日から始まる3連休には間に合わないが、なんだか先に政府方針があったような気がしてならない。
14日には自民党の新総裁が決まり、16日には新首相が選出され、新内閣も発足する予定だ。誰が担当するにしても、19日は引き継ぎ事項としてすでに申し送りがされているのかもしれない。
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このため9月いっぱいまで延長された上限5000人の入場者制限を見直す時期に来ているとして、パーセンテージによる変更と、10月を待たずに早期の制限緩和を求める要望書を、斉藤NPBコミッショナーと村井チェアマンの連名で出すことを発表した。これまでの会見では、ドクター3氏の提言を受けた対策連絡会議後、プロ野球12球団は同日の午後に会議を開いて伝達事項を共有しつつ、課題を検討していた。そしてJリーグは翌日に臨時実行委員会を開き、その日の午後に委員会の合意・決定を踏まえて会見を行ってきた。7日の夕刻だった。記者会見に臨んだ小池都知事は今日一日の都内の感染者が77人であることを発表した。1日で100人を下回ったのは8月24日以来だ。「久しぶりの70人台になる。お盆明けから3週間になるが、減少傾向を示していると思う」と、特に表情を変えずに話していた。
昼前のリモート会見で感染者が減少傾向にあることは聞いていた。それを裏付ける数字が出たことで、入場者の制限緩和は9月中にも認められるのではないかと内心期待したものだ。
すると19時ちょうどだった。Jリーグからメールが届き、8日の12時30分からNPBとJリーグの合同会見を実施することと、参加者は斉藤コミッショナーと村井チェアマンの2人であることを伝えてきた。
この7日の対策連絡会議を改めて振り返ってみると、「プロ野球とJリーグ共同で要望書を政府に提出する」と斉藤コミッショナーは明言しながらも、いつ出すかは断言していなかった。
記者との質疑応答では、「何パーセントもしくは何人に増やしたいのか」という質問に対し、斉藤コミッショナーは「マックス(最大)いまは50パーセント。まだ具体的に話していない。チェアマンとも要望書に入れるかどうか相談したい」と答え、村井チェアマンも「マックスは50パーセントでしょう。詳細はこれからになります」と答えるにとどめ、要望書の提出には言及しなかった。
さらに村井チェアマンは、制限緩和に伴うアウェーの観客をどうするかについても、「アウェーについて今日は議論されませんでした。明日議論しますが、まだ慎重に、ステップを踏んでいくのかな」と、実行委員会の会議が8日に行われることを示唆しただけだった。
ところが8日になると話は急転直下、12時30分からのリモート会見では、冒頭で広報担当者が斉藤コミッショナーと村井チェアマンの連名で、西村経済再生担当大臣宛てにメールで要望書を出したことと、これから郵送でも送ることを発表した。その詳細については当サイトでも紹介しているので省略したい。
付け加えることがあるとすれば、今回の制限緩和は来年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、貴重なモデルケースにつながるということもドクターらは強調していた。スタジアムへの入退場はもちろん、スタジアム内外の飲食、トイレ、ファンゾーン(があれば)の過ごし方から、公共交通機関の利用の際の規制方法など、観客を5000人から増やすことで見えてくる、新たな課題もあるだろう。
ただ、「それにしても」という疑問を払拭できない。8日朝のニュースでは、IOC(国際オリンピック委員会)のコーツ副会長が「コロナに関係なく(五輪は)開催する」と電話インタビューで答えたことが伝えられた。
IOCにはIOCなりの思惑があるとしても、前日の小池都知事に続いてIOCの副会長までが、JリーグとNPBの観客増を後押ししている――ふうに感じられてしまった。なんだか急に強い追い風が吹いてきたような……。
そこで改めて7日のノートを読み返してみると、斉藤コミッショナーは次のような発言をしていた。
要望書の提出に関して「(政府の有識者による)分科会は状況の改善で(人数制限を)見直すコンセンサスは取れている。今週金曜(11日)に分科会があるので、採用を検討する要望書を出します」
そして「今回は要望書なのか、具体的な数字を入れるのか」という質問に対しては「GO TOトラベルも、GO TO イートも(考えたらサッカーも野球も2つを同時に実行している)政府主導で経済・社会活動の重要性を新内閣も考えるでしょう。来年も見えてきている。じっとしている時期ではない。来年を考えるきっかけとして要望書を出したい。絶対数5000は論理的に合わない。根拠がない。パーセンテージにするべきです」
最後に五輪に向けて賀来ドクターは次のように語っていた。「政府の分科会、厚労省で議論している。プロ野球とJリーグで、5000人規模でクラスターは発生していない。対応は十分取れている。5000人を五輪に向けたチャレンジとして、段階的に対策を取りながら(人数を)上げていくべきではないか。社会経済活動を回すために、ウィズコロナでどうするべきか。そういう考え方が今後は必要になる」
11日の分科会での最終判断を受け、19日の政府の感染症対策会議で制限を緩和して50パーセントに引き上げる。20日から始まる3連休には間に合わないが、なんだか先に政府方針があったような気がしてならない。
14日には自民党の新総裁が決まり、16日には新首相が選出され、新内閣も発足する予定だ。誰が担当するにしても、19日は引き継ぎ事項としてすでに申し送りがされているのかもしれない。
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