街は静かだ…/原ゆみこのマドリッド
2020.07.19 18:30 Sun
「まさかホントに言いつけを守るとは!」そんな風に私が感心していたのは土曜日、前夜、ホームのアルコラスで岡崎慎司選手の技ありtaconazo(タコナソ/ヒールキック)なども含め、ヌマンシアに3-0と完勝。ウエスカが直接昇格の2位以上を確定し、最短1部Uターンを決めながら、街中で大勢のファンが集まってお祝いする風景はなかったとお昼のニュースで知った時のことでした。いやあ、確かにウエスカ(スペイン西部)は最近、新型コロナウィルス感染者が再び増えてきている地域ですし、スペイン全土の感染数も5月以来の1日600人台を記録しているとなれば、誰もが用心するのは当然なんですけどね。
実際、何より驚かされたのは木曜の夜、3年ぶりにレアル・マドリーのリーガ優勝が決まりながら、シベレス広場にはお祝いに訪れるファンより、マスコミ各社から送られたレポーターの方が多かったというオチで、いえ、通行止めをしていない車道をクラクションを鳴らしたり、マフラーを振ったりして走り抜ける自家用車やバイクは多々あったというんですけどね。普通の年なら、私の自宅近辺でもクラクションなどは聞こえるんですが、それもなく、念のため、バル(スペインの喫茶店兼バー)の多い通りを一回りしてみても優勝祝いをしているグループなど1組も見当たらず。
選手たちがトロフィーを受け取り、ピッチで記念撮影をしまくっていたエスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノのあるバルデベバス(バラハス空港の近く)の施設出入り口に集まったファンもせいぜい2、30人といったところで、至って静かだったとテレマドリッド(ローカルTV局)のレポートで知ったんですが、いや凄い。だってえ、日本よりコロナ被害が遥かに大きかったヨーロッパでは6月中、ナポリのコッパ・イタリア優勝、リバプールのプレミアリーグ優勝、この水曜にはポルトのポルトガルリーガ優勝、スペインでも月曜夜に1部昇格1番乗りを果たしたカディスなど、マスクなし、ソーシャルディスタンス無視でサポーターが街に繰り出し、大騒ぎをしている映像には事欠かなかったんですよ。マドリッド市民って、そんなに素直に当局の警告を聞く性質だった?
まあ、私にしてみれば、チームがシベレス広場にも行かず、サンティアゴ・ベルナベウでのメガフィエスタもなかったため、試合が終わった後、TVにひっついている必要もなし。翌日も恒例の州、市庁舎への表敬訪問ですら、逆に州知事、市長がバルデベバスに出向いてミニセレモニーと、立ち会えるイベントもなかったため、あまり優勝の実感が湧いてこないんですが、とりあえず、順位争いに関係ないエイバルvsバジャドリー戦以外、木曜午後9時に一斉開催となった37節を振り返ってみることにすると。
いやあ、コロナ禍の余波でバルに入り浸るのも気が引け、リーガの配信契約をしたところ、以前はハオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の多元中継をイヤホンで聴きながら、時間割が統一されるシーズン終盤など特に、複数の試合を同時に見られたらいいのにと願っていたものですが、とうとうその長年の夢が実現。この日は無料地上波のGolTVでアスレティックvsレガネス戦を流しながら、パソコンの画面でマドリーvsビジャレアル戦、ヘタフェvsアトレティコ戦をつけていたんですが、コリセウム・アルフォンソ・ペレスで序盤から、シメオネ監督のチームが攻めまくられていたとなれば、そちらに目が釘付けになってしまったのも仕方ない?
その一方で前半16分にはカンプ・ノウから、アルナイスのゴールでオサスナがバルサに0-1とリードしたという朗報を受け、勢いづいていたマドリーは25分、モドリッチのラストパスをベンゼマが決めて先制。相手のビジャレアルがこの試合より、EL出場確定に必要な勝ち点1を獲るのは最終節のエイバル戦の方が容易いと考えたか、カソルラを温存してきたのも有難かったようですが、そのままマドリー勝利、バルサ敗戦となれば、余裕で優勝決定ですからねえ。その日はアザールが3試合ぶりに復帰という嬉しいニュースもあったものの、特に他には見せ場がないまま、そちらの前半は終わってしまいましたっけ。
そして後半に入って8分、カラスコがエリア前でヘタフェDF陣に囲まれながら出したボールをマルコス・ジョレンテがクルリと体を回してシュート。それまでの劣勢が嘘のような先制点をアトレティコが挙げているのには呆気に取られるしかなかったんですが、いよいよ30分過ぎには3試合同時にイベントが発生したから、さあ大変!ええ、バルデベバスでセルヒオ・ラモスがチャクラにエリア内で倒されたプレーがペナルティとされ、当人がPKマークに立ったんですが、ボールを横に短く出して、後ろから来たベンゼマが撃つという、いやあ、多分、キャプテンはピチチ(リーガの得点王)レーストップのメッシがオサスナ戦後半にFKで同点ゴールを入れたことを知り、また差が3本に戻っていた後輩の力になりたかったんだと思いますけどね。
でもねえ、ベンゼマのシュートはゴールとなったものの、ラモスが蹴る前に当人がエリア内に入っていたことが発覚してやり直しに。今度はキッカーとしてベンゼマが蹴って、ちゃんと2点目を挙げたとなれば、初めからそうしていれば良かったのでは?そんな意味不明なことが起こっている横で交代出場したビトロがエリア内左奥に切り込んだ後、ゴール前に送ったボールをトマスが決めて、アトレティコも2点目をゲット。いえ、そのちょっと前にはparon(パロン/リーガの中断期間)直前のCL16強対決リバプール戦2ndレグから、チームの切り込み隊長と化していたジョレンテが交代を頼んでいて、ケガが心配されるなんてこともあったんですけどね。
どうやら当人曰く、「En las últimas jugadas se me han subido los gemelos/エン・ラス・ウルティマス・フガダス・セ・メ・アン・スビードー・ロス・ヘメロス(最後のプレーでふくらはぎがつったんだ)。FWがダッシュできないんじゃ、ピッチにいる意味がないからね」という理由だったため、全然、大丈夫だったんですが、え、そのアトレティコがリードを広げている間中、サン・マメスではレガネスがVAR(ビデオ審判)判定を待っていなかったかって?
その通りで、アスレティックは前半23分にエリアを飛び出してブライアン・ヒルの突撃を止めたGKウナイ・シモンが退場に。そこからずっと人数的優位で戦いながら、例の如く、ゴールが遠かった弟分なんですが、とうとう冬の市場でセビージャに移籍したエン・ネシリを補うべく、加入していたアサレとゲレロがやってくれたんですよ!前者のスルーパスを後者がvaselina(バセリーナ/ループシュート)でGKエレリンの頭を越えてネットに入れたんですが、オフサイドチェックが延々と続いているとなれば、待たされる方はたまったもんじゃありませんって。それがレガネスのVAR運の悪さ故か、認められないだろうという大方の予想を裏切って、スコアボードに上がってくれたのにはもう、サッカーの神様に感謝するばかりかと。
これで一番の課題をクリアしたレガネスはロスタイムにもアビラスのパスから、アサレが2点目を挙げ、0-2で勝利。その日は10人も負傷や出場停止者がいて、ピッチにいるトップチーム選手の人数が減りすぎないように気をつけないと、alineracion indebida/アリネラシオン・インデビダ(不適切なラインアップ)で訴えられる危険もあった彼らだったんですけどね。おまけに「ルベン・ペレスとブスティンサはケガ人なのにプレーしてくれた」(アギーレ監督)という極限状況だったんですが、ここ4試合、エスパニョール、エイバル、バレンシア、アスレティックとの対戦で勝ち点10を稼いだのはまさに僥倖。
おかげで同日、グラナダに負けたマジョルカが最短2部Uターンとなったのを横目に、17位のセルタがレバンテに負けたおかげもあって、勝ち点差1で最終節まで首の皮が繋がりましたからね。ただ、だからといって手放しで喜べないのは、セルタがすでに降格しているエスパニョールと対戦することもそうですが、レガネスがブタルケに日曜午後9時(日本時間翌午前4時)に迎えるのは今を時めく、今季のリーガチャンピオン。もちろん「Solo nos vale ganar y vamos a intentarlo/ソロ・ノス・バレ・ガナール・イ・バモス・ア・インテンタールロ(有効なのは勝利だけだから、やってみるつもりだ)」(アギーレ監督)という姿勢で行くしかないとはいえ…。
いや、先走ってはいけません。木曜の試合に話を戻すと、ベンゼマのPKゴールで2-0としたマドリーは後半38分、イボラのヘッドで1点を返されたものの、ロスタイムにはGKクルトワの連続paradon(パラドン/スーパーセーブ)などもあって、2-1の勝利で優勝が決まることに。その頃にはロベルト・トーレスの決勝点でオサスナがバルサに勝ったという報も届いていたんですけどね。ジダン監督も「Hemos sido los mejores porque somos los que más puntos hemos sumado. y ya está/エモス・シードー・ロス・メホーレス・ポルケ・ソモス・ロス・ケ・マス・プントス・エモス・スマードー、イ・ジャー・エスタ(どこより勝ち点を積んだのだから、ウチが最高のチームだった。それだけだ)」と話していた通り、「Cuando uno gana 10 partidos no hay nada que decir/クアンドー・ウノ・ガナ・ディエス・パルティードス・ノー・アイ・ナーダ・ケ・デシール(誰かが10試合全てに勝ったのなら、言うことは何もない)」(シメオネ監督)というのが、まさに今季の総括といったところでしょうか。
そんなアトレティコも直近17試合でヘタフェに31-0で圧勝しているという流れのまま、その日も0-2で勝ったんですが、実は彼らには最終節にやってもらいたいことが。いえ、罪滅ぼしという訳ではありませんが、2季連続EL出場を目指す弟分のため、日曜にワンダ・メトロポリターノに迎えるレアル・ソシエダには勝ってあげてほしいんですよ。ええ、その日はセビージャがバレンシアと0-0で分けたため、彼らの3位は揺らがなかったものの、まだ確定という訳ではないですしね。サウールは累積警告で一足先にリーガ終了となりますが、8月13日にはライプツィッヒとのCL準々決勝も控えているとなれば、とりわけケガの治ったジョアン・フェリックスなど、まだまだ気を抜いてはいけないかと。
まあ、実際、ヘタフェが「Somos de los peores tras el confinamiento/ソモス・デ・ロス・ペオーレス・トラス・エル・コンフィナミエントー(ウチは外出禁止令後、最悪だったチームの1つ)」(ボルダラス監督)というのは本当ですし、アトレティコ戦の後半ロスタイムにはニヨムがアリアスに後ろから強烈タックスをお見舞いして一発退場。せっかくビジャレアル戦でのtangana(タンガナ/小競り合い)で受けた出場停止処分が1試合で済みながら、再び出られなくなってしまうなど、自業自得の面もあるとはいえ、3月まではクラブ史上初のCL出場も夢ではないと言われていた彼らですからね。
最終節のレバンテ戦には処分3試合とされたエチェイタも引き続き出場停止と逆境ばかりのヘタフェですが、幸いまだEL出場圏内の7位をキープ。ただ、この位置は予選3ラウンドの突破が必要と、ELグループリーグに辿り着くまでの道のりが大変なため、マドリーに負けながらも他試合の結果で7位以上が決定したビジャレアルはともかく、勝ち点差1に迫ってきた8位バレンシア、9位グラナダの追撃を避けつつ、レアル・ソシエダを乗り越えて、6位に這い上がれるといいのですが、さて。
そして奇跡を期待したいのがレガネスで、いえ、ジダン監督など、「モチベーションを持たないといけない。クラブのDNAには全ての試合に勝つことが刷り込まれているし、además es de Liga. No es un amistoso/アデマス・エス・デ・リーガ。ノー・エス・ウン・アミストーソ(リーガ戦だからね。親善試合じゃない)」と言っていたんですけどね。どうやらビジャレアル戦でキンティージャに顔面膝打ちされながら、頑張って最後までプレーしたGKクルトワはサモラ(リーガで一番失点率が低いGKに与えられる賞)がほぼ確定したのもあり、アレオラに先発を譲るようですし、土曜に発表された招集リストからはハメス・ロドリゲスに加え、まだ本調子でないアザール、そしてとうとうベイルも落ちましたからね。
レガネスがマドリー勝った記憶など、2017-18シーズンのコパ・デル・レイ準々決勝2ndレグで逆転突破した時ぐらいしか、私にもないんですが、こればっかりはやってみないことには何とも。ちなみに金曜に一斉開催された2部の41節、マドリッド勢でプレーオフ圏内に入ったのはエルチェとの直接対決を制して6位に上がったフエンラブラダだけ。アルコルコンはマラガに負けて望みがなくなり、ラージョもラス・パルマスと引分け、勝ち点差3で8位とかなり厳しい状況になったため、月曜の最終節ではデポルティーボに勝って、フエンラブラダに2年連続昇格の夢を繋いでほしいところですが…いやあ、その試合、柴崎岳選手のいるデポルには2部残留が懸かっているのは辛いところです。
実際、何より驚かされたのは木曜の夜、3年ぶりにレアル・マドリーのリーガ優勝が決まりながら、シベレス広場にはお祝いに訪れるファンより、マスコミ各社から送られたレポーターの方が多かったというオチで、いえ、通行止めをしていない車道をクラクションを鳴らしたり、マフラーを振ったりして走り抜ける自家用車やバイクは多々あったというんですけどね。普通の年なら、私の自宅近辺でもクラクションなどは聞こえるんですが、それもなく、念のため、バル(スペインの喫茶店兼バー)の多い通りを一回りしてみても優勝祝いをしているグループなど1組も見当たらず。
◆マドリー、無観客でのトロフィーリフト
選手たちがトロフィーを受け取り、ピッチで記念撮影をしまくっていたエスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノのあるバルデベバス(バラハス空港の近く)の施設出入り口に集まったファンもせいぜい2、30人といったところで、至って静かだったとテレマドリッド(ローカルTV局)のレポートで知ったんですが、いや凄い。だってえ、日本よりコロナ被害が遥かに大きかったヨーロッパでは6月中、ナポリのコッパ・イタリア優勝、リバプールのプレミアリーグ優勝、この水曜にはポルトのポルトガルリーガ優勝、スペインでも月曜夜に1部昇格1番乗りを果たしたカディスなど、マスクなし、ソーシャルディスタンス無視でサポーターが街に繰り出し、大騒ぎをしている映像には事欠かなかったんですよ。マドリッド市民って、そんなに素直に当局の警告を聞く性質だった?
いやあ、コロナ禍の余波でバルに入り浸るのも気が引け、リーガの配信契約をしたところ、以前はハオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の多元中継をイヤホンで聴きながら、時間割が統一されるシーズン終盤など特に、複数の試合を同時に見られたらいいのにと願っていたものですが、とうとうその長年の夢が実現。この日は無料地上波のGolTVでアスレティックvsレガネス戦を流しながら、パソコンの画面でマドリーvsビジャレアル戦、ヘタフェvsアトレティコ戦をつけていたんですが、コリセウム・アルフォンソ・ペレスで序盤から、シメオネ監督のチームが攻めまくられていたとなれば、そちらに目が釘付けになってしまったのも仕方ない?
何せ、前節にはマストであるCL出場圏順位を確定させたアトレティコですからね。「Tuvimos pocas presión e intensidad en los primeros 20 minutos/トゥビモス・ポカス・プレシオン・エ・インテンシダッド・エン・ロス・プリメーロス・ベインテ・ミヌートス(最初の20分間、ウチはあまりプレスをかけず、プレーの激しさもなかった)」(シメオネ監督)という状態だった彼らが、EL出場権が懸かっているボルダラス監督のチームに気迫で押されてしまうのも当然だったんですが、まったく。相性が悪いとはよく言ったもので、マタが3度程、絶好のシュートを撃ちながら、フェリペのゴールライン上クリアがあったり、GKオブラクが中に入ってから掻き出しても直前のオフサイドで得点を認められないなど、アトレティコが無失点でハーフタイムを迎えているんですから、ビックリしたの何のって。
その一方で前半16分にはカンプ・ノウから、アルナイスのゴールでオサスナがバルサに0-1とリードしたという朗報を受け、勢いづいていたマドリーは25分、モドリッチのラストパスをベンゼマが決めて先制。相手のビジャレアルがこの試合より、EL出場確定に必要な勝ち点1を獲るのは最終節のエイバル戦の方が容易いと考えたか、カソルラを温存してきたのも有難かったようですが、そのままマドリー勝利、バルサ敗戦となれば、余裕で優勝決定ですからねえ。その日はアザールが3試合ぶりに復帰という嬉しいニュースもあったものの、特に他には見せ場がないまま、そちらの前半は終わってしまいましたっけ。
そして後半に入って8分、カラスコがエリア前でヘタフェDF陣に囲まれながら出したボールをマルコス・ジョレンテがクルリと体を回してシュート。それまでの劣勢が嘘のような先制点をアトレティコが挙げているのには呆気に取られるしかなかったんですが、いよいよ30分過ぎには3試合同時にイベントが発生したから、さあ大変!ええ、バルデベバスでセルヒオ・ラモスがチャクラにエリア内で倒されたプレーがペナルティとされ、当人がPKマークに立ったんですが、ボールを横に短く出して、後ろから来たベンゼマが撃つという、いやあ、多分、キャプテンはピチチ(リーガの得点王)レーストップのメッシがオサスナ戦後半にFKで同点ゴールを入れたことを知り、また差が3本に戻っていた後輩の力になりたかったんだと思いますけどね。
でもねえ、ベンゼマのシュートはゴールとなったものの、ラモスが蹴る前に当人がエリア内に入っていたことが発覚してやり直しに。今度はキッカーとしてベンゼマが蹴って、ちゃんと2点目を挙げたとなれば、初めからそうしていれば良かったのでは?そんな意味不明なことが起こっている横で交代出場したビトロがエリア内左奥に切り込んだ後、ゴール前に送ったボールをトマスが決めて、アトレティコも2点目をゲット。いえ、そのちょっと前にはparon(パロン/リーガの中断期間)直前のCL16強対決リバプール戦2ndレグから、チームの切り込み隊長と化していたジョレンテが交代を頼んでいて、ケガが心配されるなんてこともあったんですけどね。
どうやら当人曰く、「En las últimas jugadas se me han subido los gemelos/エン・ラス・ウルティマス・フガダス・セ・メ・アン・スビードー・ロス・ヘメロス(最後のプレーでふくらはぎがつったんだ)。FWがダッシュできないんじゃ、ピッチにいる意味がないからね」という理由だったため、全然、大丈夫だったんですが、え、そのアトレティコがリードを広げている間中、サン・マメスではレガネスがVAR(ビデオ審判)判定を待っていなかったかって?
その通りで、アスレティックは前半23分にエリアを飛び出してブライアン・ヒルの突撃を止めたGKウナイ・シモンが退場に。そこからずっと人数的優位で戦いながら、例の如く、ゴールが遠かった弟分なんですが、とうとう冬の市場でセビージャに移籍したエン・ネシリを補うべく、加入していたアサレとゲレロがやってくれたんですよ!前者のスルーパスを後者がvaselina(バセリーナ/ループシュート)でGKエレリンの頭を越えてネットに入れたんですが、オフサイドチェックが延々と続いているとなれば、待たされる方はたまったもんじゃありませんって。それがレガネスのVAR運の悪さ故か、認められないだろうという大方の予想を裏切って、スコアボードに上がってくれたのにはもう、サッカーの神様に感謝するばかりかと。
これで一番の課題をクリアしたレガネスはロスタイムにもアビラスのパスから、アサレが2点目を挙げ、0-2で勝利。その日は10人も負傷や出場停止者がいて、ピッチにいるトップチーム選手の人数が減りすぎないように気をつけないと、alineracion indebida/アリネラシオン・インデビダ(不適切なラインアップ)で訴えられる危険もあった彼らだったんですけどね。おまけに「ルベン・ペレスとブスティンサはケガ人なのにプレーしてくれた」(アギーレ監督)という極限状況だったんですが、ここ4試合、エスパニョール、エイバル、バレンシア、アスレティックとの対戦で勝ち点10を稼いだのはまさに僥倖。
おかげで同日、グラナダに負けたマジョルカが最短2部Uターンとなったのを横目に、17位のセルタがレバンテに負けたおかげもあって、勝ち点差1で最終節まで首の皮が繋がりましたからね。ただ、だからといって手放しで喜べないのは、セルタがすでに降格しているエスパニョールと対戦することもそうですが、レガネスがブタルケに日曜午後9時(日本時間翌午前4時)に迎えるのは今を時めく、今季のリーガチャンピオン。もちろん「Solo nos vale ganar y vamos a intentarlo/ソロ・ノス・バレ・ガナール・イ・バモス・ア・インテンタールロ(有効なのは勝利だけだから、やってみるつもりだ)」(アギーレ監督)という姿勢で行くしかないとはいえ…。
いや、先走ってはいけません。木曜の試合に話を戻すと、ベンゼマのPKゴールで2-0としたマドリーは後半38分、イボラのヘッドで1点を返されたものの、ロスタイムにはGKクルトワの連続paradon(パラドン/スーパーセーブ)などもあって、2-1の勝利で優勝が決まることに。その頃にはロベルト・トーレスの決勝点でオサスナがバルサに勝ったという報も届いていたんですけどね。ジダン監督も「Hemos sido los mejores porque somos los que más puntos hemos sumado. y ya está/エモス・シードー・ロス・メホーレス・ポルケ・ソモス・ロス・ケ・マス・プントス・エモス・スマードー、イ・ジャー・エスタ(どこより勝ち点を積んだのだから、ウチが最高のチームだった。それだけだ)」と話していた通り、「Cuando uno gana 10 partidos no hay nada que decir/クアンドー・ウノ・ガナ・ディエス・パルティードス・ノー・アイ・ナーダ・ケ・デシール(誰かが10試合全てに勝ったのなら、言うことは何もない)」(シメオネ監督)というのが、まさに今季の総括といったところでしょうか。
そんなアトレティコも直近17試合でヘタフェに31-0で圧勝しているという流れのまま、その日も0-2で勝ったんですが、実は彼らには最終節にやってもらいたいことが。いえ、罪滅ぼしという訳ではありませんが、2季連続EL出場を目指す弟分のため、日曜にワンダ・メトロポリターノに迎えるレアル・ソシエダには勝ってあげてほしいんですよ。ええ、その日はセビージャがバレンシアと0-0で分けたため、彼らの3位は揺らがなかったものの、まだ確定という訳ではないですしね。サウールは累積警告で一足先にリーガ終了となりますが、8月13日にはライプツィッヒとのCL準々決勝も控えているとなれば、とりわけケガの治ったジョアン・フェリックスなど、まだまだ気を抜いてはいけないかと。
まあ、実際、ヘタフェが「Somos de los peores tras el confinamiento/ソモス・デ・ロス・ペオーレス・トラス・エル・コンフィナミエントー(ウチは外出禁止令後、最悪だったチームの1つ)」(ボルダラス監督)というのは本当ですし、アトレティコ戦の後半ロスタイムにはニヨムがアリアスに後ろから強烈タックスをお見舞いして一発退場。せっかくビジャレアル戦でのtangana(タンガナ/小競り合い)で受けた出場停止処分が1試合で済みながら、再び出られなくなってしまうなど、自業自得の面もあるとはいえ、3月まではクラブ史上初のCL出場も夢ではないと言われていた彼らですからね。
最終節のレバンテ戦には処分3試合とされたエチェイタも引き続き出場停止と逆境ばかりのヘタフェですが、幸いまだEL出場圏内の7位をキープ。ただ、この位置は予選3ラウンドの突破が必要と、ELグループリーグに辿り着くまでの道のりが大変なため、マドリーに負けながらも他試合の結果で7位以上が決定したビジャレアルはともかく、勝ち点差1に迫ってきた8位バレンシア、9位グラナダの追撃を避けつつ、レアル・ソシエダを乗り越えて、6位に這い上がれるといいのですが、さて。
そして奇跡を期待したいのがレガネスで、いえ、ジダン監督など、「モチベーションを持たないといけない。クラブのDNAには全ての試合に勝つことが刷り込まれているし、además es de Liga. No es un amistoso/アデマス・エス・デ・リーガ。ノー・エス・ウン・アミストーソ(リーガ戦だからね。親善試合じゃない)」と言っていたんですけどね。どうやらビジャレアル戦でキンティージャに顔面膝打ちされながら、頑張って最後までプレーしたGKクルトワはサモラ(リーガで一番失点率が低いGKに与えられる賞)がほぼ確定したのもあり、アレオラに先発を譲るようですし、土曜に発表された招集リストからはハメス・ロドリゲスに加え、まだ本調子でないアザール、そしてとうとうベイルも落ちましたからね。
レガネスがマドリー勝った記憶など、2017-18シーズンのコパ・デル・レイ準々決勝2ndレグで逆転突破した時ぐらいしか、私にもないんですが、こればっかりはやってみないことには何とも。ちなみに金曜に一斉開催された2部の41節、マドリッド勢でプレーオフ圏内に入ったのはエルチェとの直接対決を制して6位に上がったフエンラブラダだけ。アルコルコンはマラガに負けて望みがなくなり、ラージョもラス・パルマスと引分け、勝ち点差3で8位とかなり厳しい状況になったため、月曜の最終節ではデポルティーボに勝って、フエンラブラダに2年連続昇格の夢を繋いでほしいところですが…いやあ、その試合、柴崎岳選手のいるデポルには2部残留が懸かっているのは辛いところです。
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バルサは祝ってるけど、まだ続くリーガもある…/原ゆみこのマドリッド
「あと大変なのは弟分だけね」そんな風に私が呟いていたのは金曜日、慌ただしいミッドウィーク開催36節がバルサのリーガ優勝で終わった翌朝のことでした。いやあ、もちろん、水曜のサンティアゴ・ベルナベウでマジョルカ相手に意地で勝利を挙げた甲斐もなく、翌日にはクラシコ(伝統の一戦)で勝ち点差を7にした宿敵がエスパニョールに0-2と勝利。最短ルートでタイトルをものにしたのはきっと、レアル・マドリーの選手たちも面白くないものを感じているとは思いますけどね。お隣さんも負けたため、2位の座が安泰となったのは良かったかと。 一方、またしてもアウェイで恥をさらしてきたアトレティコも前節で、毎シーズンの義務である5位以上の来季CL出場権は確定させていますからね。まだ4位のアスレティックに抜かれる可能性あるものの、5位ビジャレアルとは勝ち点差6でゴールアベレージはイーブン、総得失点差で上回っているため、落ちても4位で来季のスペイン・スーパーカップ出場権(今季の決勝がバルサvsマドリーだったため)はゲットと至って平和なんですが、対照的に残り2節に全てが懸かってしまったのが、ラージョ、ヘタフェ、レガネスのマドリッド勢弟分3チームなんですよ。 その状況を説明するのを兼ねて、この火曜水曜の試合がどうだったか、振り返っていくことにすると。先陣を切ったのはどこより辛い状況にあるレガネスで、ええ、ラ・セラミカでのビジャレアル戦を私もサンティアゴ・ベルナベウへ行く前に見ていたんですけどね。前節はようやくエスパニョールに勝ったため、少しは継続してくれるかと期待したものの、それがまったくダメだったんです。相手がCL出場権獲得に邁進しているチームだというのもあったんでしょうが、前半だけでアジョセに2本、そしてハーフタイム入り直前にもペペに決められて、呆気なく3-0で勝負がついてしまいましたっけ。 それも不幸は重なるもので、同日同時間帯にプレーしていたアラベスがバレンシアに1-0で勝ったため、残留圏最後の17位である相手とレガネスの勝ち点差が4となり、いえ、おかげでバジャドリーに続き、ラス・パルマスの降格が決まり、僅かでも生き残りの可能性があるのは18位のレガネスだけとなったんですけどね。ボルハ・ヒメネス監督は、「Mientras hay vida, hay esperanza. Vamos a pelear a por los 40 puntos/ミエントラス・アイ・ビダ、アイ・エスペランサ。バモス・ア・ペレアル・ア・ポル・ロス・クアレンタ・プントス(生きている間は希望がある。ウチは勝ち点40を目指して戦う)」と話していたものの…。 というのも、彼らの残りの対戦相手は37節、日曜の全カードunificacion(ウニフィカシオン/統合)時間帯午後7時(日本時間翌午前2時)ではラス・パルマス、最終節はバジャドリーと両降格済みチームというのは希望が持てるんですが、他力本願になることだから。要はやはり、次節にバジャドリーと対戦するアラベスが勝った場合、勝ち点が41となり、レガネスは2連勝しても追いつけず。その場合はもう2つの残留未達成チーム、勝ち点5差のヘタフェか、エスパニョールが2連敗してくれるかどうかに懸かってくることに。 どちらにしろ、かなり見込みの薄い賭けに見えるんですが、ラ・セラミカでの帰りがけには応援に来ていたレガネスファンが、来季はバレンシア移籍の噂があるネユウに「Basura!/basura(クズ)」と罵声を浴びせ、一気触発状態になったなんてことも。いつもブタルケでは「2部Bになってもついていく」と歌っているファンたちなんですから、今季4年ぶりで再昇格して、慣れない1部での戦いにここまで一生懸命、取り組んできた選手たちを貶めることはしないでほしいものです。 そして火曜の午後9時半、サンティアゴ・ベルナベウにマジョルカを迎えたマドリーはというと、泣きっ面に蜂とはまさにこのことで、クラシコに負けてリーガ逆転優勝の目が99%なくなった彼らには前代未聞の頭数不足が襲来。元々、長期離脱のカルバハル、ミリトン、手術したリュディガー、アラバ、メンディ、まだリハビリ中のカマビンガ、クラシコでケガをしたビニシウス、ルーカス・バスケス、自信喪失中のロドリゴ、出場停止のチュアメニに加え、試合前日にもGKルニンとブライムが招集リスト落ちとなったおかげで、とうとう大量12名が欠けたとなれば、その日の控え選手がバジャホ以外、全員カンテラーノ(RMカスティージャの選手)だったの仕方なかったかと。 そのせいか、ベルナベウも満員にはならなかったんですが、そんな状況でも勝利を求められるのがマドリーですからね。前半11分、マテウのパスをセバージョスがカットできず、バルイェントに先制ゴールを奪われた時には場内も一瞬、凍りついたものでしたが、そこは世界一を自負するチーム。GKレオ・ロマンがparadon(パラドン/スーパーセーブ)を連発したせいで、同点になるのは後半23分、モドリッチのスルーパスから、敵DF3人に囲まれたエムバペが格の違いを際立たせるシュートを決めてくれるまで待たないといけなかったんですが、いやホント、マドリーには最後まで絶対に諦めない精神がしみ込んでいるんですねえ。 そう、後半19分に脚を打撲した、今は押しも押されぬレギュラーでも登録がRMカスティージャのままのアセンシオをトップチームの幽霊部員バジェホに交代。他は29分にせっかく巡ってきた先発のチャンスを生かせなかったエンドリックをコパ・デル・レイ準々決勝レガネス戦の後半ロスタイムに決勝ゴールを挙げたゴンサロにしただけで、トップチームの選手が常時7人以上ピッチにいないといけない規定を守ったマドリーは、アンチェロッティ監督も「Nunca he visto un equipo que haya tirado 40 veces a portería como hemos hecho/ヌンカ・エ・ビストー・ウン・エキポ・ケ・アジャ・ティラードー・クアレンタ・ベセス・ア・ポルテリア・コモ・エモス・ヘッチョー(ウチがやったように40回もシュートするチームは見たことがない)」と驚いていた猛攻を、飽きずに終盤まで続けることに。 するととうとう、後半ロスタイム最後の分にはモドリッチのCKがクリアされた後、フラン・ガルシアが再びエリアに戻したボールをバジェホがヘッドで流し、出場3試合目のCBヤコボがコペテに先んじてシュート。「He ido y no sé ni cómo, pero la he metido/エ・イドー・イ・ノー・セ・ニ・コモ、ペロ・ラ・エ・メティードー(行って、どうやったかはわからないけど、ゴールに入れた)」という彼の初得点で、土壇場のremontada(レモンダーダ/逆転劇)を達成しているんですから、驚いたの何のって(最終結果2-1)。 これでバルサがエスパニョール戦をプレーする前にして、リーガチャンピオンとなるのを防げたマドリーだったんですが、この根性を今季、リーガのバルサ戦以外の試合でも見せられていいたらねえ。試合後、クルトワなどは、「Vamos a creer hasta que matemáticamente sea imposible/バモス・ア・クレエル・アスタ・ケ・マテマティカメンテ・セア・インポシブレ(数字的に不可能になるまで、ボクらは信じる)」と言っていたものの、翌日のカタルーニャダービーでは予想通り、奇跡は起こらず。 よって、残りのセビージャ、レアル・ソシエダとの2試合は、レバンドフスキととうとう3得点差になったエムバペが上乗せゴールを入れて、ピチチ(リーガの得点王)だけでなく、ヨーロパ・ゴールデンシュー獲得を目指す機会と、クラブW杯前のプレシーズンマッチと化したマドリーなんですが、ケガから復帰する選手もそうそう多くはなさそうですしね。大体がして、もうアンチェロッティ監督の頭にはブラジル代表の6月W杯予選に向けての招集リスト作りしかないかも。 せいぜい、6月に赴任するシャビ・アロンソ監督にRMカスティージャからの抜擢メンバーがアピールする機会ぐらいにしかならないんじゃないかと思いますが、困ったのは、試合終了直前まで、勝ち点1確保を見込みながら、空手で帰ることになったマジョルカのアラサーテ監督の決意。そう、8位のコンフェレンスリーグ出場の座を勝ち点1差でラージョ、オサスナと争っている彼らだけに、「最後のCKをクリアして終わったはずだったのにゴールを入れられた。Te vas con rabia, pero hay que transformarla en energía el domingo/テ・バス・コン・ラビア、ペロ・アイ・ケ・トランスフォルマルラ・エン・エネルヒア・エル・ドミンゴ(怒り心頭だが、このエネルギーを日曜に持って行かないと)」と言っていたんですが、その日曜の相手はヘタフェなんですよ。 おまけに「Tenemos que intentar ganar el domingo para llegar a Vallecas con opciones europeas/テネモス・ケ・インテンタール・ガナール・エル・ドミンゴ・パラ・ジェガール・ア・バジェカス・コン・オプシオネス・エウロペアス(日曜に勝って、ヨーロッパの大会参加の可能性を残してバジェカスに着かないといけない)」(アラサーテ監督)というように、マジョルカの最終節はラージョ戦。となれば、もしやマドリーは弟分たちに対して、余計なことをしてくれた? ええ、何せ翌木曜にはマドリッドがサン・イシドロ祭の祝日で賑わう中、エスタディオ・バジェカスに足を運んだ私だったんですけどね。昼間に降ったにわか雨も上がり、お日様がさんさんと輝く中でキックオフとなったベティス戦は、ラージョが前半37分にペドロ・ディアスのミドルシュートがバーに当たって落ちたボールをデ・フルートスがヘッドで決めて先制。更に前半ロスタイムにもルジューヌの直接FKがゴールとなり、2-0で折り返す最高の展開に。 やっぱりここ3週間、コンフェレンスリーグ準決勝フィオレンティーナ戦から週2試合となり、しかも先週は延長戦でチェルシーとの決勝に進出とあって、ベティスは疲れているはずという予想が当たったと、ホクホクしながら、後半を捨てて、私がコリセウムに向かったところ、やられました!うーん、やはり「Salimos un poco aturdidos quizás por la euforia, en la segunda parte/サリモス・ウン・ポコ・アトゥルディードス・キサ・ポル・ラ・エウフォリア、エン・ラ・セグンダ・パルテ(ボクらは多分、歓喜しすぎていて、ちょっとボオッとして後半に入った)」(ラティウ)のせいだったんでしょうかね。 メトロからアトーチャ駅でセルカニアス(国鉄近郊路線)に乗り換える前、早くも6分にはクチョのゴールで1点を返され、15分には英雄だったルジューヌがアブデをエリア内で倒してPKを献上。イスコに2点目を決められて、最後は2-2で引き分けてしまうんですから、ガッカリじゃないでうか。いえ、「Tenemos dos finales por delante y hay que ganarla/テネモス・ドス・フィナレス・ポル・デランテ・イ・アイ・ケ・ガナールラ(ウチには2つの決勝があって、勝たないといけない)」とイニゴ・ペレス監督も言っていた通り、日曜のセルタ戦、最終節のマジョルカ戦に勝てば、来季のコンフェレンスリーグの切符どころか、36節で勝ち点4差になってしまったセルタを追い越して、未だにEL行きも夢じゃないんですけどね。 せっかくの直接ライバルたちと差をつける機会を失ってしまったのは残念ではありますが、まあ、最後まで競うものが残留ではないだけ、ラージョは百万倍幸せ。だってえ、ファンに総動員をかけ、アスレティック戦前にはbengala(ベンガラ/発煙筒)を焚いて、チームバスをお出迎えしてもらい、普段の数倍は力強いコリセウムの応援を受けながら、GKダビド・ソリアとウナイ・シモンのロングゴールキックと延々にボールが宙を舞っていた試合、ヘタフェは後半31分にグルセタ、44分にはCKからビビアンのシュートを浴びて、ウィリアムス兄弟のいなかったアスレティックに0-2で負け、来季のCL出場確定を祝われてしまったんですよ。 おかげでとうとう、試合の終盤にはスタンドから、「jugadores mercenarios/フガドーレス、メセナリオス(選手は金で雇われた傭兵)」というカンティコが出ていた程だったんですが、つまりこれって、6連敗の彼らは未だに残留確定ができておらず。エスパニョール、アラベス、レガネスと共に降格最後の1チームになる可能性があるってことで、奇跡が起こって、お隣さんが残留できても、ヘタフェが落ちたら、そんな悲劇はない?いやまあ、それでも日曜のマジョルカ戦、最終節のセルタ戦で勝ち点を貯められれば、回避可能なんですけどね。揃って相手がヨーロッパの大会出場を目指しているチームというのが辛いところかと。 そんなヘタフェにはもう少しのガッツと幸運を祈るしかないんですが、え?何で木曜にプレーしたアトレティコの話が抜けているんだって?いやあ、私がバジェカスに行ったのも実はもう、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)であの、ちっちもさっちもいかない彼らのアウェイゲームを見ているのに耐えられなかったからで、案の定、オンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の二元中継でも一向にいい話は聞こえてこず。挙句の果てに前半24分にはCKから、カテナにヘッドでゴールを挙げられて先制されると、後半途中にはシメオネ監督がフリアン・アルバレス、セルロートを下げる不可解采配を見せ、ええ、今のコレアとグリーズマンではゴールをまったく期待できませんですからね。 最後は後半37分にもブドミルに頭で決められ、2-0ですごすご完敗と、その気合のないプレーぶりにラジオの解説者たちがカンカンだったのを聞くにつけ、見ないで本当に良かったとホッとしたのは私だけではない?これで彼らはコパ・デル・レイ準決勝でバルサに負けて、今季全てのタイトル獲得可能性がほぼ消えて以来、アウェイ戦5試合でたったの1勝。そんな情けない有様にならなければ、もっと遅くまでリーガで粘れたんじゃないかと思うんですが、これには「監督がアウェイで選手たちがいいレベルを見せるのに必要なモチベーションを与えられない監督の責任」といくらシメオネ監督が言い張ったって、やっぱり当事者たちの自覚の問題があるのでは? おまけにこのオサスナ戦では後半途中にバリオスがジョレンテの腰に頭をぶつけ、脳震盪で交代。日曜のスィートホーム、メトロポリターノでの今季最終戦、ベティス戦にも出られなくなってしまうとは如何に。昨季同様、シーズン終盤は突極のアウェイ弱者になり下がったアトレティコにはもう、何を言っていいか、私もわからないんですが、そんなところを含めて、彼らは人間的な愛すべきチーム。今はせめて、クラブW杯では心を入れ替えて、今季のCLグループフェーズ、PSG戦やレバークーゼン戦で見せた強さを再現してくれることを願うしかありませんね。 ご挨拶: サイトのサービス終了をもって、このコラムも今回で終わりとなります。長年のおつき合い、ありがとうございました。この先もサッカーファンの旅行先として最適なマドリッドの魅力、リーガやマドリッドのクラブの試合やニュース、スペイン代表などについて、お伝えする方法を模索中なので、その際にはよろしくお願いします。 2025.05.17 21:00 Sat3
「王者として重要な大会を戦わなければ」代表招集拒否のスペイン女子代表選手たちの声明、同意しなかったW杯優勝メンバーが理由を明かす「私は何よりもプレーしたい」
レアル・マドリーのスペイン女子代表FWアテネア・デル・カスティージョが、同意しなかった声明について自身の考えを明かした。 オーストラリ&ニュージーランド女子ワールドカップ(W杯)で見事に優勝したスペイン女子代表。しかし、メダルが授与されるセレモニーでスペインサッカー連盟(RFEF)のルイス・ルビアレス会長がFWジェニファー・エルモソの唇にキス。これが大きな問題に発展した。 エルモソは望んでいないキスをされたとすると、世界中で批判がルビアレス会長に集中することに。しかし、ルビアレス会長は自身の行動を一度は謝罪するも、「合意の上だった」「辞任する気はない」と主張を繰り返すことに。ただ、国際サッカー連盟(FIFA)から懲戒処分を受けると、エルモソも正式に告訴。その結果、会長を辞任することとなった。 一方で、スペイン代表の選手たちや候補選手たちは連盟で改善がない限り代表招集に応じない意向を発表。RFEFはホルヘ・ビルダ監督も解任し、体制が変わったRFEFだったが、UEFA女子ネーションズリーグに向けたメンバーが発表される予定の15日に、39名の選手が更なる改善を要求し代表招集を拒否する声明を発表していた。 これにより、スペイン女子代表メンバー発表は延期されることとなった、女子W杯優勝メンバーのうち2人が声明にサインしていなかった。1人は、レアル・マドリーのMFクラウディア・ソルノサだったが、女子W杯をもって代表引退を決意したとのこと。もう1人が、カスティージョだった。 カスティージョは自身のX(旧ツイッター)を通じて、自身が声明に同意しなかった理由を説明。ルビアレス元会長の行為やRFEFの体制に対しての不満や訴えには同意しているものの、まずは代表選手としてプレーすることが大事だと考えていると明かした。 「ここ数時間の出来事を受け、私の意見と決断を下した全ての理由を述べたいと思う」 「今回発表された声明を掘り下げる前に、私の考えを明確にしておきたいと思う。仲間がすでに述べているように、ジェニ・エルモソに起こった全てのことを非難し、ルイス・ルビアレスの全く場違いで遺憾な行動を指摘することに、私は完全に同意する」 「このため、私は他の80人の選手たちと共に、この事件を非難する声明に署名し、ルイス・ルビアレスが引き続きその職に就くならば、代表チームに行かないと表明した」 「この声明とその後の出来事の後、誰もが知るように、ルイス・ルビアレスとホルヘ・ビルダはもはやRFEFにいない。ただ、ネーションズリーグの戦いが近いこと、そして私たちの要求の重要な部分が満たされていることを考慮すると、代表チームへの招集を断ることは考えていない。その主張を明確に示したいと思う」 「まず第一に、私たちはサッカー選手。ここ数週間に起こったことを考慮すると、それを思い出しておいて損はない。私たちはプロフェッショナルとして、その義務を果たさなければならない」 「第二に、私たちが要求する変化には名前と姓があり、それらを引き起こす、または少なくともそれを始めるのに最良の方法は内部からであると私は信じている」 「もちろん、それは必要だと思うけど、RFEFが全く不確実な状況にあることも承知しているし、現時点で指揮を執っている人たちを信頼したいと思っている。私たちは、そのために指定されたわけではないため、選手が私たちが求めているこれらの変更を行うことはできないことは明らかだ」 「また、オリンピック出場のチャンスを与えてくれる非常に重要な大会を戦わなければならないと思う。私たちは世界王者のチームであり、それを忘れてはいけない。選手たちは皆、スペインのスポーツ界で最も重要な偉業の1つを達成した後、酷い数週間を過ごした。私は特にサッカーに行きたい、サッカーを見たい、そして何よりもプレーしたいと思っている」 「要するに、私は自分が考えていること、やりたいことを表明し他のであり、それ以上でもそれ以下でもない。この状況を完全に終わらせて、サッカーのことだけを考え、プレーし、見て、楽しむことに戻りたいと思っている」 2023.09.16 19:30 Sat4
重傷を負ったレアルの17歳逸材CBが復帰間近、昨夏のツアー帯同に続くCWC参加なるか
レアル・マドリーU-19のU-17スペイン代表DFジョアン・マルティネスが、復帰へと近づいている。スペイン『マルカ』が報じた。 今シーズン開幕前のアメリカツアーでは、ブレイクを果たしたスペイン人DFラウール・アセンシオらとともにファーストチームに帯同したマルティネス。カルロ・アンチェロッティ監督も高く評価した17歳センターバックだが、ツアー終了後のトレーニングで左ヒザ前十字じん帯断裂の重傷を負っていた。 2024年8月の負傷からもうすぐ7カ月が経とうというなか、すでにボールを使ったピッチでのトレーニングを再開しているとのこと。リハビリは最終段階にあり、あと1カ月ほどでチームに復帰できる段階まで来ているという。 アルバロ・アルベロア監督率いるU-19チームでのシーズン中の復帰が期待される一方、ファーストチーム に帯同してのFIFAクラブ・ワールドカップ(CWC)参加も視野に。出場することが目標ではなく、再びアンチェロッティ監督のもとでトレーニングし、その後のプレシーズンに備えたいという考えのようだ。 2025.02.26 18:58 Wed5