1993年のエポック①ソロモン諸島/六川亨の日本サッカーの歩み

2020.05.19 20:30 Tue
Getty Images
先週金曜の15日は「Jリーグの日」として、93年の開幕戦、ヴェルディ川崎対横浜マリノス戦が、翌16日の土曜も当時の4試合がオンエアされた。そして16日には新型コロナウイルスの感染拡大で2ヶ月間ほど中断していたブンデスリーガが無観客試合で再開。首位のバイエルン・ミュンヘンはウニオン・ベルリンを2-0で退けて首位をキープした。

Jリーグが誕生して27年になるが、改めて1993年を振り返ってみると、日本サッカーのターニングポイントとなった激動の1年だったような気が――個人的な出来事も含めて――してならない。

前年に初めてアジアカップを制したオフト・ジャパンは、年明けの2月早々、極寒のイタリア遠征を実施した。しかし結果はユベントスに1-3、インテル・ミラノに0-3と完敗。今では考えられないことだが、日本代表が単独のクラブチームに負けても、「仕方ないな。相手はプロだから」というのが当時の感覚だった。
それでも4月から始まったアメリカW杯アジア1次予選ではタイ(1-0)、バングラデシュ(8-0)、スリランカ(5-0)と連勝し、1次予選で最大のライバルと見られたUAEにもホームで2-0と勝利を収めた。当時の予選は先に日本で4試合を行い、第2戦はUAEで4試合を行うダブルセントラル方式が採用された。

ただし私は4月28日から5月7日にかけてUAEで開催された2次ラウンドを1試合も取材していない。その間、ソロモン諸島で開催されたU-17W杯のオセアニア最終予選を取材していたからだ。
1985年に始まった同大会は2年に1回開催され、日本がホストを務めた93年は第5回大会だった。開催国として、大会公式プログラムの制作など最終予選の詳細は把握しておかなければならない。しかし、当時のJFA(日本サッカー協会)はアマチュアサッカーの統括団体だったため、年間予算も限られていた。

そこで、旅費と宿泊費はJFAが負担する代わりに、サッカー専門3誌に記者とカメラマンを派遣して取材レポートを提出してもらえないかという依頼が来た。JFAの依頼で、なおかつ旅費と交通費が出る。それは誌面にも生かせるので、NOという理由はまったくなかった。

取材するのはヨーロッパ予選のハンガリー、アフリカ予選のナイジェリア、そしてオセアニア予選のソロモン諸島の3カ所。当然ながら専門3誌は安全かつ優勝候補が出るであろうヨーロッパ予選のハンガリー取材を希望した。競合した各誌がどうやって取材地を決めたのかというと、話し合い(話し合いようがないのが実状だが)では決着がつかず、最終的にはたぶん最も原始的な方法、マガジンの千野編集長、ストライカーの中村編集長(いずれも故人)との“じゃんけん"で取材地を決めることになった。

残念ながらじゃんけんに負けたダイジェストはオセアニア最終予選を取材することになった。最終予選がオーストラリアかニュージーランドなら情報の収集方法はあった。しかしソロモン諸島のガダルカナル島の首都ホニアラである。

ホニアラは初めて聞く名前だし、ガダルカナル島というと我々の年代では本などで第二次世界大戦の日本軍が大敗を喫した島という印象しかない。もちろん当時はガイドブックもないので、予備知識を仕入れることはできなかった。

4月27日、ビザを取得でき、マラリアの予防薬も購入した。JFAの担当者からは、滞在予定のホテル名はもちろん、現地担当者の名前も不明のまま。不安なので到着後のスケジュールを確認しても、「現地に着けば担当者が空港に迎えに行きますので、大丈夫ですよ」とのこと。その言葉を信じてオーストラリアのケアンズ経由でホニアラに到着したが、そこで待っていたのは「とんでもない」現実だった。
(この話の続きは、次回へ)

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