台湾プロ野球の観客動員解禁は再開を目指すサッカー界の指標となるか?

2020.05.07 22:05 Thu
Getty Images
新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大防止に一定の目途がついた国々では、スポーツイベントの再開に向け、各方面で動き出しているようだ。

サッカー界においても、ヨーロッパの5大リーグではフランスのリーグ・アンがリーグ戦の途中終了を発表した一方、ドイツのブンデスリーガはアンゲラ・メルケル首相及びドイツ政府からの承認を得て、5月16日からの再開が決定。無観客で実施される。

新型コロナウイルスの感染状況は各国によって様々。また、国内でも地域差があり、一概に指針を決めることは難しい。
ヨーロッパではドイツがいち早く決断を下したが、イタリア、イギリス、スペインなどは慎重な姿勢。ドイツと接しているオランダ、フランスはリーグ戦が途中で終了したことを見ても、判断は様々だ。

日本もプロ野球、そしてJリーグと国内の2大プロスポーツは開催に向けて踏み出せていない状況。ドイツの決断は1つの指針となりそうだが、距離も環境も異なり、大きく参考にはできないだろう。しかし、アジアでも1つ指針を打ち出せている国がある。それが、日本にも近い台湾だ。
4月12日にレギュラーシーズンの開幕を迎えた台湾のプロ野球リーグ(CPBL)は、開幕からおよそ1カ月にわたって、無観客試合でのリーグ戦を実施している。

“かわいすぎる台湾チアガール”としても知られるチュンチュンさんでも話題になり、今シーズンからはヴィッセル神戸や東北楽天ゴールデンイーグルスを所有する「楽天」が楽天モンキーズとして参入するなどし、台湾プロ野球の開幕は、日本のテレビでも報じられていた。

台湾では、新型コロナウイルス感染確認者が438人と比較的少数に抑えられている。また、4月中旬以降、感染者なしの日が続いていることなどを受け、いよいよ5月8日からは観客を入れて試合を行うことが発表された。

ただし、観客動員にあたっては、1試合の最大動員1000人とするという条件付き。さらに観戦者には氏名の申告と、入場時の検温、消毒、マスク着用義務を設けるとのこと。観戦時にもその対策は徹底されており、ソーシャル・ディスタンス確保のために席の間隔を大きく開けて座ること、スタンドへ飛んだファウルボールを捕ることや、ボールを追いかけたりすることを禁止するなど、衛生上のルールを細かく設けての再開となる。

一方、ブンデスリーガ再開の許可が下りたドイツは、3月中旬からいち早く事実上のロックダウン(都市封鎖)を開始。それでも世界保健機関(WHO)のレポートによると5月5日時点での感染者数は16万3680人、死者6381人に上るなど、深刻な被害を受けていた。

先週末には、ドイツサッカーリーグ機構(DFL)主導の下で各クラブは本格的な練習再開に向けて、2度の新型コロナウイルスの検査を実施。1部と2部に所属する全36クラブを対象とした1回目の検査ではケルンの3名など、合計10人に陽性反応が確認されていた。

現在でも1日100人以上の感染者が出るなど、日本と同じ、それ以上の状況であるものの、ピーク時の4月上旬と比べて感染確認者増加数は5分の1、死者増加数も半減するなど、封じ込めに向けて一定の目途が立って下り、DFLが提出したリーグ再開に向けた安全プロトコルが認められたことでリーグ再開の流れとなった。

多くのスポーツイベントやサッカーのリーグ再開の目途が立っていない中での観客動員解禁と、他国より一歩、二歩先を進んでいる台湾プロ野球。ドイツのブンデスリーガを筆頭に再開を目指す国々でも依然として予断を許さない状態が続くが、多くの制限を付けての再開となった台湾プロ野球のようにルールを明確に設置することは、再開に向けた一つの指標となるだろう。

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