FIFAが検討する「唾吐き禁止」、それ以上にすべきこと/六川亨の日本サッカー見聞録

2020.05.01 22:00 Fri
Getty Images
新型コロナウイルスはJリーグその他の大会の延期はもちろん、Jクラブの経営にも影響を与えているのは周知のところ。まずは新潟が秋にも資金ショートを表明すると、スポンサーの撤退した鳥栖も「天文学的数字の赤字」(竹原稔社長)と経営状況の悪化を公表した。
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それに対しJリーグもコミットメントラインという、金融機関からの融資枠を設定することで大筋合意し、約200~300億円の資金繰りの目処が立ったようだ。村井満チェアマンは「リーグの年間予算とほぼ同額の融資枠の設定を(理事会が)承認した」とのコメントを出して、契約の締結を認められたことをメディアに明かした。コミットメントラインという言葉は初めて聞いたが、「あらかじめ取り決めた期間や金額の範囲内で、資金を随時借りられる」契約だという。こういう契約があることを知っているのも、もしかしたら村井チェアマンがリクルート時代に培った経営者としての慧眼かもしれない。
鳥栖や新潟などの窮状は、やがて他の地方クラブに波及するだろう。その話題は別の機会に譲るとして、今回、気になったのはFIFA(国際サッカー連盟)が「唾吐き禁止」を検討していることだ。

試合中、相手の顔はもちろんのこと、足下へ意図的に唾を吐く行為(スピッツ)は相手を侮辱するとしてレッドカードやイエローカードの対象になる。これはサッカーの試合に限らず日常生活でも許されることではない。
しかし、試合中に唾や痰を吐くこともあるだろう。選手によっては片手で鼻をかむ(手鼻)行為もヨーロッパのリーグではよく見かけた。さらに言えば、ペットボトルによる選手同士の水の回し飲み。あるいは、水分補給を兼ねて、うがいをした後に選手は普通に水をピッチに吐き出している。

選手だけではない。プレーが止まった際に選手が水分を補給すると、主審も同じペットボトルから水分を補給してきた。

新型コロナウイルスが終息したとして、Jリーグが再開されても選手同士、あるいは審判も含めてペットボトルの共有は避けるべきだろう。とはいえ、唾吐き行為をどのような基準で規制できるのか。今回のFIFAの意見にどれほどの効果があるのか疑問だ。

それよりも、本来FIFAは新型コロナウイルス対策として、W杯予選の再開予定やIMD(インターナショナルマッチデー)の設定、さらには延期による金銭的な保証のガイドラインを示すべきだろう。感染防止のためとはいえ、「唾吐き」に対する罰則などは枝葉末節にすぎない。

来年は東京五輪2020に加え、EUROもコパ・アメリカも延期になり夏期に大会が集中する。そのなかでいかにしてIMDを確保していくのか。不幸中の幸いは、カタールW杯は夏期ではなく11月~12月と開幕が約半年ほど遅いことだ。それでも新型コロナウイルスの終息が長引けば、来年の国際大会は再延期を強いられるかもしれない。


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