Jリーグは再開の目処立たず/六川亨の日本サッカー見聞録

2020.04.23 21:30 Thu
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JリーグとNPB(日本野球機構)、そして感染症の専門ドクター3人による「新型コロナウイルス対策連絡会議」の第6回目が4月23日に行われ、会議後の11時30分からwebによる記者ブリーフィングが開催された。

不要不急の外出を自粛するなど政府の緊急事態宣言から2週間が過ぎた。しかし新型コロナウイルスに収束の兆しは見えず、22日の政府専門家会議では5月上旬の大型連休での帰省、イベント参加などの自粛を改めて求めた。

となれば、Jリーグの再開・開幕とプロ野球の開幕も先送りは当然の措置だろう。冒頭で斉藤惇コミッショナーは「緊急事態宣言が解除されない限り試合の開催は難しい。今日の時点で具体的な判断を下す状況にはいたっていない」と結論を述べた。
それを受けて専門家チームの座長である賀来満夫ドクター(東北医科薬科大学)は、「規制緩和に向かってどんな基準があるのか。緊急事態宣言からまだ2週間。ゴールデンウィーク後に緩和の基準が示されるかもしれませんが、5月6日で解除になる可能性は低い。患者は減少していて鈍化傾向にあるが、医療関係者を含めて院内感染が起きている」と現状を説明した。

感染のピークは4月から5月と見られているだけに、「いますぐ再開どうのこうの言えない」(舘田一博東邦大学ドクター)状況のため、この日の会議では再開・開幕の日程に関して話し合われることはなかった。このため制限が解除された場合の対応についての質問が多かった。
Jリーグとプロ野球の再開・開幕に関して、賀来ドクターは「我々がゴーサインを出さないと開催できないかというと、それは違う。細やかなところまで責任を持って伝えられない。提言はできるが判断はコミッショナーとチェアマンだが、政府、自治体、世論の支援と同意も絶対に必要で、決定はNPBとJリーグになる」との見解を示した。

それをフォローするように三鴨廣重ドクター(愛知医科大学)も「スタジアムの準備はかなり進んでいる。あとは世論と行政、行政とは日本政府と開催自治体との折衝、そしてスポーツ庁とのすり合わせが必要になる」と再開・開幕の最終判断は政府と自治体、世論の3者の合意があり、その上でJリーグなら実行委員会、NPBならオーナー会議が最終判断を下すことになりそうだ。

三鴨ドクターの口からは久しぶりに「スポーツ庁」の言葉を聞いた。同庁は「国際競技力の向上」も目的の1つのはず。それなら来夏に延期された東京五輪2020で野球やサッカーがメダルを獲れるよう、自国リーグの救済に動くべきだろう。同じように音楽、演劇、映画、アニメなどの芸術文化の振興を目的にする文化庁も、エンターテインメント業界に救いの手を差し伸べてもいいのではないだろうか。

そして再開・開幕後もしばらくは無観客試合にすることを3人のドクターは提言。これを受け村井チェアマンは、「制限が解除された場合には、最初は無観客試合を想定するのが妥当ではないかというご指摘だった。一つの方法論として、まず観戦者の安全を考えなければならない立場なので、無観客試合もこの段階に来れば我々も想定しなければいけない」と、これまでの方針を変更することを認めた。

さらにいつまで無観客試合が続くのかという質問に賀来ドクターは「これについては現時点ではわからない」としながらも、台湾のプロ野球は4月12日に開幕し、韓国のプロ野球も5月上旬に無観客試合で開幕するので、「やがて観客を入れていくだろう。その状態も見たい」と述べるにとどめた。

次回の会議は5月11日に予定されているが、GW明けの感染者数がどうなっているか。こればかりは推移を見守るしかない。

【文・六川亨】
1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。

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