改めて感じるJの先見性/六川亨の日本サッカーの歩み

2020.04.21 20:00 Tue
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Jリーグは4月21日、今年で第4回となる定例理事会を実施した。といっても、4月15日の臨時理事会から1週間なので、リーグ戦再開・開幕に向けた動きなど具体的な話はなかった。それでも、改めてJリーグと村井満チェアマンは様々なプランを考えているのだなと感心してしまった。

Jクラブの収入源はDAZNの放映権料とJリーグから分配金を別にすれば、チケット収入、スポンサー、グッズ販売、サッカースクールが収入の4大柱だ。しかし試合がなく、かつ3密を避けるため全ての活動が停止している。

そこでスポンサーメリットに少しでも貢献しようと、各クラブが制作しているYouTubeや動画などでスポンサーの露出を模索している。私服やリラックスした服装ではなく、ユニホームや練習着ならいたる所にスポンサー名が入っているので、これはこれでいいアイデアだと思う。試合ができないからこその、逆転の発想と言っていいだろう。

そして政府は、チケットを買った人が主催者側に払い戻しを求めなかった場合、寄付とみなして所得税や住民税の負担を軽減。払い戻しを減らし、主催者の資金繰りを支える狙いがあるとされているため、JリーグはJFA(日本サッカー協会)とコンサート、舞台などのエンターテインメント業界とも横つながりで相談していく方針を明かした。

さらに村井チェアマンは、昨日首相官邸を訪れ、菅義偉官房長官と意見交換をした。内容は「Jは全国に56クラブがあり、クラブハウスがありシャワーとオフィススペースがあり、パーキングもある。クラブハウスを医療スタッフが利用し、PCR検査の場を提供できる」と伝えた。

全56クラブが協力できる設備を持っているかどうか、医療体制も各自治体で違いがあるためマニュアル作りはこれからの作業になる。しかし、「できる、できない」は別にして、こちらもいいアイデアだと思うし、理事の賛同も得られたという。クラブハウスから始め、医療体制が整えば各自治体に協力してもらい、スタジアムのパーキングをドライブスルーの検査場にしてもいいだろう。

明日22日は政府の公式見解が発表され、翌23日にはNPB(日本野球機構)との合同会議がある。恐らくそこで村井チェアマンは、税制上の連携と、クラブハウスを使った医療への貢献をNPBと3人のドクターによる専門家チームに相談するのではないだろうか。

こうした先を見越した発想を知るたびに、サッカーの持つ開放感を感じずにはいられない。

【文・六川亨】
1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。



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週末のJを襲ったコロナ禍/六川亨の日本サッカーの歩み

なんとも慌ただしい週末だった。 先週8月1日はJ1リーグのFC東京対鳥栖戦を取材した。今シーズン未勝利の鳥栖だったが、4-3-3のフォーメーションから20歳の右FW石井快征がトップ下のポジションに入ることでフリーとなり、鳥栖の攻撃陣を牽引。前半30分には樋口雄太が右サイドをえぐると、その折り返しを石井が決めて鳥栖が先制した。 さらに43分には明治大卒のルーキーSB森下龍矢が右サイドを攻め上がり、目の覚めるようなロングシュートを突き刺す。金明輝監督は試合後に「今日のゲームは石井が肝だということは彼に伝えました。あそこ(バイタルエリア)がぽっかり空くのがFC東京の守備なので、そこでしっかりと起点を作って、相手の矢印(カウンター)をへし折ってくれた」と勝利の殊勲者を称えた。 さらに金監督は「あそこの守備(レアンドロ)の強度というか、どういう言い方をしていいのか、スキがあるような感じがするので十分に突けると思ったと同時に、サイドバック(小川諒也)が出てくるのが速いので逆手に取れるかなと。どのチームも狙っていると思いますけど」と勝因を指摘した。 金監督は正直な人だなと思った。これが日本人監督だと「まだシーズンの途中なので」とか、「戦術的なことはちょっと」と口を濁すことが多い。特に対戦相手の弱点を指摘することはほとんどないと言っていいだろう。 試合終盤は3-1とリードしたこともあり、金監督は高校2年生のSB中野伸哉をデビューさせると、FC東京も交代出場の長身FW原大智(21歳)がJ1初ゴールを決めるなど、見どころの多い試合だったが、試合後の会見が思わぬ緊張感をもたらした。 まずは21時30分、JFA(日本サッカー協会)の反町技術委員長がweb会見で、1日から始まる予定だったU-19日本代表の合宿初日に、参加者の1名からスマートアンプ法とPCR検査で陽性反応が出たことを報告。当該選手以外は全員陰性で、保健所により濃厚接触者がいないことも確認されたが、反町技術委員長はキャンプを中止し、選手は所属クラブに帰すことを発表した。 そして時をほぼ同じくして会見に臨んだFC東京の長谷川監督は、試合直前に鳥栖から前日に発熱した選手がいたが東京遠征のメンバーには入らなかったこと、Jリーグ側に連絡したが中止ではなく予定通りキックオフすることを知らされたことを明らかにした。 これは判断が非常に難しいケースだ。 7月26日の広島対名古屋戦が中止になったのは、PCR検査で明らかな「陽性者」がいたことと、濃厚接触者の特定に時間がかかり試合開始に間に合わないからだった。 しかし鳥栖の場合は、「発熱者」がいたものの「陽性」とは断定されていない。一般人でも「37.5度の発熱が5日続いたら保健所に連絡」ということになっている。発熱=コロナに感染ではないのだ。 とはいえ、指揮官が「選手の生活と健康を預かっている監督として、強引にやらせるというのは苦しい選択があった」と葛藤するのは当然だし、「安心が担保できないなかで試合をやらせるというのは、今後は考えてもらいたい」と訴えたのも頷ける。 試合直前に対戦相手に発熱した選手がいたことを知らされれば、例え陽性でなくても動揺するだろう。それはFC東京の選手だけでなく、チームメイトの鳥栖の選手も同様ではないだろうか。 では、発熱した鳥栖の選手は帯同しておらず、濃厚接触者も特定されなかったので、FC東京にそれらの事実を隠して試合に臨んだ場合はどうか。長谷川監督を始めFC東京の選手たちが動揺することはなく、普段通りの試合ができたかもしれない。 しかし試合後に何らかの形で実状を知れば、鳥栖とJリーグに対して不信感を抱く可能性は高いだろうし、簡単に払拭することはできないだろう。 そして“コロナ禍”は、これだけでは済まなかった。 翌2日の17時より、J2町田の大友社長が会見を開いた。前日のUー19日本代表合宿で陽性反応が出たのは町田のFW晴山岬であり、現在も37.2度の熱があること。先月31日に実施したJリーグのPCR検査で晴山以外の全員が陰性であることと、保健所の確認で濃厚接触者がいないことから、当日18時30分キックオフの京都対町田戦は予定通り行うことを発表した。 ところが、その1時間15分後には村井満チェアマンと大宮の森社長、福岡の川森社長が合同で会見を実施。福岡の選手1名の陽性の可能性が高く、濃厚接触者の有無も試合前までの判別が難しいことから、19時キックオフの試合を中止にすることを決定した。 Jリーグが金曜に実施しているPCR検査は、結果判明が週明けの火曜だ。これは水曜のリーグ戦やカップ戦に向けての検査である。しかし今回の鳥栖、町田、福岡の3例から、週末の試合開催に向けても検査の必要性が高まった。 今後、村井チェアマンはPCR検査に加え、Uー19日本代表の合宿でJFAが実施したスマートアンプ法の併用も検討していくとコメントした。スマートアンプ法は1時間程度で陽性の可能性が検討できるため、検査のスピードアップが期待できる。残る課題としては、濃厚接触者の特定のため、週末における各地域での保健機関との連携となるだろう。 来週末もJ1~J3の試合が数多く組まれている。「Jリーグのある日常」に加え、「何も起きない週末」が戻ることも期待したい。 <div id="cws_ad"><hr>【文・六川亨】</br>1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた</div> 2020.08.04 21:05 Tue
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感染防止のため飲食は禁止/六川亨の日本サッカーの歩み

今週最初のコラムは、またまたコロナの話題になってしまった。これまでも何度となくコロナ話題で原稿を書いてきたが、6月上旬のFW金崎夢生、GKランゲラック(ともに名古屋)の感染が確認されて以降、6月下旬に再開・開幕したJリーグではコロナ対策が功を奏したのか、選手・スタッフはもちろん観客の感染者もゼロだった。「不幸中の幸い」ではないが、考えられる限り可能な対策を講じてきた成果と少しばかり安堵していた。 ところが24日、名古屋の若手DFの感染が判明し、翌日にはさらに2名の選手・スタッフに陽性反応が出て、26日のJ1リーグ第7節、広島対名古屋戦は同日の昼前に中止が決定した。 同日には村井満チェアマンと名古屋の小西工己社長が、オンラインでの緊急会見を開いて中止に至った経緯を説明。さらに27日にはNPB(日本野球機構)とJリーグ、専門家3氏による対策連絡会議が開催され、名古屋の現状分析と対応策について専門家からアドバイスを受けた。 詳細に関してはすでに多くの報道で見聞きしているかもしれないので省略する。26日の午前に試合を中止した理由としては、24日に発熱した宮原和也がPCR検査の結果、陽性と判明。これを受けて25日に全選手とスタッフ60名がPCR検査をしたところ、MF渡辺柊斗とスタッフ1人の感染が確認された。2人に発熱などの症状はなかったという。 問題はこの3名ではなく、彼らと濃厚接触した疑いのある選手の特定が、26日の22時過ぎでないと判明しないことだった。すでに名古屋の選手17名は広島入りしていたものの、濃厚接触の疑いのある選手を除外すると14名以下となる可能性があるため、チェアマン判断で試合は中止となった。 名古屋ならびにJリーグの対処は適切だったと言える。そして問題は、濃厚接触者の定義をどうするのかガイドラインで見落としていたことだった。時間的な余裕があれば問題はないが、今回のように試合直前に判明した場合を想定していなかった。 そして、その検査もクラブ任せにせざるを得ないという点だ。Jリーグはチケットの販売期間(1週間)も考慮に公式検査を2週間のインターバルで実施している。それ以上は「コストと時間も貴重になる。アドバイスをもとに検討したいが、今日なにか決まったわけではない」(村井チェアマン)というのが現状である。 PCR検査のインターバルを今後はどうするか。コストは各クラブに負担してもらうのか。しかし、そのクラブにしても、地域によって感染拡大にはバラツキがあるため、行政も含めて検査に温度差が出てくることが予想される。 さらに濃厚接触者については「実際に起きてみて対応にバタバタした。理由は行政との連携。保健所の判断になるが、関係を改善しないといけない」と舘田一博ドクター(東邦大学)が指摘したように、行政との“壁”も予想される。 今回のように“感染者”ではなく“濃厚接触者”の場合は保健所も「急を要する」とは判断しないだろう。まして、「明日試合があるから急いで調べて欲しい」とはとても言えない。 それでも今回の事例で分かったこともある。宮原は大分からの帰路の新幹線の車内で、宮原の隣に座っていたチーム関係者が、お腹が空いたため弁当を食べていた。隣には選手、スタッフがいたそうだ。当然席は空けて座っていただろうが、飲食の際は必然的にマスクを外さざるを得ない。これが行政は「濃厚接触の可能性がある」というスタンスだったと三鴨廣繁ドクター (愛知医科大学)は説明した(保健所はOKだそうだ)。 今後は移動のバスや新幹線などの車内での飲食は禁止されるだろう。同じことはスタンドの観客にも適用される可能性が高い。ただ、水分補給は熱中症の恐れがあるため認められるはずだ。 それにしても不思議なのは、記者からも質問が出たが、なぜ今回も名古屋だったのかということだ。愛知が地元である三鴨ドクターは名古屋の取り組みを高く評価していた。にもかかわらず感染者が出た。ここらあたりも、担当がどのセクションになるのかわからないが、しっかりと調査し、原因を追及して欲しいものだ。 今回感染した3名について小西社長は「外出は買い物くらい」と話していたが、その買い物で感染した可能性もある。舘田ドクターは「プロ野球とJリーグは感染リスクの低い集団です。感染は広まっていないので、いましばらく様子を見た方がいい。むしろ私生活、家庭内での感染リスクを避けることを徹底して欲しい」と警鐘を鳴らしていた。 舘田ドクターの言う通り、それはすべてのJリーガーとスタッフら関係者、そして彼らの家族に当てはまることは言うまでもない。今回の事例は、気を引き締める契機にもしたい。 <div id="cws_ad"><hr>【文・六川亨】</br>1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた</div> 2020.07.27 21:05 Mon
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Jリーグが制限緩和を10日まで延長/六川亨の日本サッカーの歩み

いつもいつも、Jリーグとコロナの話題ばかりで食傷気味かもしれないが、今週も触れなければならない状況のようなのでご勘弁を。 Jリーグは20日、第11回臨時実行委員会を開催し、当初は8月1日から入場制限の引き上げ(チケッティング)やビジタ-席の開放(ファン・サポーター対応)など、制限を緩和する予定だったガイドラインを10日まで延長することを決定した。 予感は誰もが抱いていただろう。東京都を始め感染者の拡大が続いているからだ。Jリーグも先週16日の理事会会見後、20日に臨時実行委員会の開催を示唆していた。このため20日の午後は外出を控え、何かあったらすぐに対応できるようにしていた。 それでもJリーグからweb会見の案内メールが来たのは15時30分。村井満チェアマンは午前中に専門家の意見を聞いたそうだ。そこでの意見を要約すると「(コロナの)第2波の明言はなかった。オーバーシュート(爆発的急増)ではないが、現状は続き、危機感も強かった」という。 現時点で政府から正式な見解は出ていないため、会議では全クラブのコンセンサスを得るのに時間を要したのかもしれない。今後は7月22日に政府の専門家による分科会が開催される予定なので、何らかの政府見解が出ると予想。それを受けて27日にNPB(日本野球機構)との対策連絡会議が開催されるので、その後に実行委員会を開いて8月11日以降の方針を決める予定だ。 質疑応答では、感染者の拡大している「東京と関西だけでなく(制限の延長を)全国になった理由は何か」という質問があった。これに対し、村井チェアマンは「ガイドラインは規制の上限を決めている。上限の中でスタジアムの形状などに応じてクラブの裁量に委ねているが、政府の上限、見解が出されていない」ことを指摘。 東京の3クラブ、関東と関西のクラブ、それ以外の3グループに分けて話を聞いたそうで、「地域によって温度差はある」ものの、政府見解が出ていないので8月10日までの現状延長には「全会一致で異論はなかった」と会議の内容を説明した。 東京都は連日のように感染者が拡大したものの、20日は168人と2日連続して200人を下回った。とはいえ誇れることではない。このため首都圏と、感染者の少ない地域では規制に差をつけたらどうかという意見が出てくるのも理解できる。それだけ入場料収入は貴重な財源だからだ。 しかし全国一律にしないと、リーグ戦が成り立たないのも事実である。 さらに現状では、東京からの観戦者や観光客を「一見さんお断り(=地元のお客さんだけOK)」の張り紙で入店を断る飲食店もある。これは笑い話ではない。旅行の需要を喚起するための政府事業、「Go Toトラベル」も東京都内への旅行や東京都在住者の旅行を事業の対象から外した。 東京都在住者は「コロナウイルスの保菌者」扱いになる日も、そう遠い日の出来事ではないかもしれない。それでもJリーグとプロ野球は、選手・スタッフも観客も1人として観戦者を出していないことは誇っていいだろう。まずは22日、分科会がどのような見解を示すのか。 ここ数ヶ月はサッカーとは直接関係ない取材が増えているのも新型コロナウイルスの影響と言える。そしてそれは、多くのJリーグ関係者はもちろん、ファン・サポーターにとっても同じだろう。 <div id="cws_ad"><hr>【文・六川亨】<br />1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた</div> 2020.07.21 11:30 Tue
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Jリーグとプロ野球が進めた新型コロナ対策、両ドクターが感じた限界とは?/六川亨の日本サッカーの歩み

Jリーグは7月6日にNPB(日本野球機構)の対策連絡会議を、翌7日には第7回実行委員会を開催し、それぞれメディアむけにwebでブリーフィングを実施した。7日の実行委員会では前日の対策連絡会議を受け、10日(J2の岡山対北九州)から観客を入れ(ホームチームに限り、5千人もしくはスタジアムのキャパの50%)、アルコールを除く飲食も販売することで合意した。 7日のブリーフィングでは、Jリーグ登録審判員が専従ではなく、仕事との兼業のため6月19日にPCR検査を受けられず、7月4日になったことについて公表しなかったことを一部大手メディアが批判。村井チェアマンが「一言でいうと私の失念」と謝罪する一幕もあった。 絶えず考えながら走り続けてここまで来た村井チェアマンである。選手の安心安全を考えたのはもちろんのこと、審判へのフォローも疎かにしていたわけではない。メディアへ公表することを「失念」し、それを部下もフォローできなかっただけに、そう目くじらをたてることでもないだろう。 それより気になったのは6日の対策連絡会議での専門家の発言だった。Jリーグは8月1日からスタジアムのキャパの50%を上限に観客を迎えることになる。アルコールの販売も解禁となる可能性が高い。 その上で東京都は4日連続して新型コロナウイルスの感染者が100人を越えたことについて、座長の賀来満夫ドクターは「10日前の接触を反映しているのでこれからも続くし、すぐには減らない。そして今の結果は10日後に出る」ということで、8月1日の上限50%の観客入場は7月20日以降の感染者の推移を見守る必要があるとした。 そして賀来ドクターと三鴨廣繁ドクターが揃って口にしたのが、濃厚接触の定義に関しての見解だった。 「プロ野球とJリーグは柔道、レスリング、ラグビーとは違う。スポーツによって違うが、保健所と議論していく必要がある」と賀来ドクター。 そして三鴨ドクターも「プロ野球もJリーグもベンチにいない限りありえないが、ベンチではマスクをしているので少ないと思います」と賀来ドクターをフォローしながら、「保健所と相談しながらやっていくとになると思いますが、(保健所の)所長によっては(定義が)厳しいところもあるので統一見解を出して欲しい」と注文をつけつつ公的機関である『保健所』との交渉の必要性を訴えた。 さらに両者はブリーフィングの最後の方で「ウイルスの専門家と相談しながら、いろんなことで問いかけ、問題を提起したが、一朝一夕にはいかない。PCR検査でも判断に迷うことはしょっちゅうある。国の判断よりいろんなエビデンス(検査方法)、陰性でも検査を繰り返すなどを、専門家会議と国に伝えていきたい」と、賀来ドクターは3月から重ねてきた会議について志なかばだったことを暗に示唆した。 三鴨ドクターはさらに具体的だ。 「限界を感じたのは法律があること。プロ野球もJリーグも変えられず、我々も砕け散った。行政、保健所の壁がある。しかし今回の事例が法律を変えたところもある。プロ野球とJリーグの会議は国民にとって有益だった」 国政との関わりについて斉藤コミッショナーは「8月1日から50%を入れる予定で、7月10日の問題でもかなり交渉した。最終的に内閣府の了解がなければならない」と話し、村井チェアマンも「政府見解をベースに受け入れた土台がある。今後も変化があるか注視したい」と述べるにとどめた。 政府は2月に立ち上げた医学的な見地でアドバイスを行う期間、「専門家会議」を6月24日に廃止し、新たに医療関係者に加え経済・労働・法曹・自治体・報道関係者からなる「新型コロナウイルス感染症対策分科会」をスタートさせた。 その狙いは感染症対策と経済対策をいかに両立させるかだろう。果たしてJリーグとプロ野球は無事に8月1日を迎えられるのか。個人的にはまだ一波乱ありそうな気がしてならない。なぜなら今回のコロナ対策で、国は有益なリーダーシップを発揮したとは思えないからだ。 最後に賀来、三鴨両ドクターの斉藤コミッショナーと村井チェアマンについてのコメントを紹介しよう。 「プロ野球もJリーグも(コロナが)わからない時から議論してきた。これをロールモデル(具体的事例)にしないといけない。ミスはある。100年に1回のことだから。プロ野球とJリーグが先陣を切って始めた。2人の強いリーダーシップを感じた」(賀来ドクター) 「2人とも素晴らしい。我々はプロ野球とJリーグの雇われもの。『科学的に発言して欲しい。最後は我々が判断する』と言われた。経営は素人だが、経営的な発言も取り入れてもらった。私たちの方が勉強させていただいた。100%、150%言うことはない」 <div id="cws_ad"><hr>【文・六川亨】<br />1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた</div> 2020.07.09 09:45 Thu
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リモートマッチで感じたサポーターの存在/六川亨の日本サッカーの歩み

Jリーグは27、28日、約4カ月ぶりにJ2リーグが再開し、J3リーグも開幕した。選手・関係者はもちろんのこと、ファン・サポーターがどれほどこの日を待ち望んでいたか。それを計るバロメーターの1つとして各試合会場の入場者数をあげられるが、再開・開幕2試合はリモートマッチ(無観客試合)のため彼らの熱量を計ることはできない。 スタジアムで直接取材することはできなかったが、それでも映像越しに各会場では録音しておいたファン・サポーターの声援を流したり、段ボールの写真をスタンドに置いたりして各クラブは工夫を凝らしていた。得点後には選手が揃ってファン・サポーターに感謝を捧げる場面もあった。こうして少しずつJは日常を取り戻して行くのだろう。 27日の試合後、Jリーグの公平性を保つため「降格なし」などのルール作りに尽力した原副理事長はスポーツ紙に独占告白した。その一部を抜粋しよう。 「リモートマッチは選手の声、ぶつかり合う音まで聞こえる。サッカーができる喜びが伝わってきた。先月、93年5月15日のJリーグ開幕戦の映像を見た。決してうまくはないけど当時の選手から感じたのは、自分たちが成功させるという使命感。今日の選手たちも同じ気持ちを持ったと思う」 同感である。と同時に93年との違いも感じた。 Jリーグの開幕当初の93~94年のJリーグは、選手はもちろんファン・サポーターを含め、スタジアム全体が異様な雰囲気に包まれていた。簡単に例えるなら「昨日までアマチュアだった選手が、一夜明けたら高給取りのプロ」になっていた。 しかし一夜で技術が向上するわけがない。このため選手は、週2試合(さらに延長戦もあった)のハードスケジュールにもかかわらず、90分間手(足)を抜かず、全力で走り、ぶつかり合った。 今と比べれば多くの選手が技術的に未熟だったため、トラップが大きくなることもあった。するとミスした選手とボールを奪おうとする選手が、ルーズボールめがけて激しく交錯する。そこで選手生命に関わる大けがが多かったのも開幕したばかりのJリーグだったと記憶している。それでも選手のひたむきなプレーにファン・サポーターは感動し、熱狂した。 もしかしたら、JSL(日本サッカーリーグ)の時代にはなかった彼らの熱量に満ちた声援が、選手から極限までのプレーを引き出していたのかもしれない。 それに比べると、27、28日に再開・開幕した全試合を見たわけではないが、J2はもちろんJ3の選手もイージーなトラップミスはほとんど見られなかった。Jリーグの誕生により日本のサッカーは格段の進歩を遂げたが、一番スキルアップしたのはトラップの技術ではないだろうか。シュートに関しては、磐田戦で2ゴールを決めた京都のFWピーター・ウタカのように、外国人選手の方がまだ一枚上手かもしれないが……。 J2、J3に続き7月4日にはJ1リーグも再開される。そこでは、より熱いバトルが繰り広げられることだろう。試合はもちろんのこと、ゴール後に選手がファン・サポーターに向けどんなメッセージを発するのかも、Jリーグの新たな楽しみの1つになるかもしれない。コロナ禍による「災い」を「福」に転じる効果とも言える。 リモートマッチではあるが、リモートマッチだからこそ気づけた、ファン・サポーターと選手との深い絆でもあった。 <div id="cws_ad"><hr>【文・六川亨】<br />1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。</div> 2020.06.30 12:00 Tue
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