新型コロナ感染危機を受け、新たな役割を得るブラジルの“負の遺産”W杯スタジアム

2020.03.30 18:45 Mon
Getty Images
ブラジルの“負の遺産”と呼ばれるワールドカップスタジアムが、新型コロナウイルス(COVID-19)感染防止活動の中で重要な役割を得たようだ。経済メディア『ブルームバーグ』が伝えている。2014年の夏に行われたブラジル・ワールドカップ(W杯)。ブラジル政府は開催にあたり新スタジアムの建設、及び既存のスタジアムの改築を行っていた。

しかし、合わせて1兆円以上と言われる高額な建設費が明らかになると、開催前から論争の的に。そもそも基本的な国民保険や、教育制度や下水整備にすら苦しんでいる国が、サッカーの大会のためにそんな大金を費やす必要があるのかと、国内外から批判を浴びることになった。

そして、世界的祭典が行われる“夢の舞台”として建設されたスタジアムは、その高額な建設費と維持費により“負の遺産”と呼ばれ、ブラジル政府の腐敗の象徴となっていた。
しかし、世界中で広がる新型コロナウイルス感染危機を受け、より多くの人を収容できる医療施設が必要となったブラジル各地方政府は、W杯の際に建てられたスタジアムを仮設病院として使用することを次々と決定。“負の遺産”は思わぬ形で新たな役割を得る事となった。

例えば、約85億円を費やして改築された、首都ブラジリアにある国立競技場、エスタジオ・ナシオナル・デ・ブラジリアは、ブラジリア自体がプロサッカークラブを持たない為、W杯以来、年に数回あるライブ会場としての利用を除いては、ほぼ使われることはなかった。しかし、スタジアムの管理会社は、新型コロナウイルス危機を受け、感染患者のための医療施設としての利用を許可する契約を当局と結んでいる。
ブラジルではその他にも、リーグの無期限中断を受け、サンパウロやサントス、コリンチャンス、パルメイラスなどのクラブのスタジアムが仮設病院として開放されている。また、監督が新型コロナウイルスに感染した南米チャンピオンであるフラメンゴや、元日本代表MF本田圭佑が所属するボタフォゴなどのクラブがホームスタジアムとして利用するブラジルサッカーの聖地・マラカナン・スタジアムは医療センターとしての利用許可が政府に出されている。

ブラジルでは現在4,000名以上の感染が確認され、死者は100名を超えているが、これらの仮設病院による地方医療への貢献は大きなものになるだろう。

ワールドカップの関連記事

バルセロナのブラジル代表FWハフィーニャが、イタリア代表としてプレーしていたキャリアがあったことを明かした。 ポルトガルのヴィトーリア・ギマランイスでプロキャリアをスタートさせたハフィーニャはスポルティングCP、スタッド・レンヌ、リーズ・ユナイテッドでプレー。2022年7月にバルセロナへと完全移籍で加入した。 2025.05.05 23:05 Mon
かつて中国代表を指揮していた李鉄(リー・ティエ)氏の控訴が棄却され、実刑判決を受けることとなった。中国『捜狐(sohu.com)』が伝えた。 現役時代はエバートンやシェフィールド・ユナイテッドなどプレミアリーグでもプレーし、中国代表でもプレーしたリー・ティエ氏は、引退後に指導者となり、広州恒大(広州FC)でコンデ 2025.04.30 13:55 Wed
第1回大会開催から100周年を迎える2030年のワールドカップ(W杯)。64チーム参加という提案がなされている中、反対の意見も強く出ている。 2026年の北中米W杯は史上初となる48チームの参加に拡大となる中、その4年後の2030年は64チーム参加への拡大を南米サッカー連盟(CONMEBOL)が提案している。 2025.04.15 19:55 Tue
インテル・マイアミのハビエル・マスチェラーノ監督は、アルゼンチン代表のFWリオネル・メッシの2026年の北中米ワールドカップ(W杯)出場ついて言及した。『The Athletic』が伝えた。 メッシはアルゼンチン代表としてW杯に4回、コパ・アメリカに5回出場。クラブレベルではバルセロナで数多くのタイトルを獲得した 2025.04.14 20:30 Mon
南米サッカー連盟(CONMEBOL)はのアレハンドロ・ドミンゲス会長は、2030年のワールドカップ(W杯)に関して、参加チームを一時的に64カ国にすることを望んでいるようだ。『The Athletic』が伝えた。 W杯はこれまで32カ国の参加で行われてきた中、2026年の北中米W杯は48カ国の参加に増加。大会方式 2025.04.11 16:55 Fri

NEWS RANKING
Daily
Weekly
Monthly