Jの再開は決まったものの東京都で感染者が拡大/六川亨の日本サッカー見聞録
2020.03.26 15:00 Thu
Jリーグは25日の臨時実行委員会で、J1とJ2リーグの再開とJ3リーグの開幕日を決定した。J1は5月9日、J2は5月2日、J3は25日と段階的に開幕・再開する。J1は当初4月18日の再開を予定していたが、全56クラブの想定される(開場する)入場ゲートやVIPゲームなどに設置するサーモメーター450個が揃うのが4月18日のため、それぞれ再開・開幕日を延期した。
とはいえJ3リーグはチーム数も多く、ナイター照明が義務付けられていないため、デーゲームで行われることが多い。今年は五輪が開催予定だったことから7~8月にも試合が組まれていたが、それが新型コロナウイルスの影響で開幕が遅れただけに、さらなる過密日程が懸念される。
そして実行委員会で最も苦慮したのが、政府の大規模イベントの自粛を受けて「オーバーシュート(爆発的増加)」をいかに回避するかだった。例えば日産スタジアムや埼玉スタジアムなどキャパシティの大きいスタジアムに全国からサポーターが集まり、試合後に各地に戻ることでウイルスを持ち帰る危険がある。
感染の可能性が高い「密集」と「密接」への対策でもある。ただし、メインは年間シートを購入しているファンも多く、村井チェアマンによると入場料収入の「50パーセントが年間シートで埋まっているクラブもある」そうだ。そのため、購入している席に座れないファンには、別の日の試合にするか、払い戻しも検討しているという。いずれも強制力がなく「ファンに自粛をお願いして、協力要請が必要になる」(村井チェアマン)とハードルは高い。
次に懸念されるのは、選手、スタッフに感染者が出た際の対応だ。現状では毎日の検温が義務化され、2日以上の発熱があったら隔離してJリーグに報告すること。4日以上なら保健所でPCR検査を受けて、陽性が確認されたらチームは2週間隔離する規定になっている。当然チームは公式戦に参加できないが、「感染していない違うセットで試合をする」(村井チェアマン)ことは可能だ。
今後は4月2日と16日に政府が出すステートメントの専門家の意見を参考にして25日のJ3の開幕の可否を決める予定だが、それでも村井チェアマンはリーグ戦の開幕・再開に向けて「予断は許せない」とし、「政府、自治体から自粛要請があれば従いますし、無観客試合か延期にする。地域によって中止命令があれば迅速に従います」と、依然として危機感を高めている。
そして、1歩進んだかと思われた25日だが、当日の東京都で今年最大となる41人の感染者を確認。小池百合子都知事は今週末の不要不急の外出を控えるよう都民に要請した。さらに26日には埼玉県と千葉県も都内への外出自粛を要請したり検討したりしているという。
そこで思い出したのが、23日の第4回の新型コロナウイルス対策連絡会議の賀来満夫座長(東北医科薬科大)の提言だ。賀来座長は「地域での感染には格差があり、拡大状況は違う」としつつ、「大阪府と兵庫県は独自に判断できるが、生活圏(人の往来がある)として関西があり、関東にも同じ問題がある。“地域”として考えないといけないし、関東、中部、関西は生活圏として考え、各自治体が協力して話し合わないといけない」と警鐘を鳴らしていた。
その懸念がわずか3日間で現実のものになりつつある。関東なら1都6県(いずれもJクラブがある)の首長が話し合う必要があるが、果たしてそれが可能なのかどうか。場合によっては政府が主導する必要があるかもしれない。
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すでにスタッフ用マスクは7万枚、消毒液300ミリリットル(10万人分)は確保しており、6月末までの14節相当をカバーできる。ただ、サーモメーターは風や温度、日陰などで変化が出るため、「運用にはスキルが必要」(村井満チェアマン)なためJ3からスタートして、その間に「J1とJ2の再開のために習熟度を上げていく」(村井チェアマン)狙いがある。そしてもう1つ、「J3は試合をすればするほど赤字になり、それをJが埋めている。J3が先行(して開幕)するのは、J1とJ2のシミュレーション」(村井チェアマン)という狙いもある。各リーグ戦とルヴァン杯の日程はこれからの作業だが(J1昇格プレーオフも復活の可能性がある)、スタート日を決めたのは選手のモチベーションを上げる効果もあり、まずは大きな第1歩を踏み出したと言える。そして実行委員会で最も苦慮したのが、政府の大規模イベントの自粛を受けて「オーバーシュート(爆発的増加)」をいかに回避するかだった。例えば日産スタジアムや埼玉スタジアムなどキャパシティの大きいスタジアムに全国からサポーターが集まり、試合後に各地に戻ることでウイルスを持ち帰る危険がある。
それを避けるため当面2ヶ月間はアウェーの席を設けず、アウェー・サポーターに観戦の自粛を要請する(横浜FMと横浜FCや川崎Fなど近隣にあるクラブ同士のアウェーの定義は今後クラブと詰めていく予定)。そしてメインとバックスタンドの座席は前後左右を空けて座るようにして、通常なら100パーセントの入場率を50パーセント以下にすることも発表された。
感染の可能性が高い「密集」と「密接」への対策でもある。ただし、メインは年間シートを購入しているファンも多く、村井チェアマンによると入場料収入の「50パーセントが年間シートで埋まっているクラブもある」そうだ。そのため、購入している席に座れないファンには、別の日の試合にするか、払い戻しも検討しているという。いずれも強制力がなく「ファンに自粛をお願いして、協力要請が必要になる」(村井チェアマン)とハードルは高い。
次に懸念されるのは、選手、スタッフに感染者が出た際の対応だ。現状では毎日の検温が義務化され、2日以上の発熱があったら隔離してJリーグに報告すること。4日以上なら保健所でPCR検査を受けて、陽性が確認されたらチームは2週間隔離する規定になっている。当然チームは公式戦に参加できないが、「感染していない違うセットで試合をする」(村井チェアマン)ことは可能だ。
今後は4月2日と16日に政府が出すステートメントの専門家の意見を参考にして25日のJ3の開幕の可否を決める予定だが、それでも村井チェアマンはリーグ戦の開幕・再開に向けて「予断は許せない」とし、「政府、自治体から自粛要請があれば従いますし、無観客試合か延期にする。地域によって中止命令があれば迅速に従います」と、依然として危機感を高めている。
そして、1歩進んだかと思われた25日だが、当日の東京都で今年最大となる41人の感染者を確認。小池百合子都知事は今週末の不要不急の外出を控えるよう都民に要請した。さらに26日には埼玉県と千葉県も都内への外出自粛を要請したり検討したりしているという。
そこで思い出したのが、23日の第4回の新型コロナウイルス対策連絡会議の賀来満夫座長(東北医科薬科大)の提言だ。賀来座長は「地域での感染には格差があり、拡大状況は違う」としつつ、「大阪府と兵庫県は独自に判断できるが、生活圏(人の往来がある)として関西があり、関東にも同じ問題がある。“地域”として考えないといけないし、関東、中部、関西は生活圏として考え、各自治体が協力して話し合わないといけない」と警鐘を鳴らしていた。
その懸念がわずか3日間で現実のものになりつつある。関東なら1都6県(いずれもJクラブがある)の首長が話し合う必要があるが、果たしてそれが可能なのかどうか。場合によっては政府が主導する必要があるかもしれない。
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