JとNPBの違い/六川亨の日本サッカーの歩み

2020.03.03 13:00 Tue
©超ワールドサッカー
JとNPBの違い

新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。3月1日の時点で中国本土の死者は2870人にのぼり(感染者は7万9824人)、韓国では3736人、イタリアでは1128人、イランでも978人の感染者が出て、その人数はさらに増加しているとテレビのニュース番組が伝えている。
Jリーグの村井満チェアマンは、他の競技に先駆けて2月26日のルヴァン杯グループリーグの試合を独断で延期することを決定し、さらにJ1~J3のリーグ戦も延期することを理事会に諮ったうえで決めた。

その後は多くの競技が延期、もしくはプロ野球のオープン戦と大相撲の春場所を無観客試合とし、コンサートなども軒並み延期と影響は広がっている。

このため3月2日、NPB(日本プロ野球機構)とJリーグは新型コロナウイルスの感染拡大から観客を守り、選手・コーチらを守り、さらに社会全体を守るため、翌3日に両法人共同で「新型コロナウイルス対策連絡会議」を設置し、この会議に「専門家チーム」を置くと記者会見を開いた。プロ野球とJリーグが初めて連係する画期的な出来事でもある。
今後はJリーグの18日の再開、プロ野球の20日の開幕に向けて専門家3名の意見を聞きながら、両団体が独自で判断を下すことになる。

村井チェアマンは公式ホームページで「この連絡会議で得られた情報は広くスポーツ界全体に公開させていただき、数多くのスポーツ団体の皆様の手助けができれば幸いです。最後になりますが、NPB、Jリーグ、そしてその他のスポーツ団体は、それぞれ異なる環境にあり独自の意思決定プロセスを有しています。再開のスケジュール等については、本連絡会議の情報、及び今後の政府見解などを勘案しながら、それぞれの団体が独自に対応の意思決定をしていくことを、一言申し添えさせて頂きます」と情報公開を積極的に行うことを明言。

3月3日の「連絡会議」は記者クラブ(通信社と新聞社)とニュース協会(テレビ)しか取材できないが、Jリーグはその後、独自にフリーランスやネット媒体など媒体無制限で取材できる会見を開く予定というメールが午後7時30分過ぎに届いた。

ここらあたりが、長い伝統を誇り、保守的なNPBとJリーグの違いだろう。

プロ野球と高校野球(甲子園)は記者クラブとニュース協会の取材しか認めず、フリーのカメラマンはもちろんのこと、週刊誌など雑誌協会の取材も認めていない。カメラマンが取材するにはプロ野球では年間シート、高校野球ではチケットを購入するしかなく、記者も基本的には取材OKだが、巨人軍など特定の球団から取材を拒否されれば試合後の監督と選手のミックスゾーンには入れない。

その点Jリーグは海外の取材方法を模倣したため開放的だ。かつてJリーグが開幕する前、フリーランスで故人の富樫洋一氏が当時のJリーグ事務局長の佐々木氏に「フリーランスも取材できるのですか?」と開幕前の会見で質問した。

佐々木氏の答えは「来る者は拒みません」というものだった。以来、Jリーグは富樫氏を含め、ベテランライターの後藤健生氏、当時は若手記者だった杉山茂樹氏らフリーランスの取材を認めて今日に至っているし、かくいう私もその恩恵にあずかっている。

村井チェアマンの今回の会見開催は、改めて“開かれたJリーグ"を象徴する出来事と評価したい。そして、その内容は機会があったら紹介したいと思う。

【文・六川亨】
1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。

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