新型コロナウイルスでJリーグは延期/六川亨の日本サッカー見聞録

2020.02.28 17:00 Fri
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Jリーグの村井満チェアマンは、2月25日の定例理事会で、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、26日に予定されていたルヴァン杯の7試合と、J1リーグとJ2、J3の78試合、さらにルヴァン杯のグループステージ第3節の8試合など、合わせて94試合の開催延期を決定した。

手前味噌ではあるが、先週のコラムでJリーグは新型コロナウイルスへの注意喚起が不足していると指摘した。しかし翌21日、J1リーグの開幕戦である“金J"の湘南対浦和戦を前に、HPでマスクの着用や手の消毒などを奨励した。遅きに逸した感はあるものの、開幕を控えて当然のアナウンスでもあると思ったものだ。

そして今回の措置である。25日の会見では、前日の24日に開催された新型コロナウイルス感染症対策専門家会議で「これから1〜2週間が急速な拡大に進むか、収束できるかの瀬戸際になります」との見解を受け、村井チェアマンは午後9時過ぎに「チェアマン権限」で26日のルヴァン杯の開催延期を決断。翌25日11時からのインターネットによるWeb理事会でルヴァン杯の開催延期の追認を受けると、J1〜J3リーグの3月15日までの開催延期も全会一致で承認された。

今回の措置で特筆すべきは、村井チェアマンの“スピード感"だ。新型コロナウイルスの感染拡大が進むなか、2月20日から25日にかけて全クラブの社長とビデオ会議を3回開催したという。その時はJリーグの開催延期について賛否両論があったそうだ。ただ、共通認識として「全スタッフが消毒とマスクを着用し、ファンには大型ビジョンで啓蒙するなど、しっかり準備していこう」ということになった。

しかし村井チェアマンは24日の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の発表を受け、即座にチェアマン権限でルヴァン杯の開催延期を決断した。かつて村井チェアマンは、チェアマンに就任した14年に浦和サポーターの人種差別的な断幕に対し、Jリーグ初となる無観客試合を決断した前例がある。

Jリーグが自然災害以外で開催が延期されるのは今回が初めてだ。その英断を、他のスポーツに先駆けて下したことは意義深い。なぜなら26日にはラグビーのトップリーグ、バスケットのBリーグ、バレーボールのVリーグと卓球のTリーグ(いずれもコートに隔てられているため選手同士の感染拡大は少ないだろう)などは試合の延期を決定した。さらにプロ野球もオープン戦を無観客試合とすることを発表した。

会見では無観客試合の可能性について質問が出たが、村井チェアマンは「我々はプロ。勝った負けたではなく、ファン・サポーターがあってのもの。制裁で無観客試合があるが、お客さんの前でプレーすべき」と言下に否定した。ここらあたり、プロ野球に比べて後発のJリーグだけに、“興行"としての認識の違い、さらに言えば危機感の違いがあるのだろう。

問題は、期限とする3月15日までに新型コロナウイルスが終息するかどうかだ。感染の拡大が続けば、Jリーグはさらなる延期を考慮しなければならないし、ACLを含めて3月下旬に予定されている日本代表の試合にも影響が及ぶ可能性が高い。

すでに3月27日に京都で予定されているU-23日本代表の親善試合では、対戦相手の南アフリカが来日を拒否している。JFA(日本サッカー協会)の広報によると、「来日を要請している」ということで、代替国は探していないようだ。

個人的な事情で言えば、すでに3月末は豊田、京都、博多のホテルと航空券は予約・購入してある。たぶん観戦を予定しているファン・サポーターも同じだろう。それらをキャンセルすべきかどうかも含めて、Jリーグの村井チェアマンとJFAの田嶋幸三会長には速やかな決断を期待したい。

【文・六川亨】
1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。
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