“無観客”ではなく“延期”を選んだJリーグ・村井満チェアマンのファン・サポーターを考えた英断
2020.02.26 20:20 Wed
25日、Jリーグは理事会を行い、3月15日(日)までに開催が予定されていた公式戦全94試合の延期を発表した。
21日に明治安田生命J1リーグが開幕。そこから4日後に約3週間の延期が発表されたのだ。また、16クラブにとっては、26日に開催予定だったYBCルヴァンカップの第2節が前日に延期となることが発表されたこととなる。
ルヴァンカップに関しては、すでに移動していた方も居たかもしれない。また、前日の延期発表により、航空券やホテルのキャンセルなどの対応に追われた方もいるだろう。3月までの遠征計画を立て、予約をしていた方も、キャンセル対応に追われたはずだ。
日本政府は、24日に行われた専門家会議で新型コロナウイルスの対策に関して、「これからの1~2週間が、急速な拡大に進むか収束かの瀬戸際」との見解を示して居たが、具体的な対策などについては発表されていなかった。
その中での延期という決断は非常に難しいものだったと思う。しかし、このJリーグの英断が及ぼした影響は大きいと言える。プロ野球に次ぐ大きなプロスポーツ団体が決断を下したことは、他のスポーツにとっての判断材料にもなるだろう。そして、その判断は村井チェアマンだったからこそ、できたのではないかと思う。
2014年、村井氏はJリーグの第5代チェアマンに就任。2015年からは明治安田生命保険とのタイトルパートナー契約を締結。2017年からは動画配信サービス「DAZN(ダ・ゾーン)」の導入により、10年間で約2100億円の放映権契約を結び、リーグ、クラブ共に財政基盤を強化してきた。
これらを見れば、リーグの懐を温めているようにも感じるかもしれない。しかし、全てはサポーターの事を考えてのものとも言える。
リーグが潤い、各クラブが潤えば、ファン・サポーターへ還元されるものも増える。また、「DAZN」に関しては、手軽にどこでもJリーグの試合が視聴可能になり、それまでの視聴形態から大きな進歩を遂げている。
それを考えれば、今回の公式戦延期を早期に決断したのも、サポーター、そして、選手やスタッフなどJリーグに関わる全ての人のことを考えてのものだと思う。
この間に予定されていた試合の代替日程についても、「極力、東京オリンピック期間中を使わないで、平日開催など、その他、なんとかやりくりの中で克服できるラインだと考えている」と、東京オリンピックの期間は避ける方向であると明言。「国民が大変期待している東京オリンピックなので、なるべく協力することは継続していきたい」とし、Jリーグファンの中にもいるであろう、オリンピックを楽しみにしていた方への配慮も忘れていない。
また、無観客試合について問われた際も「勝った、負けた、の試合結果を競い合うだけでなく、ファン、サポーターにそれをお届けするために存在している」と、Jリーグの存在意義について答え、「最後の最後まで、手段としてはとるべきではないと考えている」と明言。ファン・サポーター、そして選手のことを考えての“延期”という判断を下したのだ。
村井チェアマンは、就任直後に大きな決断を迫られる事案に直面。2014年3月に、浦和レッズのゴール裏スタンドのゲートに差別的な横断幕が掲出され、1試合の無観客試合の制裁を下したことがある。“無観客”というものは、エンターテインメントとしてはあってはならないこと。それは、今回のような場合ではなく、あくまでも“制裁”として考えたいという気持ちの表れだと思う。
Jリーグの発表から1日が経ち、26日に安倍晋三総理大臣は「この1、2週間が感染拡大防止に極めて重要であることを踏まえ、多数の方が集まるような全国的なスポーツ、文化イベントなどについては大規模な感染リスクがあることを勘案し、今後2週間は中止・延期または規模縮小などの対応を要請することとする」と発表した。
そして、それを追うように、プロ野球もオープン戦の全試合無観客開催を発表。ラグビーのトップリーグは、16試合を延期。プロバスケットボールリーグのBリーグも26日に99試合の延期を発表した。それぞれが苦渋の決断だったと思うが、政府の判断に従った面は大きいはず。
その点では、村井チェアマンの英断が一歩先を行っていたということ、そして日程的に難しくなることを考慮しても“延期”を選んだことは、Jリーグファンは誇るべきことなのかもしれない。
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日本における主要プロスポーツにおいて、感染が日に日に拡大している新型コロナウイルスの影響により公式戦の延期を発表したのは、Jリーグが初。この決断は、リーグにとっても最後まで悩んだ末の決断だったはず。村井満チェアマンの英断は称賛されるべきだろう。当然、観戦を楽しみにしていた数多くのサポーターにとっては残念な知らせであることは間違いない。ルヴァンカップに関しては、すでに移動していた方も居たかもしれない。また、前日の延期発表により、航空券やホテルのキャンセルなどの対応に追われた方もいるだろう。3月までの遠征計画を立て、予約をしていた方も、キャンセル対応に追われたはずだ。
しかし、キャンセルした場合でも、返金対応などはされていないため、負担を強いられることとなった方も多いはず。その心中はお察しする。
日本政府は、24日に行われた専門家会議で新型コロナウイルスの対策に関して、「これからの1~2週間が、急速な拡大に進むか収束かの瀬戸際」との見解を示して居たが、具体的な対策などについては発表されていなかった。
その中での延期という決断は非常に難しいものだったと思う。しかし、このJリーグの英断が及ぼした影響は大きいと言える。プロ野球に次ぐ大きなプロスポーツ団体が決断を下したことは、他のスポーツにとっての判断材料にもなるだろう。そして、その判断は村井チェアマンだったからこそ、できたのではないかと思う。
2014年、村井氏はJリーグの第5代チェアマンに就任。2015年からは明治安田生命保険とのタイトルパートナー契約を締結。2017年からは動画配信サービス「DAZN(ダ・ゾーン)」の導入により、10年間で約2100億円の放映権契約を結び、リーグ、クラブ共に財政基盤を強化してきた。
これらを見れば、リーグの懐を温めているようにも感じるかもしれない。しかし、全てはサポーターの事を考えてのものとも言える。
リーグが潤い、各クラブが潤えば、ファン・サポーターへ還元されるものも増える。また、「DAZN」に関しては、手軽にどこでもJリーグの試合が視聴可能になり、それまでの視聴形態から大きな進歩を遂げている。
それを考えれば、今回の公式戦延期を早期に決断したのも、サポーター、そして、選手やスタッフなどJリーグに関わる全ての人のことを考えてのものだと思う。
この間に予定されていた試合の代替日程についても、「極力、東京オリンピック期間中を使わないで、平日開催など、その他、なんとかやりくりの中で克服できるラインだと考えている」と、東京オリンピックの期間は避ける方向であると明言。「国民が大変期待している東京オリンピックなので、なるべく協力することは継続していきたい」とし、Jリーグファンの中にもいるであろう、オリンピックを楽しみにしていた方への配慮も忘れていない。
また、無観客試合について問われた際も「勝った、負けた、の試合結果を競い合うだけでなく、ファン、サポーターにそれをお届けするために存在している」と、Jリーグの存在意義について答え、「最後の最後まで、手段としてはとるべきではないと考えている」と明言。ファン・サポーター、そして選手のことを考えての“延期”という判断を下したのだ。
村井チェアマンは、就任直後に大きな決断を迫られる事案に直面。2014年3月に、浦和レッズのゴール裏スタンドのゲートに差別的な横断幕が掲出され、1試合の無観客試合の制裁を下したことがある。“無観客”というものは、エンターテインメントとしてはあってはならないこと。それは、今回のような場合ではなく、あくまでも“制裁”として考えたいという気持ちの表れだと思う。
Jリーグの発表から1日が経ち、26日に安倍晋三総理大臣は「この1、2週間が感染拡大防止に極めて重要であることを踏まえ、多数の方が集まるような全国的なスポーツ、文化イベントなどについては大規模な感染リスクがあることを勘案し、今後2週間は中止・延期または規模縮小などの対応を要請することとする」と発表した。
そして、それを追うように、プロ野球もオープン戦の全試合無観客開催を発表。ラグビーのトップリーグは、16試合を延期。プロバスケットボールリーグのBリーグも26日に99試合の延期を発表した。それぞれが苦渋の決断だったと思うが、政府の判断に従った面は大きいはず。
その点では、村井チェアマンの英断が一歩先を行っていたということ、そして日程的に難しくなることを考慮しても“延期”を選んだことは、Jリーグファンは誇るべきことなのかもしれない。
《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》
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