迫るJリーグ開幕、求められる新型コロナウイルス“感染ゼロ”

2020.02.20 14:00 Thu
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Jリーグの新シーズン開幕が間近に迫る中、日々刻々と情勢に変化が出てきているのが「新型コロナウイルス」だ。
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3月1日に予定されている東京マラソンは、一般ランナーの参加を中止を発表。参加料の返金問題が大きく騒がれているが、問題はそこではなくやはり「新型コロナウイルス」の影響だろう。東京オリンピックの選考会も兼ねているため、大会自体は実施されるものの、沿道での応援も自粛を要請されるほどだ。また、横浜・大黒ふ頭に停泊している大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」では、日々感染者が増加。下船し入院していた方の中には、命を落とした方もいる。
もっと身近なところで言えば、今尚マスクは完売状態が続き、アルコール除菌のシートなども品薄状態が長く続いている。日に日に不安が高まる状況だ。

そんな中、Jリーグは21日に新シーズンの開幕を迎える。18日、19日はAFCチャンピオンズリーグ(ACL)が日本で開催。平日夜の試合だったが、7755人(FC東京)、11803人(横浜F・マリノス)と観客が集まり、チームに声援を送った。
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以前のコラムでは、世界に発信するという観点を見ても、感染予防、安全面に十分に配慮した上で、「勇気を与えるために開催を」としたが、今の状況での開催はあらゆる点で大きな影響を与えるだろう。
開催するリスクで言えば、当然ながら「集団感染の可能性が高まる」ということだ。ゴール裏では密集地帯で全力で応援し、スタンド席も隣とは膝を突き合わせるほどの距離。マスクの着用はもちろんだが、その距離感では防げない可能性はある。アウェイサポーターは遠距離から交通機関を利用して集まり、最悪の場合は日本全土にウイルスが行き渡ってしまう可能性もある。

一方で、開催しないリスクもある。それはメジャープロスポーツにおいて、国内で初の開催中止という事例を作ることだ。東京マラソンに関して言えば、大会自体は開催され、一般参加者のみ中止となる。もちろん感染のリスクが“ゼロ”ではないものの、約4万人という規模に比べれば大きな縮小だ。

Jリーグに話を戻すと、自粛という判断を下した場合は、どこまでの期間で自粛するのかという判断だ。状況は異なるが、東日本大震災の時にも、再開時期について多くの議論がなされ、決定後も賛否両論あった。しかし、今回の「新型コロナウイルス」は見えざる敵。終息に向かうのか、この先さらに拡大するのかは、現時点で予測できない。そのため、判断基準が定まらないこととなる。

当然のことながら、開催中止となれば、東京オリピックにも影響を与えることは間違いない。東京マラソンの一般ランナーの参加自粛でも起きたことだ。

現時点では、「新型コロナウイルス」に関して、実態が解明されていないこと、潜伏期間があるため感染者を特定する術がないことが不安を煽り、マスクの着用や手洗いうがいなど自己防衛以外には、事後対応しか道が残されていない。だからこそ、多くの人が恐怖を感じているのだ。

また、感染者は被害者である一方で、加害者になってしまうリスクを負うことにもなる。潜伏期間があるだけに、安心することは結局のところできないのだ。

ただし、Jリーグの場合は基本的に屋外(ドームスタジアム以外)での開催となり、そのイベントが自粛となってしまえば、ライブや屋内競技はおろか、外出ですら自粛という流れになるだろう。社員の出勤を自粛している企業もいくつか見られるが、感染予防の措置を厳重に行っているということであり、大半の企業は出勤の自粛は行っていない。

実際に開催されているACL2試合を観ても、マスクを着用し感染予防をして観戦している人は多かった。しかしながら、スタンドで観戦している人たちに比べ、ゴール裏で応援しているサポーターたちのマスク着用率は低かった。仮に感染者がいたら…と考えると、ゾッとしてしまう。
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Jリーグ関係者も、当然頭が痛いところだろう。心境としては、最後まで開催については悩むはずだ。しかし、現時点でJリーグからの開催自粛という話は出ておらず、開催の方向で進んでいる。

一方で、観戦時の注意喚起は行われていない。各クラブはファンサービスの自粛などをそれぞれ発表し、感染予防対策を講じているが、リーグの対応としてはお粗末な印象を受ける。開催と決断しているのであれば、せめてもの注意喚起は必要だろう。

Jリーグは、今や日本国内やアジアだけでなく、世界的にも発信力がある。当然、この状況を考えれば、嫌でも注目を浴びることとなるはず。最悪の場合は、日本、アジアの危険性をミスリードしてしまう可能性もある。

選手スタッフだけでなく、ファン・サポーターを含めた関係者から、誰も感染者を出さないことが求められる中、開幕を迎えるJリーグ。潜伏期間を考えればすぐに感染者は現れないだろうが、どうか“ゼロ”で終わることを願うばかりだ。
《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》

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