新型コロナウイルスが引き起こす「風評被害」…今、Jリーグが示すべき「日本の強さ」
2020.02.13 20:30 Thu
中国を中心に深刻な広がりを見せている新型コロナウイルス。ドイツやイギリスなどアジア以外の地域でも感染者が発見されるなど、その被害は全世界へと広がっている。
日本では、中国湖北省武漢市から政府チャーター機第1便で帰国した141名が帰宅。一方で、集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」は、3日夜に横浜市の大黒ふ頭沖へ到着し、乗客乗員約3600人が船内に残り、原則19日までの待機が求められている。
その他、4月中旬に上海で開催予定だったF1中国グランプリの開催延期が決定。20日に予定されていた阪神タイガースの2軍と台湾の統一ライオンズとの連取試合も中止が決定。サッカーでは、中国スーパーリーグの開幕が延期されるなど、スポーツ界にも大きな影響を与えている。
日本でも感染者が増加しているものの、中国とは比にならない状態。偏に、日本の医療技術が高いこと、また感染予防、感染者への対応が整っていることが挙げられ、日本での医療を受けようと画策している人もいる状況だ。
一方で、アジアから離れている地域では、日本も中国と並んで危険な国だと認識され、風評被害に発展しているケースも多発。日本人を含め、アジア人を感染者とみなして差別する人もいるほどだ。日本国内でも、過敏に反応する方々は、謂れのない風評被害をもたらしている状況がある。
そんな緊迫状態の中、11日にAFCチャンピオンズリーグ(ACL)が開幕。中国クラブが関わる試合の日程が変更されている中での開幕となった。
Jリーグは、8日にゼロックス・スーパーカップを開催。稀に見る展開のPK戦で決着がついたが、埼玉スタジアム2002には5万1397人の観客が訪れていた。この状況下でだ。
得も言われぬ不安は、往々にして人々を自粛へ向かわせることが多い。しかし、こういった事態だからこそ、日本が、Jリーグが持つ、安全かつ安心して観戦できるリーグであることを、世界に発信すべきではないだろうか。
イニエスタを始め、昨シーズンまで現役でプレーしていたフェルナンド・トーレスやダビド・ビジャ、またトルコへ移籍したルーカス・ポルドスキなど、ヨーロッパのサッカー界でも活躍していた選手が来日したことで、Jリーグへの関心は以前よりも高まっている。また、アジア地域でも、4人のJリーガーが居るタイなどでは非常に人気が高い。
選手やスタッフはもちろん、ファン・サポーター、運営スタッフなど、試合に関わる人たちへの安全が大前提ではあるが、この困難を乗り越える強さを日本は持っている。
思い起こせば1995年1月の阪神・淡路大震災が起きた年、被災者でもあったオリックス・ブルーウェーブは『がんばろうKOBE』をスローガンに、イチローらを中心にパ・リーグを制覇した(翌年は日本一)。また、Jリーグ昇格を目指していた当時JFLのヴィッセル神戸が正式に始動したのも1995年。震災の年に誕生したクラブは、今や世界でも注目される日本のクラブの1つになっている。
2011年3月に起きた東日本大震災は、それ以上の甚大な被害を東日本各地で起こさせた。その年のJリーグは開幕時期をずらした一方で、震災発生から18日後の3月29日には、大阪・長居スタジアムで「東北地方太平洋沖地震復興支援チャリティーマッチ がんばろうニッポン!」を開催。Jリーグ選抜と日本代表チームが対戦し、キング・カズこと三浦知良が記録したゴールは、記憶に新しいところだろう。得意の“カズ・ダンス”で勇気を与えてくれた。
さらに、その年の7月にはドイツで行われた女子ワールドカップでなでしこジャパンが初優勝。世界で躍動する姿に、多くの日本人が元気と勇気と興奮をもらい、世界へもアピールすることができた。これこそが、スポーツが持つ力と言えるのではないだろうか。
新型コロナウイルスの感染拡大により、東京オリンピックの開催も不安視されている。東京オリンピック大会組織委員会の森喜朗会長は「中止や延期を検討されていない」と明言した一方で、IOC(国際オリンピック委員会)は、「すべてのアスリート、日本に来る方が影響を受けることがないよう、必要な警戒が行われているか」を確認するとしている。
日本が安全なのかどうなのか、その証明のためにも、サッカーを始め、プロ野球やその他のスポーツがしっかりと問題なく、安全に開催することが大事だろう。証明できれば、東京オリンピックも問題なく開催される。まずは来週開幕を迎えるJリーグ。今こそ、日本の強さを見せる時だと思う。
日本では、中国湖北省武漢市から政府チャーター機第1便で帰国した141名が帰宅。一方で、集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」は、3日夜に横浜市の大黒ふ頭沖へ到着し、乗客乗員約3600人が船内に残り、原則19日までの待機が求められている。
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[ダイヤモンド・プリンセスの船内には現在も多くの乗員乗客が待機中]
その他、4月中旬に上海で開催予定だったF1中国グランプリの開催延期が決定。20日に予定されていた阪神タイガースの2軍と台湾の統一ライオンズとの連取試合も中止が決定。サッカーでは、中国スーパーリーグの開幕が延期されるなど、スポーツ界にも大きな影響を与えている。
日本でも感染者が増加しているものの、中国とは比にならない状態。偏に、日本の医療技術が高いこと、また感染予防、感染者への対応が整っていることが挙げられ、日本での医療を受けようと画策している人もいる状況だ。
そんな緊迫状態の中、11日にAFCチャンピオンズリーグ(ACL)が開幕。中国クラブが関わる試合の日程が変更されている中での開幕となった。
日本からは横浜F・マリノス、ヴィッセル神戸、FC東京の3クラブが参加。横浜FMとFC東京は韓国でのアウェイゲーム、神戸は日本でマレーシアのジョホール・ダルル・タクジムと対戦した。初めてACLに出場したアンドレス・イニエスタは、その輝きを遺憾無く披露し、神戸も5-1の快勝スタートとなったが、中国に次いで感染者が多い日本でサッカーの試合を行えたことは、日本のすごさと言えるだろう。
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[全北現代モータースvs横浜F・マリノスでは入場時に体温検査が実施]
Jリーグは、8日にゼロックス・スーパーカップを開催。稀に見る展開のPK戦で決着がついたが、埼玉スタジアム2002には5万1397人の観客が訪れていた。この状況下でだ。
得も言われぬ不安は、往々にして人々を自粛へ向かわせることが多い。しかし、こういった事態だからこそ、日本が、Jリーグが持つ、安全かつ安心して観戦できるリーグであることを、世界に発信すべきではないだろうか。
イニエスタを始め、昨シーズンまで現役でプレーしていたフェルナンド・トーレスやダビド・ビジャ、またトルコへ移籍したルーカス・ポルドスキなど、ヨーロッパのサッカー界でも活躍していた選手が来日したことで、Jリーグへの関心は以前よりも高まっている。また、アジア地域でも、4人のJリーガーが居るタイなどでは非常に人気が高い。
選手やスタッフはもちろん、ファン・サポーター、運営スタッフなど、試合に関わる人たちへの安全が大前提ではあるが、この困難を乗り越える強さを日本は持っている。
思い起こせば1995年1月の阪神・淡路大震災が起きた年、被災者でもあったオリックス・ブルーウェーブは『がんばろうKOBE』をスローガンに、イチローらを中心にパ・リーグを制覇した(翌年は日本一)。また、Jリーグ昇格を目指していた当時JFLのヴィッセル神戸が正式に始動したのも1995年。震災の年に誕生したクラブは、今や世界でも注目される日本のクラブの1つになっている。
2011年3月に起きた東日本大震災は、それ以上の甚大な被害を東日本各地で起こさせた。その年のJリーグは開幕時期をずらした一方で、震災発生から18日後の3月29日には、大阪・長居スタジアムで「東北地方太平洋沖地震復興支援チャリティーマッチ がんばろうニッポン!」を開催。Jリーグ選抜と日本代表チームが対戦し、キング・カズこと三浦知良が記録したゴールは、記憶に新しいところだろう。得意の“カズ・ダンス”で勇気を与えてくれた。
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[復興を願ったチャリティマッチでキング・カズがゴール]
さらに、その年の7月にはドイツで行われた女子ワールドカップでなでしこジャパンが初優勝。世界で躍動する姿に、多くの日本人が元気と勇気と興奮をもらい、世界へもアピールすることができた。これこそが、スポーツが持つ力と言えるのではないだろうか。
新型コロナウイルスの感染拡大により、東京オリンピックの開催も不安視されている。東京オリンピック大会組織委員会の森喜朗会長は「中止や延期を検討されていない」と明言した一方で、IOC(国際オリンピック委員会)は、「すべてのアスリート、日本に来る方が影響を受けることがないよう、必要な警戒が行われているか」を確認するとしている。
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日本が安全なのかどうなのか、その証明のためにも、サッカーを始め、プロ野球やその他のスポーツがしっかりと問題なく、安全に開催することが大事だろう。証明できれば、東京オリンピックも問題なく開催される。まずは来週開幕を迎えるJリーグ。今こそ、日本の強さを見せる時だと思う。
《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》
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