常勝軍団はこのまま凋落するのか…転機を迎えた鹿島に必要なもの

2020.02.09 20:00 Sun
©超ワールドサッカー
当たり前が当たり前じゃなくなっている…薄まっていく鹿島の血、これからどうなっていってしまうのか。

天皇杯の完敗で幕開けした2020年。無冠に終わった2019シーズンからの立て直しを図るため、監督、スタッフ、選手も大幅に変わり、アントニオ・カルロス・ザーゴ監督の下で行われたキャンプも期待の持てるレポートがあがってきた。
しかし、私たち鹿島ファンを待ち受けていたのは、失意と落胆だった。

まさかのACLプレーオフ敗退…。これまで、称賛される記録を作ってきたアントラーズが、Jリーグチーム初の屈辱を味わう事は誰も予想していなかった。
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さらに、1年前にフランスへと旅立ったDF昌子源がJリーグに復帰。しかし、袖を通したユニフォームは、赤ではなく、青黒だった。

アントラーズを追いかけて来た私をはじめ、多くのファン・サポーターにとって、2020年の始まりから起こっている全てのことが、辛く苦いものだった。
他を寄せ付けない20のタイトルと、“嫌がられる(褒め言葉として捉えている)"ほどの強さを誇る鹿島アントラーズは、これまで、生え抜きと助っ人外国人(大半がブラジル人)を中心にチームを作ってきた。そのため、“鹿島イムズ"、ひいては、“ジーコ・スピリット"が脈々と受け継がれ、それがチームカラーとなってきたのだ。

しかし、近年はその“イズム"を持った生え抜き選手が海外へ続けて流出。また、生え抜きの選手たちが年齢を重ねスパイクを脱ぐなど、世代交代のペースが早まっていき、結果としてバランスが崩れていった。
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サイクルを回すため、国内の他クラブから有望な選手を獲得し、“ジーコ・スピリット"を植え付けていくも、その選手たちもまた海外へ流出。チームの骨格にひずみが生じた結果、2019シーズンは無冠に終わり、2020シーズンに向けては外国人選手を含め7人の移籍組、4人の新人がチームに加わった。

これまで圧倒的な勝負強さで数々のタイトルを勝ち取ってきた鹿島だが、ここ数年はギリギリの所でタイトルを逃している。また、一発勝負のトーナメントには滅法強さをみせていたが、こちらも勝負強さを発揮できなくなっている。これは、鹿島の血が薄まってきてしまっていることが原因なのだろうか!?

ともすると、選手の血が薄まり、そして監督もOBではなくなった鹿島は凋落の一途をたどってしまうのだろうか?
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アントラーズに限って、そんなことはない。ザーゴ新監督の脇を固めるコーチ陣には、れっきとした鹿島の血が流れている。鹿島の黄金期を支えた相馬直樹は、FC町田ゼルビアでの監督として経験を積みコーチに就任。もう1人の熊谷浩二は、長年ユースチームを率い、育成面でクラブを支えてきた。シント=トロイデンでプレーする鈴木優磨が、頭が上がらないというほどの指導者だ。

外国人監督が就任する際は、コーチ陣が全てその監督に率いられた陣営になる事がよくあるが、鹿島の場合は、鹿島の血が流れた人間が必ずと言っていい程いる。この2人の存在が、鹿島の血を他チームから移籍してきた選手や新人選手に受け継いでくれることは間違いない。いや、そうでないと困る!

これまでも、内田篤人、大迫勇也(ブレーメン)、柴崎岳(デポルティボ・ラ・コルーニャ)など、チームの主軸に育ってきた選手の流出は何度も経験している。その穴を埋める為、他チームから選手を獲得してきたが、それでも鹿島の強さは変わらなかったのは何故なのか。
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選手はもちろん、フロント、ファン・サポーターまで、鹿島に関わる全ての人が共通して“勝利"のみを求めているから。例え良いサッカー、面白いサッカーをしたところで、勝てなければ誰も満足しない。奇しくも、ガンバ大阪に加入した昌子も口にしていたが、「2位以下は一緒」なのだ。

つまらないと言われようと、勝利、タイトルだけが皆を満足させられるもの。それが、“ジーコ・スピリット"であり、どれだけ選手が入れ替わろうとも、この共通認識が植え付けることができれば、鹿島の強さは保たれてきたのだ。

では、何が足りないのか。ひとつ言えるとすれば、今の鹿島に不足しているのは、第二の小笠原満男だろう。
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長年鹿島を引っ張ってきた小笠原の存在はやはり偉大だった。ピッチから居なくなってこそ、その大きさを痛感する。多くは語らずも、その背中で残りの選手、スタンドのファン・サポーターを牽引していた。

昨年は、勝負所でスイッチを入れられる選手がピッチ上おらず、大事な局面で競り負け、勝ち点を落した試合が増え、結果的にタイトルに手が届かなかった。

生え抜きの内田や遠藤康が思うように試合に絡めず、小笠原の様に周囲を引っ張る背中がなかった。今のチームには、ピッチ上でスイッチを入れる存在、引っ張る存在が必要だろう。その役割を担うに値する選手はいるが、ピッチ上で体現できるかが重要だ。

心機一転、チーム作りをスタートさせた今シーズンは、“我慢の年"になるはず。ファン・サポーターもそのことを言い聞かせているが、これまで勝利、タイトルが命題とされてきただけに、我慢も簡単ではないはずだ。かく言う私も我慢できる気がしていない…。

やはり貪欲にタイトルを狙うチーム。我慢はするけど、最後には「やっぱり鹿島だ!」と私たちに言わしめてほしい。

【文・内田徹】

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東京Vが鹿島とのオリ10対決制し4戦ぶり得点&白星! “緑の稲妻”山見大登がクラブJ1通算800点目含む殊勲2発【明治安田J1第28節】

明治安田J1第28節の東京ヴェルディvs鹿島アントラーズが25日に味の素スタジアムで行われ、ホームの東京Vが2-1で勝利した。 前節、FC東京とのダービーを0-0のドローで終えた12位の東京V。リーグ戦連敗はストップも、中断明け後は3試合連続無得点で3試合未勝利とここに来て苦しい戦いが続く。ホームで4試合ぶりの白星を狙った一戦では累積警告で出場停止の染野唯月を含め林尚輝、松村優太が保有元との対戦で不在となったなか、千田海人、綱島悠斗、山見大登が代役を務めた。 一方、同じく前節の浦和レッズ戦をゴールレスドローで終え、2戦未勝利で3位に転落した鹿島。逆転優勝に向けて3試合ぶりの勝ち点3必須のアウェイゲームでは2-1で勝利した天皇杯のヴァンフォーレ甲府戦から先発5人を変更。柴崎岳、名古新太郎、鈴木優磨といった主力が復帰。さらに、新戦力のターレス・ブレーネルが初のベンチ入りを果たした。 立ち上がりから球際、切り替えの局面でバチバチとやり合う激しい展開となったオリジナル10対決。ホームの東京Vが山見のボックス内への侵入からの際どいクロスでチャンスを作れば、アウェイの鹿島も濃野公人のミドルシュートで応戦する。 序盤以降は互いにボールの主導権を入れ替えながら遅攻でチャンスを窺う。だが、互いにサイドを起点に仕掛けを見せるが、なかなかフィニッシュまで持ち込めない。 前半半ば過ぎの飲水タイム明けの28分には鹿島に決定機。左CKの二次攻撃からボックス手前でルーズボールに反応した柴崎が右足のミドルシュートを狙うが、これは枠の左に外れる。 対する東京Vも30分過ぎに続けて決定機を創出。31分、前線へのロングボールを収めた木村勇大が山見との連携でボックス左に抜け出して対峙したDFを抜き切らずに意表を突くニア上を狙った右足シュート。だが、ここはGK早川友基の好守に遭う。さらに、このプレーで得た左CKの流れから波状攻撃を仕掛けて谷口栄斗の反転シュートなどでゴールに迫るが、赤の分厚い壁をこじ開けられず。 一進一退の攻防が続くなかで鹿島は36分、デザインされた左サイドでのFKから名古の速いクロスを壁付近で師岡柊生が頭でフリック。これがゴール右隅に向かうが、GKマテウスの見事な横っ飛びセーブに阻まれて決定機をモノにできない。 その後、前半アディショナルタイムには東京Vがカウンターから齋藤功佑の右クロスをボックス左で胸トラップした山見がファーポストを狙った右足シュートを放つが、これは惜しくもクロスバーに阻まれた。 球際での激しいバトルを含め拮抗した一戦はゴールレスで後半に突入。立ち上がりの51分には翁長聖のインターセプトから東京Vが高速カウンターを発動。山見がボックス手前左からニア下を狙ったシュートを放つが、これはGK早川の好守に遭う。 一方の鹿島も直後の相手セットプレーを撥ね返してのロングカウンターから師岡のラストパスに反応した名古がボックス内でビッグチャンスを迎えるが、体勢を崩して放ったシュートはGKマテウスに阻まれる。 後半はよりオープンな展開になり始めると、両ベンチが60分付近に動きを見せる。鹿島は仲間隼斗に代えて藤井智也を、東京Vは山田楓喜を下げて見木友哉を投入。これで山見が右のシャドーにポジションを変えた。すると、一連の交代が試合を動かす契機に。 63分、最後尾でボールを受けた3バック右の綱島が相手のプレスをかわしてボックス手前まで持ち上がってボックス右のスペースを狙う山見にラストパス。これを受けた山見がニア上に強烈な右足シュートを突き刺した。 チーム4試合ぶり、クラブJ1通算800点目となる山見のゴールによって均衡が破れると、鹿島は失点直後に師岡を下げて田川亨介を投入。前線に2人のストライカーを並べる形でゴールを目指す。72分にはセットプレーの二次攻撃から柴崎の左クロスに反応した濃野がヘディングシュートを枠の左に飛ばすが、これはGKマテウスのビッグセーブに遭う。さらに、こぼれ球を左足で蹴り込むが、今度は左ポストに阻まれた。 守護神のビッグプレーでリードを維持したホームチームは今度は攻撃陣が応える。75分、ボックス手前左でロングボールのこぼれに反応した齋藤が胸トラップから左足シュートを放つと、これはGK早川にはじかれるが、こぼれに詰めた山見が再び右足で蹴り込んだ。 逆転優勝へこれ以上の取りこぼしは許されない状況で厳しくなった鹿島は、試合終盤にかけて決死の猛攻に打って出る。86分にはGKマテウスが飛び出してクロスをはじいたこぼれを拾った藤井が枠を捉えたシュート。これはDF綱島のゴールカバーに阻まれたが、右肩の付け根付近にボールが当たったためオンフィールド・レビューでの確認が入ると、PKが与えられる。これをキッカーの鈴木が冷静に左隅へ蹴り込んだ。 1点差で後半アディショナルタイムは11分と、壮絶な3-3のドローに終わった前回対戦同様に何が起こってもおかしくない状況となったが、今季ここまでのJ1での戦いを通じてタフさを身に着けた東京Vは身体を張った守備としたたかに時計を進めるプレーで見事に逃げ切った。 この結果、鹿島とのオリジナル10対決を制した東京Vが4試合ぶりの勝ち点3を奪取。一方、敗れた鹿島は直近1分け2敗の失速で厳しい勝ち点逸となった。 東京ヴェルディ 2-1 鹿島アントラーズ 【東京V】 山見大登(後18、後30) 【鹿島】 鈴木優磨(後45) <span class="paragraph-title">【動画】山見大登が2得点! 豪快な一発で均衡破る</span> <span data-other-div="movie"></span> <blockquote class="twitter-tweet" data-media-max-width="560"><p lang="ja" dir="ltr">/<br>この笑顔が見たかった<br>\<a href="https://twitter.com/hashtag/%E7%B6%B1%E5%B3%B6%E6%82%A0%E6%96%97?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#綱島悠斗</a> ドリブル突破から見事なラストパス<a href="https://twitter.com/hashtag/%E5%B1%B1%E8%A6%8B%E5%A4%A7%E7%99%BB?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#山見大登</a> 豪快すぎる右足ゴール<br><br>明治安田J1リーグ第28節<br>東京V×鹿島<a href="https://twitter.com/hashtag/%E6%9D%B1%E4%BA%ACV%E9%B9%BF%E5%B3%B6?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#東京V鹿島</a><br><a href="https://twitter.com/hashtag/DAZN?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#DAZN</a> &DAZN Freemiumで配信中<br>無料視聴はこちら<a href="https://t.co/aLxvTmOujJ">https://t.co/aLxvTmOujJ</a> <a href="https://t.co/jJqxvMiL8x">pic.twitter.com/jJqxvMiL8x</a></p>&mdash; DAZN Japan (@DAZN_JPN) <a href="https://twitter.com/DAZN_JPN/status/1827655462155673948?ref_src=twsrc%5Etfw">August 25, 2024</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> 2024.08.25 20:12 Sun
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まるで別人!若返り手術をした元Jリーグ指揮官の現在の姿に海外衝撃「誰か分からない」

ブラジル人指揮官のオズワルド・オリヴェイラ氏の変貌ぶりが現地で話題だ。 ブラジル複数クラブでの指導経験を持ち、2007年に就任した鹿島アントラーズでは、史上初となるJリーグ3連覇を達成したオリヴェイラ監督。2011年に退任して以降は、母国クラブやカタールでの指揮を経て、2018年4月に浦和レッズの監督に就任した。 浦和では天皇杯優勝を成し遂げたものの、2019年5月に解任。その後はフルミネンセに3度目の復帰を果たしたものの1カ月強で解任されると、それ以降はどのクラブも指揮していない。 現在73歳のオリヴェイラ氏は、14日に母国ブラジルのスポーツ番組に出演。以前より顔がふっくらした印象で、メガネを外した顔は別人のようだった。 ブラジル『CORREIO BRAILIENSE』によると、オリヴェイラ氏は1月に顔の若返り手術を実施したことで注目を浴びていたという。そして、今回の番組出演時にもまた別人のように顔が変わっていたことで、「誰か分からない」とSNS上で大きな話題になっているようだ。 <span class="paragraph-title">【比較写真】まるで別人になったオリヴェイラ氏(右が現在)</span> <span data-other-div="movie"></span> <blockquote class="twitter-tweet" data-media-max-width="560"><p lang="pt" dir="ltr">VEJA: Treinador de futebol Oswaldo de Oliveira faz procedimento de rejuvenescimento facial e resultado viraliza nas redes sociais. <a href="https://t.co/lZWTPfEqlb">pic.twitter.com/lZWTPfEqlb</a></p>&mdash; DIRETO DO MIOLO (@diretodomiolo) <a href="https://twitter.com/diretodomiolo/status/1735352687716163696?ref_src=twsrc%5Etfw">December 14, 2023</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> 2023.12.15 12:05 Fri

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