【2019-20プレミアリーグ前半戦総括】超WS選出の最優秀選手はプレミア最多アシストの期待が懸かるTAA!
2020.01.07 18:00 Tue
◆すでに決着済み?! 無敗リバプールが勝ち点差「13」で首位独走
今シーズンのプレミアリーグの優勝は決まったと言っても過言ではないかもしれない。シーズン半分が経過した時点で、リバプールは17勝1分けで首位。2位のレスター・シティとは勝ち点差「13」で独走している。クラブ・ワールドカップに出場した分、他チームよりも1試合消化が少ない状況であるにもかかわらずだ。
昨シーズン、わずか1ポイント差で涙をのんだリバプールは、その悔しさをバネに快進撃を続けている。アーセナルやチェルシーを容易く退け開幕8連勝を収めると、第9節でマンチェスター・ユナイテッドに連勝を止められてしまうものの、以降は再び連勝街道へ。直接的なライバルと見られていたマンチェスター・シティにも快勝するなど、今季のリバプールを止められるチームは少なくとも国内にはいないことが証明された。
シティは予想外に苦戦を強いられている。昨季は前人未到の国内三冠を達成したが、バーンアウトシンドロームだろうか、今季は格下相手に取りこぼすことが多く、昇格組のノリッジに第5節で敗れ、ニューカッスルにも勝ち点を拾われた。その中でウォルバーハンプトンにはダブルを許すという王者にあるまじき失態も。一方で第6節のワトフォード戦では大量8得点で大勝するなど、波の激しい戦いを見せている。
上記2チームに割って入ったのが、ブレンダン・ロジャーズ体制2年目を迎えるレスター・シティだ。実際には、就任したのは2019年2月のため1年も経っていないのだが、46歳の指揮官は2強と謡われるこのリーグに新たな風を吹かせている。強豪相手には勝ち点を落としているものの、中堅以下のクラブからはしっかり白星を奪い、現在2位という好位置を維持。そんな前半戦のハイライトは何と言っても第10節のサウサンプトン戦だ。プレミア史上最多のアウェイ9得点を記録し、ヴァーディとアジョセ・ペレスの2人がハットトリックを達成。プレミアリーグでは2003年の5月以来、2度目の快挙だった。
そのチェルシーも含め、これより下は混戦模様。第19節終了時点では、4位のチェルシーから9位のクリスタル・パレスまで勝ち点差「6」でひしめき合っており、その下もそれほどの大差はない。その中で健闘しているのが昇格組のシェフィールド・ユナイテッドだ。昨季のチャンピンシップで2位となり、12年ぶりにプレミアリーグに戻ってきた通称ブレイズはここまで7勝8分け4敗の好成績。しっかりした守備に加え、夏に何度もクラブ記録を更新し獲得したカラム・ロビンソンやムセ、そして現クラブ最高額のマクバーニらアタッカー陣がその名の通り鋭さのある攻撃を披露している。
昇格組躍進の裏でトッテナムやマンチェスター・ユナイテッドはここまで6位に8位と大低迷。トッテナムに関しては5年半の間指揮を執ってきたマウリシオ・ポチェッティーノ監督を解任し、"スペシャル・ワン"モウリーニョ監督を招へいするに至った。ユナイテッドは相変わらず低調で、格下から勝ち点を取りこぼす光景も珍しくなくなってきた。一方で、開幕節のチェルシー戦の快勝や第15節と第16節でトッテナムとシティ戦の連勝など、ビッグクラブ相手に見せる底力も印象的だった。
ボトムハーフでは多くのクラブで監督交代が起こった。アーセナルは11月にウナイ・エメリ監督を解任し、クラブOBのフレドリック・ユングベリ氏の暫定指揮を経て12月20日、同じくOBのミケル・アルテタ氏をシティから引き抜いた。また、エバートンでは同21日、マルコ・シウバ監督に代わり、チェルシーでプレミア優勝を果たしたことのあるカルロ・アンチェロッティ監督が就任。その両チームが対戦した12月21日の第17節では、両新指揮官がスタンドに姿を現し注目された。
その他、ウェストハムやワトフォードも監督交代に踏み切っている。ウェストハムはマヌエル・ペジェグリーニ監督に代わり、デイビッド・モイーズ氏が1年半ぶりに就任。ワトフォードはすでに2度監督を交代。9月上旬にハビ・グラシア監督が解任された後、キケ・サンチェス・フローレス氏がおよそ3年ぶりに復任したが、長くはもたず12月6日から元レスター指揮官のナイジェル・ピアソン氏が指揮を執っている。
【最優秀選手&監督】
★最優秀選手
◆DFトレント・アレクサンダー=アーノルド(リバプール)
無敗のリバプールにおける強力な武器の一つが両サイドバック。その右側を担うアーノルドは、すでに2ゴール8アシストを記録し、ブレイクを果たした昨季の1ゴール12アシストという成績を霞ませる活躍を披露している。クラブ・ワールドカップ参加の影響でいつも以上に過密日程を強いられた中で、21歳のイングランド代表はリーグ戦ではほぼフル稼働。国内カップ戦で休みを貰っているものの、チャンピオンズリーグも戦いながらのこのペース配分は常軌を逸する。このままいくと、かつてアーセナルに在籍していたティエリ・アンリが2002-03シーズンに記録した1シーズン最多の20アシストを超える可能性もある。
★最優秀監督
◆ブレンダン・ロジャーズ(レスター・シティ)
2015-16シーズンの"ミラクル・レスター"を再現するかのような躍進を見せている今季のフォクシーズ。昨季とほぼ変わらない陣容のままロジャーズ体制2年目を迎えたが、セルティックで2年連続の国内三冠を達成した北アイルランド人指揮官は、手持ちのカードの力を最大限に発揮出来るシステムを相手ごとに構築し勝ち点を重ねた。第8節から破竹の8連勝を収めた中で、前述のようにセインツ戦はプレミアの歴史に残る大勝利だった。そんなチームにおいて、エースのヴァーディは得点ランクトップの17ゴール。数少ない新戦力のアジョセ・ペレスとプラートの2人も確実に結果を残し、前者は先発出場13回で4ゴールと、ニューカッスルにいた昨季よりもハイペースでネットを揺らしている。無敗を続けるリバプールのユルゲン・クロップ監督も見事だが、意外性を含めてロジャーズ監督を前半戦最優秀監督に選んだ。
【期待以上】
★チーム
◆シェフィールド・ユナイテッド
刃物工業が盛んな街であることからブレイズ(=刃)との愛称で親しまれるクラブは、トップリーグ挑戦は12年ぶり。ブレイズでプロデビューし、2016年から指揮を執るクリス・ワイルダー監督の下、チームは[3-5-2]を基本フォーメーションにセンターバックが度々オーバラップする変わり種戦術を武器にプレミアリーグをかく乱。ここまでリバプールに次ぐリーグ最少の17失点で7位に付けている。序盤戦はなかなか順応に苦労したが、第8節から第19節までを見てみると、その成績は5勝6分け1敗。アーセナルを破り、トッテナムやマンチェスター・ユナイテッド相手から勝ち点を拾うなど堂々たる戦いぶりで、昨季のウルブズのような旋風を巻き起こしている。
★選手
◆DFチャグラル・ソユンク(レスター・シティ)
レスターの堅守を支えるトルコ代表DFを選出。フライブルクから加入し2年目の今季は、リーグ戦6試合の出場に留まった昨季とは打って変わって、前半戦はフル稼働。スピード、フィジカル、読みの深さがプレミア仕様になり、相方のエバンスと共に高い壁を築く。フィード能力はそれほど高くないものの、最終ラインでもボールを上手く処理できる冷静さが大きな武器となっている。
【期待外れ】
★チーム
◆アーセナル
昨季の戦いぶりを見ると、それほど大きな期待を新シーズンに寄せることは出来ないでいたが、夏に大型補強を敢行しておきながら11位でシーズンを折り返したことを考えると、期待外れだったと言わざるを得ない。13得点のオーバメヤンが孤軍奮闘も、得点数を上回る失点の多さが足を引っ張った。その守備陣では、夏にチェルシーからダビド・ルイスを獲得するも、以前から見られていた凡ミス癖が治らず、期待のティアニーも昨シーズンから持ち越したケガで出遅れると、今度は肩を負傷し再離脱。前半戦はわずか5試合(299分)しか出場しなかった。
また、クラブ最高額で獲得したペペも移籍金に見合った活躍は見せられず、新戦力を生かせず、選手たちからの信頼も得られていなかったウナイ・エメリ監督は11月末に更迭され、後任にマンチェスター・シティでジョゼップ・グアルディオラ監督のアシスタントを務めていたミケル・アルテタ氏が就いた。その手腕を評価するのは時期尚早だが、クラブのレジェンドがチームを復活させてくれることに期待したい。
★選手
◆ニコラ・ペペ(アーセナル)
例年になくビッグクラブが苦戦を強いられる今季は、期待通りのパフォーマンスが披露出来ていない選手は多い。その中で、夏にクラブ史上最高額の移籍金でやって来たペペには一際特別な期待が懸かっていた。昨季のリーグ・アンで22ゴール11アシストという圧巻のプレーを見せた同選手の加入で、オーバメヤンやラカゼットと共にプレミア屈指の強力トリデンテが完成すると思われていた。しかし、蓋を開けてみれば前半戦の得点はPKを含めてわずかに2つ。最高峰リーグ初挑戦であることを加味しても物足りない数字で、個の突破や連係も今一つだった。
【後半戦展望】
◆リバプール、悲願のプレミア制覇へ視界良好
前半戦を無敗で終えたリバプールが失速することは考えにくく、すでに大きな勝ち点差がついていることも含めてリバプールの優勝は固い。寧ろファンの目は無敗優勝が出来るかどうかに向いているのではないだろうか。また、後半戦からチームに加わる南野拓実が優勝争いにどのように絡んでいくかにも注目だ。
そのリバプールに少しでもプレッシャーをかけたい2位集団のレスターとマンチェスター・シティは、前半戦の様な戦いを続けられるかがカギとなってくる。レスターは控えの選手でも高いレベルを維持できることを証明しており、ここまで17得点のヴァーディを欠くようなことが無ければ優勝したシーズン以来の好成績を残すことが出来るだろう。一方、シティはチャンピオンズリーグにプライオリティを置く可能性が高い。プレミア優勝が絶望的な状況で、クラブ初のビッグイヤーを狙う方が現実的だとグアルディオラ監督も公言しているからだ。
その上位よりも熾烈な戦いとなりそうなのが4位争いだ。現在はチェルシーがその座についているが、後に続くマンチェスター・ユナイテッドやトッテナム、ウルブズにブレイズといった勢いのあるチームにもチャンスは十分にある。前半戦を見る限り予想することは困難で、監督交代で調子が上向いているアーセナルやエバートンが食い込んでくる場合も考えられる。
今シーズンのプレミアリーグの優勝は決まったと言っても過言ではないかもしれない。シーズン半分が経過した時点で、リバプールは17勝1分けで首位。2位のレスター・シティとは勝ち点差「13」で独走している。クラブ・ワールドカップに出場した分、他チームよりも1試合消化が少ない状況であるにもかかわらずだ。
昨シーズン、わずか1ポイント差で涙をのんだリバプールは、その悔しさをバネに快進撃を続けている。アーセナルやチェルシーを容易く退け開幕8連勝を収めると、第9節でマンチェスター・ユナイテッドに連勝を止められてしまうものの、以降は再び連勝街道へ。直接的なライバルと見られていたマンチェスター・シティにも快勝するなど、今季のリバプールを止められるチームは少なくとも国内にはいないことが証明された。
上記2チームに割って入ったのが、ブレンダン・ロジャーズ体制2年目を迎えるレスター・シティだ。実際には、就任したのは2019年2月のため1年も経っていないのだが、46歳の指揮官は2強と謡われるこのリーグに新たな風を吹かせている。強豪相手には勝ち点を落としているものの、中堅以下のクラブからはしっかり白星を奪い、現在2位という好位置を維持。そんな前半戦のハイライトは何と言っても第10節のサウサンプトン戦だ。プレミア史上最多のアウェイ9得点を記録し、ヴァーディとアジョセ・ペレスの2人がハットトリックを達成。プレミアリーグでは2003年の5月以来、2度目の快挙だった。
4位にはチェルシーが食い込んだ。クラブのレジェンド、フランク・ランパードが監督として戻ってきたブルーズは、不安定な戦いながらも若手の力で何とか4位をキープ。一時リーグ戦6連勝と波に乗っていたが、ここ数試合は黒星が先行しており、チームや指揮官としての経験の少なさが露呈。これをどこまで修正できるかが、後半戦のカギとなりそうだ。
そのチェルシーも含め、これより下は混戦模様。第19節終了時点では、4位のチェルシーから9位のクリスタル・パレスまで勝ち点差「6」でひしめき合っており、その下もそれほどの大差はない。その中で健闘しているのが昇格組のシェフィールド・ユナイテッドだ。昨季のチャンピンシップで2位となり、12年ぶりにプレミアリーグに戻ってきた通称ブレイズはここまで7勝8分け4敗の好成績。しっかりした守備に加え、夏に何度もクラブ記録を更新し獲得したカラム・ロビンソンやムセ、そして現クラブ最高額のマクバーニらアタッカー陣がその名の通り鋭さのある攻撃を披露している。
昇格組躍進の裏でトッテナムやマンチェスター・ユナイテッドはここまで6位に8位と大低迷。トッテナムに関しては5年半の間指揮を執ってきたマウリシオ・ポチェッティーノ監督を解任し、"スペシャル・ワン"モウリーニョ監督を招へいするに至った。ユナイテッドは相変わらず低調で、格下から勝ち点を取りこぼす光景も珍しくなくなってきた。一方で、開幕節のチェルシー戦の快勝や第15節と第16節でトッテナムとシティ戦の連勝など、ビッグクラブ相手に見せる底力も印象的だった。
ボトムハーフでは多くのクラブで監督交代が起こった。アーセナルは11月にウナイ・エメリ監督を解任し、クラブOBのフレドリック・ユングベリ氏の暫定指揮を経て12月20日、同じくOBのミケル・アルテタ氏をシティから引き抜いた。また、エバートンでは同21日、マルコ・シウバ監督に代わり、チェルシーでプレミア優勝を果たしたことのあるカルロ・アンチェロッティ監督が就任。その両チームが対戦した12月21日の第17節では、両新指揮官がスタンドに姿を現し注目された。
その他、ウェストハムやワトフォードも監督交代に踏み切っている。ウェストハムはマヌエル・ペジェグリーニ監督に代わり、デイビッド・モイーズ氏が1年半ぶりに就任。ワトフォードはすでに2度監督を交代。9月上旬にハビ・グラシア監督が解任された後、キケ・サンチェス・フローレス氏がおよそ3年ぶりに復任したが、長くはもたず12月6日から元レスター指揮官のナイジェル・ピアソン氏が指揮を執っている。
【最優秀選手&監督】
★最優秀選手
◆DFトレント・アレクサンダー=アーノルド(リバプール)
Getty Images
無敗のリバプールにおける強力な武器の一つが両サイドバック。その右側を担うアーノルドは、すでに2ゴール8アシストを記録し、ブレイクを果たした昨季の1ゴール12アシストという成績を霞ませる活躍を披露している。クラブ・ワールドカップ参加の影響でいつも以上に過密日程を強いられた中で、21歳のイングランド代表はリーグ戦ではほぼフル稼働。国内カップ戦で休みを貰っているものの、チャンピオンズリーグも戦いながらのこのペース配分は常軌を逸する。このままいくと、かつてアーセナルに在籍していたティエリ・アンリが2002-03シーズンに記録した1シーズン最多の20アシストを超える可能性もある。
★最優秀監督
◆ブレンダン・ロジャーズ(レスター・シティ)
Getty Images
2015-16シーズンの"ミラクル・レスター"を再現するかのような躍進を見せている今季のフォクシーズ。昨季とほぼ変わらない陣容のままロジャーズ体制2年目を迎えたが、セルティックで2年連続の国内三冠を達成した北アイルランド人指揮官は、手持ちのカードの力を最大限に発揮出来るシステムを相手ごとに構築し勝ち点を重ねた。第8節から破竹の8連勝を収めた中で、前述のようにセインツ戦はプレミアの歴史に残る大勝利だった。そんなチームにおいて、エースのヴァーディは得点ランクトップの17ゴール。数少ない新戦力のアジョセ・ペレスとプラートの2人も確実に結果を残し、前者は先発出場13回で4ゴールと、ニューカッスルにいた昨季よりもハイペースでネットを揺らしている。無敗を続けるリバプールのユルゲン・クロップ監督も見事だが、意外性を含めてロジャーズ監督を前半戦最優秀監督に選んだ。
【期待以上】
★チーム
◆シェフィールド・ユナイテッド
Getty Images
刃物工業が盛んな街であることからブレイズ(=刃)との愛称で親しまれるクラブは、トップリーグ挑戦は12年ぶり。ブレイズでプロデビューし、2016年から指揮を執るクリス・ワイルダー監督の下、チームは[3-5-2]を基本フォーメーションにセンターバックが度々オーバラップする変わり種戦術を武器にプレミアリーグをかく乱。ここまでリバプールに次ぐリーグ最少の17失点で7位に付けている。序盤戦はなかなか順応に苦労したが、第8節から第19節までを見てみると、その成績は5勝6分け1敗。アーセナルを破り、トッテナムやマンチェスター・ユナイテッド相手から勝ち点を拾うなど堂々たる戦いぶりで、昨季のウルブズのような旋風を巻き起こしている。
★選手
◆DFチャグラル・ソユンク(レスター・シティ)
Getty Images
レスターの堅守を支えるトルコ代表DFを選出。フライブルクから加入し2年目の今季は、リーグ戦6試合の出場に留まった昨季とは打って変わって、前半戦はフル稼働。スピード、フィジカル、読みの深さがプレミア仕様になり、相方のエバンスと共に高い壁を築く。フィード能力はそれほど高くないものの、最終ラインでもボールを上手く処理できる冷静さが大きな武器となっている。
【期待外れ】
★チーム
◆アーセナル
Getty Images
昨季の戦いぶりを見ると、それほど大きな期待を新シーズンに寄せることは出来ないでいたが、夏に大型補強を敢行しておきながら11位でシーズンを折り返したことを考えると、期待外れだったと言わざるを得ない。13得点のオーバメヤンが孤軍奮闘も、得点数を上回る失点の多さが足を引っ張った。その守備陣では、夏にチェルシーからダビド・ルイスを獲得するも、以前から見られていた凡ミス癖が治らず、期待のティアニーも昨シーズンから持ち越したケガで出遅れると、今度は肩を負傷し再離脱。前半戦はわずか5試合(299分)しか出場しなかった。
また、クラブ最高額で獲得したペペも移籍金に見合った活躍は見せられず、新戦力を生かせず、選手たちからの信頼も得られていなかったウナイ・エメリ監督は11月末に更迭され、後任にマンチェスター・シティでジョゼップ・グアルディオラ監督のアシスタントを務めていたミケル・アルテタ氏が就いた。その手腕を評価するのは時期尚早だが、クラブのレジェンドがチームを復活させてくれることに期待したい。
★選手
◆ニコラ・ペペ(アーセナル)
Getty Images
例年になくビッグクラブが苦戦を強いられる今季は、期待通りのパフォーマンスが披露出来ていない選手は多い。その中で、夏にクラブ史上最高額の移籍金でやって来たペペには一際特別な期待が懸かっていた。昨季のリーグ・アンで22ゴール11アシストという圧巻のプレーを見せた同選手の加入で、オーバメヤンやラカゼットと共にプレミア屈指の強力トリデンテが完成すると思われていた。しかし、蓋を開けてみれば前半戦の得点はPKを含めてわずかに2つ。最高峰リーグ初挑戦であることを加味しても物足りない数字で、個の突破や連係も今一つだった。
【後半戦展望】
◆リバプール、悲願のプレミア制覇へ視界良好
前半戦を無敗で終えたリバプールが失速することは考えにくく、すでに大きな勝ち点差がついていることも含めてリバプールの優勝は固い。寧ろファンの目は無敗優勝が出来るかどうかに向いているのではないだろうか。また、後半戦からチームに加わる南野拓実が優勝争いにどのように絡んでいくかにも注目だ。
そのリバプールに少しでもプレッシャーをかけたい2位集団のレスターとマンチェスター・シティは、前半戦の様な戦いを続けられるかがカギとなってくる。レスターは控えの選手でも高いレベルを維持できることを証明しており、ここまで17得点のヴァーディを欠くようなことが無ければ優勝したシーズン以来の好成績を残すことが出来るだろう。一方、シティはチャンピオンズリーグにプライオリティを置く可能性が高い。プレミア優勝が絶望的な状況で、クラブ初のビッグイヤーを狙う方が現実的だとグアルディオラ監督も公言しているからだ。
その上位よりも熾烈な戦いとなりそうなのが4位争いだ。現在はチェルシーがその座についているが、後に続くマンチェスター・ユナイテッドやトッテナム、ウルブズにブレイズといった勢いのあるチームにもチャンスは十分にある。前半戦を見る限り予想することは困難で、監督交代で調子が上向いているアーセナルやエバートンが食い込んでくる場合も考えられる。
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2025-24シーズンのプレミアリーグ前半戦が終了。本稿では今シーズンの前半戦ベストイレブンを超ワールドサッカー編集部が独自に選定した。※成績は第19節終了時点 ◆プレミアリーグ前半戦ベストイレブン GK:ピックフォード DF:アレクサンダー=アーノルド、ファン・ダイク、ムリージョ、ロビンソン MF:グラフェンベルフ、カイセド MF:サカ、パーマー、クーニャ FW:サラー GK ジョーダン・ピックフォード(30歳/エバートン) 出場試合数:18(先発:18)/失点数:24 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2025/get20250109_101_tw1.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 今季も残留争うチームで奮闘。アーセナルのラヤやフォレストのセルスの活躍も素晴らしかったが、リーグワースト2位の15得点ながらチームを残留圏内の16位にとどめる堅守の中心を担うイングランド代表GKを選出。後ろ重心の戦いのなかで7度のクリーンシートに、セーブ数でも上位にランクイン。年末のアーセナル、チェルシー、マンチェスター・シティとの3連戦では再三のビッグセーブで3戦連続ドローに貢献した。 DF アレクサンダー=アーノルド(26歳/リバプール) 出場試合数:17(先発:17)/得点数:1 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2025/get20250109_101_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> リーグ最高の攻撃的SB。昨季は純粋なサイドバックというよりも、中盤的な色合いが強い形で素晴らしい活躍を見せたが、新指揮官の下では偽SB的な要素を引き続き見せつつも、サイドバックとして総合力をレベルアップした印象だ。ここまで1ゴール4アシストと例年に比べ数字面では見劣りも、ビルドアップでの貢献、ミドルレンジの正確なパスでの局面打開に、守備面での集中力や粘りも出てきている。 DF ヴィルヒル・ファン・ダイク(33歳/リバプール) 出場試合数:18(先発:18)/得点数:1 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2025/get20250109_101_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 前半戦のベストDF。一時の限界説を完全に払しょくし、世界最高峰のセンターバックの座を取り戻した新生レッズのディフェンスリーダーは昨季以上の安定したプレーでリーグ最少失点の守備を牽引。相棒やGKが試合によって入れ替わりながらも、圧倒的な対人能力に傑出したプレーリードを活かしたカバーリング、ライン統率と、芸術的と言えるディフェンスで抜群の存在感を示す。 DF ムリージョ(22歳/ノッティンガム・フォレスト) 出場試合数:18(先発:18)/得点数:1 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2025/get20250109_101_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 躍進フォレストを牽引。サリバとガブリエウも捨てがたいが、リーグ3位となる19失点の堅守を支える注目の左利きDFを選出。4バックを基本に3バックも併用するなか、新加入のミレンコビッチや右サイドのアイナ、守護神セルスと鉄壁の守備を築く。184cmとサイズはないものの、筋骨隆々のフィジカルとスピードを武器に対人戦で無類の強さを誇り、攻撃面でも正確なフィードに的確なドライブと元FWとしての攻撃センスを遺憾なく発揮している。 DF アントニー・ロビンソン(27歳/フルアム) 出場試合数:19(先発:19)/得点数:0 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2025/get20250109_101_tw5.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> ステップアップ確実なアメリカ代表DF。フォレストやボーンマスとともに前半戦で躍進したフルアムのベストプレーヤー。すでにプレミア屈指の左サイドバックとの評価を得ていたが、今季の前半戦はさらにスケールアップした姿を披露。無尽蔵のスタミナと推進力を武器に、上下動を繰り返してDFとしては最多の7アシストを記録。守備でも一線級のアタッカーをきっちり封殺するなど、ハイレベルのプレーを見せ続けている。すでにリバプール、シティ辺りの関心を集める。 MF ライアン・グラフェンベルフ(22歳/リバプール) 出場試合数:18(先発:18)/得点数:0 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2025/get20250109_101_tw6.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 同胞指揮官の下で完全覚醒。10代から名門アヤックスで活躍し、“NEXTポグバ”とも称された逸材だが、バイエルン、昨季のリバプールでは中盤のバックアッパーに甘んじた。しかし、オランダ時代からその才能に注目してきたスロット新監督の下でプレシーズンから出場機会を与えられると、新生レッズの中盤のキープレーヤーに成長。元々定評があるアスリート能力に規律・献身性を加えた守備でフィルター役を完璧にこなし、攻撃面ではサイズを感じさせないターンの巧さ、懐深いボールキープ、推進力、パスセンスを遺憾なく発揮。質の高いボックス・トゥ・ボックスのプレーで躍動した。 MF モイセス・カイセド(23歳/チェルシー) 出場試合数:19(先発:19)/得点数:1 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2025/get20250109_101_tw7.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 新生ブルーズの中盤に君臨。英国史上最高額の移籍金という色眼鏡もあり、加入2年目も周囲から高い要求を求められるエクアドル代表MFだが、今季前半戦のパフォーマンスはハードルが上がったなかでも称賛に値するパフォーマンスだ。前線に攻撃的なタイプを並べ、可変式のサイドバックにもより攻撃的なタスクを与えるマレスカ新監督のスタイルにおいて序盤戦はラヴィア、現在はエンソ・フェルナンデスとともにバランサーとしてのマルチタスクを担う。幅広いカバーエリア、ボールハントに加え、攻撃でも1ゴール3アシストと決定的な仕事をこなした。 MF ブカヨ・サカ(23歳/アーセナル) 出場試合数:16(先発:16)/得点数:5 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2025/get20250109_101_tw8.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> ガナーズの絶対的エース。リーグ最少失点の堅守とセットプレーを武器に優勝争いの主役の一角を担うアーセナルだが、司令塔ウーデゴールを欠いた苦しい時期に孤軍奮闘の活躍を見せたエースの活躍は非常に大きかった。流れのなかでは「サカさえ抑えれば」」という対応を受けながらも、圧倒的な打開力を武器に5ゴール10アシストを記録した。それだけに12月末に負ったハムストリングのケガからいかに早く復帰できるかが、2位チームの後半戦のカギを握る。 MF コール・パーマー(22歳/チェルシー) 出場試合数:19(先発:19)/得点数:12 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2025/get20250109_101_tw9.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 加入2年目で凄み増す超万能アタッカー。22ゴール11アシストを記録した加入1年目の大ブレイクによって今季は対戦相手からの徹底マークに遭うなか、ここまで12ゴール6アシストとキャリアハイ更新へ上々の滑り出しを見せている。新体制では昨季主戦場の右ウイングからトップ下と少し役割が変わっているが、今季もアタッキングサードで抜群の存在感を示す。前半戦ハイライトはプレミア史上初となる前半4ゴールを記録したブライトン戦。後半戦もその爆発力にも期待だ。 MF マテウス・クーニャ(25歳/ウォルバーハンプトン) 出場試合数:19(先発:18)/得点数:10 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2025/get20250109_101_tw10.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 残留争うウルブスで孤軍奮闘。イサクやウッド、エンベウモの活躍も素晴らしかったが、下位に低迷するチームで素晴らしい前半戦を過ごしたブラジル代表FWを選出。12ゴール7アシストの昨季活躍を経て、今季から背番号10を託されると、ここまで10ゴール4アシストを記録。[3-4-2-1]のシャドーの一角を主戦場に、攻撃のマルチタスクを担いながらボールのオン・オフに関わらず、ハイレベルのプレーを披露。献身的な守備も高い評価を得ており、今冬の移籍市場ではビッグクラブの注目も集める。だが、現状ではクラブとの新契約にサインする可能性が高い。 FW モハメド・サラー(32歳/リバプール) 出場試合数:18(先発:18)/得点数:17 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2025/get20250109_101_tw11.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 前半戦のMVP。攻守両面で異次元のパフォーマンスを披露し、リバプールの首位快走の立役者に。前半戦では2試合を除きすべての試合でゴールかアシストを記録し、得点ランキングとアシストランキングでいずれも首位に。圧倒的な決定力に加え、芸術的なアシストが印象的だった。 2025.01.09 22:25 Thu3
遠藤航と交代したクアンサーは体調不良が原因「胸に痛み」
リバプールのイングランド代表DFジャレル・クアンサーが交代した理由は体調不良だったようだ。リバプールを率いるアルネ・スロット監督が明かしている。 クアンサーは8日に行われたEFLカップ準決勝1stレグ、トッテナム戦に先発。しかし27分頃、ピッチに座り込んで交代を要求し、MF遠藤航が起用されていた。 スロット監督は試合後、クアンサーについて「交代する際、胸に痛みがあると言っていた。あまり気分が良くないと言っていた。ここ数日、少し体調が悪かったのだが、回復に向かっていると思っていた。だが、それが影響したのかもしれない。ケガではない」とコメント。 リバプールのセンターバック陣ではDFジョー・ゴメスが12月29日のウェストハム戦で左ハムストリングを負傷して離脱中。DFイブラヒマ・コナテが代わって復帰しているが、貴重な控えセンターバックのクアンサーは大事に至らなかったようだ。 2025.01.09 11:00 Thu4
三笘ブライトンvsチェルシーなど4つのプレミア勢対決! FAカップ4回戦の対戦カード決定
FAカップ4回戦の組み合わせ抽選会が12日に行われた。 イングランドサッカー協会(FA)に登録されている全てのクラブが出場可能なFAカップ。プレミアリーグ勢、チャンピオンシップ(2部)勢が参戦した3回戦ではブレントフォードが唯一下位カテゴリーに敗れたものの、アーセナルやウェストハムといったプレミア勢対決に敗れたチームを除いて波乱は起きなかった。 そんななか、今回決まった4回戦では三笘薫のブライトン&ホーヴ・アルビオンがチェルシーとのプレミア勢対決に。さらに、アーセナルを撃破した前大会王者マンチェスター・ユナイテッドは、クラブOBで今季途中までコーチングスタッフを務めていたルート・ファン・ニステルローイ監督が率いるレスター・シティと対戦。さらに、アストン・ビラvsトッテナム、エバートンvsボーンマスがプレミア勢対決となった。 遠藤航所属のリバプールはブレントフォード撃破のプリマス・アーガイルと、マンチェスター・シティはレイトン・オリエントvsダービー・カウンティの勝者との対戦となる。 その他の日本人所属のプレミアリーグクラブでは菅原由勢のサウサンプトンがバーンリー、鎌田大地のクリスタル・パレスがドンカスターと対戦。 その他では大橋祐紀(ブラックバーン)、坂元達裕(コヴェントリー・シティ)、瀬古樹(ストーク・シティ)、田中碧(リーズ・ユナイテッド)、岩田智輝、横山歩夢のバーミンガム・シティが参戦する。 なお、FAカップ4回戦は2月第2週の週末に開催予定だ。 ◆FAカップ4回戦対戦カード マンチェスター・ユナイテッド vs レスター リーズ(2) vs ミルウォール(2)orダゲナム&レッドブリッジ(5) ブライトン vs チェルシー プレストン(2)orチャールトン(3) vs ウィコム・ワンダラーズ(3) エクセター・シティ(3) vs ノッティンガム・フォレスト コヴェントリー(2) vs イプスウィッチ ブラックバーン(2) vs ウォルバーハンプトン マンスフィールド(3)orウィガン(3) vs フルアム バーミンガム(3) vs ニューカッスル プリマス(2) vs リバプール エバートン vs ボーンマス アストン・ビラ vs トッテナム サウサンプトン vs バーンリー(2) レイトン・オリエント(3)orダービー・カウンティ(2) vs マンチェスター・シティ ドンカスター(4) vs クリスタル・パレス カーディフ(2) vs ストーク・シティ(2) ◆FAカップ3回戦 結果&日程 ▽1/9 シェフィールド・ユナイテッド(2) 0-1 カーディフ(2) エバートン 2-0 ピーターバラ(3) フルアム 4-1 ワトフォード(2) ▽1/10 ウィコム・ワンダラーズ(3) 2-0 ポーツマス(2) アストン・ビラ 2-1 ウェストハム ▽1/11 バーミンガム(3) 2-1 リンカーン(3) ブリストル・シティ(2) 1-2 ウォルバーハンプトン ミドルズブラ(2) 0-1 ブラックバーン(2) リバプール 4-0 アクリントン(4) レスター 6-2 QPR(2) ボーンマス 5-1 WBA(2) ブレントフォード 0-1 プリマス(2) チェルシー 5-0 モアカム(4) エクセター・シティ(3) 3-1 オックスフォード・ユナイテッド(2) ノリッジ(2) 0-4 ブライトン ノッティンガム・フォレスト 2-0 ルートン・タウン(2) レディング(3) 1-3 バーンリー(2) サンダーランド(2) 1-2 ストーク・シティ(2) リーズ(2) 1-0 ハローゲート・タウン(4) マンチェスター・シティ 8-0 サルフォード(4) コヴェントリー(2) 1-1(PK:4-3) シェフィールド・ウェンズデー(2) ハル・シティ(2) 1-1(PK:4-5) ドンカスター(4) ▽1/12 タムワース(5) 0-3 トッテナム アーセナル 1-1(PK:3-5) マンチェスター・ユナイテッド クリスタル・パレス 1-0 ストックポート(3) イプスウィッチ 3-0 ブリストル・ローヴァーズ(3) ニューカッスル 3-1 ブロムリー(4) サウサンプトン 3-0 スウォンジー・シティ(2) ▽1/13 ミルウォール(2) vs ダゲナム&レッドブリッジ(5) ▽1/14 レイトン・オリエント(3) vs ダービー・カウンティ(2) マンスフィールド(3) vs ウィガン(3) プレストン(2) vs チャールトン(3) ※()内は所属カテゴリー 2025.01.13 06:34 Mon5