Jリーグ総括/六川亨の日本サッカー見聞録

2019.12.27 16:54 Fri
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Jリーグは12月23日、2019年シーズンのJ1~J3リーグを総括したレポートを作成し、メディアに説明会を開催した。まずJ1リーグは史上最多の11,401649人の観客動員で、平均観客数は初めて2万人越えの、2万751人と過去最多を記録した。恐らくこれは、日産スタジアム(横浜F・M)、味の素スタジアム(FC東京)、カシマスタジアム(鹿島)、等々力陸上競技場(川崎F)といった、キャパシティーの大きいスタジアムを持つチームが優勝争いを演じたからだろう。

その結果、広告料収入、入場者収入、マーチャンダイジングとも過去最高を記録した。

一方で、一時的に観客数が減少したチームもある。名古屋、大分、札幌などで、13万1828人のマイナスだった。これはラグビーW杯が開催された影響で、メインのスタジアムが使えず、それぞれ瑞穂陸上競技場、大分市営陸上競技場、厚別公園競技場を使用せざるを得なかったからだ。
年間の入場者数の推移を見ても、GW(ゴールデンウィーク)と夏休みは動員力がピークに達している一方、ラグビーW杯が開催中はどのチームも動員力が下がっていた。

J2では圧倒的な強さでJ1復帰を決めた柏が、平均観客数で7,000人以上を記録。2部リーグでの7,000人越えはドイツ、イングランド、スペイン、フランスに次ぐトップ5の数字でもある。もしもスタジアムのキャパが大きければ、さらに数字を伸ばせた可能性もある。
ただし、課題もある。入場者の高齢化だ。今シーズンは36.7歳と、前年より0.3歳増加。このため各クラブも40歳台をメインターゲットにシフトすることが予想される。

若者と女性客(-0.3パーセント)の減少について、木村専務理事は「若い世代はJリーグの観戦に行きたいが、お金がないので行けない。女性ファンが観戦を開始するのは子供がサッカーをしているからで、子供が中学生になると親離れから、一緒に観戦に行かなくなりスタジアムから足が遠のく。しかし代表戦は見たいというファンが多い」と分析した。

思わず納得してしまった。12月21日の国立競技場でのイベントで、第1部は東北6大祭りやキング・カズ、ラグビーW杯で活躍したリーチ・マイケルらが登場した。そして第2部は嵐やドリカム、ゆずらのコンサートが開催されたが、寒いのと忘年会の予定が入っていたので1部だけで国立競技場を後にした。

そのことを高校時代の友人らにLINEで報告したら、「嵐が出るので応募したけど外れた」とか「代われるなら、代わって欲しい」と、オバサンにはジャニーズファンが多いことを改めて知らされた。

話を元に戻すと、木村専務理事は「小学生と親のリビーターを増やすため、小学校の協力を得て観戦機会を増やしたり、地方のクラブであればおじいさん、おばあさんを誘うなど3世代による観戦機会を増やしたりしたい」とのことだった。

そしてこれは記者の質問に村井チェアマンが答えたものだが、パワハラ問題について「レポートに入れるかどうか迷った。まだサッカー協会の指導が始まっていないので見送りました」と断った上で次のように述べた。

「パワハラだけではなく賃金未払いなどの問題もあります。曺監督の指導は昔からで、それが許されない環境になったことに気付かなかったのが問題だと思います。これはやり続けるしかありません。各クラブの経営者に『見られ方が変わる』と伝えました。今後はサッカー界としての総括が必要で、一番研修の場でこの問題を語れるのは曺監督自身であり、本人ともそうした話をしています。これはまだ終わった問題ではありません」

ということで、「Jクラブには労働環境の改善などに責任をもって対応する担当者が必要と判断し、クラブライセンス制度の中に人事担当(ヒューマンオフィサー)を新たに基準化し、全クラブに設置を促す」(村井チェアマン)ことを決めた。

湘南の場合は匿名で選手がJFA(日本サッカー協会)に現状を訴えた。このためヒューマンオフィサーには監督や社長、会長といったクラブの役員も介入できない権限を持たすべきだろう。外部の弁護士などでもいい。独立した権限を持たせない限り、透明性は担保できないからだ。どのような基準になるのか、今後も注目していきたい。

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