【J1クラブ通信簿】渡邊体制ラストイヤー、現実路線シフトで10年連続J1残留《ベガルタ仙台》
2019.12.18 23:11 Wed
優勝争いから残留争いまで手に汗を握る接戦、熱戦が続いた2019シーズンの明治安田生命J1リーグ。超ワールドサッカー編集部は、J1全18クラブの通信簿(チームMVP、補強成功度、総合評価)をお届けする。第8弾は11位のベガルタ仙台を総括!
◆MVP
DF永戸勝也(24)
明治安田生命J1リーグ30試合出場(先発30試合)/2得点
シマオ・マテや、ヤクブ・スウォビィクの活躍も捨てがたいが、今シーズンの仙台にとって、永戸勝也は特筆すべき存在だった。プロ3年目の今シーズン、不動の左サイドバックとして2得点を挙げ、リーグトップの10アシストをマーク。総得点「38」の実に32%のゴールに絡み、チームとしての攻撃も永戸のサイドがパターンの1つになるほど、大きな飛躍を遂げた。その活躍ぶりは今年のJリーグ全体で見ても秀逸。優秀選手、ベストイレブンに入らなかったのが不思議に思えてしまうぐらいだ。
◆補強成功度 【C】
シーズン開幕前に10名を獲得。さらに、夏の移籍期間に海外挑戦を果たしたシュミット・ダニエルの後釜としてヤクブ・スウォビィクを獲得するなど、3選手を補強した。そのなかで、長沢駿、道渕諒平、松下佳貴、シマオ・マテ、ヤクブ・スウォビィクが主力として稼働。概ね成果を上げた。ただ、渡邉スタイルの肝だった野津田岳人、奥埜博亮、中野嘉大、板倉滉の退団者に代わる選手を発掘できなかったことがマイナス要素。それが昨年、形を成す3バックでの戦いを結果に結びつけようとした今シーズン頭の躓きを生じさせた感がある。
◆総合評価 【C】
2019シーズンも躍進を遂げられなかった。渡邊体制6年目の今シーズン、前年と同じ11位でフィニッシュ。10年連続のJ1残留という最低限のミッションこそクリアしたものの、トップ5入りの目標を掲げてのスタートだったことを考えると、満足のいく結果とは言い難い。
杜の都から上位を目指した今年だが、開幕から1分け4敗の5試合未勝利で、一時最下位に低迷。3バックから4バックにシフトしたのが奏功して、6月に月間全勝の4連勝を記録した時期もあったが、わずか3勝のアウェイ戦が尾を引き、残留争いの域から抜け出せなかった。
ところ、いざ開戦すると、準備してきたはずのアクションサッカーが開幕から結果に結びつかず、4バックによる堅守速攻の戦いにシフト。そうした現実路線が熾烈さを極めた残留争いからの生還に繋がったわけだが、上位争いを演じる上で、攻守に突き抜けるものを欠いた。
数字で見ると、総失点数「45」に対して、総得点数は「38」。いずれも前シーズンを下回る(総得点は「44」、総失点は「54」)ものであり、それだと、シーズン当初のトップ5入りという目標に達するには物足りなく、チームとして武器と呼べるものがなければ上位争いも難しい。
そのなかで、シマオ・マテや、ヤクブ・スウォビィク、永戸、道渕、松下、そして、長沢を筆頭に個々の活躍も際立ったシーズンだったが、やはり指揮官が戦術の要として信頼を寄せ、3バックで戦う上で軸だった野津田、奥埜、中野、板倉の相次ぐ退団は痛かった。
そういう意味で、11位終戦という結果は妥当か、予想以上という見方もできる。補強も計算の立つものだったとは言い難く、新戦力や若手の顕著な台頭がなければ、より苦しい戦いになる可能性も想定できただけに、それらに対する目標値にやや無理があった感も否めない。
発足6年の渡邉体制は今年で終焉。現時点で後任未定だが、来シーズンはここ数年漂う停滞感を脱して、間違いなく新たな風が吹き込む。そこで、まず注目すべきはすでに永戸の去就が騒がれているが、ほぼ毎年、主力の流出や退団に直面するオフシーズンをどう乗り切るか。その上で、どれだけ補強に尽力できるか。2012年を最後に遠ざかる上位進出を狙うのであれば、新体制の船出をどう後押するかがテーマになる。
◆MVP
DF永戸勝也(24)
明治安田生命J1リーグ30試合出場(先発30試合)/2得点
(C)J.LEAGUE
シマオ・マテや、ヤクブ・スウォビィクの活躍も捨てがたいが、今シーズンの仙台にとって、永戸勝也は特筆すべき存在だった。プロ3年目の今シーズン、不動の左サイドバックとして2得点を挙げ、リーグトップの10アシストをマーク。総得点「38」の実に32%のゴールに絡み、チームとしての攻撃も永戸のサイドがパターンの1つになるほど、大きな飛躍を遂げた。その活躍ぶりは今年のJリーグ全体で見ても秀逸。優秀選手、ベストイレブンに入らなかったのが不思議に思えてしまうぐらいだ。
(C)J.LEAGUE
シーズン開幕前に10名を獲得。さらに、夏の移籍期間に海外挑戦を果たしたシュミット・ダニエルの後釜としてヤクブ・スウォビィクを獲得するなど、3選手を補強した。そのなかで、長沢駿、道渕諒平、松下佳貴、シマオ・マテ、ヤクブ・スウォビィクが主力として稼働。概ね成果を上げた。ただ、渡邉スタイルの肝だった野津田岳人、奥埜博亮、中野嘉大、板倉滉の退団者に代わる選手を発掘できなかったことがマイナス要素。それが昨年、形を成す3バックでの戦いを結果に結びつけようとした今シーズン頭の躓きを生じさせた感がある。
◆総合評価 【C】
(C)CWS Brains,LTD.
2019シーズンも躍進を遂げられなかった。渡邊体制6年目の今シーズン、前年と同じ11位でフィニッシュ。10年連続のJ1残留という最低限のミッションこそクリアしたものの、トップ5入りの目標を掲げてのスタートだったことを考えると、満足のいく結果とは言い難い。
杜の都から上位を目指した今年だが、開幕から1分け4敗の5試合未勝利で、一時最下位に低迷。3バックから4バックにシフトしたのが奏功して、6月に月間全勝の4連勝を記録した時期もあったが、わずか3勝のアウェイ戦が尾を引き、残留争いの域から抜け出せなかった。
今年も殻を破れなかった要因の1つとして、理想と現実のギャップが考えられる。今年、キャンプの段階からこだわり、準備を進めてきた3バックを基本布陣にシーズンイン。戦い方も相手を崩していくスタイルを理想に掲げ、トップ5フィニッシュに挑戦していくはずだった。
ところ、いざ開戦すると、準備してきたはずのアクションサッカーが開幕から結果に結びつかず、4バックによる堅守速攻の戦いにシフト。そうした現実路線が熾烈さを極めた残留争いからの生還に繋がったわけだが、上位争いを演じる上で、攻守に突き抜けるものを欠いた。
数字で見ると、総失点数「45」に対して、総得点数は「38」。いずれも前シーズンを下回る(総得点は「44」、総失点は「54」)ものであり、それだと、シーズン当初のトップ5入りという目標に達するには物足りなく、チームとして武器と呼べるものがなければ上位争いも難しい。
そのなかで、シマオ・マテや、ヤクブ・スウォビィク、永戸、道渕、松下、そして、長沢を筆頭に個々の活躍も際立ったシーズンだったが、やはり指揮官が戦術の要として信頼を寄せ、3バックで戦う上で軸だった野津田、奥埜、中野、板倉の相次ぐ退団は痛かった。
そういう意味で、11位終戦という結果は妥当か、予想以上という見方もできる。補強も計算の立つものだったとは言い難く、新戦力や若手の顕著な台頭がなければ、より苦しい戦いになる可能性も想定できただけに、それらに対する目標値にやや無理があった感も否めない。
発足6年の渡邉体制は今年で終焉。現時点で後任未定だが、来シーズンはここ数年漂う停滞感を脱して、間違いなく新たな風が吹き込む。そこで、まず注目すべきはすでに永戸の去就が騒がれているが、ほぼ毎年、主力の流出や退団に直面するオフシーズンをどう乗り切るか。その上で、どれだけ補強に尽力できるか。2012年を最後に遠ざかる上位進出を狙うのであれば、新体制の船出をどう後押するかがテーマになる。
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