【2022年カタールへ期待の選手㉝】上田、前田との競争を強いられるU-22コロンビア戦。水戸で得た得点感覚を出せるか?/小川航基(水戸ホーリーホック/FW)

2019.11.17 09:00 Sun
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「今年1年が自分のサッカー人生で一番大事になるじゃじゃないかっていうくらい重要な年だという意識は当初からありました。いいオフシーズンの過ごし方をして、最高の状態でキャンプインだったりとかできる自信はあったんですけど、開幕してみると新加入選手との競争にもなかなか勝てなくて、立ち位置的にも厳しくなってきた。自分の中での手ごたえは悪くないですけど、もっとやってかなきゃいけないっていうのはありますね」

小川航基(水戸)にとって令和最初の試合となった今年5月3日のJ1・浦和レッズ戦。当時ジュビロ磐田に所属していた彼は、ベンチ入りしながら出番なしに終わり、不完全燃焼感をにじませていた。

2016年に高校サッカーの名門・桐光学園から磐田入りして4年目を迎え、1年後の2020年東京五輪を視野に入れて強烈アピールが求められたが、シーズン序盤からほとんど出番を得られない。Jリーグ、YBCルヴァンカップでも中山仁斗ら他のFW陣の活躍を横目で見ることになり、本人も焦燥感にかられていたことだろう。

停滞感が夏まで続き、苦境脱出を図るべく、小川が決断したのが、J2・水戸ホーリーホックへのレンタル移籍だった。7月14日に両クラブから発表され、彼は初めてJ2の舞台に身を投じた。長谷部茂利監督はU-22日本代表のエースたるべき男の起用を即断。7月21日のFC琉球戦からピッチに送り出した。続く27日のアビスパ福岡戦では移籍後初ゴールをゲット。そこから2戦連発という派手な活躍ぶりを見せつけ、磐田でのモヤモヤ感を一気に吹き飛ばす格好となった。これを機に小川の存在価値は急上昇。ここまで16試合7ゴールという目覚ましい成果を挙げている。本人もゴールハンターとしての自信を取り戻した状態で、11月17日のU-22コロンビア戦に参戦することになった。

しかしながら、東京五輪代表を巡る争いは楽観できないところがある。今回のFW枠は上田綺世(鹿島アントラーズ)、前田大然(マリティモ)と小川の3枚。上田と前田はご存じの通り、日本代表として6月のコパ・アメリカ(ブラジル)に参戦。それぞれに世界最高峰レベルを体感し、現所属先でのプレーに生かしているからだ。

上田は7月末から加入した鹿島では完全にレギュラーをつかみ切れていない状態ではあるが、ポストプレーに多彩なシュート、ゴールへのお膳立てと万能型FWとしての能力をいかんなく発揮していて、「ポスト大迫勇也(ブレーメン)」の最右翼と目されている。森保一監督の評価も高く、彼への信頼は非常に厚いと見られる。

一方の前田も「このままでは東京五輪に出場できたとしても活躍はできない」と危機感を抱き、7月末にポルトガルへ移籍。開幕から出番を得て、ここまで公式戦3ゴールというまずまずの結果を残している。「自分のスピードはオンリーワン」と本人も強気の姿勢を示しているうえ、最近は[4-1-4-1]の右サイドにも入り、プレーの幅を広げている。そういう2人を指揮官も手元に置いておきたいと考えているはず。本大会のFWは2枚と目されるだけに、小川はいずれかの牙城を崩し、序列を上げる必要があるのだ。

「FWに求められるものは多いですけど、特に得点ってところはどんなチームでも一番大事だと思う。磐田で試合に出られなかった時はそこでのアピールが足りなかったのかなと思います。やっぱりサッカーは誰が点を取るのかがすごく重要。練習でも練習試合でもしっかり取っていかないといけない」と小川は移籍直前にも自身を奮い立たせるように語気を強めていたが、水戸でできたことが、U-22日本代表でできないはずはない。桐光学園時代から「東京五輪世代のエースFW」と位置付けられてきた立場を死守すべく、今回のU-22コロンビア戦では何としても目に見える結果を残したいところだ。

今回は堂安律(PSV)や板倉滉(フローニンへン)、久保建英(マジョルカ)らA代表組とU-22世代の融合のチャンスでもあるが、小川は上記3人と2017年U-20ワールドカップ(韓国)で共演しているという強みがある。この大会では重傷を負って途中離脱を強いられてしまったが、チーム強化の段階から彼らとは長い時間ともにプレーしていて、あうんの呼吸で動きを合わせられる。その強みも最大限生かしつつ、ゴール前での凄みを発揮できれば理想的だ。

いいパサーがいれば、小川航基は確実に生きる。持ち前のゴール感覚も研ぎ澄まされていくに違いない。そうやって圧倒的な存在感を示してくれる大型FWの一挙手一投足を、今回の広島でぜひとも見たいものである。
【元川悦子】長野県松本市生まれ。千葉大学卒業後、夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターとなる。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォローし、日本代表は特に精力的な取材を行い、アウェイでもほぼ毎試合足を運んでいる。積極的な選手とのコミュニケーションを活かして、選手の生の声を伝える。
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